100万アクセス記念短編!
3作品目は「フュジティブif」デス!
作中に登場した凶悪犯・座間は
修学旅行の日に、消滅しました。
しかし、もしもあの日、
正体がばれていなかったらーー?
ifの物語です!
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これは”あったかもしれない”
もう一つの未来。
もしも、修学旅行の日、
由香里に憑依していることが
発覚していなかったら・・・
座間の望む”卒業式の日”を
そのまま迎えてしまっていたらー
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卒業式。
「--今日でおしまいだね~」
市村 龍平(いちむら りゅうへい)の彼女、
松本 彩香(まつもと あやか)が言う。
「--何だかあっという間だったよね~」
スポーツ女子の淳子が笑う。
「--ま、そんなもんじゃない?」
おしゃれ好きの美香が言う。
「---くくく・・・」
由香里が不気味な笑みを浮かべていた。
それに気付いた龍平が
違和感を感じて言う。
「--清水さん、どうかした?
何だかさっきからニヤニヤしちゃって?」
龍平が言うと、
由香里がいつもの笑みを浮かべて言った。
「ううん、なんでもない!」
雑談をしているうちに、
卒業式が行われる体育館への
移動が指示された。
移動していく生徒たち。
由香里は、一人教室に残って、
机に飛び乗ると、足を組んで笑った。
「--あはははははは!
JKの人生、最高だぜ!
この由香里とかいう女の人生も!」
彼女はーー
2年生のとき、
凶悪犯罪者の座間に憑依されたー
そしてー
由香里に”成りすました”座間によって、
誰にも気付かれることなく、
今日、卒業式の日を迎えてしまった。
座間は卒業式の日にあることを
する決意をしていた。
それはーー
憎き警察官、市村孝彦の息子である
龍平をこの手で殺し、
大笑いしながら由香里の体を引き裂き、
また、別の体に移動するという決意だ。
「--わたし、今日で死んじゃうの・・・
くふふふ・・・あはははははっ!」
由香里は嬉しそうに自分の胸を
触りながら体育館へと向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
卒業式が始まった。
クラスの生徒が順番に呼ばれていく。
「--市村 龍平くん」
担任が、龍平の名前を呼ぶ。
「はい!」
龍平は元気よく返事をした。
3年間ー
色々あった。
凶悪犯罪者の座間に、彼女の
彩香が憑依されたときは、どうなることかと思った。
しかし、あのとき”座間は消えて”
それからは平和な学校生活だった。
檀上へと上がる龍平。
「くふふふふふふ…♡
ふふふふふふふふふ」
由香里が、急に笑い出した。
「由香里…?」
彩香が不思議そうに由香里の方を見る。
「どうしたの?」
淳子と美香も、笑い出した由香里を見つめて
不安そうな表情を浮かべる。
由香里が突然立ち上がった。
彼女にとって、
夢にまで見た
最高の瞬間がついに訪れた。
「--ゆ、由香里?」
彩香が由香里の肩に手をかけると、
由香里は叫んだ。
「どけ!」
彩香を乱暴に振り払う由香里。
そのまま檀上の方に歩いていく。
ざわめく卒業式の参加者たち。
先生たちも何事かと、戸惑いを隠せない様子だ。
卒業証書を先生から受け取る龍平。
そこに、由香里が登ってきた。
「--清水さん…?」
卒業証書を手にした龍平が首をかしげる。
由香里は大笑いしてーー
スカートの中に隠していたナイフを手にしたー。
「---!!」
龍平はーーー
避ける間もなく、ナイフを首に突き立てられてしまう。
「---が…あっ…!?」
龍平は首から流れる血を
押さえながら、床に崩れ落ちる。
「きゃあああああああああ!」
体育館中が悲鳴に包まれた。
「くくく…あははははははあは!
ひははははははははは!
あ~~~~ははははははは!」
由香里が髪の毛を振り乱しながら
大笑いする。
そして、龍平を踏みつけて言う。
「市村く~~~ん、
わたしね~、
ず~~~~っと、
座間に憑依されてたの!」
由香里の言葉に
周囲は困惑する。
意味を理解できる
龍平と彩香、美香、淳子は
唖然とした。
「--ず~~っと、この女に成りすまして
生きて来たのさ!ひははははははは!
だ~~れも俺に気付かねぇ!
くくく…!
俺があのとき、消えたとでも思ったか!」
由香里が大声で叫ぶ。
先生たちが壇上に上がろうとする。
「--動くんじゃねぇよ!」
由香里が、壇上の校長からマイクを奪い取り、
大声で叫んだ。
「---ひっ…!」
「--お前らは外見しか見ちゃいねぇ!
本当に愚かなやつらだ!」
由香里がそう言うと、
龍平に馬乗りになって、
ナイフを引き抜くと、ほほ笑んだ。
「--ばいばい、市村くん!」
由香里はそう言うと、一想いにナイフを
振り下ろした。
悲鳴に包まれた体育館。
「--やった…ようやく…
ようやくあの警察官の息子を
ぶっ殺してやったぜ!
うふふふ、ふふふふ、あはははははは!」
由香里は龍平の血を顔に
塗りつけると、
大笑いしながら叫んだ。
由香里の興奮は頂点に達し、
愛液がボタボタと流れ落ちている。
そしてーー
「もう、この女にも用はねぇ!」
由香里が叫ぶ。
「--由香里、今日、ここで死んじゃいま~す!
えへっ!」
そう言うと、由香里は持っていたナイフで
自分の首を勢いよく掻き切った。
首から血を吹き出して、
由香里はそのまま満面の笑みで倒れた。
「--龍平!龍平ーー!」
彩香が叫ぶ。
その声は、もう龍平には届かない。
そしてー
座間はまた新たな身体に
憑依したーー
かねてから目をつけていた、
1年の女子生徒にーーー
逃亡者(フュジティブ)は
永遠に、捕まらない、
そう、永遠に…。
・・・・・・・・・・・・・・・
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ!
やかましい音が聞こえる。
「---ひっ!」
彩香は飛び起きた。
「---はぁ、、はぁ、、、ゆ、、夢…」
彩香はそう呟いて、目覚まし時計を止める。
修学旅行の時、由香里に憑依していた座間は
本性を現して、龍平の決死の行動により消えた。
もしも、あのとき、座間に気付いていなければー
「----夢みたく、なってたのかもしれない…」
彩香は呟く。
でもー
現実は違う。
座間は修学旅行の日に消え、
由香里は正気を取り戻した。
「---はぁ~あ、ifの夢見ちゃうなんて
朝からブルーだなぁ」
彩香はそう呟くと、
高校に登校するための準備を始めるのだった。
今、ある運命は、奇跡の連続で出来上がったもの。
少しでも、何かが違っていればー
また、別の結末を迎えることになっていたのかもしれないのだからー
おわり
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コメント
成りすましモノ祭りに投稿したフュジティブ、
そのifの物語です。
座間は修学旅行の日に、消えましたが、
もしも消えずに残っていたら、
彩香が見た夢のようになっていたのかもしれません!
コメント
SECRET: 1
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今、ある運命は、奇跡の連続で出来上がったもの。
少しでも、何かが違っていればー
また、別の結末を迎えることになっていたのかもしれないのだからー
↑何か改めてこの言葉重く感じます。
作者さんはいかかでしょう?最近シャレにならないくらい災害も多いですし、毎日を大切にしないといけませんね