<TSF>リアルデュエリストVOl20 ~絶望~

カードを現実化させる力”リアルの力”

その力によって妹を奪われた青年は、
復讐の機会をうかがっていた。

この世界に、その力を持ちこんだ男への復讐ー。

決戦の時は来たー。

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リアルの力を持ちこんだ男・アデンは、
とあるカードを見つめていたー。

そのカードに描かれた美女は、
元々彼が居た世界での彼女・サラー。

アデンは、別次元から来た人間だ。

この世界にリアルの力を持ちこみ、
強き人間の意思を集め、
生み出されたエネルギーから、自分の元の世界を
復活させようと言う計画だった。

しかしー
計画は失敗した。

この世界の人間も、自分の故郷と同じように
”リアル・デュエリスト”の力に飲み込まれ、
欲望に駆られ、崩壊へ進もうとしている。

アデンの故郷がそうであったように。

ならば、せめてー。

アデンは、各地で、リアルデュエリストの能力に
目覚めたものたちにデュエルを挑んでは勝利、
その生命エネルギーを吸収していた。

全てはー
アデンの最愛の彼女、”サラ”を復活させるためー。

「---そろそろ、私が動くときだ」
アデンは、不気味にほほ笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ごく普通の一軒家。
そこに、20代前後の若き青年が居た。

彼の名前は、
藤木 遊地(ふじき ゆうじ)。

遊地は、虫かごに入った
一匹の芋虫を見つめる。

プチモス、と呼ばれる小さな昆虫だ。

しかしー
このプチモスは、ただのプチモスではない。

遊地の妹なのだ。

妹の、晏奈(あんな)は、
あの日、いつものように出かけて行った。

がー、
リアルデュエリストの力を持つ何者かの力により、
”プチモス”の姿に変えられてしまったのだった。

あれから2年ー。
妹はずっとプチモスの姿のままだー。

妹がプチモスになってしまった後、
遊地は、リアルデュエリストと呼ばれるものについて、
必死で調べた。
ありとあらゆる情報を集めた。

そして、分かったことがいくつもあるー。

リアルデュエリストの効力はカードを発動した
人物が、カードの効果を受けた人物から
一定距離離れると、その効果は消える。

つまり、妹をプチモスの姿に変えたやつは、
ある程度近くにいるー

あるいはー、
原理は分からないが、カードをスリーブに入れると、
どんなに距離が離れても効果が持続するー。
だから、妹をプチモスに変えた犯人は、もう近くには
いないかもしれない。

そして、もう一つー。
この世にリアルデュエリストの力を持ちこんだのは、
”別次元”からやってきた謎の男・アデンという人物。
この世界にやってきてからは
総合科学技術研究を謳う会社、
アデン・コーポレーションという会社を立ち上げて
謎の研究を行っているらしい。

遊地は思う。
プチモスになってしまった妹を、救うためにはー。

・・・・・・・・・・・・・・・

「--まだ、妹さんのために、無理してるの?」

夕方ー。
幼馴染の、百恵(ももえ)と散歩をしながら
遊地は話していた。

妹を失い、両親を交通事故で無くしている
遊地は、20代前半にして、孤独の身だった。

今では、この百恵ぐらいだろうか。
日常的に話をする人間は。

「--あぁ。俺は諦めない」

遊地は、プチモスになってしまった妹を助けるため、
この2年間、必死に戦ってきた。

リアルの力も、強引に習得した。

妹をプチモスに変えた犯人を見つけ出し、
この手で、裁き、妹を助けるためにー。

だが、手がかりがない以上ー。

「--俺、近いうちに、
 アデン・コーポレーションのアデンに会うよ」

遊地は言った。

”この世にリアルの力持ちこんだ男”
そのアデンの目的は、分からない。

だが、会って話をすれば、
何か手がかりがつかめるかも、しれないー。

「--遊地、あなたのライフはもう0よ。
 目に見えて疲れてる・・・。もうやめたほうがいいよ」
百恵の言葉に、遊地は首を振る。

「それでも、俺は戦わなければならない」

「気をつけて…」
百恵が心配そうに遊地を見つめた。

「ああ、心配すんな。 
 カードが現実化するなんてこと、
 あってはいけないんだ・・・

 俺みたいなヤツが2度と現れないように
 するためにも、俺はアデンとかいうやつと
 話をつける」

世の中にはー
多数のリアルデュエリストが居る。

そのほとんどが、欲望に溺れて、
その力を使い、自分の身を滅ぼしたり、
あるいは、周囲の人間を傷つけたりするー。

「--もう、終りにするんだ。こんな世界」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

幼馴染の百恵から連絡があった。

「もしもし?」
遊地がいつものように電話に出ると、
男の声がした。

「---君がわたしの周辺を探っている
 青年か?」

その男の声は、丁寧さの裏に、過激さを
兼ね備えているかのような、不気味な声だった。

「----あんたは?百恵はどうした?」
遊地が言うと、男は笑った。

「私はアデンー。
 リアルの力をこの世に持ち込んだものだ。

 そして、君の幼馴染は私が預かっている」

アデンはそう答えた。

「なんだと?」
遊地が叫ぶと、
アデンは言った。

「私の周辺をこそこそ探っているのは君だろう?
 この際だからこちらから挨拶をしてあげようと思ってね。

 1時間後。
 我がアデンコーポレーションの屋上で待っているよ」

そう言うと、連絡は切れた。

「アデン…」
遊地はスマホを握りしめた。

そして、部屋の隅にいる芋虫ー
プチモスを見つめた。

妹の晏奈ー。

「--絶対に、お前をもとに戻して見せる」
遊地はそう言うと、
アデンコーポレーションの建物に向かって走り始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ネオンが街を照らすー

彼は、夜景を高いところから見るのが、
好きだった。

「--私の世界にも、
 こんな風景が広がっていたー」

アデンは一枚のカードを手にする。
滅んでしまったアデンの世界での彼女ー
”サラ”のカード。

彼は、サラのカードに、
この世界のデュエリストから吸収したエナジーを注ぎ込み、
サラをリアル化させることで
復活させようとしていた。

他のモンスターカードと同じようにー
サラのカードを誰かにかざせばー
その人間はサラになるー。

その上で洗脳ブレインコントロールのカードを発動し、
サラに仕立ててしまえばー

最愛のサラは、アデンの前に蘇えるー

「---お前がアデンか!」
背後から遊地の声がした。

アデンは振り返る。

「そうだー」

アデンの横には、遊地の幼馴染である
百恵の姿があった。

「貴様ぁ!百恵を離せ!」
遊地は叫ぶ。

アデンは笑った。

そしてー

「--ついに時は満ちた。
 君たちの世界のデュエリストから
 エネルギーを吸収して、
 1枚のカードを生み出した」

アデンが語る。

「ーーカードを勝手に作り出した、だと?」
遊地が言うと、
アデンは笑う。

「そうーー、サラだ。
 私の最愛のサラのカードを作り出したのだ。

 そしてーーー」

アデンは、百恵にそのカードをかざした。

「あっ…あっ…い、、いやあああああああっ!」
百恵が悲鳴をあげながら別の女性の
姿に変わっていく。

大人の魅力があふれる、サラの姿に。

「おぉ、、サラ!」
アデンが歪んだ表情で、
蘇えった最愛の女性に近づく。

しかしー

「わ、、わたしをこんな姿にして、どうするの!?」
縛られている百恵が言う。

アデンは口元を三日月に歪めた。

「--私の最愛のサラの復活。
 第1ステップは、姿ー
 そして、第2ステップはーー」

アデンが笑いながら
「洗脳ブレインコントロール」のカードをかざそうとした。

「--おい!デュエルしろよ!」
遊地が叫んだ。

アデンが手を止める。

「ほぅ。私にリアル・デュエルを挑むつもりか?
 私を誰だと思っている?」

そうは言いながらも、アデンは
デッキを手にして微笑んだ。

「いいだろうー。
 我が最愛のサラ、復活前の前祝だ。」

眼下に見える街のネオンが輝く。

近くのビルからの光が、遊地とアデンのいるビルにも
差し込むー。

「--その前に」
アデンが口を開いた。

「--君、なかなか良い体格してるじゃないか。
 もしも急に、カードではなく、実力コースで
 私に殴りかかってこられるととても困る。

 だからー、デュエルの前に、
 君を女体化させてもらうよ」

そう言うと、アデンは有無を言わさず、
「薄幸の美少女」のカードを遊地にかざした。

遊地はみるみるうちに
薄幸そうな美少女になってしまった。

「く、、くそっ!」
遊地が叫ぶ。
可愛らしい声でー。

「--これで君が暴力で私を倒すことは
 できなくなったー。
 勝敗を決するのは、デュエルのみだ。

 私が憎いか?
 私を殺したいのならば、カードで殺せ」

アデンがほほ笑む。

薄幸の美少女になった遊地は、
立ち上がって言った。

「--俺からも一つ条件がある」

可愛らしい声の少女姿で、遊地は言う。

「--お前のデッキには”この世界には存在しない”
 超強力カードが入っているはずだ。
 今までのお前のデュエルで、お前が何度か使っているのを見た」

遊地は情報収集しながら、
リアルデュエルの位置情報をも確認し、
リアルデュエリスト同士のデュエルを監視していた。

その中で、アデンが超反則クラスのカードを使い、
相手を葬っていることも、遊地は当然知っていた。

「---この世界に存在するカードだけで、デュエルしてもらおう」
遊地が言うと、
アデンは一瞬考えた。

「--・・・どうしたんだよ!?俺と同じルールで戦うのが怖いのか?」
美少女の姿になった遊地が言う。

「インチキデュエルでしか、俺に勝てないのか?」

その挑発にも似た言葉に対して、アデンは反応した。

「くくく・・・よかろう。」
そういうと、アデンはデッキから十枚ほどのカードを見せて
それをビルの屋上から投げ捨てた。

そして、別のカードを10枚補充する

「これで、私と君はフェアだ。
 さぁ、始めようか」

アデンがデュエル・ディスクを構えると、
遊地も美少女姿のままアデンを睨んだ。

「現実決闘!(リアル・デュエル)」
二人が叫び、リアルデュエルが始まった。

リアルデュエルにルールなどない。

相手を叩き潰すのみ。

「負けないで!」
サラの姿にされてしまった百恵が叫ぶ

「ああ、大丈夫だ!俺は負けない!」
百恵のほうに向かって笑うと、
続けてアデンの方を見て、睨んだ。

「--俺は妹を取り戻す!」
遊地はプチモスにされてしまった妹を
想いながら叫んだ。

そしてー

「ファイアーボール発動!」
遊地が先にカードを発動した。

一瞬、驚いた表情を浮かべるアデン。

そしてー
火の玉がアデンに直撃した。

遊地は手を緩めず
さらにカードを発動した!

「デスメテオ!」
隕石がアデンに降り注ぐ。

「サンダーボルト!」
上空から大轟音で稲妻が落ち、アデンに直撃する

「-千本ナイフ!」
大量のナイフがアデンを襲い、

「--ご隠居の猛毒薬!」

遊地のデッキは、リアルデュエル専用に
くみ上げられていた。
妹のプチモス化に関わる人物に対峙したときに、
一気に相手を仕留めるためにー。

「--仕上げだ!万能地雷グレイモヤ!」

そのカードを発動すると、
目を見開いたアデンが爆風に包まれた。

「--ーー百恵!大丈夫か!」
アデンを倒した遊地は百恵のほうに向かう。

百恵は、アデンの最愛の女性・サラの姿に
されてしまっていたが、
アデンを倒した今、サラとやらのカードを
破棄すれば、百恵を元に戻すことができる

「--言ったろ?俺は負けないって・・・」
遊地が微笑むと、
百恵が「あっ!」と叫んだ。

遊地が背後を振り向くと、
ボロボロになりながらも笑っているアデンの姿があった。

「--これしきの痛み…私はいくらでも耐えられる!
 痛みは快楽だ!ふへへへへへ!」

笑うアデン。
薄幸の美少女の姿にされたままの遊地は慌てて
次のカードを引こうとする。

しかしー。

それよりも早く、アデンがカードを発動した。

「---拷問車輪」

遊地が出現した車輪に縛り付けられる。

「ぐああああああっ!」
可愛い声で叫ぶ遊地。

「少女を拷問車輪にかけるのは
 私の趣味ではないがー。」

アデンはそう言いながら微笑んだ。

「少年よ、これが絶望だー」

と。

Vol21へ続くー

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コメント

前後編です!
続きは来週の火曜日に!

TSF要素が少し少ないですが、
次回には…笑

リアルの力を持ち込んだ男に
勝つことはできるのでしょうか。

憑依<リアルデュエリスト>
憑依空間NEO

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