<憑依>独裁国家レギン③~炎に消える国~(完)

レギンが、他国の攻撃を受けた。

憑依能力を持つ独裁者ー
国に疑問を持つ隆吾ー
国民たちー

それぞれの運命はー

------------------------------

激しい爆発音が響いたー。

国民大集会が、悲鳴に包まれるー。

他国の戦闘機が、容赦のない攻撃ー
爆弾による攻撃を仕掛けたのだー

悲鳴に包まれた会場を見ながら、
国王に憑依されている少女・姫香が唖然とした
表情でその様子を見ている。

セーラー服姿の彼女は怒りの雄叫びをあげた。

「憑依が効かない!何故だ!」

側近たちが、姫香を安全な場所に
避難させようとするー。

しかし、姫香はそれを振り払って
隆吾の方に近づいてきた。

「貴様ぁ!何をした!?」
姫香が隆吾の胸倉をつかむ。

綺麗な手に胸倉をつかまれた隆吾は笑う。

「---こんな国…間違ってる!」
隆吾が叫ぶと、
可愛らしい表情を歪めて姫香が叫んだ。

「この非国民が!」
姫香の言葉に、隆吾は笑うだけだった。

姉の朋美が、「国王様!」と叫んでいる。

「--うるさい!お前は早くこいつを斬れ!」
姫香が、発狂しながら隆吾を指さした。

「---は、、はい…!」
炎に包まれた宮殿前大広間。

しかし、朋美はこの期に及んでまだ国王の
命令を聞こうとしていた。

剣を持ち、
隆吾の方に迫る朋美。

「くくくく…やれ!やれ!」
姫香が叫ぶ。

もはや、威厳も何もない。

「---姉さん…
 この国はおかしいんだよ…
 俺は外の世界を聞いて、映像を見せてもらって
 知ったんだ。
 この国は、間違ってる」

隆吾がそう言うと、
朋美は動きを止めた。

裸のまま、
恥ずかしがることもなく、
国王の命令で動いている朋美ー。

そんなの、絶対におかしい。

父親と母親が「何をしてるんだ!早く!」と叫ぶ。

朋美に隆吾を斬れと言っているのだ。

「・・・・・・・・・わたし」
朋美が目に涙を浮かべて
剣を下す。

「--わたしには、弟を斬ることはできません!」

朋美が叫んだ。

戦闘機の音が上空で響き渡る。

国民たちはパニックを起こして逃げ惑っているー

宮殿前広間の壇上で、隆吾の家族と国王の姫香、
その側近が、沈黙しているー。

「-だって…わたし…
 お父さんのことも、お母さんのことも…」
朋美が泣きながら剣を落とす。

「---姉さん」
隆吾が朋美の近くに歩み寄ろうとしたときだった。

朋美が突然、ビクンと身体を震わせた。

そしてー
にやりと笑みを浮かべた。

「馬鹿な女だ…!」
朋美が涙を浮かべながら笑っている。

「姉さん!?」
隆吾が驚いて、国王・姫香の方を見ると、
姫香は倒れていた。

姫香に憑依していた国王が、
朋美に乗り移ったのだー

「--直々にお前を斬り捨ててやる!」
朋美は怒りの口調でそう言うと、
剣を拾って、隆吾の方を向いた。

「姉さん!」
隆吾が叫ぶ。

しかしー
その言葉は朋美には届かない。

「無駄だ!この女は、俺のものだ!
 あははあはははははは!」

朋美が狂気の笑みを浮かべて、
刀を振ろうとしたー

隆吾は目を瞑る。

「姉さんーーー」

ーーーー死んだ。
隆吾はそう思った。

だがーーー

ビチャアアア!!!

液体が顔に大量に降りかかったー

痛みはなかった。
これが、死ー。

斬られるときにはー
痛みすら感じないのかー

隆吾はそう思って目を開けたー

「-----!!」

姉の朋美が、血を流していたー

刀を振り上げたまま、
朋美は目を見開いているー

「---!?」

ズババババババババ!

戦闘機が国民大集会の壇上に向けて
弾丸を放っていたー

目を見開いたままの朋美に、弾丸が命中して、
そのまま身体ごと、粉砕されるかのように、
朋美は吹き飛び、動かなくなった。

「----!…ね、、、姉さん…!」
隆吾の身体に噴きかかった血は、
姉の血だった。

「----うあああああああああ!」
隆吾が叫ぶ。

「----おおおおおおおおおおおおおお!」
隆吾のほかにも叫ぶ人間が居たー

女子高生の姫香ー。
朋美に憑依していた国王は、
間一髪で、朋美が死ぬ直前に、憑依から抜け出し、
姫香に憑依したのだった。

「----くそっ!」
姫香は側近と共に、
宮殿の内部へと逃げ込んでいく。

「---ね…姉さん…」
隆吾は亡骸になった朋美の前にしゃがみ込む。

「--お前…!」
少し離れた場所にいた父親が、隆吾の方を見て叫ぶ。

その時だったー。

閃光が走りー
隆吾の父親と母親が吹き飛ばされたー

2人の身体はー
次の瞬間には、無くなっていたー

「うああああああああああああああ!」
隆吾が叫びながら空を見る。

どうして?
家族の安全は保障されていたはずー
何故ー

「---どうしてだぁああああああ!」
隆吾が朋美の亡骸を抱えながら
戦闘機に向かって叫んだ。

戦闘機の攻撃が止むと、
ヘリコプターから特殊部隊が降下してきた。

逃げ惑う国民を銃撃しながら、
宮殿の方に向かっていく。

炎に包まれた宮殿前広間。

そこにー
”あの男”がやってきたー。

隆吾が、出会ったレギンに”密入国したジャーナリスト”だ。

「----ご苦労だったな」
ジャーナリストは、軍服を着ていた。

「---ど…どうして」
隆吾が言うと、ジャーナリストは微笑む。

「--この国を滅ぼすため、君を利用させてもらった。
 ただ、それだけのこと」

彼は、ジャーナリストなどではなかった。
レギンを滅ぼすことを画策する国のー
軍人だった。

「---だ…だましたな!」
隆吾が叫ぶ。

隆吾の言葉に
ジャーナリストを装っていた軍人が笑う。

「腐敗した国は、
 根本から全て絶やさなくてはならない…。
 国民もろとも、全てな」

隆吾は目に涙を浮かべる。

「うあああああああああああああ!」

その怒りの雄叫びをかき消すように、
銃声が響き渡ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「---くそっ!」
セーラー服姿の姫香が怒りの形相で、
宮殿に戻ってくる。

外からは爆音や銃声が響き渡っている。

「やつら、憑依が通用しないとはー」
姫香は、絶望の表情を浮かべて
髪を掻き毟った。

”独裁国家レギン”には
大した軍事力も軍隊もない。

本当に、国王・中谷の憑依能力だけで
他国と渡り合ってきたのだー

憑依が通じないとなるとー

「---こうなったら…! 
 おい!」

姫香がそう叫ぶと、側近の康史と翔希が、
頷いた。

地下の牢屋を解放する2人。

そこからはー
大勢の女性が出てきた。

その数ー数百。

「---くくく…いざという時のために
 体を確保しておいてよかったぜ」

姫香はそう言うと、
狂った笑みを浮かべながら、
自分の魂を分離させたー

相手に憑依できないなら、排除するまでー。

自分の魂を数百の女性に憑依させると、
数百の女性は全員同じ笑みを浮かべた。

側近の康史と翔希が、全員に武器を手渡す。

そしてー

「--我が国への侵略は許されない!」
と全員が叫ぶと、そのまま宮殿の入り口に向かって
少女たちは歩いていく。

姫香に憑依している中谷が全員を操っているため、
その動きは少しぎこちない、
充分”兵器”としては利用できる範囲だった。

「--脱出用ヘリで離脱するぞ!」
姫香がそう叫ぶと、
側近の康史と翔希が頷く。

あの少女たちも時間稼ぎにしかならない。

もう、この国は終わりだ。
国民の命?そんなものは知らない。

全ての身体は、自分のおもちゃなのだからー。

姫香は笑いながら、裏に用意してある
ヘリコプターの場所へと向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

宮殿前の広間では、
ゾンビのように襲い掛かってくる
少女たちと、他国の軍隊が激突していた。

少女たちを容赦なく排除していく軍隊。

操られている少女たちは
「レギン万歳!」と繰り返しているー。
本人の意思は、心の奥底に封じ込められたまま、
死んでいく少女たちー

操られているだけの女性が、
軍隊に勝てるはずもなく、
やがて少女たちは、全滅した

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「急げ…!」
姫香が、裏の格納庫の天井を開閉させる。

地下に隠してあったヘリコプターで、
ここから脱出するー

しかしー
銃声が響き渡り、
側近の康史と翔希が悲鳴をあげて倒れた。

「---!!」
姫香が振り返ると、
そこには、ジャーナリストを偽っていた軍人が居た。

「---く…くそっ!」
姫香が叫ぶ。

軍人は笑いながら近づいてきた。

「---お前が中谷だな?」
軍人は、目につけたスコープのようなもので姫香を
見ると微笑んだ。

一般市民を装って逃げ切ろうとしたが
それも無理なようだ。

「く・・・」
姫香はその場に膝をつく。

「---こ、、、この女が、どうなってもいいのか!?
 この女は…真面目にがんばっていた女子高生だぞ!」

姫香が叫ぶ。

しかし、軍人は笑いながら首を振った。

「--きみたちの国の人間は誰一人として
 生かすつもりはない。
 ”レギン浄化作戦”ー。
 我が国で既に決まったことだ」

軍人の笑みに、姫香は
逃れることが難しいことを悟る。

「-------」
姫香は悔しそうに唇を噛みしめると、
呟いた。

「---さ、最後に!」
姫香の言葉に軍人が呟いた。

「最後に一服でもしたいのか?」
ポケットに入っていた煙草を差し出すと、
姫香は笑った。

「胸を揉ませてくれー」

そう言うと、姫香は嬉しそうに自分の胸を触りながら
喘ぎ始めた。

「---変態が」
軍人が呆れた様子で首を振ると、
格納庫内に銃声が響き渡ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

独裁国家・レギンは一夜にして壊滅した。

憑依の力を封じられたレギンに、
もう勝ち目はなかった。

最も、侵略してきた軍人たちに憑依が通用しないのだとしても、
他国や、軍人たちの母国に対して憑依能力を使えば
なんとかなったかもしれない。

しかしー
”攻撃を受ける”ということを経験してこなかった中谷には、
攻撃されて、混乱した中、そういう考えに至ることができなかったー

レギン40年の歴史はー
終焉を迎えたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ーー「お姉ちゃん~!」

とある平和な国ー。

仲の良い姉妹が休日を楽しんでいた。

ふと、後ろを歩いていたはずの姉が立ち止まっていることに
気付いて、妹が姉を呼ぶ。

呼ばれた姉は、笑みを浮かべたー

「---あ、ごめんごめん、今行く~!」
姉が妹の方に向かって走って行くー。

走りながら姉は、静かに呟いたー

「--また、1から新しい体でやり直しだ…クク…」

とー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

レギンは壊滅しましたが、
彼は最後の瞬間に、姫香の身体を捨てて、
別の国の少女に憑依したようです…!

ここまでお読み下さりありがとうございました☆

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憑依<独裁国家レギン>

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 1
    PASS: 2c7a5a6bfa4b5baee3b981b7803c3747
    リクエストです。純真無垢な女子小学生がわいせつな事を男にされました。心は傷つき男を恨むようになりました。復讐したいと願っていたところ入れ替わる方法を知り男と入れ替わり自分になった犯人を同じようにわいせつな事をしました。
    それで、元に戻るはずでしたが男の快感を知り戻らないことにしました。純真無垢な女の子が男の精神の影響を受けて話し方やしぐさも男になりロリコン男になり、かつての親友やクラスメートたちをおそうようになりました。一方で女子小学生になった男は女の子の精神の影響を受けて話し方も考え方も女の子のものになり純真無垢な女の子になってしまいました。をリクエストします。

  2. より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    流石にしぶといですね。
    しかし憑依の力封じるとは相手もやりますな・・・

  3. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    さすがに憑依者だけあってしぶといですね
    最後に胸を揉ませてくれは、不覚にも笑いました…w
    隆吾くんは……南無

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 流石にしぶといですね。
    > しかし憑依の力封じるとは相手もやりますな・・・

    コメントありがとうございます!
    3つとも読ませて頂きました!

    こんなジャンルが読みたい!のご希望も
    できる限り叶えられるようにします~☆

  5. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    お名前無しのリクエスト様>

    リクエスト受け取りました!
    ありがとうございます!
    ただ、あまり低年齢をメインにすると、ブログで投稿できない(1回はじかれました)ので、
    表現や内容を調整するかもです!

  6. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > さすがに憑依者だけあってしぶといですね
    > 最後に胸を揉ませてくれは、不覚にも笑いました…w
    > 隆吾くんは……南無

    コメントありがとうございます!
    一般市民は争いに利用される…悲しいですネ…!
    最後に胸を…!
    欲望に満ちた彼らしいお言葉デス☆