ティーエス製薬から流出した
女体化するウイルスは大流行を起こしたー。
次第にそれが広がっていき、
世界が”女体化”しようとしていたー
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「---どうして、そんなことをしたんだ!」
警察署内ー
重要な参考人として、
ティーエス製薬の女性研究員だった茅子が、取り調べを受けている。
全ては、この20代後半の女性研究員が
ウイルスを流出させたことから始まったー。
元々は、性に悩む男性や、女体化願望のある男性の娯楽として
開発がすすめられていた女体化薬に応用するための
ウイルスだった。
完全に制御され、感染しない状態にされた上で
国から認可を受けて、発売されるはずだった。
だが、そのウイルスは解き放たれたー
制御、されないままー
「--わたしはねー」
茅子が口を開いた
「男嫌いなの」
茅子の言葉に取り調べをしている警察官がきょとんとする。
「--自分も女だけど、女が大好きなの。わかる?」
茅子はふてくされた態度で言うと、
さらに続けたー
「可愛い女の子を、抱いて、抱いて、抱いて、抱いて、抱きしめたい。
女同士の至福の時間の気持ちよさ、わかる?」
茅子の言葉に、警官は唖然として反応できない。
「---あなたもじきに、女の気持ちよさを味わうことになるわよ…
ふふふ♡」
微笑む茅子を前に、警察官は戸惑うことしかできなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
街中は、女性で溢れていたー
男性の3分の1が女体化してしまった今、
女性の姿が目立つことは仕方のないことだー
しかもー
”女になりたかった男たち”は
女体化してからはエッチな格好やおしゃれな格好、
コスプレなど、元男だからこその、服装をして、
街中を歩いているー
”女になりたくなかった男たち”は、
自分は男だ!と主張し、男モノの服をきたり、
男の時に着ていた服を、そのまま無理やり着込んでいるし、
振る舞いも男そのもので、色々と見えてしまったりもして、
目のやり場にこまってしまうー
世界は、混沌としていたー
病院に行くと、
大量の患者が予防接種の順番を待っていた。
みんな、マスクをしているー
「--くそぉぉぉぉぉ!あと少しだったのに!!」
髪の長いとてもかわいらしい少女が怒鳴り声をあげている
「--あぁあああああ!くそっ!くそっ!くそぉ!」
発狂している少女。
”感染防止のため”と、病院関係者に連れ去られていく。
この”予防接種外来”は女体化の病が蔓延しないため、
女体化してしまった人間は入ることができないー
「--あの娘、ギリギリで女体化しちゃったんだろうな」
友人の由利夫が言う。
泣き叫びながら連行される少女はー、
ネクタイをしめた男子高校生姿だったー。
「---…」
応助は複雑そうな視線でその男子高校生を見つめる。
自分は、ああはなりたくないー
そう思った。
「---ま、お互い”混”にならないことを祈ろうぜ」
由利夫は笑う。
”混”とは、女体化ウイルスの予防接種の副作用により
男女が混ざった状態になってしまうことだー。
10分、20分、30分…
1時間…
長々と、予防接種を待たされた。
そしてー
「---どうぞ」
応助がいよいよ呼ばれた。
「--検討を祈るぜ」
不安そうに診察室に向かう応助を見ながら、
友人の由利夫は敬礼をした。
「---安心しろよ。俺は男のまま戻って来るぜ。
混にはならないー」
応助はそう言って、診察室の中に入って行った。
腕を組んでいた由利夫は、
少し悲しそうな表情を浮かべたー
「俺は…間に合わなかったー」
自分の胸が、ふくらみ初めて来ていることに
由利夫は気づいていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---ふぅ」
診察室の中では、先生がため息をついていた。
「---こんなことになるとはね」
先生が自虐的に笑う。
初老の白髪まじりの男性だ。
「--わたしの息子、2人いたんだが、
一人は女体化して、今じゃ完全に女になってしまった。
もう一人は、”混”になってイジメを受けてーそれから…」
先生は、不安そうにしている応助を見ながら微笑んだ。
「-女体化ウイルスの辛さは私が良く知っている。
君は大丈夫だー。必ず男のままでいられる」
応助に、そう言葉を投げかける先生。
予防接種の際に「混」になってしまう条件は分からない。
統計上は10パーセントほどとされている。
体質上の問題か、遺伝的な問題か、
それとも、精神的な問題かー。
この医師は、少しでも患者が不安を感じていない状態で
予防接種をすることが大事であると考えていた。
「---お願いします」
応助は、意を決して、自分の腕を差し出した。
”女”になるわけにはいかないー
自分は”男”として生まれたのだとー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
予防接種を終えた応助はほっと一息をついた。
自分は”男”のままでいることが出来たー
「ありがとうございました」
医師に頭を下げて、診察室から出ると、
そこにはー
病院関係者に腕を掴まれて、連行される女子高生の姿があった。
「----」
その可愛い女子高生は、悲しそうな目でこちらを見ていた。
ブレザーにネクタイにズボン…
きっとたった今”女体化”したのだろうー
「---?」
応助は待合室で順番で待っているはずの由利夫の姿を探した。
しかしー
由利夫が見当たらない。
はっとして、連行される女子高生の方を見ると、
彼女は、涙を浮かべながら笑って、敬礼をしたー
「ゆ…由利夫…!?」
由利夫はそのまま連行されたー。
彼は、次の日から学校にも来なかったー。
応助と、由利夫の友情は、終わったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3日後。
「---!?」
応助は、鏡を見て恐怖したー。
胸が膨らみ始めている。
予防接種を受けたはずなのにー?
「---まさか…」
応助は最悪の予感を頭に浮かべてしまうー
ーーー”混”
そしてー
その予感は間違いでは無かった。
予防接種の副作用で、
応助は男でも、女でもない存在ー
”混”になってしまったー
学校では、最初は友人たちが「気にすんなよ」と
言ってくれたが、すぐに腫物を見る目で見られた。
学校に”混”用のトイレは存在せず、
挙句の果てに校長から退学を勧められたー
応助は、学校を退学し、
混が集まる廃工場のような場所で、
安い時給で働き始めた。
「--どうして…」
男と女が混ざったような奇妙な声でしゃべる応助ー。
人間はー、
”少し違うもの”を、徹底的に排斥しようとするー
臭いものにはふたをするー。
人々は”混”になってしまった人たちのことから
目を背け、なかったことにして、暮らしているー
「---…」
3年が経過したー
とある大学の前を通った応助は、
ちょうど、学園祭をやっているのが目についた。
”男”だった頃、応助はこういうものが大好きだった。
おもむろにそこに足を踏み入れる応助。
周囲の人たちが、応助を指さして笑っている。
応助はマスクをしているが、
それでも、混であることはばれてしまう。
混は、巨乳になり、しかも男のアレが常に
大きくなった状態になってしまうことが多いー。
明らかに、分かるのだー
「--みんな~!今日も元気~?」
ふと、明るい可愛らしい声が耳に入った。
学園のアイドルとも呼ばれていて、
学園内のコンテスト1位になった子が、
アイドルステージで歌を歌っていた。
「---」
応助は”可愛いな”と思いながら
舞台の上で踊りながら歌っているその子を見る。
ふと、その子が歌いながら
こちらを一瞬見て、ウインクした気がしたー
いや、気のせいだろうー
あんなカワイイ子が、混のことを相手にしてくれるわけがないー
「--みんな~ありがと~☆」
歌が終わり、その子が舞台から降りる。
「---俺にはもう、関係のない世界だー」
応助がそう呟く。
自分はもう、こんな華やかな世界では暮らせない。
薄汚い廃工場のようなところで、
ひたすら単純作業をする日々が待っている。
「--待って!」
背後から声をかけられた。
振り返ると、学園のアイドルがそこには居た。
「お、俺…?」
応助が戸惑いながら言うと、
その子は、応助を人気のないところに、誘導すると
立ち止まって言った。
「--久しぶりだね!応助!」
嬉しそうに微笑む学園のアイドル。
「--え?お、、俺のこと知ってるの?」
応助が言う。
男のアソコがもの凄く大きくなってしまっている。
別に、応助が変態なわけではない。
すぐに、ここが反応してしまうのも、”混”になった人間の
特徴なのだー
「---え~っと、やっぱり覚えてないかな~」
学園のアイドルが可愛らしい仕草で
困った雰囲気を出す。
「--え、、っと、、その」
そう言うと、顔を真っ赤にしてその子は、
ぎこちなく言った
「お、、俺だよ、、ほら、、、由利夫、、、」
由利夫??
高校時代の親友で、
一緒に女体化ウイルスの予防接種を受けた際に
女体化してしまった、、あの由利夫か?
応助はそう思いながら口にした
「ゆ…由利夫なのか?」
そう言うと、由利夫だった子は微笑んだ。
「うん!今は有梨香って名前だけどネ!ふふっ♡」
由利夫ー、有梨香は、可愛らしく微笑んだ。
・・・・・・・・・・・・
「そっか~応助、混になっちゃったんだ~
…大変だったね」
由利夫、、いや、有梨香は、
3年間の間ですっかり心も女になっていた。
「---はは、、ま、、でも、、お前が
そんなに可愛くて、綺麗になってるなんて、
思わなかったよ」
応助が言うと、
有梨香は笑うー
「最初は、俺は男だ!なんて思ってたけど、
もう、なっちゃったものは仕方ないじゃない?
だったら女の子として生きていこうって!
今じゃさ、男の人の言葉使ったりするほうが
何だか気持ち悪くて…」
有梨香の言葉と仕草を見ながら、
由利夫は、すっかり身も心も女体化してしまったのだと
応助は思うー
「ねぇ、、、あのさ…」
有梨香が言う。
「--もし良ければ、わたしの家に来ない?」
有梨香の言葉に、応助はドキッとしてしまう。
「--え、、、えぇっ!?だ、、、だって、俺、混だし…」
応助が言うと、
有梨香は微笑んだ。
「---いいじゃない、私たち、親友だったでしょ?」
そう言って、有梨香は躊躇なく応助の唇に
自分の唇を重ねた。
目の前に居るのは由利夫ー
元々男だった親友だと言うのは分かっている、
それでもーー
それでも女として見てしまうー
「---ありがとう」
応助は目から涙をこぼす。
そんな応助を有梨香は優しく抱きしめた
「今まで、辛かったねー」
優しく頭をなでる有梨香。
応助は”混”として暮らした3年間を、
辛い3年間を思い出しながら涙したー
1年後ー
2人はー、結婚したー
由利夫の面影はもうないけれど、
確かに有梨香は由利夫だった。
昔の話で盛り上がったりもしたー
そんな有梨香のことを、応助は異性として好きになり、
そしてーー結婚した。
「----これからも、よろしくね」
優しく微笑む有梨香。
応助は、その有梨香の微笑みに、優しく答えるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女体化の予防接種は改良されたー
混の発生確率は減り、
生まれてきた男児に、必ず予防接種が行われるようになり、
”人類の女体化”は食い止められたー
しかしー
”ウイルスは変異したー”
突然、予防接種が効かなくなり、
今まで以上の爆発的な感染力を発揮して、
人類は、あっという間に女体化してしまったー
「---ふふ」
既に30代前半になっていたが
美貌を保っている女性研究員、茅子は微笑んだー
「--あぁ…やっぱり変異してくれたのね」
茅子はウイルスの入った試験管にキスをするー
研究している際に気付いたことだが、
女体化ウイルスは変異しやすい特徴を持っていた。
いつか、必ず変異するー
彼女は、そう思っていた
「--もうすぐ、もうすぐ、百合の世界が誕生するわー」
彼女は口元を歪めて歩き出したー。
人類が女体化してから半月ー。
政府は困惑していた。
「--人類は、絶滅するー」
と。
科学者や研究者が男に戻る方法を
模索したが、研究はどうにも進まなかったー
「---失礼します」
そこに、ティーエス製薬の元研究者、茅子がやってきた
「--君は…?」
政府の高官である50代女性が言うと、
茅子は微笑んだー
「--女性同士で、小作りできるようになれば、
人類は絶滅せずに、済みますよ…」
そう言い放ち、茅子は、笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1年後ー
茅子が提供した技術によりー
女性同士で子供が産めるようになったー
男性の役割を果たす、とある特殊なホルモンを
注射することで、女性同士のエッチで、
妊娠できるようになったのだー
今ではー
世界中のあらゆる場所で
百合エッチが行われているー
「あぁ…」
茅子は、見晴らしの良い景色を見つめながら微笑む
「これが、わたしの望んだ百合の世界ー」
そう呟くと、茅子は嬉しそうに自分を抱きしめたー
「うふふ…♡ わたしも、そろそろ、小作りしようかな♪」
そう呟くと”女だけ”になった世界を見つめながら
茅子は、ゆっくりと歩き始めたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
完全に女体化してしまいました…。
恐ろしい世界ですネ…!
女体化モノはあまり書かないので不慣れですが、
今回はこんな感じになりました(笑
お読みくださりありがとうございました☆
コメント
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女体化ハザード完結、お疲れ様でした。
茅子、サイコっぷりが半端ないですね。
男を完全に駆逐してしまうとは・・・・・
しかし、何やかんやで人類絶滅を阻止してしまう
豪腕っぷり。
某神も真っ青なエゴイズムです。
異様に記憶に残る一作でした。
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> 女体化ハザード完結、お疲れ様でした。
>
> 茅子、サイコっぷりが半端ないですね。
>
> 男を完全に駆逐してしまうとは・・・・・
>
> しかし、何やかんやで人類絶滅を阻止してしまう
> 豪腕っぷり。
>
> 某神も真っ青なエゴイズムです。
> 異様に記憶に残る一作でした。
ありがとうございます☆
記憶に残る作品になれて光栄です!
今後も作品作り、頑張りますね~!
茅子さんは、完全にサイコな科学者ですネ笑