魔物の大魔王を追いつめた勇者と姫。
しかし、魔王の本当の狙いは…
※魔王が倒されたと見せかけて隙をついて、
ヒロインを乗っ取る展開 というリクエストを
もとにアレンジを加えた作品です!
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「---おのれぇ!」
ネール王国。
魔法による優れた技術を有する王国で、
民たちは平和に暮らしていた。
しかし、5年まえ、
突然魔物の軍勢が現れ、
ネール王国と魔物の戦争が始まったのだった。
しかし、あれから5年、
魔物の軍勢に奇襲攻撃を仕掛け、
魔物たちの王、魔王バルバロスを追いつめることに
成功したのだった。
「--終わりだ!」
騎士のヘイゼルは叫ぶ。
魔王バルバロスは攻撃を受け、
弱っている。
「---あなたなんかに、
私たちは、屈しない!」
まるで光そのものを体現するかのような、
ネール王国の姫、ネールは、
光の力を放ち、魔王バルバロスにそれを直撃させた。
「---今です!」
ネール姫が叫ぶと、ヘイゼルは、宙高く飛び、
魔王バルバロスにトドメの一撃を加えた。
「ぐあああああああっ!」
バルバロスの身体が、砕けていく。
そしてーー
最後の瞬間、バルバロスは
ニヤリと笑みを浮かべたー。
ヘイゼルとネール姫は気づいていない。
「---これでようやく、私たちの王国に光が…」
ネール姫が言うと、
ヘイゼルが「はい、姫様」と嬉しそうにほほ笑んだ。
その時…
ネール姫の耳に、魔王バルバロスの砕けた破片が、
入り込んだことに、
ネール姫本人も、ヘイゼルも気づくことができなかった。
「--すべては我が狙い通りー」
バルバロスは呟く。
「--最強の美貌と、我が最強の魔力ー
それを両方、手に入れればー
だがーーー
まずは、しばしの間、休むとしようーククク」
魔王バルバロスは、
滅んでいなかったー
否ー
滅ぼされたかのように見えたのは、
魔王バルバロスの計画のためー
ある目的のため、
魔王バルバロスは滅んだふりをしたのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2年後ー。
ヘイゼルとネール姫は、
1年ほど前に結婚し、子供を授かっていた。
そして、この日、
二人の間に、念願の子供が生まれたのだ。
祝福に包まれる王国。
可愛らしい女の子が生まれたー。
「--神様から授かった大切な子ね」
ネール姫がほほ笑む。
「あぁ、オレたちの希望だ」
向き合ってほほ笑む二人。
祝福する国民たちー
しかし、
この子は、希望などでは無かった。
生まれたばかりの赤ん坊が、
邪悪な笑みを浮かべたー。
2年前―。
二人に倒された魔王バルバロスは、
自らの邪念を、姫の中に潜り込ませた-
そして、今日ー。
邪念は生まれ出たー
赤ん坊としてー。
ネール王国の姫に代々伝わる
光の魔力を持った血筋を手中に
収め、その力を手に入れるためー、
そして、姫の娘・・・
王女の娘としての立場を手に入れることー
”滅びの始まりだー”
生まれたばかりの赤ん坊は、
赤く目を光らせて、ほほ笑んだ。
けれども、誰もそのことには、気づかなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
5年後、
生まれた娘・アリスは、元気に育っていた。
礼儀正しく、王女の娘としての振る舞いを
身に着け、将来を期待されるほどに
なっていた。
才能か、
学問にも、運動能力にも優れ、
美貌も併せ持つ、完璧な少女だった。
「---お嬢様、そろそろお部屋に戻る時間です」
アリスの世話係である世話人の男は、
庭で遊ぶアリスに声をかけた。
しかしー、
アリスは背を向けたまま返事をしない。
「---お嬢様?」
世話係の男が不思議そうに、アリスの顔を
覗きこむと、
アリスは目を赤く光らせて、
手から闇のような邪気を放出させていた。
「---!?!?ひっ…」
世話人の男が、慌てて後ずさる。
「---あ~~~あ・・・」
アリスが笑いながら言う。
「----見ちゃったね…
”愚かな人間”」
そう言うと、アリスは不気味にほほ笑んで、
男の方に近づいていく。
「---な…な…お、、お嬢様…?」
世話人が尻餅をつきながら言うと。
アリスはニヤリと笑った。
「我が名はバルバロスー」
可愛らしく微笑むアリス。
「王家に伝わる魔力ー
才能、美貌ー
その全てをわが手に」
アリスが邪悪な笑みを浮かべた
次の瞬間、
世話人は”この世から蒸発した”
・・・・・・・・・・・・・・・・
アリスが10歳になったことには、
まるで、天使のようだ、と言われるほどの
美貌を持つ少女になっていた。
「---では、その村は焼き払ってください」
アリスが王宮の兵士たちに言う。
「しかし…あまりにもそれでは」
兵士たちが反論の言葉を口に仕掛けると、
アリスは鋭い目付きで兵士を睨んだ。
「わたしの言葉はお母様の、
ネール姫のお言葉よ。
姫の命に逆らうのかしら?」
冷たく、低い声で言うアリス。
兵士はあまりの恐怖に震えあがり、
辺境のエルフの村を焼き払うべく、
王宮を後にした。
王国に対する年貢の滞納があったために、
アリスは村を焼き払う指示を下したのだ。
今や、ネール王国は
アリスの”私物”だった。
何故なら―
ネール姫は、病床に伏していたからだ。
アリスは母親に入れるお茶に、
毎日少しずつの毒薬を混ぜた。
その結果、ネール姫は普通よりも早く、
ボケが始まり、
若くして、何もできない状態になってしまったのだ。
そしてー
それをいいことに
”病床に伏しているネール姫のお言葉”として
アリスは王国の実権を握っていた。
アリスは、部屋で鏡を見ながら微笑む。
「わたしのこの美貌ー。
そして、王家に伝わる光の魔力
くくく…皮肉なものだな。
それが今、わが手に…!」
アリスは綺麗な顔を歪めて、ほほ笑んだ…。
・・・・・・・・・・・・・・・
「お母様…」
アリスは、母親であるネール姫の部屋を訪れた。
ネール姫は、まだ30代ー。
しかし、その肌は老いており、
既に、老人のよう。
アリスが、ネール姫の食事に密かに混入させ続けた
毒薬が原因だった。
「---アリス…」
ネール姫が弱弱しくつぶやく。
娘のことは、覚えているが、
もう、記憶もあいまいな有様だった。
「---」
アリスが不気味にほほ笑んだ。
「悔しいか?」
アリスが、強い口調で言う。
「----お願い…」
ネール姫は、涙を流しながら
嘆願した。
「---娘を、返して・・・」
ネール姫の言葉に
アリアは笑う。
「返す?
ククク…この娘の身体は
最初から我のものだ。
生まれた時から…な」
アリスが自分の身体をなでながら言うと、
ネール姫は、ただ涙を流した。
アリスは、数か月前に自分の本性を
母親に打ち明けた。
もう、ネール姫には、何もできない。
アリスが、面会謝絶だと周りに伝えてあるから、
もう、誰も会いには来ない。
アリスは、王国を掌握した。
アリスの美貌も、
王族の血を引く、アリスの光の魔力も。
もう、怖いものは何もない
「逆らうモノを、全て叩き潰してやる
くふふふ…ふふふふふふっ」
アリスは不気味にほほ笑んだ。
しかしー
そんなアリスに疑問を抱くものが居た。
ネール姫の夫で、
魔王バルバロスを討ち果たした騎士・ヘイゼルだった。
「--アリス」
ヘイゼルは、背後からアリスに声をかけた。
「あ、お父様!」
アリスは”少女”としての顔で、
振り向いた。
「---なぁ、ネールは…」
ヘイゼルが尋ねると、
アリスは首を振った。
「お母様は、まだ誰にも会いたくないって
言ってます。
それが、お父様であっても…」
アリスはいつもこう言う。
ネール姫とヘイゼルは、仲睦まじい夫婦だった。
最初は、弱った姿を自分に
見せたくないだけだろうと思っていた。
しかしー、
ヘイゼルは数年前から、アリスに疑問を抱いていた。
まるで、天使の姿をした悪魔のように、アリスが見える。
何か、恐ろしいモノであるかのように、
アリスが見えるのだ。
それでも、
ヘイゼルが何もできないのにはわけがあった。
一つは、アリスを慕うものたちが、
ヘイゼルの邪魔をしていることー。
もう一つは、もし自分が何か行動を起こせば、
ネール姫の身に危険が及ぶかもしれないこと。
さらには、第2騎士団長であるライアンが、
ヘイゼルと対立しており、
ヘイゼルの立場を危うくしていることー。
それらが要因で、
ヘイゼルは、ネール姫と会うことすら出来ていなかった。
「---アリス」
だが、この日、ヘイゼルは意を決して言った。
「--俺が、ネールと会うと、
そんなに不都合なことでも?」
ヘイゼルが言うと、
アリスは口元を歪めた。
「別に…ありませんわ、そんなこと」
そう言うと、アリスは立ち去って行った。
次第に、ヘイゼルは、娘のアリスのことを
疑うようになった。
しかし、アリスの手回しはさらに
苛烈になり、ヘイゼルは自由に行動できなくなりつつあった。
”謀反人”に近い扱いを受けていたのだ。
だが、ヘイゼルはそれでもめげなかった。
「-----!!」
古の書物から
ヘイゼルは”魔王転生”という記述を見つけた。
ヘイゼルは思う。
まさかーー
あのとき”魔王バルバロス”がいとも簡単に
倒されたのには、理由があったのかもしれないー。
ネール姫の娘、アリスに転生し、
自分自身がアリスになるー
そうすれば、
王族の娘の力、
王族の娘という立場ー
あらゆるものを手に入れることができる。
「--アリス…まさか!」
ヘイゼルは立ち上がった。
アリスは、魔王バルバロスに支配されているー。
ヘイゼルは、そう確信した。
ヘイゼルが、アリスのもとに向かおうと
扉から飛び出すと、
そこには、第2騎士団長のライアンが居た。
「謀反人ヘイゼルー、
姫への謀反を企てたものとしてーー
連行させてもらう」
ライアンの言葉に、ヘイゼルが叫ぶ。
「なっ…!こ、これは罠だ!
ライアン!聞け!」
ヘイゼルは第1騎士団長。
本来、ライアンの上司だ。
しかしー
「---!!」
ライアンの目を見て、ヘイゼルは唖然とした
ライアンの目はー”死んでいた”-
既に、魔王バルバロスの手の内にあるのだ。
ヘイゼルは、王宮の広間で
打ち首にされることが決まった。
ライアンが、剣を持ち、背後に立つ。
「----」
アリスが勝ち誇った表情で
父であるはずのヘイゼルを見下す。
「---お父様…
ザンネンだったわね」
アリスが耳打ちする。
「--この身体はーー我のものだ」
アリスはそう囁き、邪悪な笑みを浮かべた。
「---くそっ・・・みんな!アリスはま…!」
それがー
ヘイゼルの最後の言葉となった。
「---みな、聞きなさい。
辺境の集落が我が王国を脅かそうと
しています。
これらを一掃します」
アリスは邪悪な笑みを浮かべながら宣言した。
「---し、しかし…」
臣下たちの中には、疑問を唱えるものも居た。
しかしー
「これは、母の言葉である」
アリスが大声で叫んだ。
母”ネール姫”の言葉だと言われてしまえば、
誰にも逆らうことはできない。
もう、王国は、アリスのー
いや、魔王バルバロスの手中にあった。
「--人間ども、地獄を見せてやるわー」
幼い顔に、アリスは邪悪な笑みを浮かべたー。
王国は、血に染まるー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストをもとに作りました!
元々の内容とは少しずれることもありますが、
そのあたりはお許しください!
お読み下さりありがとうございました~
コメント
SECRET: 1
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
まさに「最強」ですな。
ヤベえゾクゾクしてきた。昨晩魔王の娘と言う、似た立場の娘が出てきたアニメを見たせいもあるか
あと非常にお憑かれなところ申し訳ないですが、またリクエストを
オリンピック年以降でも構いません
あと自分は語彙力が皆無ですから、もし書く際は作者さんの方で色々手直しされてもかまいませんし、以前リクエストしたのと組み合わせても構いません。
ちなみに裏設定は遊び半分に考えたので、もちろん本編で活用しなくて良いです。あくまで番外・外伝・補足的な感じです。
・中学生の姉と小学生の妹の巫女がいた。
姉は努力家で妹は天才型だが、実力を積んでる分巫女の力は姉の方が上。
ある日自分たちが暮らしてる神社に封印されてた魔物の封印が(雷が落ちるなどで、最近天気荒いし)解けてしまい、神社を掃除してた妹のみが居合わせ交戦。天性の力を開放し無事に倒すが、魔物はそのスキに妹の中へ入り込む(この辺は、先ほど作者さんが書かれたのに似てるかも)。初めは少しだけしか違和感が無かったが、徐々に侵食されしまいには乗っ取られ、用事を済ませて帰ってきた姉に襲い掛かる。そして姉は妹に胸やアソコを弄られるも、希望を失わず必死に妹に呼びかけながら抵抗…最後に2人でエッチし姉が絶頂に達した瞬間、姉の口やアソコ、さらに妹に攻撃された傷から魔物が入り込み、巫女姉妹は共に支配されてしまう。
裏設定
姉妹の力を合わせて発動させる技がある。
その際、息が合えば合うほど強力になり、自分達はもちろん瀕死に近い傷や、自らの力を一時的に高める事も可能。
逆にやり過ぎるとうっかり魔界への穴が開いてしまったりと要注意←フラグ?てか流石にやりすぎかも・・・
・代々憑依を継承してきたモノが、引継ぎにふさわしそうなもの(主人公)を見つける。その引継ぎに必須な条件とは、
・憑依の力をうまく使う
・憑依の力に飲まれず、逆に自らの糧とする
・憑依の力に溺れず、時には相手のために使ったりする(要するに、少しでも良いから慈愛が必須的な?)
それをこっそりと主人公の周りの人物を利用しながらテストする(後々面倒にならないように、テスト後は、記憶を消去や改ざん)。
そして難関の3つ目の条件もクリアして、見事継承させるのだった。
裏設定
代々継承してるし、選ばれたものはそれなりの適正および、憑依の力を若干ながら持っているので、かなり巨大な力と言う事になる。
だからこそテストで↓で力が暴発しない事も兼ね良く見極める事が重要だが…いったい始祖は何者だったのか?それはリクエストした私でも考えてません。もちろん、作者さんがそれを独自に考えても面白いかも
この継承された力の一部が漏れ出しまれに誰かが微量ながらも憑依の力を持つ、事もあるかもしれません・・・
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
無様>
ありがとうございます~
楽しんでいただけてうれしいです!
頂いたリクエストは、気長にお待ちくださいネ~!