<入れ替わり>自分で捨てた幸せ②~後悔~(完)

入れ替わって、モテる幸恵の身体を手に入れた晶子は
これから、バラ色の人生を送るはずだった。

しかし、現実は、そう甘くは無かったー
彼女は捨てた。自分の”幸せ”をー。

------------------------------–

朝。

いつもよりおしゃれをして登校した幸恵には
周囲のクラスメイトたちが集まっていたー

「あれ~?幸恵、なんかイメージ変わったね~!」
「ちょっと可愛くなったな~」

褒められながら幸恵は、当然だ、と言わんばかりに微笑んだ。

「--でしょ?やっぱ、女の子だもん!
 おしゃれぐらいしなくちゃね」

そう言いながら、
ドヤ顔で微笑む幸恵。

幸恵の身体を支配した晶子は思うー。

こんなブスがモテていたなんて信じられない。
でも、今やこの身体は自分のものだー。

これからおしゃれしてどんどん可愛くなるし、
何より魅力的な自分がこの身体を支配したのだからー、
さらにモテるに違いない。

「---でさ~」
幸恵は嬉しそうに話をし始めた。
周囲の話を聞きもせずに、
自分語りをする幸恵は、とても、ご機嫌だった。

楽しいー。
幸恵を支配した晶子はそう思った。
こんなにたくさんのクラスメイトに囲まれて、

しかもー
晶子が密かに好意を寄せていた学級委員の孝雄(たかお)まで、
話しかけてくれるー。

夢のような数日間を過ごしたー。

晶子の身体にされた幸恵も何も言ってこない。
友人の愛衣が、上手く丸め込んでくれたのだろうー。

だがー
その幸せは続かなかった。

「---ごめん」

1週間が経過したころの昼休み。

幸恵は、学級委員の孝雄を呼び出して告白した。

しかしー
断られてしまったー。

こんなに色気を振りまいたのに、
どうしてー?

空き教室に呼び出して
胸を触らせてあげた上に、キスまでしたのにー。

「--ごめん。
 幸恵ちゃんが、そんなコだとは思わなかった」
孝雄が言う。

「---え…」
幸恵は唖然とした様子で言う。
幸恵を支配している晶子は、告白すれば
”100%”OKを貰えると思っていた。

だからー
意外だった。

「俺さ、自然な、幸恵ちゃんが好きだったんだよね。
 でもなんか、最近の幸恵ちゃん、
 変だよ。

 そうやってさ、色目を使ったりするコはさ…
 俺、苦手なんだ。
 だから、ごめんな」

それだけ言うと、孝雄は、空き教室から出て行ってしまった。

「------」
放心状態で教室に立つ幸恵。

幸恵は、短いスカート姿で、
髪の毛は、カールがかった髪型になり、
少し茶色に染め、化粧も濃くなっていたー。

それでもブスだけど、と晶子は思いながらも
幸恵の身体を自由にカスタマイズしていたー。

「---うっざ」
幸恵はそう呟くと、自分の教室へと戻って叫んだ。

「みんな~!
 わたしが告白したのに、そこの孝雄、
 わたしを振ったんだけど!
 あり得なくない?」

幸恵がそう言うと、
クラスメイトの一部が「え~」と言う。

だがーー

「--そりゃそうだよなぁ」
「だよね~!」

という声も聞こえてきたー

そしてー
ふと、幸恵は気づく。

クラスメイトたちが、自分ーー
つまり”晶子”のもとに集まっていることをー

「---」
晶子になった幸恵は、
笑みを浮かべながらこちらを見つめていた。

「---な、、、何笑ってんのよ!」
幸恵は晶子の方に近づいていく。

「---」
幸恵が自分の身体ー
晶子を睨みつけると、
近くにいた、友人の愛衣が微笑んだ。

「---ねぇ、一人でピーピー騒がないでよ。
 ”七瀬”さん?」

愛衣の言葉に、
幸恵は、愛衣の方を見るー

愛衣は、不気味に微笑んでいた。

そう言えば、入れ替わり薬をくれた親友の愛衣は、
自分が幸恵と入れ替わってから、
ほとんど話しかけてこない。

それどころか、入れ替わった後も、
中身が幸恵の晶子と一緒に居ることが多い。

最初は、晶子になった幸恵が騒がないように
上手くやってくれているのかと思っていた。

けれどー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ちょ、ちょっと!愛衣!」

放課後。
幸恵は愛衣を呼び止めた。

もう一人の友人と歩いていた愛衣は振り返る。

「---ど、どういうことなの?」
幸恵が言うと、
愛衣は微笑んだ。

「どういうことって?」

とー。

幸恵はカチンとして叫ぶ。

「--ど、、どうして私の身体の方に
 みんなが集まってるの?

 こ、、このブス、モテてたはずよね?」

幸恵は自分を指さしながら言う。

愛衣は、うんざりした様子で
微笑んだ。

「--ねぇ、晶子ちゃん。
 あんた”自分の醜悪な性格”分かってる?」

愛衣が言う。

「---し、、醜悪…?
 な、、何よその言い方!」

幸恵は反論した。

「--大体何よ!
 あんた、ずっと、ブス女の方に
 ついていて!
 少しは私を手伝いなさいよ!」

幸恵が叫ぶと、
愛衣の表情から笑顔が消えた。

そしてー
幸恵を睨みながら呟いた。

「ほら、そういうとこ」

愛衣はそれだけ言うと、
さらに一言付け加えた。

「わたしの友達は”晶子ちゃん”- 
 あんたは”七瀬 幸恵さん”
 わたしの友達じゃないからー」

その言葉に、幸恵を支配している晶子は唖然とする。

「あんた、まさかー」
幸恵は冷や汗をかきながら呟く。

愛衣は笑うー

「--まさか…!わたしをはめたの!?
 こうなることが分かってて!」

幸恵は叫ぶ。
そんなはずないー
わたしは、モテるー
わたしはーー可愛いーー
わたしは、わたしはーー

「--あんたみたいな性格ブス…
 どの身体でも、モテるわけないでしょ。」

愛衣は吐き捨てるように言うと、
横に居た友人に「いこ」とだけ言って
そのまま立ち去ってしまった。

「---裏切り者っ!」
幸恵は立ち去る愛衣の後姿に向かって、そう叫んだ…。

幸恵は表情を歪めた。

嘘だ…
あり得ない…!

わたしは魅力に満ち溢れているのに、
どうして?

この女のブスな身体がモテてたんでしょ?
じゃあどうして、わたしは…?

くそっ!あり得ない…!

鬼のような形相で何度も何度も壁を叩く幸恵。

「くそっ…!許せない…!許せないわ…!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自宅に戻った幸恵は、
父親に、お小遣いを要求した。

しかしー。

「--お前、無理に決まってんだろ?
 今、うちの状況、どんなだか、分かってるだろ?
 母さんが倒れて、俺とお前で食ってくのがやっとなんだ!」

父親は、お小遣いをくれなかった。

「---…はぁ?つっかえない父親ね!」

幸恵はそう叫んで部屋へと戻った。
お小遣いも底をついている。

「あり得ない!あり得ないあり得ないあり得ないあり得ない!」
ヒステリックになりながら
髪の毛がぼさぼさになるまで掻き毟る幸恵。

「はぁ…はぁ…あり得ない!あり得ない!」

暴れまくる幸恵に、
元の優しい幸恵の面影は残されていなかった。

「--許せない!許せない許せない!」

幸恵は、呪いのように言葉を呟くのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さらに数週間が経過したー

幸恵はーー
完全に孤立していたー

そして、晶子になった幸恵は、
クラスに溶け込んで、楽しそうにしていたー

「---どうして…!どうして!」

昼休みー

好意を抱いていた男子生徒の孝雄がー
晶子と付き合っているー
つまり”自分の身体”と付き合っていることを知ったー。

つい先日、孝雄が晶子に告白したらしいー

「---う、、嘘…?どうして…!」

怒りのあまり、昼休みの最中に、幸恵は大声で叫んだ。

「どうして!わたしがその身体だったときには、
 全然かまってもくれなかったのに…!
 どうして!あり得ない!どうして!!!」

晶子と孝雄に向かって叫ぶ幸恵。

孝雄も、中身が幸恵の晶子も、
友人の愛衣も、冷たい視線を送っている

「---くそっ!私の身体を返せ!返せ!
 その身体は私のものよ!
 孝雄も、お金も、ぜんぶ私のものよ!」

幸恵は叫んだ。

しかしー
誰も、返事をしないー

クラスメイトは、失笑していたー

「最近、幸恵ちゃん、変わっちゃったよね」
「どうしたの?」
「別人みたい」
「なんか、つまんねー女になったよな」
「偉そうだし」
「--まるでちょっと前までの晶子じゃない」
「--自分がブスだってわきまえてるのかしら」

口々に、侮辱的な言葉を吐き捨てる
クラスメイト

「---い、、、いや…いやだ!
 違う!いやああああああああああああ!」

幸恵は錯乱して、教室で暴れはじめた。

「わたしは晶子!わたしが晶子なの!!
 いや、、いやああああああ!
 こんなブスの身体、いやだ!!!
 クソみたいな家庭、、いやだだああああああああ!
 いや、、、いや!!返して!!!!」

狂ったように叫びながら晶子の報に向かう幸恵を、
孝雄が止めた。

「----悪いけどさ、
 頭、おかしいんじゃないのか?」

孝雄の言葉に、
幸恵は、心をえぐられたような思いで床に手をついて
そのまま大声をあげて泣き始めたー

うそだー

うそだーーー

モテないのはーー
外見じゃなくてーーー

中身…なの??

嘘だー

「うわあああああああああああああ!」

狂ったように叫ぶ幸恵の姿を
クラスメイトたちは、
冷たい目で見続けたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

誰も居なくなった教室に
放心状態で座りつづける幸恵。

そこに、晶子がやってきた。

美貌を楽しんでいるかのように、
今の晶子…中身が幸恵の晶子はイキイキとしていたー。

「---ありがとう」
晶子が言う。

幸恵は驚いて振り返る。

そこにはーー
にやりと笑う晶子の姿があったー。

「---こんな幸せな人生を、ありがとう」

晶子は邪悪な笑みを浮かべているー

そして、近づいてきて、幸恵の肩に
手を乗せながら晶子は呟いたー

「裕福な家庭ー、こんなにきれいな身体ー、
 恵まれたモノばかりー

 あなたは自分で自分の持っていた幸せに
 気づけなかったー。

 あなたは”自分で幸せを捨てたのよー”」

晶子はそれだけ言うと、クスッと笑って
教室から立ち去ろうとした。

「---返して!」
幸恵は叫んだ。

晶子は笑う

「返す?
 幸恵ちゃん?何のこと…?
 わたしは桜田 晶子よ。
 生まれたときから…ネ」

そう言うと、勝ち誇った表情で晶子は立ち去ってしまった。

わたしはーーー
自分で幸せを捨てたーーー?

うあああああああああああああああああ!

幸恵は狂ったような表情で走り出したー

そしてーーー
手芸部の活動をしている教室に駆け込んだー

そこには
入れ替わり薬をくれた、愛衣の姿ー

「愛衣ィぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
狂った目つきで、ハサミを手に、
幸恵は、愛衣の方に走って行った。

それを見て、愛衣は静かに微笑んだー

”製薬会社のパパを持つ、わたしを
 見縊らないでくれるかしらー”

愛衣は、こうなることを予想して、
ポケットに持っていた薬を取り出して、
幸恵の方に向かって、それをばらまいた…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

リクエストを頂いたブスと美少女の入れ替わりでした!
外見じゃなくて、中身も大切!ということですネ!

リクエストを下さりありがとうございました!

もちろん、お読みくださった皆様にも感謝デス!

入れ替わり<自分で捨てた幸せ>
憑依空間NEO

コメント

  1. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    自分の恵まれた境遇に目を向けず、他者を妬むことしかしなかった故の破滅。立場と人間関係を奪っても、それを維持するための気遣いに最期まで気付けなかったですね。清々しいくらいの自業自得でした。
    私もJKと入れ替わりたい気持ちはありますが、JKとしてやっていける気はしません…w

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 自分の恵まれた境遇に目を向けず、他者を妬むことしかしなかった故の破滅。立場と人間関係を奪っても、それを維持するための気遣いに最期まで気付けなかったですね。清々しいくらいの自業自得でした。
    > 私もJKと入れ替わりたい気持ちはありますが、JKとしてやっていける気はしません…w

    コメントありがとうございます~!
    中身が悪いと、やっぱり嫌われちゃいますからネ!

タイトルとURLをコピーしました