<TSF>リアルデュエリストVOl21 ~終焉~

カードが現実化する力
”リアル”の力ー。

その力をこの世界に持ち込んだ、別次元の人間・アデン。

妹をリアルの力でプチモスにされてしまった青年は、
リアルの力の根源であるアデンと対決することに。

しかし…

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アデン・コーポレーションの屋上。
街のネオンが光り輝く中、
月に向かって、アデンは、ワイングラスを乾杯した。

「---いい眺めだよ」
アデンは笑う。

薄幸の美少女が、拷問車輪にくくりつけられて
とても苦しそうな表情を浮かべている。

リアルの力で、薄幸の美少女に変えられてしまった遊地。

そして、リアルの力で発現した「拷問車輪」。

もう、遊地に逃れることはできなかった。

「--こうして、自信満々に私に挑んできた
 デュエリストを返り討ちにする。
 至福の時間だ」

もう遊地は何もできない。
そう考えたアデンは、余裕の表情で語る。

「--ねぇ、遊地!負けないで!!」
人質にされていた遊地の幼馴染、百恵が叫ぶ。

百恵の叫びに、薄幸の美少女の姿にされてしまった
遊地は、なんとか拷問車輪による拘束を解こうとするも、
それは、無駄な努力だった。

もう、自力で脱出することもできないー。
そして、両手両足を拘束されている以上、
カードを使うこともできない。

「---私の周囲をコソコソと嗅ぎまわっていた罪は重いぞ。
 …懺悔の用意はできているか?」

アデンが笑いながら言う。

「--何故…
 なぜ、この世界に、リアル・デュエリストなどという
 力を持ちこんだんだ?」

可愛い美少女の声のまま遊地が言う。

「--なぜ、世界を混乱させる!?
 俺たちの世界に、何の恨みがある?」

遊地は、異世界から、アデンがこの世界に
わざわざやってきて、リアルデュエリストの力を
この世界にもたらし、世界を混乱させる意図が、
どうしても理解できなかった。

どうして、どうして、そんなことをするのか、と。

「---私の世界を…救うためだ」
アデンは呟いた。

「”ワールド・リバース プロジェクト”

 この世界の人間たちに、
 私の持つ魔力を分け与え、
 リアルデュエリストをこの世界に誕生させ、
 
 強きリアルデュエリストの力を集めることで、
 異世界の扉を開き、一斉に死者蘇生のカードを
 使うことで、力を限界まで高め、
 私の世界を復活させるー。

 それが目的だ。

 君たちの世界を侵略するのが、目的ではない」

アデンの目は悲しそうだった。

「な…何を言ってるんだ!
 まるで意味が分からない!」
現実離れした言葉に、遊地は疑問の言葉を口にする。

しかしー、それを無視して、アデンは言葉を続ける。

「だが、私には誤算があった。
 それはー
 それは、この世界の人間たちも、所詮は私の世界の
 人間たちと同じだった!

 私利私欲に溢れ、リアルの力を使い、
 今、世の中は混乱している!

 そう!私の計画は失敗したんだ!」

アデンが叫ぶと、
遊地は言った。

「--そんなこと、知るかよ」

遊地の言葉に、アデンは少しだけ微笑んだ。

「だから、計画を変えた」
アデンが笑いながら言う。

「--私の世界を復活させることは
 できなかった。

 だが、私の最愛のサラを復活
 させることはできる!

 私はこの世界のリアルデュエリストたちを
 次々と葬り、エナジーを集めて、
 ついにサラのカードを作り出した!」

そう叫ぶと、アデンは、サラの姿になってしまった
百恵を見つめる。

「あぁ…サラ…」
アデンの目は正気を失っている。

「サラ、もうすぐだよ…
 もうすぐ…君と私は再び結ばれる」

アデンの言葉に、サラの姿になった百恵が叫ぶ

「わたしはサラなんかじゃない!
 姿を変えられても、心はわたしのまま!
 わたしは、サラになんかならない!」

百恵が叫ぶと、
アデンはおかしそうに笑い続けた。

そして”洗脳ブレインコントロール”のカードを取り出す。

「このカードで仕上げだ。
 姿をサラにして、洗脳すればーー
 完全なるサラの復活だ」

アデンが低い声で、脅すように言った。

「---バカかお前は!」
美少女の声が響き渡る。

薄幸の美少女にされてしまった遊地だ。

「--姿をあんたの大切な人にしても、
 洗脳して、その人そっくりにしても、
 それはあんたが大事にしている女性とは別人だ!」

遊地の叫びに、アデンが動揺する

「--う、、うるさい!黙れ!わたしは、私は!」
アデンが狼狽した様子で、
遊地の方に近づいてくる。

そしてー
カードをかざした。

”斬首の美女”というモンスターカードだ。

アデンは自分にそのカードをかざし、
斬首の美女の姿になった。

「ふふふ…遊地くん、だったか。
 先に君を”斬首”してあげよう」

冷たい目をした女性になったアデンは、
斬首のために、遊地に近づく。

「くっ・・・」
拷問車輪に縛られた遊地には、もはや何も、できない。

斬首するための刀をペロリとなめる斬首の美女に
なったアデン。

「ーーーきみを消したら、
 私はサラにプロポーズするんだ…
 くふふふふふ、ひひひひひひ!」

アデンは、刃を振り上げた。

薄幸の美少女の姿のままの遊地は
目をつぶった。

もう、終わりだと。

結局、妹をプチモスに変えた
リアルデュエリストを見つけることはできなかった。

リアルの力を持ちこんだアデンと対峙すれば、
何か解決の糸口が見つかるかもと期待したが、
そんなこともなかった。

これで、終わりだー。

何も、かもー。

その時だった。

突然、周囲に激しい突風が吹き荒れた。

高層ビルの屋上。
アデンは必死に吹き飛ばされないように耐える。

斬首の美女のカードが吹き飛び、
距離が離れたため、アデンが元の姿に戻る。

そしてー

「----!!」
アデンが前を見ると、薄幸の美少女=遊地が目の前にいた。

「な、、なに!?拷問車輪は…?」

拷問車輪が消えている。
アデンは、狼狽えた。

どうして?

「--終わりだ!」
遊地が叫んだ。

「悪夢の鉄檻!」

檻が現れてアデンがその中に閉じ込められる。

アデンは慌ててカードを引こうとしたが、
先ほどの突風で、カードは吹き飛ばされていた。

「---き、、貴様…」
アデンは睨んだ。

遊地ではなくーー
人質にしていたはずの百恵を。

「貴様も、リアルデュエリストだったのか…」
アデンが言うと、
百恵は微笑んだ。

「--うん…
 怖い力だから、ずっと隠してたけど」

遊地の方を見る百恵。

遊地もまた、元の姿に戻っていた。

薄幸の美少女のカードと、
アデンの最愛の彼女・サラのカードも
先ほどの突風に吹き飛ばされたため、
効力を失っていた。

「--ハリケーンのカードを発動したの」

百恵の言葉に、アデンは首を振る。

「くそっ…」

リアルの力は、既にアデンの手から離れて
この世界に拡散している。
身近にリアルデュリストが居ると、その人間も
リアルの力に目覚めることがある。

「--なぁ、俺の妹をもとに戻す方法を、教えてくれ」
遊地が言うと、
アデンは笑った。

「私は確かに、リアルの力をこの世界に持ち込んだ。
 だがなー、
 それだけだ…

 この力を消すこともできないし、
 他のリアルデュエリストによってもたらされたことは
 私にはどうにもできない」

アデンの言葉に、遊地はため息をついた。

予想はしていた。

だが、リアルの力をこの世界に持ち込んだ
アデンなら、リアルの力全体を
コントロールできるのではないかと思っていたのだ。

その希望が今、失われた。

やはり、妹の晏奈をプチモスに変えたデュエリストを
自力で見つけ出さなくてはならない。

「---もう終わりだ」
アデンは呟いた。

その顔はどこか、晴れやかだった。

「---サラ、今、きみのところに行くよ…」

そう呟くと、アデンは隠し持っていた
「奈落の落とし穴」のカードを発動した。

アデンの足元に、落とし穴が現れる。

「--お、おい!」
遊地が叫んだが、
アデンはニヤリと笑って呟いた。

「--わたしはもう疲れた。
 あの世でサラと再会するよー。

 後は君たちの好きにしたまえ」

遊地は思う。
何て自分勝手なやつだと。

リアルの力をこの世に持ち込んでおきながら、
自分の目的が達成できないと知るや否や、
自ら命を絶つなんてー。

「---さらばだ少年」

落とし穴が完成し、アデンは転落した。

「---サラぁあああああああ!
 やっと会えるぞ!あああはははははははははぁあ~」

やがて、アデンは”奈落”へと転落し、
この世から消滅した。

「--くそっ…」
遊地は呟く。

「--遊地」
百恵が寂しそうに、遊地の方を見つめた…。

リアル力を持ちこんだアデンが消滅した。
と、なればもう、晏奈をプチモスにした
デュエリストは、自分の手で
見つけ出すしかない。

屋上からネオン輝く夜の街を見つけて、
遊地は呟いた。

「必ずー。
 必ず見つけてやるー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

夜の部屋で、彼女は微笑んでいた。
”遊地とはいい関係になってきている”

遊地にとって頼れるのは”わたし”だけ。
孤独な遊地の心の扉を開けるのはわたしだけ。

遊地の幼馴染ー
百恵の部屋には、何枚かの遊地の写真が
飾られていた。

そしてー。

”スリーブに入ったプチモスのカード”も。

遊地は妹の晏奈ととても仲が良かった。
遊地のことが好きな、百恵は正直、嫉妬した。

だからー
”邪魔な妹”を消してやったー
プチモスにしてやった。

「---ふふふ…」
百恵は微笑んだ。

「遊地くんは、わたしのものなんだからー」

と。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

リアルデュエリストの力を持ち込んだ
創始者は倒されましたが、
既に、この世界にはリアルの力がいっぱい!

リアルデュエリストはまだまだ続くようです。

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    リクエストです、美人だけど性格がわるくてモテない人がモテるブスと入れ替わってモテようとする。しかし、美人になったブスは美貌を生かしてさらにモテるようになる。そこに元ブスがあなたがモテなかったのは性格が悪かったからよ、こんな素敵な体をありがとねとなげかけるダークな入れ替わりがみたいです、お願いします。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > リクエストです、美人だけど性格がわるくてモテない人がモテるブスと入れ替わってモテようとする。しかし、美人になったブスは美貌を生かしてさらにモテるようになる。そこに元ブスがあなたがモテなかったのは性格が悪かったからよ、こんな素敵な体をありがとねとなげかけるダークな入れ替わりがみたいです、お願いします。

    ありがとうございます~☆
    時間はかかりますが、気長にお待ちください~!