<憑依>歪められたヒロイン~滅びの闇~③”ゼウス”(完)

悪の組織ゼウスとの戦いは
ついに決着を迎える。

悪に染まったヒロインを救い出し、
ゼウスを壊滅させることはできるのかー。

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「---わ…私は・・・私は・・・」
抱き着かれた状態で、恵麻=アテナは
明らかに動揺していた。

「--恵麻…!目を覚ますんだ!恵麻!!」
真治=ブラックは必死に呼びかけた。

そしてー
「---ああああああああ!うるさい!うるさい!うるさい!」
恵麻が狂ったように叫びながら頭を押さえてうずくまった。

「--わ、、、私は・・・私は・・・」

恵麻は、自分の中に入り込んだ
闇の邪気と懸命に闘っていた。

しかしー

”殺せー”

頭の中に声が響いた

”お前は、アテナだー”
”殺せー”
”ゼウスに、身を任せよ”

ゼウスの副官・ポセイドンが、
恵麻の脳に直接語りかけた。

「----…」
苦しそうにしていた恵麻が
虚ろな目で真治の方を見た。

「---え、、、恵麻…?」
明らかに雰囲気の変わった恵麻を前に、
真治は戸惑いの声を出す。

「---わたしは・・・アテナ・・・
 ゼウス様の…しもべ」

無感情でそう呟くと、
鞭を容赦なく、真治に振るった。

「ぐあっ!」
吹き飛ばされる真治。

「え…恵麻…?」

彼女は、確かに心を取り戻す直前だった。
なのに、何故?

「--人間を抹殺する…
 邪魔者は…殺す…殺す…殺す」

明らかに何かに操られているー
真治はそう思った。

けれど、
それでもー

「---恵麻…
 俺は絶対に君を攻撃しないー」

真治は、恵麻の方を見てそう言い放った。

だが、先ほどまでとは違い
恵麻に動揺は見受けられない。

「---死ね」
恵麻は鞭を容赦なく振るう。
真治が攻撃を受けて苦しそうに悲鳴をあげる。

「---…俺は…君を信じる」

それでも反撃の意思を見せない真治。
恵麻は、無表情で攻撃を何度も何度も加えていく。

今の恵麻は、
ゼウスの副官・ポセイドンの操り人形だった。

意思なく、突き動かされて、
真治に攻撃を加え続けている。

「---…えま…」
弱り切った真治の前に立つ。

「---ーーー」
恵麻は、トドメを刺そうと、鞭を構えた。

がー
水滴が、滴り落ちたー

「----…??」
恵麻の目から、涙が零れ落ちている。

「---恵麻?」
それを見て、真治が声をあげる。

たとえ、
闇の瘴気に憑依されていようとー
遠隔操作されていようとー

真治の強い決意と愛は
恵麻の心にしっかりと届いていた。

手が止まる恵麻ー

「---な…何をしている!」
指令室の副官・ポセイドンは叫んだ。

「---くそっ!」
ポセイドンは術を唱えると、
自らの意識を直接、恵麻に憑依させた。

突然、不気味な笑みを浮かべる恵麻。
「--ククク…面倒な女だ!」

その表情は鬼のように歪んでいた。

「恵麻…?」
驚く真治。

ポセイドンが恵麻に憑依した。

「--死ねえ!!!!!」
大声で叫びながら鞭を振るう恵麻。

しかしー
鞭は途中で、止まった。

「--もうやめてぇぇぇ!
 出てって!!!!!!」

ポセイドンが叫んだ以上の大声で恵麻は叫んだ。

「--な、、なんだと!?」

ポセイドンの意識は、恵麻の強い意識によって
はじき飛ばされたー

「---ごめん…真治…ごめん…わたし…」
恵麻がポタポタと涙を流しながら
その場に座り込んだ。

「---いいんだ」
真治は立ち上がって、恵麻を優しく抱きしめた。

恵麻はー
真治の強い意思を前に、心を取り戻した。

大幹部・アポロンの残した闇もー
ポセイドンの憑依も消し去ってー

「---わたし…みんなを…」
恵麻は自分のしたことを後悔して
泣きじゃくる。

「--恵麻のせいじゃないさ…」

それだけ言うと、真治は立ち上がった。
そして、ブラックに変身すると、言った

「奥にいるヤツを叩き潰して、決着をつけてくるー。
 すべてが終わったら…今度はーーーー」

ブラックがそこまで言うと、
恵麻はうなずいてほほ笑んだ

「--うん…待ってる…」

ブラックは恵麻に微笑みかけると、
そのまま奥へと走ったー

「ごめんなさいー」
恵麻は、グリーンやレッドの姿を浮かべながら
涙をこぼしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゼウスの指令室ー

そこに辿り着いたブラックは、ゼウスの副官・ポセイドンと対峙した。

「--ようこそ」
ポセイドンは尊大な様子でブラックを出迎えた。

魔力を帯びた杖を持つポセイドンは、
ブラックを見ながら、不気味にほほ笑む。

「---くっ…」
ブラックは、明らかに弱っていた。

「--”アルテミス”も少しは役に立ったな」
ポセイドンが笑う。

「--なんだと?」
ブラックが聞き返すと、ポセイドンは続けた

「我々は、死した時に”最後の力”を発揮するー
 この世に”怨念”を残してなー

 大幹部・アポロンー”憎悪”
 闇の瘴気を残し、貴様らの仲間、イエローに憑依し、
 結果、イエローは我らの仲間に加わった。

 大幹部・アルテミスー”怨念”
 死後、怨念を残し、お前の力を少しずつ削いでいるー
 貴様は、そう長くはないだろうー。

 大幹部・ハデスー”継承”
 その闘志をこの世に残し、ハデスの力は今、我に宿っている。

 そして、大幹部・アレスー”変異”-
 アレスは、

ーーーズドォォォォォォ!!!

激しい音が響き渡ったー。

「----!?」
ポセイドンが驚いて自分の身体を見る。

そこにはーー
大穴が開いていた。

「---黙れ」
ブラックはそれだけ言った。
その手は、怒りの炎をまとっていた。

ポセイドンは”ようやく”気づいたー

自分が語っている間に、
強烈な攻撃を受けたのだとー

「バカな・・・」

ポセイドンは、戦いを始めることすらなくー
そのまま砂のようになって消滅したー。

そして、ブラックは、指令室の奥にある
金色の鏡のようなものを見たー

「---貴様」
鏡の奥から声が聞こえる。

悪の組織を支配する者ー
”ゼウス”

その金色の鏡は、
この世界とゼウスたちの異次元をつなぐ装置だった。

「---ここは、俺たちの世界だ」
ブラックは金色の鏡を睨むと、その鏡に強力なパンチを
叩きこんだ。

鏡にヒビが入り、割れはじめる。

鏡の向こうからゼウスの声が聞こえるー。

「---お…おのれ…!
 だが覚えておけ…
 我々はいつか…必ず・・・!」

ゼウスがそう叫ぶと同時に、鏡は完全に砕け散ったー

これでもうー
ゼウスが人間界に干渉することはできないー

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

突然、ものすごい轟音が聞こえた。

「何だー?」

ふと周囲を見ると、ゼウスの副官・ポセイドンが
消え去った部分に残っていた砂が不気味な光を
発していた

ポセイドンの最後の能力”崩壊”-

ゼウスの人間界侵略の本部が
崩壊を始めていた。

「--くそっ!」
真治=ブラックは走り始める。

「---恵麻!」
先ほどの広間で恵麻と合流する。

恵麻は戸惑いの表情を浮かべていた

「この音は…?」
恵麻の言葉に、真治は恵麻の腕を引っ張りながら
走った。

「--ここはもう崩壊する!」

真治は、ゼウスの副官・ポセイドンを倒したこと、
そして人間界と異次元をつなぐ鏡を破壊したことを
説明しながら、ゼウス本拠の出口にやってきたー。

そしてー
二人はそのままゼウスの本拠地から脱出ー

無事に、人間界へと帰還を果たしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

「---ごめんなさい」
恵麻が墓を前に、涙をこぼしている。

その背後には、真治もいる。

その墓はー
レッドとブルーとグリーンが埋葬されている墓だった。

「--わたしのせいで…」
涙をこぼす恵麻を、後ろから優しく抱きしめた真治は言う。

「--恵麻のせいじゃないー
 みんなも、分かってくれるさー」

真治の顔色は悪かったー

大幹部・アルテミスが残した怨念と、
自分の圧倒的な力を使ったことにより、
身体は蝕まれていたー

もう、半年持たないかもしれないー。

「---恵麻…結婚しよう」
真治は、結婚指輪を手に、恵麻にプロポーズした。

「--ふふ、なぁに…
 墓地でプロポーズ?」

恵麻は苦笑いしながら言う。

そして、真治を見る

真治はもう、長生きできないー
それが、恵麻にもわかってしまった。

それでもー

もし、そうだとしてもー

「---うん、ありがとうー」

恵麻は、プロポーズを受けた。

間近で、真治を見届けるためにー

間近でー

”憎悪すべき人間が弱っていき、死ぬのを見るためにー”

恵麻は、不気味にほほ笑んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

崩壊したいゼウスの本拠地ー
人間界と異次元の中間にあるその場所ではー

崩れたゼウス本拠地が空間を漂っていたー

そこにはーーー
涙を浮かべたまま絶命している恵麻の遺体も浮かび上がっていた。

あのときー
真治と別れたあとー

「---…!?」
恵麻の背後で、紫色の瘴気が放出され始めた。

「な…なに!?」
恵麻は一瞬、真治が向かった方を見る。

だが、真治はもう、奥の部屋=ゼウス指令室に向かってしまって
その姿は見えないー

紫色の瘴気はー
やがてー
”恵麻と同じ姿になった”

「--な…な…何なの?」
恵麻が恐怖に表情を歪める。

そしてー
”もう一人の恵麻”は言った。

「これからは、俺がお前になるよ…
 ククク」

もう一人の恵麻は不気味な笑みを浮かべた。

そしてー
怯える恵麻をー
その魔力で殺害したー。

「--これからは、わたしが、恵麻…ククク」

我々は、死した時に”最後の力”を発揮するー
 この世に”怨念”を残してなー

大幹部・アレスの能力ー
”変異”

死後、自分の周辺にいる人間の姿に変異して、
蘇える―
他者変身の能力ー。

ブラックに倒されたアレスは、
恵麻の姿となって、蘇えったのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

1か月後ー
結婚式を二人は行った。

ウェディングドレス姿の恵麻は、
結婚式後、一人微笑んだー

「--真治…
 弱って行って死ぬのを間近で
 見せてもらうわ…クククククク」

恵麻は思う―

弱って動けなくなった頃に、真治に伝えてやろうー
”本物の恵麻は死んだー 俺はアレスだー”と。

その時が、楽しみだー

恵麻は、嬉しそうに微笑むと、
新郎の待つ部屋へと戻って行った…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ゼウスとの戦いに終止符が打たれましたが…
ハッピーエンドとは行きませんでした…!

ここまでお読み下さり、ありがとうございました☆

憑依<歪められたヒロイン>
憑依空間NEO

コメント

  1. より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    健闘したけど流石にハッピーエンドには至りませんでしたか残念
    やはり彼女を正気に戻した後もずっとそばに付いててあげるべきでしたね
    ところで以前ブラックと相討ちしたと言うへパイストスにも、何か死に際の力があったりするんでしょうか?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 健闘したけど流石にハッピーエンドには至りませんでしたか残念
    > やはり彼女を正気に戻した後もずっとそばに付いててあげるべきでしたね
    > ところで以前ブラックと相討ちしたと言うへパイストスにも、何か死に際の力があったりするんでしょうか?

    ありがとうございます~
    へパイストスには”昏睡”という能力があり、
    彼を倒したブラックは怪我以上に長い時間、
    こん睡状態に陥っていた、という裏設定があります!

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