近未来ー。
地球に危機が迫っていた。
人類の計算よりも早く、太陽が寿命を終えることが判明し、
人類は、新天地を求めて、宇宙の調査を続けていた。
そしてー、
地球とほぼ同じ条件の惑星を発見したのだった。
SF X TSF 作品!
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太陽の寿命が尽きかけている。
人類は、恐怖の事実を知ってしまった。
何十億年と先だったはずの太陽の最後は
あと数百年のところまで、迫っていたのだ。
今まで人類が知らなかった太陽のとある
特性によって、そのことを知った人類は
急ピッチで”人類の移住先”を探したのだった。
これだけ広い宇宙であれば、
どこかに地球と同じような条件の惑星があっても不思議ではない。
幸い、この時代の科学は既に、
現代とは比較にならないほどに発達していた。
人類は、100を超える調査船を派遣し、
吉報を待ったのだった…。
そのうちの一つ
”ダイダロス号”が、発見した惑星ー。
そこには…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「艦長!」
SF映画で見かける様な宇宙船
”ダイダロス”の艦長に一人の女性が声をかける。
寺崎 魅音(てらさき みおん)。
ダイダロス号に唯一登場している日本人女性だ。
まだ22ながら、
主に生物学を中心とした優れた知識を買われ、
このダイダロス号に乗船しているのだった。
「---惑星の環境はどうだ?」
艦長のケネスが、魅音に声をかける。
「はい。地球とは若干異なる待機成分もありますが、
人類が活動する上では十分すぎる気候であると思われます」
魅音が言うと、
ケネスが、宇宙船の窓から、少し先にある
青い惑星を見つめて微笑んだ。
「そうか…ついに見つけたな。”希望”をー」
ダイダロスをはじめとする100を超える宇宙船は、
特殊なワープ・ドライブ技術により、太陽系の遥か遠くの
惑星を、それぞれ調査していた。
しかしながら、宇宙船を派遣してから30年。
成果を挙げることができず、地球に帰還した宇宙船もあれば、
音信不通になった宇宙船もある。
また、衝撃的なことに
”宇宙人”から攻撃を受け、撃墜された宇宙船もあった。
3年前ー
生物が存在する惑星を発見した”オデッセイ”号は、
地球との交信中に、謎の攻撃を受けて壊滅した。
その翌年、その惑星の調査に、
”プロメテウス”号が派遣されたが、それも撃墜されたため
地球はこの惑星を諦めている。
それから3年ー
ついに、ダイダロスが、新たな希望を見つけたのだった。
「--地球政府へ連絡を」
特殊な光学通信技術によって、
地球から遥か遠くのこの場所からでも、
地球との連絡が可能だ。
「--こちらダイダロス号、
現在、地球と酷似する環境の惑星を発見、
これより、調査に向かう」
艦長のケネスが言う。
惑星周辺からのスキャンにより、
地球と酷似する環境、
つまり、人類が生きていくことのできる環境だと判断された
惑星は”調査”されることになる。
調査内容は、
”惑星へ上陸して1か月間の現地調査”を行うこと。
環境上は生存可能でも、
人類の外敵となる先住種族や、特殊な環境、物質などが
存在する可能性もあり、
現地調査が必要なのだ。
現地調査は主に、惑星を発見した
艦隊のメンバーが行う。
これまでにも、4度、現地調査が行われた惑星があった。
しかし、
一つ目の惑星は、人類を攻撃する猛毒の巨大昆虫が居たため撤退、
2つ目の惑星は、気候の変動が激しすぎるため、人類は生活できなかった。
3つ目の惑星は、謎の「時空のゆらぎ」が発生し、人類がねじり殺されるため、
調査困難となり、撤退した。
4つめの惑星は、時が惑星内で逆流していることが判明し、
調査に入った人間は、赤ん坊まで退行し、消滅してしまった。
そしてー、
この惑星が人類史上、”5番目”の現地調査対象となった。
「--これより、惑星の調査を開始する」
艦長のケネス以下、20名のスタッフが
ダイダロスには乗船している。
ケネスと、副館長のセルゲイ、
エンジニアのレオン、医療スタッフのシンディ、
戦闘要員のジャックとトーマス、
そして、日本人スタッフの魅音、
現地食糧アドバイザーの、ケイト、
素性不明の傭兵・ムネークが
惑星に上陸した。
他のメンバーは宇宙船で待機する。
「--呼吸は、問題ないな」
艦長のケネスが率先して、酸素マスクを取り
安全を確認した。
包容力と人望を併せ持つケネスは、ダイダロスのメンバーにとって
頼れる存在だ。
「---」
戦闘要員のジャックが、銃を構えながら周囲を見渡す。
無口だが、頼れる存在だ。
「--ここが人類の次の故郷になるといいですね」
医療スタッフのシンディが言う。
彼女は、優しそうな雰囲気の25歳の女性だ。
「--そうね」
ケイトが笑う。28歳のブロンドの美女だ。
「な、何もないことを祈るばかりだよ」
エンジニアのレオンが笑う。
気が弱いが、コンピューターの知識は神レベルだ。
最後尾には、トーマス。
”暴走機関車トーマス”の異名を持ち、
まるで機関車のように、相手を蹴散らす、狂犬のような男だ。
数時間後。
虫や小動物が何体か見受けられたが、
特に、問題はなさそうだ。
「……今のところ、脅威はなさそうだな」
副艦長のセルゲイが言う。
素性不明の傭兵・ムネークは
ダンボールを被って、何かをしている。
他の隊員たちは首をかしげたが、
相手にしないことにした。
その時だったー
ガサッ…!
「---なんだ!?」
スライムのような物体が草むらから姿を現した。
「---生き物のようだな」
艦長のケネスが銃を構え、
戦闘担当のジャックとトーマスも銃を構えている。
「---地球では、見かけない生き物ですね」
シンディが言うと、
レオンもうなずいた。
「昔よくみた映画だとさ、こういうスライムみたいなのが
急に襲い掛かって来たりするんだよな」
レオンが冗談を言うが、
他の男たちは、スライムのような物体を注視し、
相手にしていない。
魅音も、そのスライムのような生き物を凝視している。
「---まぁ、地球で見かけない生き物が
いるのは当たり前だろうからな。
問題は人間にとって害があるのか、ないのか、それだけだ」
戦闘班のジャックがスライムから銃を逸らそうとした
その時だった。
”ド ソ ク デ ワ レ ラ ノ ホ シ ニ フ ミ イ ル ト ハ”
不気味な声がした。
「--!?」
艦長のケネスがスライムの方を見る。
スライムは、瞬時に、ケネスらの会話から、
言語を身に着けたようだ。
スライムのような物体に目のような赤い物体が
現れて、光った。
”ハ イ ジ ョ ス ル
「ーーー動くな!」
ケネスが叫ぶが、
スライムは警告を無視して人間たちの方に向かってきた。
「う、撃て!」
艦長のケネス、副館長のセルゲイ、
戦闘班のジャックとトーマスが一斉に銃を放った。
しかし、スライムがジャンプすると、
セルゲイの口を無理やりこじ開けてその中に侵入した。
「うっ…うぇっ…!」
セルゲイが苦しそうにもがき始める
「お…おい!」
艦長のケネスが声をあげる。
次の瞬間、セルゲイの身体が、風船のように膨張し始めた。
「きゃああああ!」
医療スタッフのシンディや日本人の魅音が悲鳴をあげる。
そしてー
セルゲイは膨張を続けて”破裂”した。
中からスライムが出てくる。
“コ ノ カ ラ ダ ハ ダ メ ダ”
そう呟くと、
今度は医療スタッフのシンディの口に飛び込んだ。
「あっ・・ああああ」
シンディもセルゲイと同じようにもがき始める。
そしてー
ニヤッと笑った。
「メスはーー適合できる」
シンディが不気味な笑みを浮かべると、
破裂したセルゲイの持っていた銃を掴み、
それを乱射し始めた。
「ーーあははははははははは!」
スライムに支配されて、豹変したシンディを見て
一同は驚く。
さらに、セルゲイを破裂させ、シンディを乗っ取ったスライムの
ようなやつらが、周囲に集まり始めていた。
「--この星は我々の星だ!」
シンディが叫ぶ。
「あそこに逃げ込め!」
艦長のケネスが叫ぶ。
近くに洞窟のようなほら穴の入り口があった。
「ーーーは、早く!」
日本人の魅音も、エンジニアのレオンに
促されて、仲間と共に洞窟の中に逃げ込んだ。
洞窟の外から”逃げても無駄よ”と
シンディの声が聞こえる。
「ーークソッ、どういうことなんだ?」
戦闘班のジャックが言うと、
アドバイザーのケイトが言う。
「--この星の生命体ね…
一瞬で私たち人間の言語を理解して、
しかも身体を乗っ取った。
恐るべき存在だわ」
もしも、あのスライムのようなものが
この星にいるのであれば、
ここは人間の住める場所じゃない
「--撤収だ」
艦長のケネスが言う。
「--で、でも、シンディさんは?」
魅音が言うと、
ケネスは首を振った。
「---駄目だ。これ以上の犠牲は出せない。
ダイダロス号に戻り、この惑星から脱出する」
ケネスはそう言いながら周囲を見回す。
ムネークの姿が見当たらない。
ダンボールを被ったまま、
外に取り残されているのだろうか?
「--とにかく移動だ」
ケネスの言葉に、残るメンバーはうなずく。
洞窟を進むと、
別の出口が見つかった。
ジャックとトーマスが出口の安全を確認し、
エンジニアのレオンが自分たちの座標を分析した。
「ここから歩いて30分で、
ダイダロス号の停泊地点です」
「--そうか」
ケネスはそう言いながらも、
周囲の警戒を怠らない。
セルゲイが破裂し、
シンディが乗っ取られた。
これは、何を意味するのだろうか。
”メスは適合できる”
シンディはそう言った。
あのスライムは男には、適合できないのか?
色々考えながら進んでいると、
声が聞こえた。
「--た、助けて!」
声のした方向を見ると、
そこには、苦しそうにしゃがみこんでいる
シンディの姿があった。
「ーーみ、、みんな、助けて!」
可愛らしい容姿のシンディの表情は、
恐怖で歪んでいた。
「---」
艦長のケネスは冷静だった。
シンディはスライムに乗っ取られている。
ならばー
これも罠だろう。
しかしー
「---シンディちゃん!」
エンジニアのレオンは、シンディに好意を
抱いていた。
真っ先にシンディの方に駆け寄る。
「あ、おい!待て!」
他のメンバーの制止も聞かず、
レオンはシンディの近くに行くと、
「大丈夫かい?」と声をかけた。
シンディは、笑った。
「ーーお馬鹿さん」と。
大口を開くと、
中から触手のようなものが出てきて、
エンジニアのレオンの顔面を”破壊”した。
「ーーーひっ!」
ブロンド美女のケイトがそれを見て叫ぶ。
「---構うな!行くぞ!」
艦長のケネスが、不気味に笑うシンディと
目を合せないようにして、走り出した。
艦長のケネス、
戦闘班のジャックとトーマス、
アドバイザーのケイト。
残っているのは4人ー。
4人と一緒に走る魅音はー、
口元を不気味に歪めながら微笑んだ。
「わたしも、、乗っ取られちゃった…うふふ♡」
いつの間にか、日本人の魅音も、
スライムに体内に侵入され、支配されていた。
4人と共に走りながら、
これから起こることを想像して、
魅音は興奮するのだった…
②へ続く
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コメント
SF風作品です!
導入部分に時間がかかりました笑
明日からはスライムの恐怖を堪能できる…かもしれません!
コメント
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オデッセイとプロメテウス……
どこかで聞いた名前ですねぇ(・ω・)
そして暴走機関車トーマスwww
魅音さんもどうなるか楽しみですねぇ
SECRET: 0
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> オデッセイとプロメテウス……
> どこかで聞いた名前ですねぇ(・ω・)
>
> そして暴走機関車トーマスwww
>
> 魅音さんもどうなるか楽しみですねぇ
ありがとうございます~
トーマスは…ネタ枠ですネ~
SECRET: 1
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まだ小説だと何とか読めるが、どうも映像だとグロ耐性ゼロの俺には見れない。
マアジブンガノットルホウナラベツダガ
おっと俺のどす黒いモノが、失礼
そう言えば実際の所は100億年後、膨張した太陽が地球を飲み込むようです。
あと宇宙人ってのは必ずいないとは言えないと思うから、もし人類が宇宙探索を始めると慎重にしないといけませんね
ヒョウイスルヤッカイナヤツガイルカモシレナイシナ