100万アクセス記念短編小説!
第4弾は「覆面ライダー ~奇跡~」をお送りします!
特撮系TSF小説、
覆面ライダーの後日談をお楽しみ下さい!
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異次元世界から現れた存在・オーン。
人間の女性に憑依して悪事の限りを尽くしたオーンは
大首領自らの手で、幕引きが行われた。
オーンが消えた世の中は、
平和が取り戻された。
しかしー。
「--に、してもまたこうして平和な時間を過ごせるなんてなぁ」
あれから2か月。
道生と、彼女の香奈は、遊園地に
やってきていた。
「--こうして、一緒に香奈と遊園地に来れているなんて
夢みたいだよほんと」
2か月前までの
戦いの日々を思い出しながら言う道生。
色々なことがあった。
オーンが出現し、
目の前で彼女の香奈が憑依されて、
アリサという女性のサポートを受けながらオーンと戦った。
クラスメイトが憑依されたりー
美少女ユーチューバーが憑依されたりー
妹が憑依されたりー
それはもう、大変な日々だった。
そして、サポートしてくれていた女性・アリサこそが
オーン大首領に憑依された女性であったことも、
衝撃的だった。
そして、その大首領自身が、改心して、
助けてくれたこともー。
「--でも、助けてくれてありがとう」
香奈は改めてお礼を言う。
香奈は、半年間を失っている。
けれど、
その分は、これから取り戻して行けばいいー
そう、前向きに考えていた。
「ねぇねぇ、次はお化け屋敷に行こうよ!」
香奈が笑いながら言うと、
道生は顔色を変えた。
「えっ…お、おれは…ちょっと」
道生は、ホラーモノが大の苦手だった。
「--ふふふ、道生ったら、
オバケが怖いの~?」
香奈が笑いながら茶化す。
「--そ、そんなことないさ、
俺はただ…!」
そう言いかけた時だった。
突然、悲鳴が響き渡った。
「--!?」
悲鳴の聞こえる方を振り向くと、
そこには、女子高生が不気味な笑みを浮かべて、
道生たちの方を見ていた。
「--美紗(みさ)、どうしちゃったの?」
美紗と呼ばれた子は周囲の友達を
突き飛ばし、刃物を振り回しながら
微笑んでいる。
悲鳴をあげながら逃げまどう観客たち。
そしてー
美紗と呼ばれた女子高生は
道生を睨みながら笑った。
「--見つけたぞ…覆面ライダー!」
と。
道生は”懐かしい名前”を呼ばれて思う。
オーンは全員、大首領の手によって…
元の世界に帰ったはずだと。
「ねぇ美沙!」
周囲の友達の声を無視して、
可愛らしいポニーテールの女子高生、美沙は
道生だけを見据えて言った。
「俺はなぁ、
特殊な方法で、この世界に残ったんだよ!
あれから、お前に復讐するために
ず~っと、ずっと、お前を探してた!
そして、今日、お前を見つけたんだ!
えへへへへへへへぇっ!」
美紗は舌でナイフを舐めながら笑った。
「--オーンの残党…」
香奈が険しい表情で言う。
「--俺に任せて」
道生が、香奈を後ろに行かせて、
オーンを睨んだ。
「----」
もう、”覆面ライダー”の力はない。
自分をサポートしてくれていた”アリサ”ももう居ない。
「---うふふふ、死ねぇ!」
オーンの残党に憑依された女子高生、美沙が
刃物を持って襲い掛かってきた。
女子高生とは思えない身のこなしで、
道生を追いつめていく。
「おらおら!どうしたぁ!」
可愛い声で怒声をあげる美紗。
道生は、攻撃を避けることしかできなかった。
この子は、オーンに憑依されているだけ。
暴力をふるうことはできない。
「--なら!」
道生は、柔道の技をかけて、その子を
押さえようとした。
しかし、美沙はバック転して、
それをかわした。
「ひゅう…あぶねぇあぶねぇ」
周囲にギャラリーが出来ているのを
無視して、美紗はつばを吐き捨てて、道生を睨む。
「情けないなぁ!
もうあの力は使えないってか!?」
笑う美沙。
道生は、否定する言葉も浮かばず、
首を振った。
「---どうにかしないと」
そう呟く道生。
しかし、美沙は容赦なく、道生に襲い掛かった。
必死に攻撃をかわす道生。
ふと、道生は観覧車の方を見つめる。
あの最終決戦の時も、
遊園地に来ていたなー
道生は、そんな風に思った。
「ぐあっ!」
美紗のパンチが道生の顔面に食い込み、
道生は吹き飛ばされた。
「--くふふ・・・
わたしが、あんたを殺してあげる…♡」
大首領の言うとおり、
既に、このオーンの美紗と同化しているのかもしれない。
男言葉と女言葉が入り乱れた口調で
話しながら、道生に馬乗りになる。
「み、道生!」
香奈が叫ぶ
「に、、、逃げろ!」
道生は叫んだ。
自分は無力だ。
どうすることもできないー。
ただ、香奈を逃がすことぐらいしか。
自分はヒーローだったのだろうか。
いや、違う。
ただ、覆面ライダーの力を持っていたから、
ヒーローになれていただけだ。
自分自身は…ただの、人間。
何もできない、無力な…。
「死ねぇ!」
美紗が刃物を振り上げた。
その時だったーー
”--だらしないわね”
アリサの声が聞こえた。
「---!?」
突然、光に満ち溢れ、
道生の視界を覆い尽くした。
そしてーーー
気づくと、自分は”覆面ライダー”の姿になっていた。
「なっ…」
美紗が驚きの表情を浮かべる。
「これは・・・?」
覆面ライダーに変身した道生も驚いていた。
もう、この姿に変身することはないと思っていた。
でもー
「---アリサ、、ありがとう」
道生はそう呟いて、オーンに憑依された美紗の方を見た。
「--俺たち人間は、お前らなんかに、支配されない!」
そう言うと、覆面ライダーはベルトから光を発光させて、
美紗の身体からオーンを追い出した。
灰色のオーンが美沙から弾き飛ばされる。
下級のオーンだ。
そして…
「--ライダーキック!」
覆面ライダーがオーン本体に強烈なキックを
くらわすと、そのオーンは、断末魔と共に消滅した。
周囲から巻き起こる拍手。
「--なんだ~ヒーローショーだったのか~」
「すご~い!」
勘違いした観客たちが言う。
覆面ライダーは、ポーズを決めて見せる。
ヒーローショーだと思われるなら、
その方が都合が良い。
憑依されていた女子高生・美紗が目を覚まして
友達に心配そうに声をかけられている。
”やるじゃないー”
そう、聞こえた気がした。
そして、気づけば、道生はもとの姿に戻っていた。
道生は、空を見上げて呟いた。
「ありがとう、アリサー」
と。
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30分後。騒ぎも落ち着き、
香奈と道生は再び遊園地デートを再開していた。
「--じゃ、行こうか!」
香奈がほほ笑む。
「え?どこに?」
道生が言うと、
香奈は笑った。
「どこって、お化け屋敷よ!」
笑いながら手を引っ張る香奈。
「ひぃぃぃぃ…お、オバケは勘弁してくれ~」
道生はそう叫びながら、香奈に連れられて
お化け屋敷に入って行った…
おわり
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コメント
覆面ライダーの後日談でした!
書いている時は、結構楽しかったので、
個人的には思い出のある作品です!
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