<TSF>ブラッディ・ベーカリー②~新商品~(完)

そのパン屋では怪しげなパンが売られていた。

女体化パン、洗脳パン、憑依パン、入れ替わりパン。

そして、店主である清十郎の目論みによって、
新しいパンが生み出されようとしていた。

-------------------------------

「--ねぇ、なんかしょぼくない?」
女の方がが言う。

「--そういうこと言うなって莉紗(りさ)、
 たまたま売切れなのかもしれないだろ」
彼氏が言う。

まるで、アイドルかのように可愛らしい
莉紗とかいう女は、
気の強い性格のようだ。

二人の会話から、二人はどうやら大学生のようだが…。

「---ねぇ、もう帰ろ!」
莉紗が不機嫌そうに言う

確かに、干からびたチョココロネ、メロンパン、カレーパンだけじゃ
嫌な気分になるのも仕方ないかもしれない。

「ーーーー」
店主の清十郎は思う。

”こういう気丈でかわいい子ほど、屈服させたくなる”

とー。

「--良ければ…」
清十郎は、突然声をかけた。

莉紗とその彼氏は少し気味悪そうに振り返る。

「--新作のパンがあるので、食べていきますか?
 無料で差し上げますよ?」

清十郎が言うと、
少し警戒した様子を浮かべる二人。

そんな二人に清十郎はにっこりと微笑みかけて、
「ちょうどパンが品切れで、ご満足いただけなかったようなので、
 お詫びです。
 もしよければ、どうぞ」

清十郎が差し出したのは
”洗脳パン”

この女を、落としてやるー。

清十郎は、莉紗の方に向かってパンを差し出した。

「せっかくだし、もらっておけよ」
彼氏が言う。

「う~ん、じゃあ、いただこっかな♪」
ゴキゲンな様子でパンを口にする莉紗。

「---あ、なんか変な味~
 これって、なにがはいっ・・・」

そこまで言いかけると、莉紗がうつろな目になって
そのまま力無く、立ち尽くした。

「り…莉紗?」
彼氏が不思議そうに聞く。

洗脳パンの購入者には
”特殊なソース”を一緒に渡す。
そのソースによって、誰が”ご主人”であるか、
刷り込む仕組みになっている。

「---今日からお前は、ここで働くんだ」
清十郎が言うと、
莉紗は答えた

「はい…今日からわたしは、ここで、働きます」
莉紗はうつろな目で答える。

そしてー
そのまま清十郎の方に歩いていき、
清十郎は、莉紗を抱き寄せた。
勝ち誇った表情で。

抱かれて、胸や髪を撫でまわされているのに、
莉紗は人形のように、うつろな目のままだった。

「--な、、な、、莉紗?」
彼氏が戸惑っている。

「莉紗に何をしたぁ!?」
彼氏が怒号をあげた。

「---説明してあげなさい」
清十郎が言うと、
莉紗がほほ笑んで頷いた。

「-わたしね、今、食べたパンで
 洗脳されちゃったの。
 今は、このご主人様の言いなり!
 ご主人様のご命令なら、
 な~んでもしちゃう!」

莉紗が笑いながら真実を告げた。

「なんだって…?
 おい!ふざけるな!」
彼氏が叫ぶ。

「--うるさいヤツだ。
 騒がれると面倒だな…

 そうだ…ちょうどいい。
 研究中のパンの実験体になっておくれ」

清十郎はそう言うと、奥にいた藍華に命令し、
開発中の”他者変身パン”を持ってこさせた。

この他者変身パンで、死んだ妹の姿に変え、
もう一つの研究中のパン、永久洗脳パンで、
妹をよみがえらせる計画ー

「---莉紗、”元”彼氏においしいパンを食べさせてあげなさい」
清十郎がそう言うと、
莉紗は嬉しそうに微笑んだ。

「---お、、おい!莉紗!目を覚ませ!やめろ!」
彼氏が叫ぶ。

「--ご主人様の新作よ…食べなさい!」
莉紗はそう言いながら、彼氏を無理やり押し倒して、
倒れた彼氏に馬乗りになった。

「ほら!食べるのよ!」

彼氏は必死に、口を閉じている。

「--」
清十郎はその様子をじっと見つめていた。

彼氏が想像以上に抵抗するので、
清十郎はだんだんイライラしてきた

そのイライラが莉紗にも伝わった。

「ほら!早く食えよ!御主人様のパンよ!
 ほら!早く!口を開け!」

莉紗が彼氏を殴りつけて、
罵倒している。

つい数分前まで、仲良さそうだったのにー

「---むぐぐ…あ・・・やめ…」
彼氏は口を開かされて、他者変身パンを口に放り込まれた

他者変身パンには、あらかじめ”どんな姿に変身させたいか”
インプットさせてある。

「---あぁあああああああっあ」
苦しみながら彼氏が、女体化していく。

髪が伸び、胸が膨らみ、
”妹”の姿になっていく。

清十郎は、店内に流れるベートーベンの音楽のリズムを
取りながら、興奮した様子で飛び跳ねはじめた。
まるで子供のように。

「--ー紗那子~~!
 もうすぐ、もうすぐ会えるよぉぉ!」
清十郎が狂った様子で叫ぶ。

彼氏だった男が、妹の姿になっていく。

命令が途絶えた莉紗は、
うつろな目でその場に立っている。

「---あ・・・あ」

彼氏は、店主・清十郎の妹・紗那子の姿になった。

「あ・・・あああああ」
可愛らしい声でうめき声をあげる紗那子。

「---紗那子…おかえり~
 お兄ちゃんだよ」

清十郎が嬉しそうに近寄っていく。

その時だった。

「ぐぼあああああああっ!」
紗那子が激しく嘔吐したー

そして、体中をかきむしりながら苦しみ出す。

やがて、身体から煙が立ち上り、
スライムのようになって、溶けてなくなってしまった。

「---あぁああああああ、紗那子ぉぉぉぉおおおお!」
清十郎が頭を抱えながら膝をつく。

まだ、まだ、他者変身パンは不完全だー
もっと研究を進めなくては。

目の前で彼氏が蒸発したのにも関わらず、
莉紗はうつろな目で立ったままだった。

「---」
清十郎は元から居た住み込みの女・藍華を見た。

「--二人いるのも邪魔だな、飽きたら乗り換えだ」
そう呟くと、
藍華に対して”休暇をあげよう。海でも見てきなさい”と命令した。

藍華は「はい…」とつぶやいて、そのまま店から出た。

”洗脳パン”の効力は1日ー
藍華の洗脳は、自然と溶けるだろう。

「---さぁ…今日からは、お前がわたしのしもべだ」
清十郎がそう言うと、莉紗は「はい、ご主人様」とつぶやいた…。

「--ふふふ、今日は、お前の身体を存分に確かめてやろう」
清十郎はそう言うと、莉紗の長く、綺麗な髪を
イヤらしくなでて、ニオイを嗅ぎ始めた。

莉紗は、何も抵抗せず、ご主人を受け入れた…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

「---は…あ・・あれ…?」
ミニスカート姿で海を眺めていた藍華が正気を取り戻した。

ずっと、洗脳パンにより洗脳されていた彼女ー。
店主の清十郎が、莉紗を洗脳して、藍華を”解雇”したことにより、
洗脳パンの効力が切れたのだった。

「--わ、、わたしは…
 な…何で、こんなところに?」

藍華は戸惑う。

ここはどこ…?

「---え、、、」
スマホの日付を見て、藍華を恐怖に身を震わせたー

最後の記憶からー
1年以上が、経過していたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--頂きます」
莉紗が、美味しそうに洗脳パンを食べている。

こうして、毎日洗脳パンを食べさせることによって、
莉紗は、清十郎が飽きるまで、永遠に操り人形なのだ。

今日は、店主である清十郎の趣味で、
バニーガールの格好をさせていた。

とてもエロく、妖艶だー。

「--ふふふ、可愛いぞぉ」
清十郎が、太ももの部分をなでる。

「--ありがとうございます」
莉紗はそう呟いた。

カラン

入口が開くー。
そこには、男女の若いカップルが居た。

「--いやぁ~店主さん、最高っすよ」
可愛らしいメガネの女が言う。

「--ちょ、ちょっと~」
イケメン風な男子が、もじもじした様子で言う。

「-お、君たちか。どうだ?その後は?」
清十郎は愛想よく答えた。

この二人はー、
お互いに相手のことが好きすぎて、
うわさを聞きつけて、この店に
”入れ替わりパン”を買いにきたカップルだ。

入れ替わりパンを買ってから2か月ー
様子を見る限り、上手くやってるのだろう。

「---最高っすよ!
 俺はこ~んな可愛い女の子になれたし!」

「--わたしは、竜也くんになれたんだからね!」

カップルなイチャイチャしながら笑う。

「--いやぁ、女の身体はスゲーっすよ!
 この快感知っちゃったら、もう男には戻れない!」

興奮した様子で、ポニーテールの美少女が言う。
中身はー男の方だ。

「--ちょっと~興奮してるわたしを見ると、
 わたしまで興奮しちゃうよ~」

イケメン彼氏の方が、アソコを大きくしながら言う。

「--上手くやってるようだな。
 で、今日は?何の用かな?お礼を言いに来ただけか?」
清十郎が、ベートーベンのクラシックを聞きながら言うと、
ポニーテールの少女が笑った。

「--友人のカップルも、入れ替わりたいらしいんです
 近いうちに10万、用意してくるので、入れ替わりパン、
 売ってやってくれますか?」

その言葉に、清十郎は、ニヤリと笑って頷いた

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----相変わらずだな」
常連客の男が、再び訪れた。

莉紗は、奥で、ゴスロリ衣装を着させられたまま、
洗脳パンを食べているー

莉紗を洗脳してから2か月が経過したー。

「---妹さんのは?
 まだ完成してないのか?」

常連客の男は言う。
この男は開店当初からの常連客で、
唯一、清十郎の目的ー
”妹をよみがえらせること”を知る男でもある

「--まだだ。この前、他者変身パンを食わせた男は、
 溶けてなくなっちまった」

清十郎が言うと、
常連客は笑った。

「そういや、もう藍華ちゃんはいないんだよな。
 いまは、莉紗ちゃんだったっけか?」

店内の奥を覗きながら男は言う。

「--あぁ、俺にご奉仕するメス犬だ」
清十郎がそう言いながら莉紗を見る。

「おい、こっちに来なさい」
清十郎が言うと、莉紗が歩いてきた。

そんな莉紗を、抱きかかえて、自分の膝に乗せる。
莉紗は微笑みながら、顔を赤らめて清十郎の方を見ている。

「--ひゅう、好き放題やってるねぇ」
男は笑う。

そして、男は憑依パンを手にして笑った。

「--じゃ、これで、楽しませてもらうぜ」
笑う常連客の男に、
清十郎は言う。

「--娘さんも、災難だな」

その言葉に常連客は笑う

「いいんだよ、反抗期なんかになるからいけないんだ。
 この前も、洗脳パンで洗脳して、
 たっぷりご奉仕させてやったぜ!

 でもさ、何も知らないアイツはまだ俺に反抗するから
 今度は憑依でもしてやろうかなってな!」

憑依パンを手に嬉しそうに言う常連の男。

「--今日は憑依して、娘の身体でファッションショーを
 してやるぜ…へへ!」

男はそう言いながら嬉しそうに店を後にした。

「---」
抱きかかえた莉紗にキスをしながら、
清十郎は微笑んだ。

妹の写真を見る。

「もうすぐだー」

研究は最終段階に入った。
また、誰かで実験しようー。

他者変身パンが完成したらー
永久洗脳パンを完成させてー

そしてー、妹を作り出すー。

「--もうすぐ会えるよ…
 紗那子」

パン屋の店主・清十郎は、
不気味にほほ笑んだ…。

ガラン!

店に女性が駆け込んできた。

「---わ、、、私に、、あの日、何をしたんですか!!」

藍華だったー。
洗脳パンから解放された藍華は、
2か月間かけて、ここに辿り着いた。

自分の記憶がない間、ここで働いていたという情報を
手に入れたのだ。

「---おぉ、藍華ちゃんじゃないか!」
清十郎はわざとらしく笑った。

「---わ、、私に…何をしたの…?答えて!」
藍華は問い詰めるようにして言った。

「----君は、1年間、私のメス犬だったんだよ」
清十郎は、ほほ笑みながらそう告げた

何か喚いている藍華。

ちょうどいい。
清十郎は、改良した他者変身パンを手に取ると、
藍華の方を見て、不気味にほほ笑んだ…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

パン屋のお話しでした~
ご覧下さりありがとうございました!

いつか続きがあるかもしれません~☆

コメント