<憑依>神の意思①~警告~

どこにでもいる平凡な
高校生カップルー

しかし、ある日を境に彼女が豹変した。

自ら”神”を名乗り、
横暴な態度を取る彼女ー。そんな彼女を前に周囲は?

※ツイッターのフォロワー様からリクエスト頂いた
 「神様憑依」の作品です!

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「--そっか~、大変だね~」

赤渕のメガネと綺麗な黒髪が特徴的な
女子高生・水原 亜優子(みずはら あゆこ)が苦笑いしながら言う。

「--純粋に絵をかくのが好きで、美術部に入ったのに、
 こんなことになるなんて思わなかったよ」

亜優子の彼氏である
矢上 恭太(やがみ きょうた)が自虐的に笑うー。

「---浮気、しないでよね?」
意地悪そうに亜優子が笑う。

「し…しね~よ!
 なんだよ亜優子まで~!」

「ごめんごめん~」

笑いながら、下校する二人は
とても仲良しなカップルだった。

恭太が所属している美術部は、
恭太以外、全員女子生徒だった。
そのため、よくそれがからかいのネタにされているのだ。

男子からは”矢上ハーレム”だの
”百の女を食う男”だの、からかわれるし、
女子からは”浮気予備軍”だとか
”心変わりの危険あり”だとか
散々な言われようだ。

別にいじめられているわけではなく、
誰とでも話す明るいタイプゆえに、
いじられていたー。

「---あ、そうだ!」
亜優子が思い出したかのように言う。

「--今度、わたしの演劇部で発表があるから
 よかったら見に来ない?」

亜優子は演劇部所属ー。
元々、亜優子を好きになったのが、
1年生のとき、文化祭で劇を見たことがきっかけだった。

そのとき、亜優子は悪役を演じていて、
いつも優しい亜優子とのギャップに、
恭太は心を打たれたのだった。

それから、なんとなく演劇部に出入りしているうちに親しくなり、
2年生になってクラスが一緒になったこともあり、
こうして、カップルの関係になることができたのだった。

「---亜優子の演劇か~!
 今回はどんな役?」

いつものような穏やかな日常ー。
しかし、それは、この日を最後に
終わることになるー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

亜優子は、自宅で、演劇の台本を見ながら
熱心に勉強していたー。

今回は”神々の禁断の恋愛”を描く物語で、
亜優子は、高貴な女神を演じるー。

「--う~んセリフながいなぁ」

一人ぼやきながら、セリフを頭の中で
ぐるぐる回してみる亜優子。

亜優子は暗記力の高い方だったが、
それにしてもこのセリフは長い。

演劇部顧問の先生による台本で、
オリジナルの作品なのだが、
何故かセリフがやたらと長い。

演劇部員への嫌がらせではないか、と言われるぐらいにセリフが
長い上に、神話の専門用語なども出てくるから、さらに難易度が高くなっている。

「--我々の立場を忘れるな
 我々は神であり…」

セリフを練習する亜優子。

その時だった。

”そうかー
 神かー”

「--えっ!?」
亜優子は驚いて背後を振り返るー。

しかし、そこには誰もいない。

”人の子よー。
 好き勝手やっておるようだな。
 だが、元々、その世界は我ら神々のもの”

「---ちょ…あの、、ど、、どなたですか!?」
亜優子が叫ぶ。

強盗かー?それとも、弟のイタズラかー?

”我はかつて、
 その世界に君臨した神”

「---…な、、何言ってるの?」
亜優子の頭は混乱した。

イタズラ?夢?実はスマホで動画でも再生されてる?

色々な可能性を考えるー

しかしー

”堕落した人間どもに
 我は”警告”しなければならないー

 そのために、貴様の身体を借りるぞ”

「--えっ…身体を借り…?」

そこまで言いかけて、亜優子は
目を疑った。

目の前にー
翼を生やした地獄の番犬のようなシルエットが見えた

青い光につつまれたそれがーー
亜優子のほうに向かってきた。

そしてー

「うっ…!」
亜優子は身体をビクンと震わせると、
しばらくその場に立ち尽くした。

「-----人間よ」
亜優子は低い声で呟いた。

「--神々は、貴様らの堕落した生活に
 怒り心頭だー

 すべての神々の意思を
 我が神の代行者として、貴様らに伝えてやる」

そう呟くと、亜優子は不気味にほほ笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

恭太は教室で、心配そうに、ある机を見ていた。

彼女である、亜優子の机だー。

8時25分ー
別に遅刻ではないが、
亜優子はいつも8時15分ごろには
学校に到着しているのに、今日は
学校にやってきていない。

「何かあったのか?
 LINEの返信もないし…」

そんな風に呟いていると、
教室の外がざわついた。

「--おい、なんだあれ?」
「え…ど、どうしたの?」
「---み、水原さん?」

その言葉に恭太は反応した。

”水原”とは
彼女の亜優子の苗字だ。

「---?」
恭太が何気なく教室の外に顔を出すと、
そこには、真剣な表情で歩く亜優子の姿があった。

別に、それだけなら問題はなかったー。

だがー。

高貴な貴族の様な白い衣装を身にまとい、
きらびやかな飾りを指や頭、あらゆる場所に
つけていた。

まるで、女神のようにー

「----あ、亜優子?」

そう呼びかけたが、
亜優子は少しこちらを見ただけで、無視して
教室の前の方に向かった。

亜優子の綺麗な黒い髪は、
少しだけ逆立っていた。

寝癖ーー
ではない、
神に憑依されたことで、身体が変質し、
髪が逆立っているのだ。

「--愚かな人間どもよ」

亜優子はそう言った。
いつもの優しく、穏やかな声だが、
その声は自信に満ち溢れた声で、
威厳を感じさせるものになっていた。

「---あ、亜優子?」
恭太が不思議そうに亜優子の方を見る。

演劇の練習か何かか?
そう思ったが、なんだかおかしい。
亜優子の表情は真剣そのものだ

「--我は神の代行者だ」

亜優子がそう言うと、
教室内で、何人かの生徒が失笑した。

「--あ、亜優子?何やってるの?
 いま、部活の時間じゃないんだよ」

一人の生徒がそう言うと、亜優子は
その生徒を睨みつける。

「---堕落した人間どもよー。
 我々がいつまでも黙って見ていると思うな」

亜優子は怒りをにじませて言った。

「--ーあ、っはは、何それ?
 今度はそういう役なの?」
女子生徒が笑うと、
亜優子は「人間風情が我を愚弄するか!」と
大声で叫んだ。

「--ちょ、ちょっと亜優子?」

亜優子の目が突然赤く光だし、
髪は異常なまでに逆立ち、
「はあああああああああ」と亜優子が不気味な声を出している。

そしてー
亜優子の身体から光が放たれると、
その女子生徒は光に包まれてー
消えてしまった。

「ひぃっ!?」
「うわああああ」
「きゃあああ?」

周囲にいた生徒たちが悲鳴をあげる。

「---お、、おい!亜優子!」
彼氏の恭太はたまらず、亜優子の方に近づいて行った。

「--亜優子!亜優子!」
亜優子の前で、手を振ってみせるが、
亜優子の目は、どこかあらぬ場所を見つめていた。

「--我はかつてこの世界を支配していた神の一人だ。
 この女子(おなご)の身体を借り、貴様たちに警告する」

亜優子は大声で叫んだ。
低く、恐怖を与える声だー

こんな声出せるのか…
いや、これは本当に亜優子なのか、
そう思いながら恭太は困惑するー。

「--おい亜優子!」
恭太が亜優子の方に手を触れると、
亜優子が「無礼者!」と大声で叫んで
光を放った。

恭太は、教室の端のほうまで吹き飛ばされる。

亜優子は、完全に神に憑依され、乗っ取られていた。
しかし、人間界に疎い神は、亜優子の記憶を不完全に読み取り、
学校に来てしまった。

人間に警告するのであれば、
来るべき場所は、ここではないー
だが、神の人間に対する知識の不完全さ、
亜優子の記憶を読み取った影響から、学校に来てしまったのだった。

「--あ、、亜優子…」

亜優子の顔に、謎の模様が浮かび上がる。
何かの部族のような模様だ。

「---ふぅぅぅぅぅ…人間の身体になじむのは時間がかかるな」
亜優子はそう言うと、怯えるクラスメイトたちの方を見た。

「--な、、なんだその格好は?」
担任の小尾先生が教室に入ってきた。

亜優子は、少しだけ先生の方をみたが
すぐに視線を元に戻した。

「おい、水原・・・!何をしている?」
先生の問いかけにも反応しない亜優子。

亜優子は両手を広げて
自信に満ち溢れた表情で宣言した。

「--愚かな人間どもよ。
 今一度、我々神が、支配し、
 正しき道に導いてやろうー」

自分こそが神だと、
偉ぶった態度で、亜優子は宣言する。

クラスメイトたちがざわめく。

「---おい!」
先生が亜優子の肩に触れると
亜優子は「けがらわしい!」と叫び、
先生を右腕で掴み、軽く持ち上げる。

「あ・・・亜優子!やめろ!」
亜優子に、右腕一本で先生の身体を持ち上げる力などないはずだ。

しかもー
亜優子は突然先生にキスをした。

「---!?」
さらにざわめくクラスメイトたちー。

キスされた先生はクチュクチュイヤらしい音を立てながら、
次第にーー”干からびた”

干物のようになってー
床に捨てられる先生”だった”ものー。

「ふぅぅぅ…」
亜優子は、先生の生命力を吸収して微笑んだ。

背中から、翼のようなものが生えるー。

「--人間どもよ…我に従うか?
 それとも…?」

教室中に悲鳴があがった。
パニックが起きるー

正義感が強く、彼女思いの彼氏の恭太はーーー

ーー逃げていた。
他のクラスメイトと一緒に…。

「ど…ど…どうしたんだよ、お前の彼女?」
一緒に逃げる友人に聞かれるも、恭太は答えられない。

「--わ、、、わかんねぇよ!とにかく、、逃げるぞ!」
恭太はそう叫び、廊下を疾走した。

「逃がさぬー」

亜優子はそう言うと、四つん這いになって、
犬のように走り出した。

とても人間とは思えない早さでー。

神に憑依された少女が、
学校を恐怖に染め上げようとしていたー

②へ続く

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コメント

リクエスト頂いた神様の憑依モノです!
神様憑依モノは以前にも数個書いていたので、
今回はいつもと違う感じにしてみました!

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憑依<神の意思>

コメント

  1. ふうか より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    すみません、先ほどいじめらた女子児童が男性担任教師の人生を乗っ取り成りすまして復讐する話をリクエストしましたが、加えて別バージョン、いじめられた男子児童が女性担任教師の人生を乗っ取り成りすましいじめっ子に復讐していく話も合わせてリクエストします。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > すみません、先ほどいじめらた女子児童が男性担任教師の人生を乗っ取り成りすまして復讐する話をリクエストしましたが、加えて別バージョン、いじめられた男子児童が女性担任教師の人生を乗っ取り成りすましいじめっ子に復讐していく話も合わせてリクエストします。

    ありがとうございます!
    いつになるかは分かりませんが、お楽しみに!