<皮>悪魔の囁き②~誘惑~

告白した相手は、皮だったー。
彼女の中には男が居るー。

その事実を知った明人は、
そのことに、好奇心を抱いてしまうー

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「…で、どうだったの?」

生徒会長の麻美に告白した翌日、
幼馴染の香澄が、明人に話しかけてきた。

「--え、、あ、、、あの…」
明人が返事に困っている。

昨日の麻美の様子を思い出す。
いつも見る麻美とは全く違う表情の麻美。
なんだか、少しドキドキしてしまったー。

だが、麻美が皮だったなんて言えないし、
言ったら、自分も皮にされてしまうー

「う、、うん、し、週末に永井さんの家に
 遊びに行くことになったよ」

明人がそう言うと、
香澄が「やったじゃん!おめでと~!」と
言いながら肩を叩いてきた。

「---あ、ありがと…」

事態は思わぬ方向に進んでいる。
明人は、香澄を見る。
ポニーテールが可愛らしい香澄。

小さいころからずっと一緒で、男女の関係ではなく、
もう友達としてしか考えられない様な間柄だが、
高校に入ってから、香澄は可愛くなったー。

もしも・・・
もしも、香澄のことを、着ることができたのならー。

明人は、自分が香澄になって
可愛らしいポーズをしている場面を想像した。

思わず、笑みがこぼれてしまう

「--ちょっと、一人でニヤニヤしちゃだめでしょ~!
 外から見たら気持ち悪いよ~!」

香澄が笑う。

香澄は、明人が麻美と付き合うことになって
ニヤニヤしていると勘違いしている。

しかし、実際は違うー
明人は、香澄を皮にして、自分のものにしたときのことを
考えて、ニヤニヤしているのだ。

「---あ、ご、ごめん」
明人は我に返った。
香澄を皮にするなんてとんでもないー。
明人が、麻美の家に行くのは、
あくまでも”人を皮にする”という非科学的なことに
興味を持ったからだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

土曜日

「おじゃまします…」
明人が、麻美の家に招き入れられた。

「いらっしゃい~ふふふ…
 どう、わたしの部屋!」

麻美が嬉しそうに自分の部屋を
紹介する。

女の子っぽいピンクを基調とした部屋。

しかし、部屋の隅には、メイド服や、ドレス、
OLのスーツなど、色々な服が置かれていたり、
大人のおもちゃが置かれていたりしているー

「--ふふふ、こんなに可愛いんだから、
 楽しまなくちゃね」

麻美がほほ笑んだ。

当の麻美も、ショートパンツ姿で
大胆に生足を露出し、
さらには胸を強調して服装をしており、
明人はドキドキが止まらなかった。

学校行事などで、麻美の私服を見たことがあるが、
普通の女子高生を装うためだろう。
おしゃれには見えても、こんな感じの服装は見たことがなかった

「---さっきから、わたしの足、見てるでしょ?」
麻美が意地悪そうに笑った

「え…え…ええええ…そ、、そんなことないよ」
明人が慌てて言うと、
麻美が「どう?触ってみる?」とほほ笑んだ。

「--い、、、い、、、い、、、いいの…?」
明人は顔を真っ赤にしている。
アソコが敏感に反応してしまい、
とんでもないことになっているが、
麻美は、それを見て微笑むだけだった。

明人は手を震わせながら、
麻美の太ももに手を触れる。

スベスベな肌ー
このままずっと触っていたいとさえ思えた。

ふと、麻美が、明人の手をつかんで、
自分の太ももをこするように触らせた。

「どう?女の子の身体?
 いいでしょ?」

麻美が甘い声で誘惑する

「あ、、、あ、ああ、、あ、、うん…」
明人はわけのわからない返事をする。

さらにー

「--胸、触ってみる?」
麻美が自分の胸を触りながら言った。

「い、いいい、、いいや、、、いや、、、だ、大丈夫」

本当は触りたかったが
つい遠慮してしまったー

麻美の中身は男だ。
そうは分かっていても、
こんなかわいい子に誘惑されてはー。

「---島野くん」
麻美が立ち上がると、ほほ笑みながら
何かを取り出した。

「--島野君も、”こっちの世界”に来ない?」
麻美が、イヤらしく微笑んだ。

麻美が持ってきたのは
”人を皮にする力”を手に入れるための薬。

「--ほら、幼馴染の香澄ちゃん…
 あの子のことも気になるんでしょ?」

麻美が笑う。

「--ならさ、手に入れちゃお?
 わたしみたいに」

明人は、その言葉に、
香澄の姿を脳裏に浮かべてしまう。

あの可愛らしい姿ー
可愛い声ー

それがー自分のものにー

「--大丈夫。誰にも気づかれないよ。
 もし気づかれてもー
 脅せばいいじゃない?」
低い声で言う麻美。

「--それに…」
麻美は明人に顔を近づけて、妖艶にほほ笑んだ

「--わたしとエッチし放題…だよ?」
麻美の言葉に、明人はつばを飲み込む。

香澄の身体が手に入る上に、
麻美とエッチし放題…

「--わたしね…
 一度やってみたかったんだ…
 百合ってやつ?

 女の子同士の激しいエッチを…」

麻美が甘い声で言う。

「あ・・・あ・・・」
明人は、身体を触られながら
興奮を抑えきれずに震えていた。

麻美が、明人の唇に指を当てて笑う。

「---どうする、明人くん?」

明人は”悪魔の囁き”に
誘惑されそうになった。

しかしー

香澄とはずっと昔からの仲だ。
大切な友達であり、
大切な幼馴染。

その香澄を、苦しめることなんて…

「---ふふ、迷ってるんでしょ?」
そんな、明人の心を見透かしたかのように
麻美は笑う

「大丈夫・・・
 わたしはね、今、ずっと、これまで経験したことのないような
 快感に溺れてるの。
 皮になったコは不幸なんかじゃない、
 ずっとずっと、永遠に溺れる様な興奮に
 包まれることができるのよ」

麻美が笑う。
”本当の麻美”は今、どうしているのだろうか。
男が麻美の皮を脱いだ時、
麻美の表情は硬直したまま、微動だにしなかった。
もう、麻美は死んでいるのか。
それとも、男の言うとおり、麻美の意識は
どこかで永遠の快楽を味わっているのだろうか。

「香澄ちゃんを着るのよ」
麻美が笑う

「--そうすれば、」
麻美が、綺麗な髪を色っぽく触りながら言う

「--女の子の綺麗な髪はあなたのもの」

麻美の言葉に、
香澄のポニーテールが頭に浮かぶ

「-ーーうふふ・・・女の子の胸も、あなたのもの♡」
麻美が胸を触りながら言う。

「--綺麗な足も…」
太ももをイヤらしく触りながら麻美が言う。

「--あ・・・あ・・・あ」
あまりにも色っぽい麻美を前に、
明人は言葉を失ってしまう。

誘惑を受け入れれば、
自分もこうなることができるー

自分が、香澄になることができるー
そしてー

「--わたしと、したくないの?」
麻美が、近づいてきて、耳元で囁く。

麻美の良いニオイ…
髪の毛が顔に少し触れる。

ドキドキが止まらない

「ぼ…ぼ、、、僕は…」

そんな明人に、
麻美は、まっすぐ目を見て告げた。

「--来週の土曜日ー
 香澄ちゃんといっしょにウチに来て。
 そしたら、あなたに人を皮にする力をあげる」

麻美はそう言うと、うふふふふ、と笑いながら
明人から離れて行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから1週間。
明人は考えに考えた。

しかしー
考えれば考えるほど、
麻美の誘惑を思い出してしまう。

そしてー
香澄を誘うことができないまま
金曜日を迎えた。

「--島野くん?明日のことだけど…」

麻美が言う。

学校では”生徒会長の仮面をかぶった麻美。

「---あ、、あの…」
そこまで言うと、
麻美が耳打ちした

「--いいから連れてこいって言ってんだよ」
低い声で言う麻美。

あまりの恐怖に明人は身体を震わせてしまう

「--俺とお前で、美味しい思いをしようぜ?
 なぁ、あぁ?」

麻美が明人のことを睨む。
周囲の生徒たちは、何も気づいていない。

「---明日、楽しみにしてるからな」
そう言うと、麻美は明人から
離れて微笑んだ。

「---よろしくね。島野くん♪」
そう言うと、麻美は立ち去っていく。

「---ふふふ、なかよしじゃない~」
振り返ると、香澄が居た。

「あんなに顔近づけちゃって!
 何お話ししていたの~?」

香澄が茶化すようにして言う。

「あ・・・あのさ…」
明人は口を開いた。

ドキドキが止まらないー
自分が、香澄になれるー

香澄になれるー
女の子になれるという欲望ー

小さいころから仲良くしてきた
香澄への思いやり―

その狭間で揺れる明人。

しかしー

「---あ、明日だけどさ、、
 一緒に、、永井さんの家に行かない?」

明人は、行ってしまったー

麻美のー
”悪魔の囁き”に負けてー

「--私が?
 二人の時間を邪魔しちゃ悪いよ~」

香澄が笑う。

明人は一瞬ほっとした。
そう、断ってくれればそれで…

「--気にしなくても大丈夫よ」

明人がドキッとする。

麻美だったー。

「--香澄ちゃんも、明人くんと一緒に
 遊びに来ていいよ!」

麻美の言葉に
香澄は微笑んだ

「--じゃ、じゃあ、お邪魔しよっかな!」
香澄が笑う

”ダメだ”
そう叫ぼうと思った。

しかしー
麻美が、明人を睨んでいた。

「---あ・・・」
明人はもう、何も言えなかった。

そしてー
”土曜日”がやってきた。

明人は、ずっと元気のない様子だ。

「--大丈夫?元気ないよ?」
心配して香澄が声をかけるも、
明人は返事もしない。

そうこうしているうちに、
麻美の家についてしまった

「いらっしゃいー」
麻美が笑顔で出迎えた。

家の中に入る二人。

香澄は年ごとの女の子らしい
おしゃれな格好をしている。

一方、麻美は、今日も学校では
見せない様な派手な格好をしていた。

「--あれ?ご両親は?」
香澄が不思議そうに聞く。

「--わたし、一人暮らしなのよ」
麻美が笑いながら答える。

明人は、そんなやりとりを
見ながら、香澄との今までのことを
思い出していた。

小学生時代から、今に至るまでをー

「香澄…」

女の子になれるー
確かに、それは魅力的だー

けれどー

「---ダメだ!!香澄!!!逃げて!!!」
明人は大声で叫んだーー

明人はー
自分の欲を捨てて-
大事な幼馴染を守る道を選んだー

③へ続く

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次回が最終回です!
麻美の悪魔のような誘惑に、
明人は、ついに…?

お楽しみに~

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皮<悪魔の囁き>

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