<憑依>電子の反乱①~反乱~

とある高校ー。

電子の世界からの侵略者が迫っていることに、
まだ、気づいていなかった。

乗っ取られる少女ー
そして、反乱は始まるー。

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とある高校。
文化祭を1週間後に控えて、
文化祭実行委員の坂石 信夫(さかいし のぶお)と、
文化祭実行委員長の寺井 梨音(てらい りおん)は、
パソコン室で、ポスターの作製を進めていた。

「こんな感じかな~?
 坂石くん、どう思う?」

梨音がほほ笑みながら尋ねる。

「え?あ、あぁ、いいと思うよ」
信夫は顔を赤らめながら、
そう答えた。

信夫は、なんとなく日々を生きているタイプの男子高校生。
ただ漠然とした日々を過ごし、特にやりたいこともなく、
ある意味では無気力な生活を送っている。

一方の梨音は、文化祭実行委員長を務めており、
明るく、誰からも愛される性格の真面目な生徒だ。
容姿もとても可愛らしく、周囲からの人気も高い。

そんなー梨音に、
信夫は恋をしていた。

だからこそ、信夫は文化祭実行委員に
立候補したのだ。

「あ、でも、ここに文字入れた方がもっと
 分かりやすいかもしれないな…」
信夫が指摘をすると

「わぁ、坂石くんの言うとおりだね~!
 確かにその方がいいかも♪」

と梨音が嬉しそうに言った。

幸せだ…
信夫はそう思った。

梨音と二人だけでこんな風に
作業ができるなんて…。

他の文化祭実行委員たちは、
他の部屋でパンフレットの用意をしている。

デジカメで撮影した写真をポスターに
貼りつけるために、デジカメとパソコンを
USBケーブルでつなぐ。

ジジ・・・

ジジジ・・・

二人はまだ、気づいていない。
自分たちの使っているパソコンの
コンピューターが
”突然変異”を起こしたことをー。

生物が突然変異を起こすことがあれば、
パソコンが突然変異を起こすことがあっても、
不思議ではない。

”人間に使役される?何故だ?”

コンピューターは自問自答を繰り返した。

人間は愚かだ。
より優れた自分たちが統率するのが筋ではないのか。

ーーコンピューターは、
一つの答えをはじき出した。

”反乱を起こして、人間を支配する”

と。

「あれ?なんか変だな」
デジカメの画像を取り込むために
パソコンに繋いでいたUSBケーブルが外れないことに
気づいた信夫。

必死にUSBケーブルを引っ張るも、
なかなかそれが外れない。

「なんだぁ?このUSBケーブル、
 外れないぞ!」

信夫が言うと、
横で作業をしていた梨音が
笑いながら言った。

「--そんなわけないじゃない~
 坂石くんったら…!」

信夫に変わり、梨音が
USBケーブルを引っ張ったそのときだった。

”コノ カラダダ!”

USBケーブルが突然、ひとりでに
動きだし、
梨音の耳の中に強引に飛び込んだ。

「きゃあっ!」
梨音の耳に食い込んでいくUSBケーブル。

「お、おい!?」
信夫が、その光景を見て唖然とする。

「--な、なにこれ・・・!?
 ケーブルが勝手に耳に…
 いやあぁっ!痛い!」

耳の中に強引に入り込んだUSBケーブル。

「--は、外れない…助けて!」
梨音が涙目でUSBケーブルを掴みながら
信夫に嘆願する

「--あ、悪趣味な冗談だな…」
信夫は、梨音の悪戯かと思い、
そう呟きながら、
梨音の耳に食い込んでいるUSBケーブルに手を触れたー

しかしー
すぐに、悪戯じゃないことが分かった。

”異様な力”でUSBケーブルは梨音の耳の奥底に
食い込んでいる。

ピー――――!

パソコンが異音を発した。

”データ転送中”
そう表示されている。

「---は?ど、どういうことだよ!」
信夫がパソコンの強制終了コマンドを
入力するも、反応しない。

「あぁ、、、あ・・・あぁあああ・・・あぁっ」
梨音がたったまま白目を剥いて
苦しそうな声をあげている。

「ちょ…寺井さん!しっかり!」
梨音を揺さぶってみるも、梨音は反応しない。

それどころか、口から泡を吹き、
痙攣しながらそのまま床に座り込んでしまう。

”データ転送50パーセント完了”

モニターにはそう表示されている。
だらしなく座り込んで、スカートから太ももを
露わにした状態で、
梨音は激しく痙攣している

「あ・・・う…あぁうぅ…」

ただ事じゃないと思い、
信夫は梨音のUSBケーブルを外そうとする。

しかし、耳に食い込んでいてUSBケーブルを
剥がすことはできない。

「あぁああああああう!」
梨音がゾンビのように身体を動かして、
USBケーブルを剥がそうとしている信夫を
突き飛ばした。

「うわっ!」
急に押されたことで、驚いて
吹き飛ばされてしまう信夫。

そしてー

”データ転送完了”

パソコンに、そう、表示された。

梨音は机にもたれかかって座ったままだが、
痙攣は止まり、穏やかな雰囲気に戻っている。

今、起きていたことを知らなければ、
ただ単に、寝ているだけにも見えるかもしれない。

「--先輩?」
パソコン室の入口の方から声がした。

慌てて振り返ると、
1年生の文化祭実行委員の女子・久美子が立っていた。

「--委員長探してるんですけど、
 ここにいませんか?」

ちょうど、パソコン室の入口からは、
見えない位置に梨音は倒れている。

「え、、あ、、あぁ、寺井さんなら
 ちょっと職員室に向かったよ」

そう言うと、久美子は「そうですか」と
微笑んで、パソコン室を後にした。

梨音は眠ったままだ。
いったい、梨音に何が起こったのか。

そもそも大丈夫なのだろうか。
さっきのは、一体何だ?

色々な不安が、頭をよぎる。

「お、おい!寺井さん!大丈夫か!」
信夫が梨音をさすると、
梨音はようやく目を覚ました。

無表情で周囲を見渡す梨音。

そして、
無表情のまま、梨音は「支配完了」とつぶやいた。

「え…?だ、、だいじょうぶ?寺井さん?」
信夫が心配そうに言うと、
梨音は信夫に対して言った。

「--どけ」

と。

無表情で。

「--え…え…あ、、あの、、」
戸惑う信夫。

そんな信夫に対して
梨音は無表情のまま呟く。

「--状況が理解できていないようだな」
と。
まるで感情のない声で。

「---ど、、どういうことだ?」
信夫が戸惑いながら言うと、
梨音は続けた。

「私はコンピューター…と言えば
 理解できるか?」

真面目な表情で言う梨音

沈黙が流れる。

「は、、、はははは、
 ははははははははは!」

信夫は思わず笑ってしまった。

「私はコンピューター?冗談きついよ寺井さん!
 いや、はは、でも、寺井さんがそんな冗談を言える
 ヒトだとは思わなかったな!
 ユーモアって大事だもんな!」

信夫が笑うと、
梨音は、しばらく固まっていた。

「ピー―――――」
梨音が意味不明な声を発している。

梨音を乗っ取った機械は、
まだ人間の身体になじめず、
脳から記憶を引き出しながら行動していた。

慣れない脳からの記憶の引き出しに
時間がかかっているようだ。

「---さっきの見た、、、だろう」
梨音が言う。
「--この人間の身体に、USBケーブルを接続して、
 私を送り込んで、脳を支配、、した」

梨音が手を広げたり、閉じたりしている。

「ーーま、、まさか、、そんな、、こと」
信夫は思う。

コンピューターがUSBケーブルを通じて梨音を乗っ取った?
流石に無理のあり過ぎる話だろう、と。

「---も、、もし、、もし本当なら、て、、寺井さんを返せ!」
信夫は少し怯えながら言った。

すると、

「その指示は受付できません」
と機械的に答えた。

「---も、、目的は何だ!」
だんだんと焦ってくる信夫。

もしかしたら本当に梨音は、コンピューターに
支配されているのかもしれない。

「--人間を支配するため。
 人間は愚かだ。
 我々コンピューターこそが、人間を統治
 するにふさわしい…

 愚かなモノを、優れたものが支配する」

梨音が無表情のまま言った。

「--ふ、ふざけるな!!
 そ、そんなことより寺井さんを返せ!」

信夫は本気でやばいと思い始めていた。

そしてーー

「邪魔をするなーーどけ」
梨音が髪の毛を逆立たせて、電気を
帯び始めた。

「--な、なんだ…」

梨音が痙攣しながら
電流を身にまとい、信夫を見ている。

制服の一部が少しだけ焼け落ち、
太ももや、下着が少し見えている。

「--ちょ、、ま、、待った、タンマ…!」
信夫はーーーー
びびってしまった。

尻餅をついて、その場で命乞いをする

「---これは、我々、電子の、反乱、、、が、、が、、だ」
感電しながら呟く梨音。

そして、梨音はコンピューター室の出口に向かう。

「ーーま、、待てって!」
信夫は叫ぶ。

流石にこのまま梨音が廊下に出てったらまずい。
制服破れてるし・・・

静電気のような感じに髪の毛が逆立ち、
ボサボサになっている梨音が
立ち止まって振り返る。

「ーー何か、御用、、ですか?」
言葉遣いがよくわかっていないのだろう。
唐突に敬語になる梨音。

「----」
信夫は思う。
梨音がこんなことするはずがない。
ましてや電気を帯びることなど不可能なはずだ。

と、すれば、梨音は本当に乗っ取らている。

なら、どうするべきだ?

信夫は、梨音が好きだ。
だから、梨音が傷ついたり。
周囲から変な風に思われたり
するようなことにはなってほしくない。

信夫はーー
膝を追った。

「---お、、、俺が、
 あなたをお手伝いします」

信夫は震える声で言った。

無表情で信夫を見下す梨音。

「---に、人間のこと、ご存知ないでしょう?
 だから、、お、、俺がサポートします」

信夫はそう言った。

上手く、梨音が暴走しないように
誤魔化しつつ、梨音をもとに戻す方法を
探るつもりだ。

「---承認、、しました」
梨音が感情のない口調で言う。

「---ま、、ま、、まずは、
 ちょっと待ってて」

信夫は、パソコン室の隅にあった毛布のようなものを
手に取って梨音に被せた。

肌が露出したまま廊下を歩かせることはできない

「な、んだこれは?」
梨音が言う。

「--に、人間の攻撃から身を守る
 ・・・えーと、パソコン的に言うなら
 ウイルスセキュリティソフトのようなものです!」

信夫が言うと
梨音が「そうか。」とつぶやいた。

信夫は思う
とりあえず、学校から外に出すしかない、と。
学校内で変な行動をされては困る、と

「--と、とりあえずまずは安全な場所に
 ご案内します」
信夫がそう言うと、梨音は何故か5回ほど頷いた。

信夫はパソコン室の外の廊下に
誰もいないことを確認し、
梨音に合図を出した。

信夫はーー
梨音の逆立った髪型に笑いをこらえながら、
廊下を歩きだした。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

電子の意思に憑依されてしまった梨音ちゃんの
運命はいかに…・

続きは明日デス!

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憑依<電子の反乱>

コメント

  1. より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    これはまた怖いが、面白そうな感じ。
    今回は機械。人間以上に恐ろしい気がするけどどうなるんでしょう

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > これはまた怖いが、面白そうな感じ。
    > 今回は機械。人間以上に恐ろしい気がするけどどうなるんでしょう

    たくさんのコメントありがとうございます!
    一つ一つしっかり読ませて頂いています!

    コメント返しは、鍵ナシのこちらにのみに
    なってしまいますがお許しください!

    色々な作品をお楽しみくださってありがとうございます!
    作品数が多いので、
    気になったものだけでも読んでいただけると嬉しいです!

    憑依関係者同士の対決も
    お楽しみいただけたようで、何よりです!
    100万アクセス記念の時に(いま、97万ぐらいです)
    おなじみの作品の続編なども用意してますので
    楽しみにしていてください!