<憑依>隠された秘密①~疑惑~

彼女の様子がおかしい。

そう感じた彼氏は、日々悩んでいた。
しかし、ある日、突如として現れた謎の老人から、
彼は憑依薬を受け取るのだった…

彼氏を避ける彼女。その真相は…?

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大学生の中本 遼平(なかもと りょうへい)は、
大学のとある行事で親しくなった同い年の女子大生、
光岡 幸恵(みつおか ゆきえ)と
親しくなり、付き合っていた。

付き合いだしてから1年半。
二人は順調な関係を続けていた。

しかしー
1週間前から、幸恵の様子がおかしくなった。
明らかに、彼氏の遼平を避けているのだ。

疑問に思った遼平は、
幸恵を呼び出して、真剣に話し合うことにした。

「なぁ…最近、どうして俺を避けるんだ?」
遼平が尋ねると、
幸恵は首を振った。

「別に、、避けてなんかないし」

ふてくされたような態度。
幸恵が、何かに怒っているときに
見せる態度によく似ていた。

「--な、なぁ、俺、何かしたか?」
遼平が申し訳なさそうに言うが、
「別に」の一点張りで、幸恵は何も語らない。

「--わたしって飽きっぽいのよね」
幸恵がつぶやく。

「何だって?」
遼平が聞き返したが、幸恵は返事をしない。

ふと、幸恵を見ると、唇を震わせながら
噛みしめていた。

何に、そんなに怒っているのだろうか。

「--ーなんか、刺激が足りなくて、
 飽きちゃった」

幸恵がそう呟く。

「--あ、飽きた?」
遼平が聞き返すと、
幸恵は自虐的な笑みを浮かべて微笑んだ。

「ほら、1年半も付き合っているのに、
 身体の関係もないし、
 わたし、なんか、イライラしちゃって。」

幸恵が吐き捨てるようにして言う。

「は…はぁ?
 それは幸恵が、そういうの苦手って
 言ったからだろ?」

遼平が少し口調を荒げると、
幸恵は「あ~そうやって人のせいにするんだ!もういいよ!」と叫ぶ。

幸恵の目には、涙が浮かんでいた。

「--な、何泣いてるんだよ!
 そんなにエッチしてぇのかよ!」

遼平は声を少し荒げた。
幸恵は、高校時代に痴漢に遭い、
そういう類の話も、行為も苦手だと言っていた。

だからこそ、遼平は、
そういうムードにしないように気を付けて来たし、
幸恵も「ありがとう」と言ってくれていた。

それなのに…

「--もう、わたしに近寄らないで!」
幸恵はそう言うと、
涙をこぼしながら走りさってしまった。

「お・・・ おい!」
遼平は叫んだがー、
幸恵は立ち止まらなかった。

夜ー

自宅で、遼平は幸恵と一緒に
遊園地に行ったときの写真を見つめていた。

「どうしてなんだ…」

写真で、笑顔を浮かべる二人。
ライトアップされた観覧車を背に、
本当に幸せそうだ。

先週までは、そうだった。

それなのに、
どうして急にー。

「男でも、できたのか…?」
遼平は思う。

遼平と幸恵の関係は良好だった。
これまでもずっと。

遼平は中学生時代に、姉を難病で
無くしている。

それゆえか、遼平には過保護な1面もあった。
それに、うんざりしてしまったのか…

「---何があったんだよ…」
遼平は、振られたかもしれないことよりも、
幸恵のことを只々心配していた。

もしも浮気されてたりするだけなら
諦めもつく。
けれどー。

翌日から、幸恵は、遼平を徹底的に
避けるようになった。

LINEはブロックされ、
ツイッターもブロックされた。

そして、露骨に別の男子と仲良くするようになり、
遼平を避け続けた。

幸恵の友達に確認したところ、
幸恵が自分の悪口を最近になって言いだしたことを知った。

「--俺が、何をしたってんだ…」
遼平は戸惑いながらも、
日々を過ごしていた。

ある日ー、
大学の人気のないところで…
幸恵が一人、暗い表情をしていた。

「----?」
遼平がたまたまそんな幸恵の姿を
見つけて、立ち止まる。

幸恵は、身体を震わせて泣いていた。
幸恵の手には、何かが握られているー。

「---あれは」

幸恵が握っていたのは、
この前、遼平が見つめていた
遊園地で撮影した写真。

二人で大切に、一枚ずつ持っていたのだった。

「---遼平…」
幸恵が、そうつぶやいて、一人で泣いている。

「---ゆ、幸恵!どうしたんだよ!」
思わず遼平は物陰から飛び出して、幸恵に声をかけた。

すると、幸恵は慌てた様子で振り返り、
叫んだ。

「来ないで!」
そう叫ぶと、幸恵は写真をグシャグシャに丸めた。

そして、
「--あんたなんか、大っ嫌い!」と叫んで
そのまま走り去ってしまった。

「幸恵…」
唖然とした遼平は、一人その場に取り残されていた…。

幸恵は、何かを隠している。
そして、それは、浮気ではない。

浮気なら、涙を流す必要なんてないはず。

では、何か。
遼平には、それが分からなかった。

幸恵を見ていると、
やはり、何かに悩んでいるような感じがする。

しかし、近寄ろうとすれば露骨に避けられる。

遼平にとっては、初めての彼女でもある幸恵を
本当に大切にしようと思っていた。

なのにー
どうしてやることもできない。
彼女が、何に悩んでいるのか。
それを、分かってあげることができない。

ある日ー。
遼平は、幸恵との写真を握りながら
公園で、一人、涙を流していた。

「俺は、どうすれば…?」

そう嘆いていると、
遼平のとなりに老人がやってきた。

「辛そうだねぇ。どうしたんだい?」
優しそうな老人だった。

「--」
遼平は親切なおじいさんなのだろう、と
思って、彼女とうまくいっていないこと、
彼女が何かに苦しんでいるけれど、
それを知ることができず、困惑していることを話した。

すると、老人はにっこりとほほ笑んだ。

「--彼女を大切にしているんだね」

そして、老人は小さなビンに入った
液体を取り出して、それを遼平に渡した。

「こ、これは・・・?」
遼平が言うと、
老人は優しく微笑んだ。

「憑依薬ー。人の身体に憑依できる薬だ。」

老人の言葉に遼平は唖然としながらも言った。

「---これで、幸恵に…?」
その言葉に、老人はうなずいた。

「--君の彼女に憑依すれば、彼女が何を
 考えているかも、知ることができるはずだ。
 なぁに、それを知ったらすぐに身体から
 抜け出せば、彼女には何の害もないし、
 迷惑もかからないよ」

老人が優しく言う。

遼平は迷ったが、頷いた。
始めて彼女を失うわけにはいかない。

もちろん、得体の知れない老人からもらう薬なんて怪しい。
そうも思った。
しかし、このままじゃ幸恵を失うかもしれない。

だからー
遼平は憑依薬を使う決意をした。

「---ありがとうございます」
遼平はそう言って、憑依薬を手に、立ち去った。

立ち去る遼平の後姿を見ながら、
老人は不気味にほほ笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----幸恵…」
遼平は、自宅に持ち帰った憑依薬を見ながら呟いた。

幸恵がどうして自分を避けるのか。
幸恵はどうしてあんなに悲しそうなのか。

それを知ることができれば、
遼平にも、手の打ちようがある。
このまま別れるわけにはいかない。

遼平は意を決して、憑依薬を飲み込んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

幸恵の家に、幸恵は居た。
何やら、手紙のようなものを
書いているようだ。

LINEやメールではなく、手紙?
誰に書いているのだろう?

そう思いながらも、遼平は
幸恵に身体を重ねた。

「---ひっ!?」
幸恵がビクンとなって、
驚いた表情を浮かべる。

「な…なに…?」
幸恵の表情に焦りが浮かび、
必死にもがくようなしぐさをする。

遼平は、そんな幸恵を支配しようと、
自分の霊体を幸恵の中に無理やり
押しこむようにした。

「やめて・・まだ!」
幸恵がそう叫んだ。

「--ーーー」
遼平は、幸恵を怖がらせないようにと
一気に、幸恵を支配しようとして、
幸恵を支配するイメージを、
頭の中に強く念じた。

そしてーー

「---ああぁっ!」
幸恵がさらにビクンと震えて、
遼平は、幸恵の身体を支配することに成功した。

遼平は、幸恵の手紙を見つめる。

そして、その内容を見ようとした。
しかしーー

ふと、鏡に映った自分の姿が目に入った。

最愛の彼女ー
幸恵の姿ー。

なんとも言えない表情ー

「幸恵…!」

今は自分が幸恵の身体を動かしているのに、
なんだかドキッとしてしまった。

「あ、、、あ」
遼平とて男だ。
幸恵の身体に興味がある。

だが、幸恵がそういうことは苦手だと言っていたから
好きな人のために、我慢をしてきた。

しかしー

「---い、、いいよな?ちょっとだけなら」
鏡の中の幸恵が、ちょっとイヤらしく笑う。

そんな表情を見て、
さらにドキドキする幸恵。

鏡の方に近づいていく。
顔が赤らんでくる。

自分の姿を見て、自分でドキドキしている
女子大生。

外から見たら、どう見えるだろう?

そんなことお構いなしに、
幸恵は、鏡に映る自分にキスをした。

「んふっ…♡」
思わず、変な声が出てしまう。

幸恵のこんな声、聴いたことがない。

「あぁ…なんて色っぽい声出すんだよ…」
幸恵は思わず、そう呟いた。

そして、ドキドキしながら口にする

「わたしは、、、わたしは、、
 光岡…幸恵…」

自分の名前を言っているだけなのに
そのセリフを違和感なく言えることに、さらに
ドキドキしてしまう。

「--わ、、わたしは幸恵…
 わたしは…幸恵…
 うふ…ああ…えへへへへへへへっ♡」

快感に溺れてしまった遼平は、
幸恵の胸を触り始めた。

そして、喘ぎ声をあげる。

ーーーそんな、幸恵の姿を、空中に浮かんだ
老人の霊体が見つめていた。

「---そんなことをしている場合ではないぞーー」

と、悲しそうにつぶやく。

そして、老人が窓の外から、幸恵の机の上にある
手紙を見つめる。

そこにはーーー

”遼平くんへ
 
 これを読んでいるということは、
 わたしはもう、この世にいません”

そう、書かれていたー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

どんなヒミツが隠されているのか、
ぜひ明日以降のお話しで真実をご覧ください~!

と、言っても、明日の前半は遼平くんが
彼女の身体を楽しむターンですが…笑

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