宅配ピザのバイトをしている女子大生の菜月美(なつみ)
彼女は、知らなかった。
これから、自分の身に起きる悲劇をー。
宅配先で起こる、悪夢をー。
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俺は近井 幸男(ちかい ゆきお)
俺の名前なんてどうでもいい?
まぁ、そうだろうな。
実のところ、俺も自分の名前に興味はない。
俺は今、休日のひと時にピザを注文しようとしている。
マヨコーンピザかシーフードピザかで迷っていて
30分が経過してしまった。
が、そろそろ空腹も限界なので、
マヨコーンピザを頼むことにして、俺はスマホで
ピザを注文したー。
休日にネットを見ながら、
ピザを注文し、それを頼み、
またネットを見る。
これが、40代独身である俺の休日だ。
仕事は、とある工場勤務で、
充実しているが、出世コースからは外れており、
「無難」に仕事をしているという状態だ。
プライベートでの出会いもなく、
俺が生涯童貞独身確定コース。
親は孫が見たいと言っていたが
そんな親も、去年、病に倒れて、今はベットの上で
オネンネしてるぜ。
そんな俺には、ある力があった。
それが”人に憑依する力”
信じられないと思うが、マジだ。
大学生のころに、光る石を拾った俺は、
人に憑依する力を身に着けた。
そして、当時、悪友だった男の彼女に憑依して、
関係を滅茶苦茶にしてやったー
が…!
俺は、その1回きりで憑依の力を使うのをやめたー。
悪友と彼女の人生が滅茶苦茶になってしまったからだー
・・・
ぷっ・・・
くくくくく…
嘘だ。
奴らの人生が滅茶苦茶になってしまったのなんて
どーでもいい!
理由は単純だ。
何故か、憑依の力を使った翌日から
ものすごい筋肉痛に苦しめられてな…。
2週間寝たきり状態になっちまった。
あんな辛い思いをするなら
憑依なんてしない方がマシだ。
そう思ったからだー
おっと、興味ねぇおっさんの
自分語り、長すぎたな。
どうせ、誰も俺の話になど興味はないだろう。
っつか、俺は、誰に向かって話しているんだ?
ピンポーン!
まぁ、そんなことはどうでもいい。
ピザが来たみたいだ。
「--ピザカップです~
お待たせいたしました~」
女か。
ピザカップというお店は
比較的女の配達員も多い気がする。
いや、ピザカップではなく、
俺の家の配達に来る店舗の
店長の趣味か?
ま、どうでもいいことだがな。
「--御苦労さん」
俺は玄関を開けてーーー
はじけたーーー
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
目の前に、女神が立っていた。
な、、なんて可愛いんだ…!!!!!!!!!!!
俺が
O・RE・GA
今まで人生で見てきた中で一番可愛いと言っても過言ではない
女が、笑顔でピザを持って玄関前に立っている。
「---あ…あの?お客様?」
ふっぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!
声も柔らかなハーモニーを奏でる幻想的な声だ。
こ、こんなに美しい人がこの世に居てもいいのか。
決めたぜ。
「--マヨコーンピザLサイズ一つで、29…」
違う。
「--違う」
俺は、思っていたことを口に出しちまった。
「はい…?」
女は、そう言った。
いや、驚かしてすまねぇ。
確かに、俺が頼んだのは
マヨコーンピザのLサイズマヨネーズ多めだ。
だが、
「--俺の注文はお前だよ!」
俺は叫んだ。
数週間の激痛なんてどうでもいいー
そう思えるほどの女神ー。
「---!?!?!?」
驚く女
次の瞬間、俺は倒れて、
霊体になっていたー
「あ、、あの!?だいじょうぶですか?」
慌てた様子の女配達員ー
「--俺の注文は、お前だぁあああああ!」
俺は叫んで、
その子に突撃したー
「ひぅっ!?」
・・・・・・。
「はっ…え???ん?」
お、、、おぉ…
数十年ぶりの憑依だったが…
成功している・・・
可愛らしい手…
程よい長さの髪の毛…
そして…胸…
両手で大事そうに持ったピザの箱
憑依成功だぜ。
「お邪魔しま~す!」
俺はピザを持ったまま、
そう言うと、自分の家の中へと入って行った。
「-ふぅ~~~~!」
ピザを机の上に置いて、
ベットの上であぐらをかく俺…
いや、女の子。
そうだ、まず、名前を。
「所持品確認~!」
可愛らしい声でそう言いながら、
俺はこの子の所持品を確認した。
「滝森 菜月美(たきもり なつみ)ちゃんか~」
自分の名前なのに
他人のように言うー
なんだか、それだけで興奮するぜ。
年齢的には、大学生だなー。
「---あ~~くそっ!鏡でもあればな~」
俺は40代独身男。
当然姿写ーー
全身が映るような鏡は、家にはない。
仕方ない、洗面台に行くか。
「---うっほ…」
やべぇ、カワイイ子にゴリラみたいな声を
出させてしまった。
それにしても可愛い。
本当に女神のようだ。
「--これ、邪魔だな!」
制服の帽子を捨てて、
俺は、菜月美ちゃんに
色々な表情をさせてみた。
怒った顔ー
微笑んだ顔ー
ふてくさった顔ー
「こいつ、やっかわいいじゃん!」
俺の意思によって、
自分を他人かのように言う菜月美ちゃん。
ふふふ、こういうのたまんないぜ!
「--あふっ♡」
胸を触った俺は、思わず変な声を出してしまう。
うへぇ、気持ちイイじゃないか!
「あっ♡ あっ♡ あっ♡
やっべぇ、ピザを届けた先で、
一人エッチしてるなんて、
わたしってば変態だぜ!えへへへへへっ♡」
この子のことを考えもせずに、
俺は胸を触りまくった。
やべぇ、もう濡れてきやがった。
この子が元々エロいのか。
それとも俺の感情がこの子を支配しているのかー。
まぁ、そんなことはどっちでもいい。
とにかく、今は、欲望に溺れたい。
うへへへへー
「--あっ♡ はぁ♡ はぁ♡
あ???」
ふと、俺の…
いや、この娘の鼻にいい匂いが漂ってきた。
「そうだ!ピザ!」
俺は、ピザが食べたくてピザを注文したのだった。
冷めてしまうのも、アレだし。
まずはピザ、食べなくちゃな。
俺は胸を触りながら、ピザの置いてある部屋に戻ると、
あぐらをかいて、近くに座った。
「くへぇ、カワイイ子のあぐらってのもいいよな~
あ、やべ、涎たれちまった」
俺の言葉をこの女に代弁させる。
それだけでもとんでもなく興奮するし
とても、快感だ。
この子が、こんなこと絶対言わないだろうなぁ、ということを
言わせる快感。
これこそ、憑依の醍醐味と言ってもイイ。
ま、俺は人生2回目の憑依だがー
「--さ~て!喰うとするか!」
俺は可愛い声でそう叫ぶと、
そのまま手でピザを掴み、食べはじめた。
「--ん~~~!
いつもより、なんかすっげぇうめぇ!」
俺は女の声で大声で叫んだ。
何故だ?
味でも変えたのか?
とにかく、今日のピザはすごくうまい!
俺はあっという間に1枚、2枚、3枚と
ピザを食べていくー
「んふ~~っ!」
ふと、近くにあった手鏡で自分の姿を見ると、
口元にはチーズやケチャップなどが付着していた
「~~ふふふ、我ながら汚い女だぜ」
美人に、汚い食べ方をさせている。
これも興奮ポイントだ。
「げふっ」
やべっ!
カワイイ子にげっぷなんかさせちまった。
ま、いっか、今は俺の身体だしな。
俺は、さらにコーラを飲む。
ピザと言えば、やはりコーラだろう。
「----って、まず!」
俺は思わずコーラを噴きだした。
あまりの変な味に「買うコーラを間違えたか?」と
思いながらコーラを見つめる俺ー
いや、違うー
いつものコーラだ。
だったら、なぜ?
「---!!」
そうだー
俺は今、この菜月美ちゃんという子の身体で食事をしている。
味覚が俺と違うんだー。
だから、ピザをいつも以上に美味しく食べれているし、
コーラを飲むとまずく感じるー
「ふへ~~なんか興奮してきたぁ~」
俺は菜月美ちゃんにそう言わせて、
表情を歪めさせた。
手鏡で見つめる菜月美ちゃんの顔は、
変態おやじかのように歪んでいた。
ま、俺がそうさせてるんだから、
俺が変態おやじなのかもな。
「んふぅ…」
ピザをいやらしく、菜月美ちゃんの舌で
ペロペロと舐めながら食べていく。
「やっべぇ…エッチな喰い方できるって
女ってすげぇな…むふふ」
ピザを甘い表情で食べているだけで
興奮しちゃうなんて、
とんでもないぜ…
♪~~~
「ん??」
聞きなれないメロディが聞こえると思いながら
そちらの方に目をやると、
菜月美ちゃんのスマホが鳴っていた。
”バイト先”と
表示されている。
「あ~~そりゃそうだよなぁ
届けるだけのはずなのに、
何故か自分で届けたピザ食べちゃってるんだからな」
仕方ねぇ。
電話にぐらい出てやるか。
「---菜月美ちゃん、
随分遅いけど、大丈夫か?」
ピザ屋の店員の声がした。
菜月美ちゃんのためにちゃんと
謝ってやらなくちゃなー。
なんて…
言うとでも思ったかぁ~?
「--うるせぇよ」
俺は、この子が出したことのないような
声で、低く、相手を威圧するように呟いた。
「え?」
相手が唖然とした雰囲気で声を出す。
「うるさいってんのよ!
わたしはいま、お楽しみ中なの!
邪魔しないでくれるかしら!」
そう叫んで、俺は菜月美ちゃんの
スマホをゴミ箱に放り投げた。
「---さ~て!」
俺は立ち上がる。
「--もっと、もっと、遊ばせてもらうよ~!
くひひひひっ♡」
俺は可愛い声でそう呟きながら、
喰いかけのピザをテーブルの上に置き、
微笑んだ…。
②へ続く
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コメント
ピザの宅配憑依物語デス!
憑依者視点で書いてみていますが、
どうでしょうか?
明日もぜひお楽しみください!
コメント
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無名さんの一人称での作品は新鮮ですね~。
こういう欲望のままに行動する憑依作品には合ってる気がします。
次回も楽しみです♪
冒頭の「麻都香」はミスでしょうか…?
SECRET: 0
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> 無名さんの一人称での作品は新鮮ですね~。
> こういう欲望のままに行動する憑依作品には合ってる気がします。
> 次回も楽しみです♪
>
> 冒頭の「麻都香」はミスでしょうか…?
ありがとうございます~!
冒頭のは下書き段階のを直すのを忘れてそのままにしちゃいました(笑
修正しておきました☆
麻都香ちゃんって誰よ~?状態ですネ笑