<皮>見失った自分①~幼馴染~

皮ー。

それを悪用して、意中の人を奪おうとする男子生徒が居た。

しかしー…。
それは、混沌の入り口だったー

※リクエスト作品デス!

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とあるカップルを見ながらひとりの男子生徒は憤怒していた。

海二(かいじ)は、
意中の女子生徒・香恋(かれん)が、
彼氏の幸弘(ゆきひろ)と仲良さそうにしているのを見て、
憤怒していたのだ。

海二は、香恋のことが好きだった。
幼馴染で、小学生の時代から、香恋と一緒で、
高校に上がったころからは、香恋に恋心を抱いていたのだー。

しかしー。
香恋は、自分ではなく、引き広という男子生徒を選んだ。

海二自身が告白したわけではない。
彼はチキンだった。
告白なんて大それたことをして、嫌われてしまったらどうしよう?という考えが
真っ先に浮かんでしまうような男子生徒だ。

けれどもー。
海二は香恋といつの日か付き合えると、信じて、疑わなかった。

友人の寺岡(てらおか)が、そんな海二の方を見て言う。

「--お前なぁ、そんなに香恋ちゃんのこと見つめるなよ。
 香恋ちゃんもやりにくいと思うぜ?」

寺岡の言葉に海二は
「うるせぇ!このリア充!」と叫んだ。

「--ーそういうひがむところがダメなんだよ」
寺岡は苦笑いしながら言った。

寺岡には隣のクラスの那智子(なちこ)という彼女がいる。

「くっそ~俺だって!」
海二はそう叫んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

海二は、一人舌打ちをしながら歩いていた。

ちょっと前までは、香恋と一緒に下校するようなこともあったのだが、
香恋が幸弘と付き合うようになってからは
一緒に帰ることもなくなっていた。

当然と言えば当然だが、
それでも、海二は我慢ならなかった。

「くっそぉおおお~!」
海二が一人で叫ぶ。

その時だったー。

「--そこの君…!」
海二は声をかけられて、ハッとして振り返る。

そこにはー
可愛らしい美少女が立っていた。

「え?俺?」
海二が自分を指さすと、
少女は頷いた。

少女が手招きして、
海二を人気のない裏路地につれていく。

海二は一瞬、少女についていくと、
ごつい男たちが待ち構えていて、ボコされるのではないかと
不安に思ったが、
”もしかしたら告白されるかも”と謎の考えに辿り着き、
彼女についていった。

路地裏で立ち止まると、
彼女は微笑んだー。

「---意中の人を振り向かせたい?」
彼女は笑いながらそう言った。

「は…?
 な、、何でそんなこと知ってるんだ?」
海二が言うと、少女は微笑む。

「--そんなこと、どうだっていいじゃない。
 君が望むなら
 その力を与えてあげる」

少女の言葉に、海二は首をかしげる。

この少女は何者だ?と海二は疑問に思う。
そして”香恋を振り向かせる力とは?”

「---力?」
海二が言うと、
少女は頷いた。

相手がもしも、ごつい男だったら海二は警戒したかもしれない。

けれどー
相手は可愛らしい少女だった。

だから、海二は警戒しなかったー。

「く…くれ…!その力を、俺に!」

海二が叫ぶと、少女が微笑み、
手から光の玉のようなものを放つと、
海二の身体がそれに包まれた。

「うわあああああ!?なんだこれ!?」
海二が驚いて叫ぶと、少女は微笑んだー。

「--人を皮にする力よー。
 その力で、意中の人の彼氏になりなさいー」

少女は、そう告げるのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

海二は、昼休みに幼馴染の香恋の彼氏・
幸弘を呼び出していた。

人を皮にする力ー

これで、人を皮にして、
それを着こむことで、
その人そのものになれるのだと言うー。

一瞬、海二はこの力を使って
香恋そのものになろうとも考えたが、
それは、やめた。

彼は、あくまでも香恋になりたいのではなくて、
香恋の彼氏になりたいのだ。

「--何か、用か?」
幸弘が言う。

「あぁ…俺は今日から、お前になる」
海二がそう言った。

あまりにも唐突な言葉に、幸弘は失笑した。

「な、、何言ってんだよ?お前…」

幸弘がそこまで口にしたときにー幸弘は、自分の異変に気付く。

「---!?」
自分の身体が、思うように動かないー
そしてー、皮のように自分の身体がー

「うわああああ!」
幸弘が叫ぶ。

「---俺は、お前になる!」
悲鳴を上げる幸弘を見ながら、海二は叫んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

幸弘は、堂々と廊下を歩いていた。

「--ふふふ…今日から俺が、香恋の彼氏だ!」

幸弘が笑う。
幸弘はーー皮にされてしまい、
海二がそれを着こみ、
海二が幸弘になっていた。

「---♪~」
鼻歌を歌いながら幸弘は、生徒会室に向かう。

彼女の香恋に呼び出されていたのだ。

「--さっそく、何かのお誘いかな~!」
幸弘は笑う。

今や自分は、幸弘だ。
香恋の彼氏だ。

生徒会室に到着すると、
そこには、幼馴染の香恋が立っていた。

「---待ってたよ~!幸弘!」
香恋が微笑む。

いつものような、優しい笑顔。

そして、続けて香恋の口から出た言葉は
信じられないものだった。

「さ、今日もエッチしよ!」
制服を脱ぎながら、
”当たり前”のように香恋は微笑んだ…。

「ちょ…ちょっと待て!」
幸弘は叫ぶ。

香恋のことを昔から知っているが、香恋は
こんなにエッチエッチな子ではないはずだ。

ましてや放課後とは言え、学校でこんなことを
するなど、ありえないー

「どうしたの?」
香恋が笑う。

「ほら?私の胸、いつもみたく触りたいんでしょ?
 うふふ♡
 わたしも早くさわられた~い!

 ふふふふふ♡ あはっあはははははははは!」

香恋が自分の胸を力強く揉みながら
微笑んでいる。

これは、いったいどういうことだ?

幸弘の皮を着ている海二は思った。

「な、、、何をしてるんだ香恋!
 ここは学校だぞ?」

幸弘が叫ぶと、香恋は舌打ちをした。

「いいからじらさないで、いつものように
 来なさいよ!

 わたしがあんたとどうして付き合っているか分かる?
 わたしの欲求を満たしてくれるからでしょ?
 ほら、早く、わたしを満足させて!」

はぁはぁ言いながら香恋は怒りっぽくそう呟いた。

「---い、、いや…でも…」

嫌な空気が空き教室に流れる。

まじめでやさしい子だと思っていたが
香恋の本性は、こんななのか。
そんな風に思いながら、幸弘の中にいる
海二は寂しそうな表情を浮かべたー

するとーー
香恋がーーー
頭からぱっくりと割れた。

「---!?!?えっ?」
幸弘は思わず悲鳴をあげたー。

まるで脱皮するかの如く、
香恋が笑みを浮かべたまま、
床に垂れ下がり…

中から男が出てきた。

「--あ、、、安西先生!」

幸弘は叫ぶ。

安西先生ー
半年前に、急病で退職した先生だ。

「---面倒くせぇやつだな」
香恋の中から出てきた安西先生が笑う。

「--さっさとこの女とエッチしろや!幸弘!」
そう叫ぶ安西先生。

「ど、どういうことだー?」
幸弘が言うと、
安西先生はニヤニヤしながら答えた。

「いやぁ…この女、可愛くてさぁ、
 授業中もいつもこの女を見ながら
 興奮してたんだよ…

 そんなある日、人を皮にする力を手に入れてな・・・
 こうしてこの子を皮にしたってわけさ!
 あはははははっ!

 知ってたか?半年前からずっと、この女は
 俺のものなんだぜ!」

安西先生の言葉に、幸弘は唖然とした。

「--な、、な、、何だって!」

床に、脱ぎ捨てられた着ぐるみのような状態で、
笑みを浮かべたままになっている香恋を見つめる。

ま…まさか、自分が皮にした幸弘のように、
香恋もー?

「うわあああああああああ!」
幸弘は叫んだ。

そしてーー

幼馴染の衝撃の事実を知って
幸弘の中にいる海二は混乱した。

半年前から自分に冷たくなり、
幸弘と付き合い始めたのはー
”中身が変わったからー?”

「----か、、か、、香恋はお前には渡さない!」
パニックを起こした幸弘は、
香恋の皮の方に向かって走った。

そしてー
幸弘の皮をかぶったまま、香恋の皮を被ったー

皮が、自分に馴染んでいくー

「--あ、、、あ…」
口から出たのは、
大好きな幼馴染の声ー

「---なっ!」
安西先生が驚いて声をあげる。

「--お、、お前に香恋を渡すぐらいなら、
 俺が香恋になる!」

可愛い声で叫ぶ香恋。

さらにー

「きゃああああああああああああ!」

と大声で叫んでみせた。

たまたま近くを歩いていた先生が
教室に駆け込んでくる。

下着姿の香恋と、
戸惑う安西先生の姿を見てその先生は叫んだ。

「--あ、あんた、半年前に退職したー
 …こ、ここで何をしてるんだ!」

香恋は笑うー

香恋を皮にした憎き安西先生は、
そのまま逮捕・連行されたー。

「--や…やべ…俺が香恋になっちまった…」

香恋は笑う。

「ま…ま、いっか…
 えへへへ…うへへへへへへへへへ!」

涎を垂らしながら香恋は、だらしない笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

香恋になった海二が登校すると、
友人の寺岡が心配そうに海二の机を見つめていた。

「海二のやつ、昨日から家に帰ってないんだってよ
 何か知らないか?」

寺岡が、海二の幼馴染である香恋に尋ねる。

「---し、、知らない」
香恋のふりをしてそう答えた。

まさか、自分が香恋の皮を被っているだなんて、
親友の寺岡にも言えない。

「--幸弘も消えちまったし…
 何がおきてるんだ?」

寺岡は、そう言いながら首をかしげて
座席へと戻って行く。

「---ねぇ、本当に何も知らないの?」
座席につくと、後ろの座席の女子生徒・敦子が声をかけてきた。

ツインテールの可愛らしい子で、
香恋の友人だった子だ。

「うん…」
香恋のふりをしたまま、海二はそう答えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昼休み。

海二は校舎裏で独り、悩んでいた。

スカート姿であることも忘れて
だらしなくベンチに座っている香恋。

自分はーー
香恋の恋人・幸弘の皮を被り、
さらにその上から幼馴染の香恋の皮も被っている。

今の自分は香恋だー

しかも、香恋は既に、半年前に退職した教員・
安西先生に皮にされていた。

「く…くそ…わけがわかんねぇ」
香恋の姿のまま、海二はそう呟いた。

「---」
すると、そこに、友人の敦子がやってきた。

「---大丈夫?」
敦子が心配そうに尋ねてくる。

香恋は「うん…」と答えながらも、
香恋が普段、敦子とどんなやりとりをしているか
知らなかったため、妙な汗をかきながら、
どう対応しようか悩んでいた。

するとー

敦子が突然、香恋にキスをしたー

「--ふふ…ようやく、香恋も”わたしとおなじ”に
 なれたんだね」

微笑む敦子。

「---!」
香恋は、敦子の方をはっとして見るー

すると、敦子の頭の部分がめくれて、
中から、別の女子生徒の顔が飛び出してきたーー

「うわあああああああ!」
香恋は思わず悲鳴をあげたー

香恋の友人の敦子も、
既に、皮にされていたのだったー

②へ続く

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コメント

リクエスト頂いた皮モノです!

リクエスト原文は

”皮モノの入れ替わりネタでAとB、CとDのそれぞれの
男女のカップルの片側だけが皮で入れ替わって、
互いに成り切って浮気をするのですが
実は相手方も皮で入れ替わっていて、
最終的には4人が頻繁に皮で入れ替わってそれぞれに成り切って
互いが中身が誰なのか把握出来ないぐらい乱交状態、
疑似恋愛、疑似浮気みたいになる
みたいなのを細かい設定や人数、性別等は無視して頂いて構いません”

というものでしたが、
皮の入れ替わり、というのはちょっと描写が私には難しかったので悩みましたが
(元々憑依モノが中心なので…汗)
せっかく頂いたリクエストなので、アレンジして書くことにしました。
皮で頻繁に人が変わっていき、という点と
相手も入れ替わっている、という点など、できる限り盛り込んでみました…。

ご満足いただけるかはわかりませんが、
少しでもお楽しみ頂けると嬉しいデス!

明日もお楽しみに!

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皮<見失った自分>

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