<憑依>美しき標本②~美~

標本にされてしまった彼女たちを前に、
彼氏の2人は驚きを隠せない。

そして、狂気の昆虫収集家は、
自身の想いを語り始めた。

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うつろな目をしたまま、鎖で固定されている
聖香と比佐子。

2人とも、手を上にあげた状態で、
万歳のような態勢のまま、拘束されている。

「--せ、聖香!」
聖香の彼氏である幸保が聖香に近づいて叫ぶ。

しかし、聖香は口をぽかんと開けたまま
何の反応も示さない。

「ど…どうなってるんだ!」
幸保が思わず叫び声をあげる。

その様子を見た昆虫収集家の直樹は
笑みを浮かべた。

「これが、芸術だよ」

そう言うと、直樹は笑みを浮かべながら
聖香の方に近づいていき、
聖香の太ももを指でなぞるようにして触り始めた。

「--女性は美しい。
 そうは思わないか?」

直樹の言葉に、
幸保は怒りに震えた。

自分の彼女が、方法は分からないが、もうろうとした意識に
されて、囚われている上に、太ももを触られているのだ。

「---」
幸保が怒鳴り声をあげようとしたその時、
隣にいた友人の弥太郎が叫んだ。

「--はい!思います!」

とー。

幸保は呆れて首を振る。

「--女の子って、こう、みてみると 
 すごいふぁぁぁ~って感じになりますよね~
 ココロが躍る感じと言うかなんというか」

弥太郎が言い終えると、
昆虫収集家の直樹は「そう!その気持ちだ!」と
弥太郎を指さしながら微笑んだ。

「---それが、永遠のものになる」
直樹は、そう言うと、聖香の胸をわしづかみに
しながら聖香にキスをした。

「んぁぁ♡」
聖香が、うつろな目のまま甘い声を出す。

意思を全て奪われてしまっても、
感じるところは感じるようだ。

「--貴様!二人に何をした!」
幸保は、そう叫びながら周囲を見渡す。

周囲には、聖香と比佐子以外にも
見知らぬ女性が、同じような状態になって、
ぼーっと立ち尽くしていた。

中には、エッチな服装をさせられている人もいる。

「---昆虫標本」
直樹が呟いた。

「知ってるかね?」
直樹の言葉に、幸保と弥太郎はうなずく。

直樹は、聖香から離れると、
近くの壁に飾ってあった
蝶々の標本が入ったケースを手に取り、
幸保たちに見せた。

「どうだ?美しいだろう?
 生きているときの姿そのままなのに、
 自由を奪われて、その美しさを見世物にされている」

直樹がそう言いながら、
顔を赤らめる。

「いやぁ、ね?私は興奮するんだよ。
 こうやって、自由を奪われて、そう…自分のやりたかったことが
 できないままにこうやって標本にされている昆虫の姿が、
 とても愛おしい…そして、、興奮するっ!」

直樹のズボンが破裂しそうなほどに
膨らんでいるのを見て、幸保は”この変態が”と叫ぶ。

「--そして私は手に入れた」
そう言うと、聖香の長い髪の毛を撫でながら、
直樹は微笑む。

「人間を標本のようにする術をなー」

憑依薬ー
それは、夢のような薬だった。
本来、人間に憑依して、その身体を好き勝手するのが
ベターな使い方のようだが、
彼は憑依した際に、強く念じることで、その身体の記憶を破壊し、
標本にするため、憑依薬を用いていた。

「--どういうことだ!」
幸保が聞くと、
直樹は、自分の魂の一部を聖香に送り込んで、
聖香の口で答えた。

「お・し・え・な・い♡」

幸保はブチ切れた。

「テメェ!俺の彼女から離れろ!
 今すぐ、元に戻しやがれ!」

そう叫ぶ幸保。

昆虫収集家の直樹は笑っている。

そしてー
拍手の音が部屋に響き渡った。

「---!?」
幸保が背後を見ると、
そこには友人の弥太郎の姿があった。

「なるほど…」
そして、弥太郎が、自分の彼女である比佐子に
近づいていくと、比佐子の頬をイヤらしい手つきで触った。

「確かにこれは芸術品っすね…。
 僕は…崎守さん、いえ、師匠の考えに感動したっす!」

弥太郎が言う。

「はぁ!?」
幸保が声を上げる。

しかしー
そんな幸保を無視して、
昆虫収集家の直樹は微笑んだ。

「美の世界へようこそー」
そう言って、弥太郎に手を差し伸べると、
弥太郎は「あ、ありがとうございます!」と直樹の手を握り返した。

「---さ、、触ってもいいっすか?」
弥太郎の言葉に直樹が頷くと、
弥太郎は、自分の彼女である比佐子の身体を
ベタベタと触り始めた。

「どうだい?君も触るかね?」
直樹が幸保に向かって言うと、
幸保は叫んだ。

「俺の彼女を返せ!」
そう叫ぶと、直樹は、笑いながら
聖香の近くに行き、聖香の頬をビンタした。

バチンと大きな音が響き渡る。

「貴様!」
幸保が大声で叫ぶ。

しかしー
ビンタされた聖香は、頬を赤くしながらも、
うつろな目のまま、悲鳴も上げなければ、
泣きもしないー

「--見たまえ」
直樹は、聖香の頬の赤くなった部分を
指でつつきながら笑う。

「---頬が赤くなっている
 生きている証だ」

幸保は”そんなことどうでもいいから早く解放しろよ”と
思いながらも、直樹を睨みつける。

「体は生きているのに、
 自分のしたいことができない。
 自分の美しさを周囲の見世物にするためだけに立っている、
 この女…

 どうだ?
 興奮しないか?

 今、この女たちは私の標本だ!
 何も考えず、何も覚えておらず、
 ただ、生きるための身体の活動だけが続いている。

 これが人間標本だよ!
 どうだ?興奮するだろう?

 ほら!見ろよ!」

直樹はそう言うと、
しゃがみこんで、聖香のスカートの中に頭を突っ込んだ。

「--こんなことしたって、
 この女は怒らない!何も感じない!
 これが生ける芸術品だよ!ふひひひひひ!」

聖香のスカートの中に顔を突っ込んでいる直樹。

幸保は、我慢の限界だった。

「やめろ!このケダモノ!」

幸保は叫ぶ。

周囲にいる10人近くの”展示されている”女性を
見つめながら幸保はどなりつけた。

「これがあんたの本性か!
 おい、弥太郎!お前も、言ってやれ!」

幸保が、比佐子の身体を舐めている弥太郎に
対しても叫んだ。

「いや~、僕は、師匠の教えに共感するね~」
弥太郎は、彼女の比佐子の胸を触りながら笑っている。

「んあっ♡ あっ♡ あっ♡ あぁ~♡」
意思のない比佐子が、甘い声を出している。

「うへへ!比佐子~比佐子~!」
弥太郎は、そんな比佐子の身体を弄んでいく。

「--どうだ?君も芸術の世界に来ないか?」
昆虫収集家の直樹が笑う。

「みたまえ。
 この綺麗な足。」

聖香のスカートをめくりながら、
聖香の太ももをいやらしい手つきで
なぞっている直樹。

幸保は怒りに震えている。
今にも噛みつきそうな、獣のような目つきをした
幸保は、されるがままの聖香の方を見つめる。

聖香は顔を少し赤らめている。

「--聖香!目を覚ませ!聖香!」

幸保は叫ぶ。

しかし、山奥の豪邸に、
むなしくその声が響き渡るだけで、
聖香も、比佐子も、他の女性たちも
一切の反応を示さない。

「---キスだって思いのままだ」

直樹は、聖香にキスをした。

「--ありきたりな日常。
 つまらないだろう?
 どうだ?私と一緒に美の宇宙に
 旅立たないか?

 女性は美しい
 まるで、宇宙のようだ。
 ほら、君も宇宙飛行士にならないか?」

直樹が手招きをした。

「---…聖香を元に戻せ!」

幸保が叫ぶと、
直樹は突然笑みを浮かべた。

そしてー
近くにあった画用紙を手に取ると、
消しゴムを手に、
その画用紙に鉛筆で書かれていた
絵を、力強く消し始めた。

消しゴムで、荒々しい手つきで、
鉛筆の線を消していく。

幸保は、直樹が何をしているのか理解できず
困惑した。

少しすると、消しゴムを動かす手を止めて
白くなった画用紙を見せつけながら
直樹は微笑んだ。

「一度消したものは、二度と蘇らない」
にやりと笑う直樹。

直樹は、聖香に近づいていくと、
聖香の頭を乱暴にわし掴みにした。

「この標本のなぁ、記憶はもう全部消してしまったんだよ!
 一度消した記憶は蘇らない!
 この真っ白な画用紙のように!

 この標本は芸術品になったんだよ!
 え?わかるか~?あぁ~~~?」

直樹が荒い口調で幸保に向かって叫ぶ。

うつろな目のまま立ち尽くす聖香を見て、
幸保は涙を流す。

直樹はそんな幸保を見て微笑む。

「--素晴らしいだろう。芸術の宇宙。」

画用紙の絵を消すために使った
黒くなった消しゴムを手に、直樹は微笑むと、
聖香の口の中にそれを無理やり押し込んだ。

「--ゴミ箱代わりに使うこともできる」

直樹の、人を人とも思わぬ態度に、
幸保がブチ切れた。

幸保が猛ダッシュで、
直樹の方に向かっていくと、
直樹がはっとするのと同時に、
幸保の拳によって、直樹は吹き飛ばされた。

「うああああああああ!」
幸保が音を立てて倒れた直樹の上に乗り、
直樹の顔面を何度も殴りつける。

1回ー
2回ー
3回ー

この野郎!
この野郎!と叫びながらー

しかしー

バキッ!

背後からものすごい痛みを感じて、
幸保は吹き飛ばされた。

幸保は驚いて背後を振り返る。

昆虫収集家の直樹は倒れたままー

幸保を背後から殴りつけたのはー
彼女の聖香だった。

「せ…聖香?」
幸保が困惑の表情を浮かべると、
聖香は微笑んだ。

「--私は人の身体に自由に憑依できることを忘れるなよ」
聖香がにやりと笑みを浮かべる。

「--私自身が、美の宇宙になることも可能なのだよ」
聖香が嬉しそうに両手を広げながら笑う。

「---き、、貴様!」
幸保が悲鳴にも似た叫び声をあげた。

直樹が、聖香に憑依した。

聖香は不気味に微笑みながら、呟いた。

「--芸術の宇宙を理解できない人間に価値はない。
 君は廃棄だ」

そう呟くと、聖香は幸保を睨みながら、近づいてきた…

③へ続く

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コメント

狂気の昆虫収集家から
彼女を取り戻すことはできるのでしょうか~?

…難しそうですネ…

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コメント

  1. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    弥太郎がまさかの裏切り……?
    果たして本気で言ってるのか、何か考えがあるのか……。
    もうバッドエンドしか見えない状況ですが、どうまとめてくるのか楽しみですね♪

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 弥太郎がまさかの裏切り……?
    > 果たして本気で言ってるのか、何か考えがあるのか……。
    > もうバッドエンドしか見えない状況ですが、どうまとめてくるのか楽しみですね♪

    ありがとうございます~!
    明日の結末をお楽しみください~☆