憑依空間が117万アクセスに到達しました!
ありがとうございます~
ファンティアで先行公開していた
「悪の魂 ~純白を汚して~」を公開します~☆
悪の魂シリーズの新作です!
------------------------------
「立て!立つんだジョー!」
そんな声が聞こえてきた。
検死官ジョーは、
振り向いた。
「--気のせいか」
ジョーは呟く。
彼は、死者から、悪の部分だけを抜き出すことのできる
能力を持つ。
その抜き出した魂を、検死官ジョーは、こう呼んでいる。
”悪の魂”と。
その悪の魂は、ほかの人間に投げ入れることが出来る。
面白いことに、人は、悪の魂に汚染される。
これまでにジョーは、100人以上の人間に”悪の魂”を
放り込んできた。
その100人は、いずれも、悪の魂に汚染され、
悪の道に堕ちた。
「--人は、悪の誘い(いざない)を越えることはできない」
ジョーは呟く。
その時だった。
「立つんだジョー!」
また、声が聞こえた。
「誰だ!どこかで聞いたことのある台詞で
私を呼ぶのは!」
ジョーは叫んだ。
すると、
どこからともなく、声が聞こえた。
”お前に、おもしろい魂をやろう”
不思議なことに、ジョーの目の前に
光が現れて、そこから、灰色の魂が、
這い出てきた。
”悪の魂”だろう。
だが、その色はかなり、禍々しい。
「--待て。私は知らない人から
モノを受け取ってはならないと、おばあちゃんから教わった。」
ジョーが真顔で言うと、
謎の声は答えた。
”一歩を踏み出すのだ。ジョーよ。
コロンブスが偉業を成し遂げたのはなぜだ?
誰も踏み出さなかった一歩を踏み出したからだ”
その声にジョーは、戸惑いながらも頷いた。
「--そ、そうか。そうだな」
灰色の悪の魂を受け取ったジョーは呟いた。
「--現代のコロンブスになるのも、悪くない」と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼は、灰色の悪の魂を手に、
近場の高校の近くへと向かった。
死した人間の
人の悪の部分の塊。
それが、悪の魂。
これを投げ入れられた人間は、たちまち、
悪の魂に影響されて、豹変してしまう。
「--一体誰の悪の魂何だろうな?」
ジョーはそう言いながらも、
校舎から出てきた、
優しそうな女性教師に目を付けた。
まだ、20前半だろうか。
教育実習生かもしれない。
「--ちょうどいい。
聖職者は悪の魂に打ち勝てるかどうか。
試してみるのも悪くない」
ジョーは、
いつものように、野球のピッチャーかのように、
悪の魂を、その女性教師めがけて投げつけた、。
「--うっ!?」
その女性教師は、一瞬違和感を感じたが、
すぐに「何だっただろう・・・」という顔をして、
その場を立ち去った。
「--見せてみろ。お前の歪む様子を・・・」
ジョーはそう呟くと、姿を消して、その教師を”観察”し始めた・・・
その女性教師は、
生徒たちからの人気者だった。
須賀原 成実(すがわら なみ)
ジョーの見立て通り、新人教師で、
スタイルが良く、可愛らしいことから、
男子生徒に特に人気があるようだ。
授業も分かりやすく、
教育熱心な感じだった。
「--ふん。理想の教師だな」
ジョーは姿を消しながら、成実の授業を観察し、
そう呟いた。
「だがー」
ジョーは呟く。
「豹変する女性教師…
良い絵になりそうじゃないか…」
ジョーは、一人、笑みを浮かべた。
悪の魂を放り込んでから2日。
彼女の身に異変が起きた。
成実は、授業に向かう前、
違和感を感じる。
何だか今日は、とても”ゾクゾク”するー。
全てを歪めたいような、そんな気分。
けれどー。
成実はそれを抑え込んだ。
「--どうなってるの?」
今まで感じたことのない感情に不安を抱きながらも、
成実は、授業をそのまま終えた。
「--はぁ…はぁ…」
授業を終えた成実は、お手洗いに駆け込んだ。
気分がすぐれない。
生徒たちの笑顔、
それは、自分にとって宝だったはず。
けれどー。
今はそれを”壊したいー”
「ーーーー」
ふと、鏡を見ると、
成実は”笑っていた”
まるで、自分ではないかのように…。
「歪めたい-」
彼女は呟いた。
「歪めたい…歪めたい…
綺麗なものをーー
この手で、歪めたい…」
彼女の不安は次第にかき消されていく・・・
綺麗なものをー、
純粋な生徒たちをー
この手でーー。
気付けば、彼女は自分の初々しさの残る顔を
邪悪に歪めていた。
「うふふ…わたしの顔のように…
”歪めたい”」
成実は呟いた。
そんな様子を、検死官ジョーは、
見つめていた。
女子トイレに入るのは問題だが、
彼は姿を消すことができる。
誰にも見つかりはしない。
「--誰の悪の魂だかは知らんが…
影響が出始めたようだな」
ジョーは笑う。
”明日が楽しみだ”
と。
その日の夜ー。
ジョーは自宅で積み木を積み上げていた。
独り、呟くジョー。
「--積み上げるのには、時間がかかる」
ジョーは、高く積み上げた積み木を見つめる。
人は、信頼を積み上げるのに、膨大鵜な時間を要する生き物だ。
しかしー、
反対にー。
その信頼を崩す時は一瞬。
ジョーは積み木の根元を指でつついた。
積み木が、音を立てて崩れる。
「--少しの力で、今まで積み上げてきたものは、
いとも、簡単に崩れ去る」
ジョーは、崩れた積み木を見ながら、微笑んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
成実は、完全に悪の魂の影響を受けて、
豹変していた。
授業中。
成実が、一人の生徒に、回答を求めると、
その生徒は完璧に問題を解いてみせた。
「--ふふふ、おめでとう」
成実は笑う。
その生徒は、学年一の優等生。
優等生と言う純白な花を
ぐっちゃぐちゃに歪めたいー。
成実は、その衝動を抑えられなくなった。
「どう?今の気分は。雪城さん」
成実が言うと、
生徒は答えた。
「え…?あ、はい、問題が解けて良かったです
その顔を見て、
ぐっちゃぐちゃにしてやりたい、と彼女は思った。
投げ込まれた悪の魂の歪んだ感情が、
成実に完全に溶け込んでしまっていた。
「--そうやって、自分は優秀だと思ってるんでしょ?」
成実の言葉に、彼女は戸惑う。
「せ・・・先生?」
いつも優しい目をした先生を見つめた彼女は、
少し恐怖の表情を浮かべる。
「雪城 瑛里華さん。
自分は優秀だって、思ってるんでしょ?」
先生の言葉に、瑛里華は恐怖を感じながらも
答えた。
「そ、そんなこと、思ってません!」
しかし、先生は言った。
「そうやっていっつも、周りを見下して
楽しい?」
瑛里華は戸惑いを隠せない。
成実の表情はぐちゃぐちゃに歪んでいた。
真っ白な心を持つ、無垢な優等生を
これから壊す快感を感じてー
その様子を見ていた検死官ジョーは呟いた。
「優しい教師も、悪の魂には勝てなかったか。
一度落ち始めれば、あとは、堕ちるのみ・・・」
「--あなたにはお仕置きが必要ね!」
成実が嬉しそうに言った。
「ど、、どういうことですか!先生・・・!」
瑛里華が怖がりながら言う。
その目には涙が浮かんでいる。
「--あなたみたいなプライドの高い女、
みんなの前で恥をかくべきだわ」
成実が言う。
周囲の生徒たちは騒然としているが、
成実はそれを無視した。
「--脱ぎなさい」
成実が低い声で言うと、
瑛里華は「え…?」と涙声で言う。
「あなたの恥を晒すのよ。脱ぎなさい」
大人しく、心優しい瑛里華は首を振った。
「先生!どうして!」
瑛里華は叫ぶ。
しかし、先生はイライラした様子で言った。
「脱ぐのよ!」
そして、瑛里華の方に近づくと、
強引に服を脱がせ始めた。
「いやっ!やめてください!」
悲鳴を上げる瑛里華。
しかし、成実はお構いなしに瑛里華の
服を引きちぎるようにして脱がしていく。
無理やり脱がせたブレザーやスカートを
教室の生徒たちの方に放り投げる。
瑛里華は、顔を真っ赤にしながら体をかくして、涙を
流している。
「ふふ、お似合いね。
あなたみたいな真面目な子が汚れていく様子を
見るのって…
くふふ・・・♡ とっても楽しい」
成実がうっとりとした表情で、
服を脱がされた瑛里華を見る。
「ほら!男子のみんな!
今なら襲いたい放題よ!」
成実が叫ぶ。
瑛里華はその場で泣き出してしまう。
教室にはブーイングと、
悲鳴と、歓喜の声が入り乱れていたー。
後日、彼女は懲戒解雇になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
検死官ジョーは自宅でワイングラスに
ぶどうジュースを入れながら思う。
「悪の魂を乗り越えられる人は居ないー」
ジョーはこれまで、100を超える人間に、
死者の悪の部分だけを取り出した”悪の魂”を放り込んできた。
だが、人はいとも簡単に、欲望に飲み込まれてしまう。
「ところでー」
ジョーは呟く。
あの悪の魂は誰のものだったのだろうか。
だが、ジョーは詮索するのをやめた。
「--知らない方が良い事も、この世にはあるー。
触らぬ神にたたりなし・・・」
ジョーは、次の悪の魂を放り込むターゲットの選定を始めるのだった。
彼はこれからも、悪の魂を放り込んでは、
人の心を壊し続けるだろう・・・
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
今日はツイッターのフォロワー様ゲスト出演の
内輪ネタ小説だったので、分からない~という方も
いらっしゃったと思うので、
こちらも投稿しました!
117万アクセス…本当にうれしいデス!
これからも憑依空間をよろしくお願いします!!
コメント