処刑された大悪党・ペレアスに憑依されてしまった姫は、
悪意に満ちた笑みを浮かべて王国を破壊していく。
サファイア王国の運命はー?
そして、姫の運命は…?
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カナン姫が大悪党・ペレアスに憑依されてから
1か月が経過した。
カナン姫に憑依したペレアスは
”少しずつ”王国を乱していこうと考えていた。
一気に何かをすれば、
おかしいと感づかれてしまう。
もちろん、勘づかれてしまっても、
自分はカナン姫の身体だからどうということはないが、
ペレアスは見たかった…
”少しずつ、この王国が壊れていく様子”を…!
・・・・・・・・・・
「---何をしている!」
王宮騎士団長のシオンが叫んだ。
盗賊団の残党たちが、
捕えられて王宮に連行されてきた。
女、子供の姿もある。
「---何、とは?」
王宮騎士団副長のロクシアンがシオンの方を見る。
「--姫様が仰っていたはずだ!
残党狩りのようなマネは控えるようにと!」
シオンが言うと、
ロクシアンは、目上であるはずのシオンに対して
馬鹿にしたような笑みを浮かべながら言った。
「その姫様の御許可が下りたんですよ。
徹底的にやりなさい、とね。
失礼ながら、シオン殿。
あなたは自分の正義とやらを他人に押し付け過ぎではないですか?」
ロクシアンはそう言うと、失笑しながら、盗賊団残党を連行していった。
「馬鹿な…!」
シオンは、カナン姫の部屋をめざす。
カナン姫の部屋の前には、
ネコ耳のようなものをつけたメイドたちが立っている。
最近、姫は自分の部屋の周囲にメイドをつけるようになった。
過激な姿をしたメイドたちも大勢いる。
「あっ♡ あっ♡ あぁぁああっ♡」
「ひめさまぁ♡ あぁあああっ♡」
中から、変な声が聞こえてくる。
シオンは首をかしげながらも叫ぶ。
「姫様!お話がございます!」
とー。
「あぁああああっ♡ お前の唇!もっと舐めさせなさい♡」
「あぁああん♡ ひめさまぁあああっ♡」
シオンの呼びかけにも返事がない。
シオンは、意を決して「失礼します」とだけ呟くと、扉を開いた。
そこにはーー
服を脱ぎ捨ててメイドと抱き合う
カナン姫の姿があった。
メイドは姫に攻められて喘ぎまくっている。
「---ひ…姫…」
シオンは思わず目を逸らした。
「ーーあぁあああ…お前の身体エッロイなぁああ♡」
姫が姫とは思えぬ口調で笑う。
「---」
シオンは、声をかけることができず、
その場に立ち尽くした…。
「シオン?今、わたし、楽しんでるの。
分かるでしょ?
出てお行きなさい」
冷たい声で言うカナン姫。
シオンは「失礼しました」とだけ呟いて、
その場を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後日ー
王宮会議が開かれた。
王宮の重鎮たちとそれぞれの責任者が集められた会議だ。
そこに、カナン姫が入ってきた。
豪華なドレスと派手なアクセサリーを身に着けている。
最近、カナン姫は身にまとうものがどんどん豪華になってきているうえに、
国民たちに重い税金を課すようになっていた。
「---姫様…ラミアン村の納税が滞っております」
重臣のレオニードが言うと、
カナン姫は不愉快そうな表情を浮かべた。
「--それで?村長は何て言ってるのですか?」
丁寧な口調だが、
その口調には怒りが込められており、
臣下一同は凍りついた。
「は…
これほどの重税、我々の暮らしが持ちませぬ、と申しておりました」
レオニードが言うと、
カナン姫は呟いた。
「--焼き払いなさい」
ーー!?
シオンは思わずカナン姫の方を見た。
最近、どうもカナン姫の様子がおかしい。
大悪党であるペレアスを処断したころからだろうか。
「---姫!」
シオンが立ち上がった。
「--姫!ここ数週間で、それぞれの村への要求が
膨れ上がっています。
これ以上は…」
「--シオン」
カナン姫がシオンをにらんだ。
「お黙り」
それだけ言うと、カナン姫は微笑んだ。
「--ロクシアン…
村を焼き払ってくれるかしら?」
騎士副長のロクシアンにカナン姫が言うと、
ロクシアンは笑みを浮かべた。
「喜んで…」
「--ふ…ふざけるな!姫!
最近の姫はどうかしております!
姫は、この国の平和を願っているはず! それなのにどうして!」
シオンが叫ぶと、カナン姫は舌打ちをした。
「---姫様も、苦渋の決断をなされておるのだ」
重鎮のレオニードがニヤニヤしながら言う。
「--そうだ!控えろ!シオン!」
他の王宮警護団長も叫ぶ。
「----姫…どうかお考えなおし下さい!」
シオンがそう叫ぶと、
カナン姫は机をドン!と叩いた。
「--黙れってんだよ!このクソ野郎が…!」
姫の言葉に、シオンだけではなく、
騎士団副長のロクシアンも、重鎮のレオニードも凍りついた。
「--以上よ。」
カナン姫は何事もなかったかのように、話を切り上げると、
そのまま不機嫌そうに立ち上がった。
「レオニード…、新しいドレスの発注と、
私のメイドの選定を急ぎなさい」
冷たい声で言うと、カナン姫はそのまま会議室から外へと出て行ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
即日、ロクシアン副長が率いる部隊が、ラミアン村を襲撃し、
ラミアン村の村長たちは捕えられた。
そしてー
村長らの処断が行われる。
「--くくくくくく…!やりなさい!」
カナン姫が嬉しそうに叫ぶ。
副長のロクシアンが、力任せに剣を振るい、
村人たちは処刑されたー
「ーーー貴様!姫様に何を吹き込んだ!」
その日の夜ー
騎士団長のシオンは、重臣のレオニードの
胸倉をつかんでいた。
レオニードは元々、姫の平和的なやり方に不満を抱いていた人物で、
カナン姫の父親にも遠ざけられていた過去を持つ。
「--わ、、私は何もしておらぬ!」
レオニードが慌てた様子で叫ぶ。
「し…正直、、私も…最近の姫様の様子はおかしいといる…」
その言葉に、シオンはレオニードから手を放すと、
レオニードの方を見た。
「私とて、争いを望むものではない」
レオニードの言葉にシオンは言う。
「じゃあ、姫様は一体何故あんな?
…ロクシアンか?」
カナン姫が突然豹変するとは思えない。
誰かが、何か、悪い影響を姫に与えているはずだ。
重臣のレオニードが無関係となれば、
次に怪しいのは、騎士団副長のロクシアンだ。
「--違う」
レオニードは首を振った。
「だが、ロクシアンはもう姫の虜だ」
レオニードの言葉に、シオンは「どういう意味だ?」と尋ねる。
蝋燭の灯りだけが頼りの薄暗い部屋で、
レオニードは言う。
「ロクシアンを中心とする騎士団の連中が、毎晩姫に順番に
呼び出されている。
それで…その…」
レオニードは少し気まずそうに続けた。
「どうやら、姫が身体でロクシアンたちを誘惑し、
手なずけているようなんだ…」
その言葉にシオンは驚いた。
「馬鹿な…!」
シオンは決意する。
明日、姫と直接話をしよう、と。
姫の心境にどんな変化があったのか、
確かめなくてはならないー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
大広間に騎士団と重臣たちが集められた。
「-----!!」
シオンは目を疑った。
大広間の処刑台に
重臣のレオニードが座らされていた。
そこに、カナン姫がやってくる。
「---ひ…姫様…!」
レオニードは怯えきった様子で姫を見る。
姫は胸元を強調したドレスを身にまとい、
冷たい目線でレオニードを見た。
「レオニード…あなたには反乱の兆しがあるわ。」
それだけ言うと、
ロクシアンが剣を構える。
「--ひ、姫様!おやめください!」
シオンはたまらず立ち上がった。
恐らく、昨夜、シオンと会話を交わしたことで
レオニードは処刑されようとしている。
そう感じた。
「--お黙り!お前もわたしに逆らうのかしら?」
腕を組んだ姫がそう言うと、
ロクシアンの背後に控える別の騎士に
姫は指示をした。
「そいつを地下牢に放り込みなさい!」
高圧的な口調で指示をすると、
騎士団のメンバーにシオンは取り押さえられた。
「くそっ!姫!どうなされたのですか!
何があったのですか!」
「---貸せ!」
姫はロクシアンから剣を取り上げると、
レオニードを自らの手で斬り捨てた。
返り血を浴びて
クスクスと笑いだすカナン姫。
「くくく…滅茶苦茶だ…」
誰にも聞こえないように呟くと、
カナン姫は笑いながら、血のついた剣を投げ捨てる。
「わたしが王国を壊してる…ふふふふふ…
どう?姫様?自分の手で大切なモノを
壊していく気分は…?
うふふふ、はははははは」
小声でブツブツと呟く姫。
「--姫様!ご乱心か!」
レオニード派だった家臣たちが叫ぶ。
「--ロクシアン!ゴミの始末は頼んだわよ」
姫の言葉に、騎士団副長のロクシアンは頭を下げ、
声をあげる家臣たちを斬り捨てはじめたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後日。
隣国の姫・ソフィア姫がやってきた。
ソフィア姫とカナン姫は仲が良く、
お互いの国を行き来している間柄だー
しかしー
「--や…やめて…」
ソフィア姫は、手を縛られて、天井から
つるされていたー
「うふふふふ…いい身体ね~ソフィア・・
わたし…興奮しちゃうわ」
カナン姫がエッチな下着姿で、身体を
濡らしながら微笑む。
「---ど、、、ど、、どうしたの…?」
怯えきった表情で言うソフィア。
そんなソフィア姫の顔を、
カナン姫はペロペロと舐めはじめた。
「ンんふふふふふぅ♡」
カナン姫は完全に興奮しきっていた。
まるで獣のような表情を浮かべて、
ソフィア姫を見つめる。
ソフィア姫は恐怖に震えながら、
狂ったカナン姫を見つめることしかできなかった。
半日が経過したー
「--貧弱な女だ」
カナン姫が部屋から出てくる。
近くに控えていたロクシアンに
「ーー始末しておきなさい」と
告げるとカナン姫は歩き出した。
隣国の姫は、カナン姫からの度を越した
乱暴行為で命を落としてしまった。
「---これで戦争が始まる…
ふふふふ…
こんな国、壊れてしまえ!」
カナン姫は誰も居ない廊下で壁を蹴りながら笑う。
「くくく…あははははははははははっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ズゴォォォォォン
地上から音がするー。
地下牢に囚われていたシオンは
その音を聞いた。
そこにー
カナン姫がやってきた。
「ひ…姫…」
シオンはうつろな目で姫を見つめる。
「こ…この音は…」
そう呟くと、カナン姫は微笑んだ。
「--隣国と戦争が始まったの。
もう、この国はメッチャクチャ!
あははは、笑っちゃう!ははははははは!」
こんなの、自分の知る姫じゃないー。
シオンはそう思いながら言葉を振り絞った。
「どうしてですか…?姫…
いいや…カナン!」
シオンは幼馴染として叫んだ。
カナン姫は笑う。
「--くくく…俺はペレアス」
姫が少し前に処断された罪人の名前を呟く。
「--!?」
シオンは驚く。
「--俺はペレアスだよ!
この姫さんの身体をあの日、俺は奪ったんだよ!
気づかなかったのか?
ま、無理もねぇか!身体は美しい姫さんだもんな!
あはははははは!」
狂ったように笑うカナン姫
「ーーくそっ!そういうことだったのか!くそっ!」
シオンは叫ぶ。
身体を奪うなんて非現実的だと思いながらも
カナン姫の豹変の理由としてはしっくり来た。
「---ま、もうこの国は終わりよ。
わたし、自分の手で国を壊しちゃった!
うふふふふふ…
ほんっと、最高~あははははははははは!」
カナン姫は笑いながら、地下牢から
外へと歩いて行った。
「ひ…姫~~~~~!」
シオンは叫んだ。
しかし、その悲痛な叫びが、姫に届くことはなかった―
その日―
王国は崩壊したー
騎士団は副長のロクシアンを含み、ほぼ全員が戦死、
地下牢にいたシオンも乗り込んできた隣国の兵士に斬り捨てられた。
しかしー
カナン姫の姿は見つからなかった―
自らの手で王国を血に染めた
カナン姫の行方はー
誰も知らないー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
王国モノは何回か書いていますが、
今回、リクエストに合わせて書いてみました!
お楽しみいただけましたら嬉しいデス!
リクエストの原文は下記でした!
ある国に優しい性格だけど正義感の忠実した王女殿下だと
言われてる姫騎士がいます。
ある日何年にかかった捜査で連続強姦魔を捕まることができました。
凶悪な犯罪を犯した悪魔を罰するため姫が直接彼の死刑を
執行します。だがその瞬間死にたくないと言う強い欲望
で彼は姫に憑依してしまいます。
自分さえ何が起こったか理解できないが憑依した
瞬間姫の記憶全てが流れ込んできてそのまま彼は王女殿下として降るまい、
自分を殺そうとしたこの憎しい国を姫の手で壊しはじめます。
メイド達を王宮で犯したりエッチな格好をさせたり自分を
捕まるため頑張った人たちと国から追放したりしてそれが
段々激しくなって税金を上げて高級ドレスを着たり隣の国と
無意味な戦いをしたり王女である自分に反論したものを死刑に
したりして結局その国は滅んでしまうような話です。
最後にはその男も成仏してやっと正気に戻った姫だけど
彼女に殺された他の人にまた憑依されるのも良いかと
と、いうものでした。
ここからアレンジして今回の作品が生まれています!
(長文リクエストの場合は、そっくりそのままというわけには
いかないので、少し変わっている部分はお許しください!)
リクエスト&お読み下さりありがとうございました~
コメント
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憑依された姫が自らの大切にしていた国を自分の手で徐々に壊していく素晴らしさ……!
実にダークで良かったです!
姫がどうなったかあえてぼかしているのも、味があって良いですね。
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PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 憑依された姫が自らの大切にしていた国を自分の手で徐々に壊していく素晴らしさ……!
> 実にダークで良かったです!
> 姫がどうなったかあえてぼかしているのも、味があって良いですね。
ありがとうございます~!
姫がどうなったかは、飛龍様の想像にお任せですよ~☆