憑依されて変えられてしまった彼女とのデスマッチ。
いよいよその決着の時が近づいてきた。
二人の運命は…?
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金網の中、彼女が、彼氏の上に乗り、
彼氏を殴り続けている。
”わたし、暴力が大好き”
竜馬に憑依された際に、
亜津美は、そうも刻み付けられていた。
嬉しそうに、松雄を殴り続ける亜津美。
「あははははははっ♡
あははは、あはははは
いひひひひひひひひはぁ♡」
亜津美が大声で笑い続ける。
その姿は、いつも目にしている
優しい亜津美の姿などではなく、
完全に狂っている女の姿だった。
「--ほら、反撃してきなさいよ!
松雄くん?松雄くん!松雄く~ん♡
あはは、あははははははは!」
興奮しきった様子で、
顔を真っ赤にして笑う亜津美。
髪も、服も、何もかもが乱れている。
今まで暴力を振るったこともない亜津美が、あろうことか、
大好きな彼氏を顔が変形するまで
殴り続けている。
「ふふふふ・・・くくくく…
いぃ~~~はははははははははっ♡」
亜津美が殴るのをやめて、
自分の手についた血を、顔に塗りつけると
不気味にほほ笑んだ。
「--いいぞ~!最高だぁ!」
竜馬が叫ぶ。
そして、もっとだ!もっとやれ!と叫ぶと、
亜津美がその言葉に反応して、
今度は倒れたままの松雄を
思いきり蹴りはじめた。
「えへへへへへ♡
あははははははは~♡」
亜津美の狂った笑い声が
廃工場に響き渡る。
先ほど自分で切りつけて
破れかけていたスカートが床に落ちる。
そんなことお構いなしに、
亜津美は、松雄を蹴り続けた。
下着はびしょ濡れになっており、
下着からあふれ出た液体が地面に落ちる。
それでも、亜津美は
大好きな松雄を蹴り続けた。
亜津美に罪悪感などない。
こうすれば、松雄も喜ぶと思っている。
いや、思わされている。
「---はぁああ~~♡」
亜津美は興奮を抑えきれずに、
自分を抱きしめた。
自分が大好きだと書き換えられていた
亜津美は、今の自分が愛おしくて
たまらなかった。
そして、松雄からナイフを
引っこ抜くと、
倒れて痙攣している松雄に向かって
ナイフを向けた。
「そうだぁ!肉を捌け!
大好きな彼氏をその手で切り刻めぇ!」
竜馬が叫んだ。
亜津美が、悪魔のような笑みを浮かべて
ナイフで松雄を切り刻もうとした
その時だった。
「---!?」
亜津美の手を、昭也が抑えた。
竜馬の友人、昭也が、金網のとbらを
外側から開いて、
亜津美を抑えたのだった。
「----!?」
竜馬が唖然とする
「な、何をしている!?昭也!?」
竜馬が言うと、昭也が首を振った。
「もういいだろ…?
流石にここまでする必要はねぇよ」
そう言うと、
昭也は亜津美の方を見た。
「俺さ…
亜津美ちゃんのこと、
密かに憧れだった。
そんな亜津美ちゃんと付き合っている
コイツに嫉妬してた」
倒れた松雄の方を見ながら言う。
「--だからこいつがボコボコにされるのは
構わねぇ…
けどな、、
俺はこんな亜津美ちゃんは見たくねぇ」
乱れきって荒い息をしている
亜津美を抑えながら、昭也は言った。
「---」
竜馬は唖然としたまま立ち尽くしている。
「ーーー救急車、呼んでやるよ」
倒れた松雄の方に向かって言う昭也。
自分たちは逮捕されるかもしれない。
けれどー。
昭也は思う。
亜津美にだけは、罪が及ばないようにしたい、と。
これは、亜津美の意思ではないのだから。
昭也がそう思いながら
スマホを手にした直後のことだった。
「--邪魔すんじゃねぇ!」
亜津美が大声で怒鳴り声をあげた。
昭也が突き飛ばされて、
スマホが、吹き飛ぶ。
「ーー裏切ったな昭也!」
金網を外から閉めて、
竜馬が言う。
「--お、おい!竜馬!」
昭也が叫び声をあげるも、
竜馬はそれを無視していった。
「--亜津美、もう容赦はイラネェ!
すべてをぶっ壊せ!」
竜馬が叫ぶ。
そう命令された亜津美は、
命令通り、狂犬と化した。
「--全部全部ぶっ壊してやる!」
亜津美が荒い口調で叫ぶ。
竜馬の命令に絶対服従を
刻み付けられていた亜津美は、
竜馬の怒りをも受取って、暴走した。
「---テメェ、裏切りやがって!」
亜津美が可愛い声で、怒鳴り声をあげる。
昭也を殴りつけると、
昭也のことも猛烈な勢いで殴り始めた。
「--俺を、裏切って、ただで済むとおもうな!」
もはや、竜馬の意思とシンクロしてしまった
亜津美はそう叫ぶ。
「---や、やめろ・・・!」
昭也は弱弱しく叫ぶが、
抵抗することができず、
亜津美に、ただただ殴られ続けている。
「おら!おらぁ!」
昭也は苦しみの声をあげて、
松雄は倒れたまま。
金網の外にいる
竜馬はマイクを拾って叫んだ。
「~~デスマッチもクライマックス~!
場外から乱入した愚かな男も含めての
デスマッチだ~!」
竜馬の声は怒りに震えていた。
友だと思っていた昭也に裏切られたことに対する、怒りだ。
「---クライマックスにふさわしいモノを用意したぞ~!」
竜馬はそう叫ぶと、スイッチを押した。
廃工場にセットされちたスポットライトが赤く光、
金網に電流が走り始めた。
「電流デスマッチだ~!ひはははははは!」
電流の走る金網。
亜津美はそんなこと気にもせずに、
罵声を上げながら、昭也を蹴り飛ばしている。
彼氏の松雄が苦しそうに立ち上がる
「亜津美…もう、、やめてくれ!」
その言葉に亜津美が嬉しそうに反応する
「あぁ…松雄くん♡ デスマッチ♡ デスマッチ~♡」
嬉しそうに松尾の方に歩いていく亜津美。
髪は乱れ、服も乱れ、血走った目付きは
もはや狂人のようだった。
「や…めろぉ!」
昭也が亜津美を押さえた。
それを見て、松雄も亜津美を押さえた。
「ーーーー悪かった…」
昭也が言う。
「竜馬のやつが、ここまでするとは
思わなかったんだ!」
昭也の言葉に、
松雄は何も言わなかった。
暴れる亜津美。
反動で、亜津美が金網のところに
吹き飛ばされて電流を浴びる。
「いぎああああああああああああっ!」
亜津美が大声で悲鳴をあげる。
しかしー
それでも亜津美は笑っていた。
”わたし、痛いの大好き”
そう、書き換えられていたからだ。
「ひひひ・・・ひひひひ…あはははははは!」
松雄と昭也は、亜津美を傷つけないために、
反撃することもできず、
殴り倒されていく。
そして、亜津美は、倒れた松雄に乗っかると、
嬉しそうに微笑んだ。
「--今度こそ、終りね!」
亜津美がナイフを構える。
興奮しているのか、とても嬉しそうだ。
「---はははははははははっ!」
場外から、竜馬が大笑いした
「亜津美!!!やっちまえ!」
竜馬が叫ぶ。
そして松雄の方を見て竜馬が大声で叫んだ。
「死ねぇ~~~~~~!」
その直後だった。
亜津美がーー
自らにナイフを突き刺した。
「----あ・・・えへへ・・・えへ」
亜津美はそのまま苦しそうに笑いながら
倒れた。
「-----!?」
竜馬がマイクを持ったまま唖然としている。
「--亜津美!」
金網の中では彼氏の松雄が
倒れた亜津美に駆け寄っている。
「---…!!」
竜馬はハッとした。
亜津美には、自分に絶対服従するように、
命令してあった。
そう、脳を書き換えている。
今、竜馬はー
”亜津美!やっちまえ!死ねぇ~~~”
と叫んでしまった。
そういうつもりではなかったが、
亜津美に”死ね”と命令してしまった。
「--お、おい!竜馬!早くここを開けろ!」
中から竜馬の友人・昭也が叫ぶ
「-----くそっ」
しかし、竜馬は金網を開けようとしない
「おい!開けろ!亜津美ちゃん、死んじまうだろ!」
昭也が大声で怒鳴るが竜馬はそのまま逃げ出してしまった。
「くそっ!」
昭也は電流を浴びながら
金網の入り口部分を何度も何度も蹴り飛ばす。
そしてー
金網の扉を破壊した。
「---ま、、まつお…」
昭也はその場に倒れる
「--きゅうきゅうしゃを…よべぇ…」
昭也の言葉に、松雄はうなずき、
救急車を手配した。
搬送される3人。
昭也は、電流を浴びながらも、なんとか助かった。
亜津美に刺されていた松雄も、大けがしたものの、助かった。
そしてーー
1週間後。
松雄は包帯を巻いた状態で、病院内を歩いていた。
逃げた竜馬は、あの三日後に、
山奥で自殺していた。
自分のしたことの重みに気付いたのだろうか。
「----」
松雄は、とある病室を訪れた。
”彼女”がようやく意識を取り戻したのだ。
「---亜津美」
松雄が声をかけると、
亜津美が嬉しそうにほほ笑んだ。
「---ごめんね…迷惑かけて…」
亜津美が弱弱しく言う。
大好きな彼氏である松雄に
迷惑をかけてしまった。
そのことに対する謝罪ー。
「いいんだ…亜津美が無事なら」
松雄が亜津美の手を握ると
亜津美は微笑んだ。
そしてー
「--また、やろうね、デスマッチ…」
と嬉しそうにほほ笑んだ。
一度書き換えられた脳はー
もう、元には戻らないー
おわり
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コメント
彼女との金網デスマッチ、完結デス!
憑依薬を持っていた竜馬が居なくなってしまったので、
もう、彼女は…
お読み下さり、ありがとうございました!
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