<憑依>未知の惑星ポゼロン②~脱出~

希望かのように見えた惑星。

しかし、そこには、絶望が待ち構えていた。
医療スタッフのシンディが乗っ取られ、
仲間を失った艦長は、惑星からの脱出を目指して
奔走する。しかし…

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「あぁ…気持ち…いい♡」
日本人スタッフの魅音は、
仲間たちと共に走りながら、
快感を感じて、涎を垂らしていた。

謎のスライムのような生物に憑依された
状態の魅音。

魅音は、脳内に巣くうスライムに、
快感を感じる成分を、大量に分泌させられ、
快感の渦の中にいた。

「えへ…♡ えへへへへへ♡ へへへ」

いつでも魅音を完全に支配することができる。

しかし、スライム状の生物は、
魅音を不完全な支配下に置くことで、
遊んでいた。

「--くそっ!」
前を走っていた艦長のケネスが叫ぶ。

スライムのような生物に包囲されていたのだ。

「ど…どうするのよ!」
ブロンド美女のケイトが叫ぶ。

「--チッ」
戦闘班のジャックが銃を構える。

「--諦めなさい!」
スライムたちの真ん中から、
スライムに支配された医療スタッフのシンディが
現れた。

奇妙な音が聞こえる。
地球には居ない種類の虫の声だ。

その、奇妙な声が、
ケネスたち地球人の恐怖を刺激した。

「---この身体は、使い勝手がいい!」
シンディは叫んだ。

「--お前たちのことが気に入った。
 お前たち、どこから来た?」

いつも控えめなシンディが
自信に満ち溢れた表情で言う。

「---…」
ケネスは恐怖した。

この謎の生命体が”地球”のことを知れば、
地球にやってくるかもしれない。

そして、シンディのように、女性たちが
スライムのような生き物に、憑依・寄生されてしまう。

「ーー、ああ、、ああ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
シンディが突然白目を剥きながら
機械音のような音を発っした。

そして、ニヤリと笑う。

「ーーーそう、地球、ネ」
シンディがほほ笑んだ。

「--!!」
ケネスは悪寒を覚えた。

あのスライムの様な生き物は、シンディの記憶を読み取ったのだ。

絶対に、地球に行かせるわけにはいかない。

「-シ、シンディを返しなさいよ!」
ケイトが叫ぶと、
それを、暴走機関車の異名を持つ、戦闘班のトーマスが遮った。

「御嬢さん、ここは俺の出番だ」
トーマスはそう言ってほほ笑むと、
艦長のケネスに合図をする

”ここは俺が食い止める 先に行け”という合図だ。

ケネスは黙ってうなずいた。

「ーーー無事に帰れたら、
 大きいハンバーガーが喰いてぇぜ」

トーマスが言うと、
ケネスが

「あぁ、いくらでも食わしてやる
 生きて帰ってこい」
と言って、ケイト、魅音、ジャックに合図をし、
トーマスにその場を残して走り出した。

「ーーー」
ケネスには分かっている
”彼はもう助からない”

一人残されたトーマスは笑う。
「ーー仕方ねぇ、ハンバーガーはあの世で喰うとするか!
 あの世にチーズバーガーってあるのかな?」

そして、乗っ取られたシンディとスライムたちの方を見る。
シンディは腰に手を当てて、挑発的な目線をトーマスに送る。

「--暴走機関車の力、見せてやるぜ」
マシンガンを手に、トーマスは笑った。

そして
「ポッポー!」と叫びながら、スライムたちのもとに突撃した。

ゴォォォォォォォー

トーマスが残った方角から、
爆発音が聞こえた。

「トーマス…」
ケイトが悲しそうにつぶやく。

その時だった。
急激に激しい雷雨が降り注いだ。

しかも、
雨の色は、不気味な緑色だった。

「--こいつはまずいな」
ケネスはそう呟き、ちょうどすぐ傍に見えた
洞穴にメンバーを避難させた。

緑色の雨ー
人体にどんな影響があるか分からない。

逃げ込んだほら穴から、
緑色の雨を採取して、
アドバイザーでもあるブロンド美女のケイトが、
調査を始めた。

「--少し休め」
艦長のケネスは、戦闘班のジャックと
日本人の魅音にそう指示をした。

「見張りは、交代でやる」
ケネスの言葉に、ジャックと魅音は頷いて、
ほら穴の奥へと向かった。

「ーー艦長!」
ケイトが叫んだ。

「やはりこの雨は危険です。
 長時間当たっていれば、人体のあらゆる部分を
 破壊して、死に至らしめる可能性があります」

ケイトの言葉に、ケネスは、ほら穴の外の
緑色の雨を見ながら呟いた。

「ーーどうやら人類は、この惑星に
 歓迎されていないようだなー」と。

空が、不気味に緑色に輝いていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

緑色の雨が、滴り落ちる。

ダンボールがボロボロになっている傍で、
男が倒れていた。

謎の傭兵・ムネークは、
ダンボールをかぶったままスライムを
やり過ごしていたが、
緑色の雨に身体を蝕まれて、
全身をかきむしりながら、死んでいたー

「かゆい、かゆい」と呟きながらー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

洞穴の中で、
艦長のケネスは、じっと外を見つめていた。

ケネスは、元々特殊部隊の出身で、
とある部隊では体調を務めていたほどの人物でもある。

「---止まないな」
緑色の雨が止まない。

ケイトによれば、短時間なら問題ないものの、
長時間、この雨に人間が当たり続ければ、
確実に人体に悪影響を与えて、
死に至らしめるのだと言う。

「---…」
ふと、ケネスが腕時計を見て首をかしげた。

腕時計の針が猛スピードで回転している。

「--電子機器にも影響を与えるのか。
 この星で、人間が暮らすのは、無理そうだな」

ケネスの言葉にケイトも「えぇ」と返事をした。

ケイトの持っていたデジタル時計も、
もの凄いスピードで、数字が進んでいた…。

一方、洞窟の奥では、
戦闘班のジャックと、日本人スタッフの魅音が
休んでいた。

「--ねぇ…ジャック…」
魅音が甘い声を出す。

「--魅音?どうしたんだ?」
ジャックが笑いながら言うと、
魅音は突然服を脱ぎだした。

魅音は一瞬だけ、”何をしてるんだろう”と
自分の行動を疑問に思った。

しかし、既に体内に入り込んでいる
スライムに、脳を刺激され、
性欲と興奮で魅音は支配されていた。

「ねぇ、わたしを、、抱いて」
そう言って、魅音はジャックを押し倒した

「お、おい!魅音!」
ジャックが言う。

しかし、そんなジャックの口を塞いで、
魅音は優しくキスをした。

「んはっ…」
ちょっとスケベな一面を持つジャックは
そのまま魅音を受け入れた。

そして、ジャックもその気になり、
魅音の脱ぎかけの服を脱がせ始めた。

「んふふっ♡ わたし…なんだか、、ゾクゾクしちゃう…
 自分で、自分を、抑えられない…♡」

普段真面目な魅音のエッチな表情と声に
ジャックは誘惑され、すっかりその気になっていた。

「んはぁ♡ あぁ♡ もっと♡ もっとぉ♡」
魅音が、だらしない格好で、ジャックと身体を
絡めながら、喘ぎ声をあげた。

魅音の身体から、液体が飛び散る。

「はぁ♡ ジャック♡ もっと♡ 
 わたし、、自分を抑えられないよぉ♡」

魅音が顔を真っ赤にして言う。

ジャックは魅音のアソコに、
自分のアレを突っ込もうとして、
ニヤつく。

「--人間、楽しみがなけりゃやってられないもんな」
ジャックが言うと、
魅音が喘いだまま頷いた。

しかしー

「--あぁああああああああああ♡ 
 えへっ♡ えへへへへへへっ♡」

魅音が突然狂ったように喘ぎだすと、
口から、例のスライムのようなものを吐き出した。

性欲が、スライムを増殖させたのだ。

魅音の体内で繁殖したスライムが
魅音の口から吐き出される。

「--ありがとう…我ら、繁殖できたわ…」
魅音は完全に支配された。
魅音の記憶を使いながら、言葉を話すスライム。

「--な、お前!」
裸になっていたジャックは、
慌てて魅音から離れた。

しかし、既に手遅れだった。
大量のスライムが口の中に入り込み、
ジャックは、最初に犠牲になったセルゲイと同じように
”破裂”した。

「---きゃああああ!」

「--!?」
洞窟の奥から魅音の悲鳴が聞こえて
ケネスとケイトが振り返る。

魅音が慌ててこちらに走ってくる。

「ど、洞窟の奥からスライムが…!」
魅音が目に涙を浮かべながら言う。

「な、なんだと!」
狼狽えるケネス。

魅音の背後からスライムたちがやってくる。

ケネスは外を見る。

このままじゃ、死ぬ。
ケネスはそう思った。

ここから、乗ってきたダイダロス号までは
あと10分。

「--おい、魅音、ケイト…
 できる限り、雨に濡れないようにして、
 ダイダロスまで走るぞ!」

ケネスは叫んだ。

ここで死ぬなら賭けに出る。
緑色の雨の中、突破して、
生き延びる方にかける

「--10分も雨に晒されたら」
ケイトが言う。

しかし、他に方法はない。

「いいから走れ!」

ケネスとケイトは洞窟から飛び出した。
魅音も後に続く。

魅音は口元を歪めながらクスクスと笑う

「侵入者…苦しめ・・・!くふふうっふふふ♡」

魅音は嬉しそうに緑色の雨を浴びながら、
ケネスらの後を追うー

なるべく雨を浴びないように、
持っていた酸素マスクをかぶり、
ケネスとケイトは走る。

しかし、魅音は、そのままマスクをつけず、
微笑んでいた。

「どうした?魅音?」
ケネスが言うと、
魅音もしぶしぶとマスクをつける。

ダイダロス号まであと5分ほど。

大量のスライムが周囲を取り囲む。

だが、ケネスは卓越した射撃能力で
スライムを駆逐すると、
ついに、ダイダロス号へ駆け込んだ。

「--トム!」
ケネスが叫ぶ。

「この星はダメだ!離脱だ!」

そう言うと、操縦士のトムが「は、はい!」と叫び、
ダイダロス号を発進させた。

ダイダロス号に残っていた10名ちょっとの
スタッフに事情を説明するケネス。

惑星を見つけて希望に湧いていたクルーたちの
表情に絶望が浮かんだ。

「一度地球に帰還する」
ケネスが言う。

このことを報告し、被害を受けた分の整備や
自身の治療も必要だ。

「--ワープドライブを使って、どのぐらいだ?」
ケネスが問いかけると、
操縦士のトムは「3、4日で地球に到達できます」と答えた。

宇宙船の窓から、ケネスはスライムたちのいた惑星を見つめた。

「---くそっ…」
ケネスはそう呟いた。

ケネスの横では、ブロンド美女のケイトが
かゆそうに身体をかきむしっていた。

「大丈夫か?」
ケネスが問いかけると、ケイトは目を真っ赤に充血させて
「かゆい…かゆい…」とつぶやいた。

魅音は、微笑みながらその様子を見ていた。

「--地球…
 くくく…楽しみ♡」

と、呟いて、魅音は自分の部屋へと向かうのだった。

③へ続く

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地球への帰還…。
乗っ取られたままの魅音の運命は…?

そして、衝撃の結末とは…!
明日をお楽しみに…!

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