妖刀は使う肉体を乗り換えた。
不敵に笑う少女。
妖刀に支配された少女たちを救い、
妖刀を再び封印することはできるのかー。
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「--か、刀を捨てなさい!」
警察官が叫ぶ。
銃を構えた警察官を前にしても、
柚里香は、不敵にほほ笑むだけだった。
幼い顔立ちに、
妖艶な笑みを浮かべている柚里香。
なんとも言えないギャップが、
余計に不気味さを増幅させていた。
スカートだけを脱ぎ捨てた格好の柚里香は、
その綺麗な太ももを晒しながら
警察官の方に向かって歩いていく。
「--聞こえないのか!刀を捨てろ!」
警察官が叫ぶが、柚里香はどんどん間合いを詰めてきていた。
その時だったー。
銃を構えた警察官の背後から、
日本刀を持った警察官が出てきた。
「--もういい、下がれ」
学校に増援として駆け付けた警官隊は
上層部から妖刀について聞かされていた。
故にー、
日本刀を持った警官が同行していた。
少女は、刀に支配されている。
ならば、刀を叩き落とせば良いー。
「---ほう。」
柚里香が刀を持った警官を前に声を出す。
「--その子を解放しろ」
警官が日本刀を構えた。
過去に剣道の大会で何度も優勝した
経験を持つこの警官はー、
当然”実戦”するのは初めてだったが、
それでも自信があった。
相手はー妖刀とは言え、
身体は女子高生なのだからー。
「--ー解放?ふふふ…
い・や・だ♡」
柚里香は笑いながら刀を構えた。
「--この器も、気に入っちゃった…えへへ♡」
柚里香は笑いながら、変なポーズをとって、
警官を挑発した。
「--私を見縊るなよ!」
警官は、日本刀を持って、柚里香の方に向かっていく。
そしてー
一撃で勝負は決まった。
日本刀が床に落ちて、
警官がその場に倒れる。
「--うふ…」
柚里香が笑う。
警官は、一撃で柚里香に切り捨てられてしまった。
「--身体、洗わなきゃ」
柚里香はそう言うと、刀についた血を
舐めはじめた。
「---…!」
唖然とする他の警官たちー
”やむを得ない場合は射殺しろ 責任は私がとる”
警察上層部の事件責任者はそう言った。
警官隊の中から、
日本刀を持った警察官が6人ほど飛び出した。
警察内部で選抜されたものたちー。
先に殺された警官ほどではないが、
それぞれ、剣道で何らかの実績を持つものたちだった。
「---取り囲め!」
警官が叫ぶ。
「--あの刀を叩き落とせ!」
6人が一斉に柚里香の方に向かう。
柚里香は笑いながらブレザーを脱ぎ捨てると、
警官のうちの一人が、そのブレザーで、顔面を
塞がれて視界を失う。
柚里香は、軽い身のこなしでジャンプすると、
理科室の机の上に飛び乗った。
「--ぬるい!ぬるいわ!」
大声で叫ぶ柚里香。
しかし、柚里香はとても嬉しそうにしていた。
現代で、こんなにゾクゾクする刀同士の
戦いができるなんて!
柚里香は制服のリボンを投げつけ、
さらにはシャツで、他の警官の刀を
絡めとる。
自分の身体がさらけ出されることもお構いなしに、
警官たちを惑わしていく。
「はぁ!」
警官が一人、二人と倒されていく。
柚里香は、バック転をしながら
攻撃をかわしていく。
その顔色は青ざめていたが、
刀にとって柚里香の身体など、
道具に過ぎない。
肉体が悲鳴をあげていようと
関係なかった。
「---ちょ…ちょっと!」
理科室の方に、
若い女性教師がやってきた。
銃を持った警官たちがその女性教師を止める。
彼女は、最初に刀に支配されていた
沙綾香が所属している美術部の顧問で、
沙綾香が暴れていると聞きつけて、理科室に
駆け付けたのだった。
「---赤川さん?」
暴れている柚里香を見て、驚く女性教師。
「な、、何が起こってるの…」
唖然とした様子で、言う彼女を
警察官たちが、「危険ですから…」と後ろに下がるように言う。
そんな間に、日本刀の警官隊は、残り二人になっていた。
しかしー
「----ぎゃあっ!」
柚里香が悲鳴をあげた。
警官隊の一人が、柚里香を行動不能にするため、
足を斬りつけたのだった。
だがー
「うあああああああああああ!」
柚里香は脚などお構いなしに素早い身のこなしで
刀を振るうと、残りの二人を斬り捨てた。
「ぜ…全滅…」
刀を持った警官は全滅した。
こうなったら仕方がない。
支配されている少女は可哀想だが
これ以上被害を拡大させるわけにはいかない。
犠牲になってもらうしかーない。
「---う、、、撃て!」
躊躇しながらも警察官たちが柚里香に向かって
発砲した。
「---ぐああああああ!」
柚里香が悲鳴をあげて、
その場で苦しそうによろめいた。
そしてー
「--あ~あ、壊れちゃった!」
と言うと、
柚里香は刀を警官たちの方に投げつけて
そのまま倒れた。
「---や…やった!」
警官隊の一人がそう言った瞬間、
背中に鋭い痛みを感じた。
「---!?」
「ひひひひひひひひひひっ!」
気づけば、駆け付けていた若い女性教師が、
妖刀・黒霧を手に、
警官たちを斬り始めていた。
今度は、女性教師を器にしたのだ。
「--残念だったなぁ♡」
嬉しそうに叫ぶと、
残る警官たちが発砲する。
しかし、女性教師は笑いながら、
理科室の窓ガラスを割り、
そのまま飛び降りた。
「---な、なんだと」
唖然とする警官たち。
ここは3階ー。
飛び降りた女性教師も無事では済まないー。
「----きゃああああああああああ!」
悲鳴が聞こえた。
女性教師が飛び降りた先ではないー
今いる、理科室からだ。
生き残った警官たちが悲鳴の方を見ると、
最初に刀に支配されていた沙綾香が悲鳴をあげていた。
沙綾香は、ボロボロになりながらも
死んではいなかった。
警官たちが駆け寄る。
2番目に支配された柚里香はもう死んでいる。
斬られた警官たちもー。
「--くそっ」
生き残った警官の一人は、残りの警官に、
飛び降りた女性教師を追うように指示をして
救急車を手配するのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---千乃(ちの)ちゃん…これ・・・預かって・・・」
飛び降りた女性教師が苦しそうに、
たまたま下校中だった、
小柄のツインテール少女に、刀を差しだした。
「--え、、せ、、先生?」
事情を知らない少女は、その刀を受け取ってしまった…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
甚大な被害を出した妖刀の事件。
多くの被害を出したー
生徒たちの十数名が斬られた上、
警察官や通行人にも被害が出ているー
しかもー
妖刀・黒霧の足取りは不明だー。
飛び降りた女性教師は救急車で運ばれて助かった。
目撃者によれば1年生の知乃という生徒が
刀を受け取ってしまい、その後、笑いながら
姿を消したようだが、
その後の足取りが不明だ。
千乃という生徒は、川辺で水死体となって
発見された。
自ら腹を斬ったような跡があったため
妖刀は、自らの意思で千乃を処分したのだろう。
だがー
その後、誰が刀を持っているのか、分からず、
これ以上の追跡は不可能だった。
妖刀が誰かを支配しているのであれば、
また人斬り事件が起きるはずだがー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「---うぅ…わたし…わたし…」
最初に刀に憑依されていた沙綾香は、
病院で泣きじゃくるばかりだった。
理科室の薬品で片目を失明した上に、
自分が何をしていたかを知り、
ショックで立ち直ることができなかった。
「---もう、、もういや…
わたし…生きてちゃいけないのかな…」
泣いたり、
パニックを起こしたり、
死にたいと口にしたりー
元の真面目な彼女の面影は
どこにもなくなってしまっていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”刀”は、現代を学習したー
女子生徒3人と、女性教師の記憶を読み取り、
現代のルールを学んだのだ。
幕末のように、大暴れすれば、すぐに警官隊が
駆け付けてしまう。
あの時代とは違うー
なら、この時代に合わせた楽しみ方を
しようじゃないかー
「--くふふ・・・毎日最高だよ!」
太ったオタクっぽい男が、同居している彼女に言った。
「ふふふ…♡」
同居している彼女はー
刀を携えた女剣士の格好をしていたー
アニメキャラのコスプレをー
その携えている刀はー
あの妖刀だったー
たまたま見つけた美女とオタクカップルに目をつけた刀は、
美女のほうを支配したー。
人を支配しているには、常に自分自身である”刀”身近に
置いておかなくてはならないー。
だから、このカップルは格好のエサだった。
アニメキャラのコスプレという名目なら、
刀を常に持っていても、おかしくないー。
仕事は、女の身体を使って
同居しているオタクを悩殺して、
そいつにさせれば良い。
家で、女王として君臨しながら、
人を斬りたくなったら夜にこっそり斬ればいい。
「---ふふふ、ねぇ、幸之助くん
これからわたしのこと、女王様だと思って
仕えなさい。
そしたら、なんでもしてあげるから…ふふ♡」
同居している彼女の豹変に
疑問を感じながらも、オタク男の幸之助は、
毎日、彼女がエッチなことをしてくれるようになったことを
喜び、嬉しそうに叫んだ
「はは~っ」
と。
土下座をして、彼女に踏まれながら、
幸之助は喜びを感じていたー。
現代に溶け込んだ妖刀を
追い詰めることは、もう誰にも出来ないのかもしれないー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
妖刀は現代に溶け込んでしまいました…
このあと、どうなるのかは、皆様のご想像にお任せします!!
お読み下さりありがとうございました~
コメント
SECRET: 1
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やはり予想通りのバッドエンドでした。
これはよほどの剣術使いじゃ無いと無理ですな・・・五右衛門さん出番ですよー
現代に溶け込むとなるとかなり難しそう。
あとたびたび申し訳無いが、リクエストの件は一任します。これの続編でも繋がりそうだし、新たな作品でも面白そうですし。まあぶっちゃけ今回と違ってエロ重視なら良いですし。
ちなみに自分が思い付いた方法も危険でした。せっかくなので書きます(今後の参考になさってもかまいません)。戦略ゲーで無双しまくってる手前、結構自分ならどうするかを考えたりします。
1.こちらも妖刀を持つ。
よく言われてるムラマサ辺りは危ないでしょうが、皆が危険ってわけでもないと思うし、これなら条件は五分です。ただ何とか出来たとしても今度はこちらの方が暴走したら意味無いけど
2.強い意志で迎え撃つ。
例えるなら、前にも言ったけどドラクエのヒュンケルみたいな感じで。ただやはりある程度の実力無いと瞬殺されそうですな。
3.???
色々考えたけどやはり刀をどうするかが重要だと思うので、かなり難しいけど斬られる直前に刀へ硫酸ぶちまけるとかで、あくまで刀の方を標的とする。支配されない絶対的意思を持ってるなら刀をつかんで離さず強引に封印とか…まあやはり並大抵の事じゃないかもですね。
実は言うとこういう流血物は結構苦手で(じゃあなぜ最後まで読んだのやら笑)、今回も恐ろしかったんですが…何か最後まで見ちゃいました。自分も刀のとりこになってるのかもしれません、あのオタク男みたいに完(オイ
てか毎度長文コメすいません汗。自分は語彙力と文章まとめスキルが手に入るなら、刀に身を預けても良いです^^
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無様>
ありがとうございます!
刀をどう封じるか、も実は考えてあったりします!
リクエストはこれの続編に織り交ぜるかたちで
作るかも・・・しれません!