<入れ替わり>一往復の不思議な旅①~前編~

ひょんなことで、入れ替わってしまった
男子と女子ー。
そんな2人の、ドタバタ入れ替わり劇ー

※ツイッターのフォロワー様
 音調津様(@Tabikorai)との合作デス!

第1話は音調津様が担当しています!

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「ん~……んぁ……あう……」

事前に設定されたアラームに従って
スマートフォンが音楽を奏でるがこのときばかりは耳障りに感じる。

彼ーー寺前祐輔(てらまえゆうすけ)は手探りで枕元のスマートフォンを見つけて音楽を止める。

「ほら、さっさと食べちゃいなさい、まったく昨日も遅くまで友達とゲームしてるから……」

もそもそとリビングに移動して朝食、手は動いていても頭は休眠状態、
朝食の傍ら母親のお小言も馬耳東風だ。

食後やっとこさ目が覚めてきた辺りでぼちぼちと制服に
着替えて授業の時間割りを適当に見て教科書やらノートやらをリュックにながしこんだ。

「いってきま~す」

気の抜けきった声を出して自宅を出発、近くの駅へと向かう。

これが俺にとっての普通。

ICカードをかざして改札へ、しばらくしてワインレッドの古くさい電車がやってきた、
最前で待ってたお陰で座席をゲット、
車内でもう一眠り、乗換駅に着くまでには眠気を払っておきたかった。

ーーーー

電子音のアラーム音で目が覚める、今日も良い目覚めかなと目覚まし時計を止める。

彼女ーー富原小春は軽く身体を伸ばした。

「おはよう」

と制服に着替えた小春が挨拶

「おはよう小春、朝食は出来てるわ、食べちゃいなさい」

母に促されて朝食、睡眠も充分とったし遅刻ギリギリでも無いので余裕をもって朝食を摂る。

必要なものは前日に準備済、時間に余裕があるので溜まっていたSNS通知を確認する。

鏡の前で髪を整えて最後に身嗜みのチェック

「よし、今日もがんばろう」

問題ないのを確認、自分を鼓舞してから玄関へ、
いってきますと告げて家を出た、これが私にとっての普通。

磁気定期を改札機に入れて駅の中へ、
ちょっと待っていると銀色の車体に朱色と黄色の帯を巻いた車両が来るので乗車、
よほど運が悪くない限り座れる、車内ではイヤホンで音楽を聴いて乗換駅に近づくにつれて高鳴る鼓動を抑える。 

ーーーー

ピュアホワイトの車体に薄いブラウンの帯を纏った電車へと乗り換え、祐輔は三両目に乗る。

小春も同じ電車へ、乗り換えの際 少し遠くてもいいので敢えて三両目に乗る。

(あ……今日もいた)

小春がわざわざ三両目に行くのは祐輔目当て、
同じ高校の祐輔のことが気になっていて毎日声をかけようとするのだがいまだに叶っていない。

(ん……今日もいる)

座席に座っている祐輔はつり革に捕まる小春に気づく、
前々から気になっているがどう声をかけて良いものか……と迷い未だに声を掛けれてない。

気になる相手で声をかけたいけれどかけられない、
そんなもやもやひた想いを乗せて高校の最寄り駅へとひた走る。

ーーーー

祐輔は3組、小春は1組、二人は特筆する点もないような普通の高校生、
6時間の授業を終えて各々家路につくが二人は掃除当番なので少し遅め。

(ぼちぼち帰るか……)

掃除を終えた祐輔は一階の玄関に向かう

ーー靴紐がほどけていることにも気づかずに

階段に差し掛かったところで右足の靴紐を思い切り踏んでつまずく祐輔、
階段を降りてる小春がこちらを振り向いた辺りで祐輔の意識は一旦途切れた。

ーーーー

視界は真っ暗、うっすら意識が覚醒するとともに身体中に鈍い痛みが音をあげ出す。

「いってぇ……あれ、だれだこいつ……」

上に覆い被さっている学ランの生徒を押し退け……られなかったので這い出る。

確か女子にぶつかったはずだが… 

「おい、おーい」

痰でも絡んだのか声が変なので咳払いをしながら目の前の男子生徒を揺さぶる。

「んん……あれ、私……え?」

「おい、大丈夫か……ん?」

相手も起きたし怪我も無いようなので大丈夫かと思ったがお互いの顔を見て目を丸くする。

「なんで俺が……」

「なんで私が……」

目の前に自分か居て……じゃあ今の自分はなんなのだと祐輔はそっと視線を下にする。

セーラー服がある、当然女物、細く華奢な手……まさか……

心拍数が上がっているのがよくわかる、気分が悪くなりそうだった。

そして目の前の自分も身体をペタペタとさわり青ざめている。

ーーーー

「嘘だろ……」

普段生徒があまり使わない体育館近くの男子トイレの鏡で驚愕の表情をしている小春、
いや、身体は小春だが中身は祐輔だ。

「ど、どうして……」

今にも泣き出しそうな祐輔、中身は小春、
二人は鏡の前で確認してようやく身体が入れ替わったという現実を認識することができた。

「どうするもこうするももうどうせ信じてもらえないだろうし……お互いの家に帰るしか無いだろうなぁ……」

廊下の壁に寄りかかって腕組みをしてる祐輔

「やっぱり……そうなるよね……分かった、とりあえず今日は祐輔君の家に帰るね」

不安を隠しきれない様子の小春だが他にどうしようも無いので諦めに近い様子で帰宅を受け入れた。

②へ続く

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コメント

①は音調津様による執筆デス!
このあとの②は小春視点(中身祐輔)を音調津様が、
祐輔視点(中身小春)を私が書きました!

明日からは私の出番ですよ~笑

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