<皮>闇の洋服屋さん②~VIP~(完)

”VIP”

店内の禁断の領域に足を踏み入れてしまった円花は、
お店の秘密ー、
そして美人店長・相馬裕子の秘密を知ってしまうー。

彼女の運命は…!

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「ど…どういう…こと…?」
円花が座り込んだ状態で震えながら
目の前にいる”後輩”に声をかける。

ツインテールの良く似合う後輩の女子高生バイト・華凜は
ニヤニヤと笑みを浮かべている。

さっきまでこの部屋に居たはずの店長・相馬裕子は、
脱皮後の昆虫の皮のように、抜け殻のような状態で、
この部屋の隅に横たわっている。

「---見ての通りですよ!せんぱい!」
華凜が笑う。

可愛らしい高校生らしい服装に身を包んだ華凜が、
唇をペロリと舐めると、
真実を話し始めた。

「このお店は~、相馬さんじゃなくて~、
 その中にいる人が、相馬さんの皮を被って作ったお店なんです!

 でも!いまどきこんな普通のお店なんて売れませんよね?
 先輩も知ってるハズですけど、
 あまりお客さんは多くなかった。

 でもね…!
 私にはこの力がある!」

華凜の口調を中途半端に真似た男が笑う。

「--人を皮にする力がね!
 えへへへへへへへへ!」

華凜は涎を垂らしながらだらしなく口元を歪めると
円花の方を見つめて微笑んだ。

「---た…す…け…」
まだ自我の残っている華凜が表情をゆがめながら言うー。

だが、その叫びは無理やり押さえつけられて、
華凜は、無邪気に笑い始めた。

「--カワイイ子を見つけては皮にして、
 それを男性客に高値で売りつけるー。
 それが、このお店の収入源…」

そう言われた円花は思い出す。

この”VIP”の部屋に
可愛らしい女性が相馬店長に連れて行かれるのを
何度か目撃したことがあるー

そして”男性客”が入っていくのもー

連れ込まれた女性客は、この部屋で皮にされて、
連れ込まれた男性客は、連れ込まれたのではなく、
皮を買いに来た客ー

「---そ…そんな…」

円花は”VIP”の部屋の中に、地下へのはしごがあるのを見つけた。

この部屋に入って行った男性客が
出てこなかったのは裏口があったからだろうー

「た…す…」
華凜が苦しそうに言う。

「--うるせぇ!お前はもう俺の皮なんだ!
 黙ってろ!」
華凜が怒鳴り声をあげる。

円花は恐怖した。

自分で助けを求めて
自分で怒鳴り声をあげる華凜ー

どう見ても、普通じゃない。

「先輩も、ひみつを知っちゃいましたね?」
華凜は嬉しそうに笑う。

「ーーと、いうことで、先輩にも、皮になってもらいますね!
 わたしと同じように…!」

その言葉を聞いて、円花はパニックを起こした。

「い、、いやああああああ!」
慌てて”VIP”の部屋から飛び出す円花。

閉店後の店内の方に走って行く。

それほど広い店内じゃないー
出口に向かって走る円花。

ここでつかまれば、自分も-。

笑みを浮かべたまま脱皮した皮のように床に捨てられた
相馬店長を思い浮かべるー

悲痛な助けを求める華凜を思い浮かべるー

”あんな風になりたくない”

円花はそう思った。

ガン!

「--開かない!?どうして!?」

入り口の扉があかないー

円花は必死に入り口の扉を開けようとするが、開かないー
鍵は開いているはずなのにー

♪~~~~~

クラシック・ワルキューレの騎行が店内に
大音量で流れ始めた。

「ひっ…!?」
円花はおびえた様子で非常口の方をめざす。

しかしー

「逃がさないわよ~!円花!」

相馬店長の声が店内に響き渡った。

「---うふふふふふふふ!」
悪魔のような形相の店長・裕子が
円花の方に向かって歩いてきている。

クラシックが響き渡る閉店後の薄暗い店内ー

豹変した裕子が、円花を追い回していた。

「俺はさぁ、この女が大好きだったんだよ!」

逃げる円花に、裕子が女の声で語りかける。

「--ひっ…ひっ…!」
円花は必死に逃げ惑った。

非常口から飛び出して、警察に助けを求めよう。

相馬さんもー
華凜もー
どうにかしないとー

円花はそう思った。

「でもよぉ~!この女はおれを振ったんだ。
 どれほどのショックだったかお前に分かるか?」

裕子の声が響き渡る。

「宇宙がひっくりかえるほどのショックだったね。
 これが、宇宙誕生の原因になった
 ビッグバンの衝撃かー。
 って、俺はそのとき思ったよ」

ーー頭がおかしい

円花はそう思いながら非常口の扉を開けようとする。

ガン!

ここも開かなかった。

「ど…どうして!どうして開かないの!」
円花が叫ぶ。

「はぁぁ♡ あぁん♡ あぁぁあああん♡」

エッチな下着姿に着替えていた裕子が
背後に立っていた。

自分の胸を触りながらー

「今じゃ、この女は、俺の洋服だーうへへ♡」

裕子が、普段見せないような
歪んだ顔で円花を見る。

「た…たすけて…!」
円花は逃げ場がないことを悟ると、
命乞いを始めた。

「いいねぇ!」
裕子が指をさす。

「その恐怖におびえた表情!
 最高にゾックゾクするよ!

 ほら、この女もゾクゾクしてるぅぅぅぅぅぅぅ!」

胸を狂ったように触りながら喘ぎだす裕子。

「----!」
円花はその隙にスマホを取り出した。

警察にーーー

バキッ!

スマホが蹴り飛ばされた。

裕子が綺麗な太ももを輝かせながら、
円花が手に持つスマホを蹴り飛ばしたのだったー

「きゃあっ!」
円花が悲鳴を上げる。

音を立てて床に落ちるスマホ。

それを、裕子が踏みつぶした。

ぐりぐりと円花のスマホを踏みにじる裕子。

「くふふふ…
 前からず~っと、狙ってたのよ、円花ちゃん…!
 あなたみたいなカワイイ子は
 高~く売れる!
 うひひひひひひひぁ」

”憧れの店長・裕子”の姿は
もう目の前になかった。

目の前にいるのは、
支配された狂った女の姿ー。

「--さぁ、あなたもお洋服にしてあげる」

裕子が近づいてくる。

もう逃げ場がないー

「いやああああああああああ!」
店内に流れるクラシック音楽をかき消すほどの悲鳴。

しかし、その悲鳴はむなしく響き渡り、
後頭部で今まで感じたことのないような
嫌な感覚を味わうのだった。

「あひっ…」

身体の自由が利かなくなる。

頭を割られたかのような、
嫌な感覚が、後頭部から流れ込んでくる。

「う…あ…」

「--ふふふ…怖くなんかないわ。
 ”わたし”もそうだったもの。
 最初は怖かった。
 でもね、だんだん、気持ちよくなってくるからー。
 何も、考えなくて大丈夫だからー」

裕子が、円花の頭を撫でながら微笑む。

「--ん…あ♡ あ…♡」
円花の後頭部から背中にかけて、
チャックのようなものが降ろされていく感覚がするー

けれどー
それと同時に、頭の中に今まで味わったことのないような
快感が流れ込んできた

「んあぁぁ♡ あああああっ♡ んへへへへへへぇ♡」
白目を剥いて、喘ぎながら、円花は思う。

”きもちいいいいいぃぃ”

とー。

裕子はそんな円花の様子を見て、
チャックを一思いに、下まで引っ張った。

「んあああああああああああ~~~~♡」

円花が大声で喘ぐと、そのまま
打ち捨てられた皮のようになって、
床にふさっと、力なく崩れ落ちた。

「んふふふふ…どう…
 皮になった気分は…」

裕子が笑う。

”あ・・・あ・・・あ・・・”

皮になった円花は、
まだ意識が残っていた。

皮にされる瞬間の興奮から醒め、
円花は助けを求め始める

”たすけ…て たすけて…”

裕子は笑みを浮かべた。

「ンふふ…心配いらないわよ
 わたし、今、とっても幸せだもの」

裕子は満面の笑みで言う

「他の人にこうやって着てもらって…」

裕子の頭がぱっくりと割れて
中から男…卓雄の顔が飛び出して来る

「とっても幸せだも~ん!
 うはははははははははは!」

割れた裕子の口と、卓雄が、同じ言葉を口走った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー

裕子が、”VIP”の部屋の中に、
男を招き入れてきた。

「へぇ~~~こりゃあすげぇや」

男の声がする。

”た…す…”

あれから3日ー
円花の意識はまだ残っていた。

「--うへへ…この洋服なんて、いいなぁ」

円花の目の前にやってきた
中年太りのハゲたおじさんが笑う。

「あぁ…円花ちゃんですネ」
裕子が微笑んだ。

「--200万円になりますが、ご用意できますか?」

「あぁ」

男は微笑んだ。

現金の入った封筒を裕子に手渡すと、
裕子は嬉しそうな表情でお金を数えはじめた。

「--今、ここで着ても?」
男がふひふひ言いながら笑う。

「えぇ、もちろんですよ」
裕子の言葉に男がにやりと
笑みを浮かべると、
円花の皮を掴み、それを着ようとし始めた

”いや…いや…やめて”

こんな下心丸出しのおじさんに
着られたくない…!

やめて…!

円花はそう思った。

しかしー
男が中に入って来るにつれて、
円花は興奮してきてしまった。

”んあぁ…あ…ああああああっ♡”

男が円花の皮を身に着け、
あとはチャックをあげるだけの状態になった。

”あ…たす…あ…あ、、、えへぇえええ♡”

男の下心と円花が混ざり合ってしまう。

「---相馬さん、チャックをあげてくれませんか?」

男が言うと、裕子は微笑んだ。

”や…め… ・・・・・あ…”

円花はやっとの思い出で
今にも消えてしまいそうな音を発した。

しかしー

「--おやすみ、円花ちゃん」

裕子が、小声で皮に向かって耳打ちすると、
裕子は、円花の皮のチャックを完全に上に引き上げた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガチャー

VIPルームの裏口から出てきた女子大生ー
円花は微笑んだ。

「---今日からわたしも女子大生~
 うふふっ♪」

嬉しそうに飛び跳ねると、
円花は腰を大げさに振りながら
街へと消えて行ったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

今年最初の皮モノでした!
いかがでしたでしょうか!

皮モノも、時々ではありますが、
今後も書いていきたいと思います!

お読み下さりありがとうございました!

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皮<闇の洋服屋さん>

コメント

  1. ハンニャバル より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    面白かったです。
    続きを書いてもらいたいです。

  2. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    実にダークで良かったですねぇ
    助けを求めていた円花の心が男と混ざってしまうシーンなど特にゾクゾクします。
    200万なら私も買いたいくらいですね、ふふふ。

  3. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 面白かったです。
    > 続きを書いてもらいたいです。

    ありがとうございます~!
    考えておきますネ~!

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 実にダークで良かったですねぇ
    > 助けを求めていた円花の心が男と混ざってしまうシーンなど特にゾクゾクします。
    > 200万なら私も買いたいくらいですね、ふふふ。

    ありがとうございます~!
    皮モノはまだまだ経験が少なく不慣れですが
    お楽しみ頂けて何よりデス!

    200万…買っちゃいますか!ふふふ…