<憑依>極悪非道の犯罪者②~おもちゃ~

室井は、警察組織に宣戦布告をした。
憑依と入れ替わり、それらをフル活用して、
世の中をかき乱してやる、と。

一方、佐伯警視長は、
さらなる過激な手段を打ち出した・・・

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とあるコンビニ。

現役女子大生のアルバイトが
事務所の奥で休憩中に突然「うっ!」とうめき声をあげた。

しかし、店内で接客中の他のスタッフは
そんなことに気付かない。

「---くふふ♡」
女子大生アルバイトは自分の胸を
揉みながら笑みを浮かべた。

「休憩おわりました~☆」
元気よくレジの方に戻っていく彼女。

彼女は、室井に憑依されていた。

「ねぇ店長!
 わたし、今からこのお店
 めっちゃくちゃにぶっ壊しますね♪」

嬉しそうに宣言して、
彼女は商品棚を勢いよく蹴り飛ばした・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--おじいちゃん・・・」

とある病院。
孫が、病気の祖父の心配をして
病室で看病していた。

ランドセルを背負った
ツインテールの少女。

学校帰りだろうか。

「---おじいちゃん・・・
 早く元気になって一緒にあヴぉっ??」

突然、ツインテールの少女は変な声を出した。

そしてー

「おじいちゃん・・・早く楽になって・・・」
少女が凶悪な笑みを浮かべていたー。

祖父の首を絞める少女。

「くっ・・・!?が・・・あぁ・・・」

少女は低い声で笑い続ける。

「くふふふふふふふ・・・
 信じてたものに・・・何かを奪われる・・・
 その絶望的な瞬間・・・
 最高じゃねぇか!」

少女は大声で叫んだ。

ほどなくして、病院関係者が駆け付けた。
少女は、ツインテールを引きちぎるようにして
ほどきながら病院関係者を前に笑う。

「くははははっ!ジジイは死んだ!」

少女とは思えない恐ろしい発言に
唖然とする周囲。

そして、彼女はランドセルを放り投げると、
ランドセルに入っていたハサミを取り出して
それを舐めまわした。

病院関係者は、突然の凶行に困惑している。

そしてー

「いゃっは~!」
少女はそう叫ぶと、病院関係者に襲い掛かった。

数分後、少女は大笑いしながら、病院の屋上まで
走っていき、そのまま鳥のように手をパタパタさせて
屋上から飛び降りた。

「--くへへ…やっぱ、飛べるわけねぇか」

落下を始めた少女の身体から、室井は抜け出して
また新たな身体を求めて旅立った

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

世間は大混乱に陥っていた。

憑依、先のショッピングモールの爆撃、
混乱が混乱を呼ぶ。

さらに、室井は宣戦布告して以降、
積極的に憑依能力を使って、
事件を起こしている。

今日も、
病院での事件、
コンビニでの事件、
運転中のタクシードライバーが豹変して暴走した事件、
神社の巫女が突然周囲の客に襲い掛かった事件など
多数の事件が起きていた。

「くそっ・・・すべて室井の仕業か!」
佐伯警視長が言う。

40代の側近警察官はうなずく。

「くくく・・・室井め・・・舐めたマネをしてくれるではないか」
佐伯はそう言いながら、椅子に深く腰掛けると、言った。

「-”魔女狩り”を始めよう」

と。

佐伯警視長は言った。

「急におかしな行動をし始めたり、
 性格が変わった女性は室井に憑依されている可能性がある。

 全国からの情報提供を呼びかけよう。
 そして、疑わしい女性は全員逮捕しろ」

その言葉に、40代の警官は答えた。

「--しかし、それでは人権問題や色々な問題が・・・
 それに、室井はいつでも身体を移動できます。
 かって、室井が憑依した人間を射殺した同僚が居ましたが、
 それでも、室井は死にませんでした。
 入れ替わりとはわけが違うのです」

それを聞いた佐伯は笑った。

「江頭。君は、純粋だな」
そう言うと、佐伯警視長は立ち上がった。

「もちろん、そんなことは分かっている。
 これは時間稼ぎに過ぎない。
 室井に対する有効手段が見つかるまでのな」

佐伯が言うと、40代の警官、江頭は反論した。

「時間稼ぎのために、何の関係もない
 女性を逮捕するのですか!」

その言葉に佐伯は首を振った。

「--室井は女性にだけ憑依している。
 と、いうことは、すべての女性が犯罪予備軍に
 なっているのだよ。

 いつ憑依されるか分からないわけだからな。
 室井が今までに憑依した女性をリストアップした。

 特徴や見た目の似ている人間から
 積極的に逮捕していけ」

佐伯警視長が、江頭を睨みつけると、
江頭はそれ以上反論せず、そのまま立ち去った。

「--室井哲也に舐められるわけにはいかない。
 有効策が見つかるまでは、これで行くしかあるまい」

佐伯警視長はそう呟いた。

その近くにいた別の夫人警官が
笑みを浮かべていることに、
佐伯は気づかなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある家―。

一人息子をハイヒールで踏みつけながら
母親が電話に出ていた。

「--ふぅん。そう、わかったわ。
 ご苦労様」

母親は、室井に憑依されていた。
電話で何者かから報告を受けた
母親は、不気味にほほ笑んだ。

「--おかあさ・・・いたい・・・いたいよ・・・」

息子の悲痛な叫びを無視して、
母親はハイヒールで息子の顔面を
力強く踏みつけた。

そしてーー

「魔女狩りね・・・
 無駄なあがきだ・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

室井がこれまで憑依した女性や
入れ替わりで身体を奪った女性、
憑依されて犯罪を起こしたと思われる女性は
佐伯の手により、リストアップされていた。

その外見的特徴や、立場を分析し、
室井の標的になりそうな女性を
”保護”の名目で連行した。

「--佐伯警視長、世間のバッシングは
 免れませんよ」

江頭が言うと、
佐伯は鼻で笑った。

「世間がなんだ。世論がなんだ!
 室井を野放しにしておけば、
 確実にこの世は狂ってしまう。
 いかなる犠牲を払おうとも、室井は処理
 しなければならない!」

佐伯の言葉に、江頭は首を振る。
次々と女性が連行されてくる。
連行されている女性たちは皆、
不満を口にしている。
当たり前だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

室井は、高校の屋上で
笑みを浮かべていた。

憑依により、支配した女子高生の身体を
使って、スマホを手にする。

「この世の身体は全部俺のものだ」

眼鏡をかけた可愛らしい女子高生がほほ笑む。

そして、スマホでどこかに電話をかけて言った。

「さぁ、始めよう…」

と。

授業を抜け出して、優等生の面影を無くした
女子高生は邪悪に微笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーまったく、佐伯警視長のやり方は間違っている」

対策本部から出た江頭は呟く。

確かに、室井哲也という存在は
人類を転覆させかねない恐ろしい存在だ。
野放しにはできない。

しかし、それでも、佐伯警視長のやり方は
異常だ。

「--ん?」

対策本部に向かって、大勢の女性が歩いてくる。
女子高生にOL、老婆まで…

「なんだ?」
江頭の脳裏に嫌な予感がよぎる。
女性を連行したことによる、反発だろう。
こうなることは予想できていた。

「---こちらに何か用で…」
江頭がそう言いかけた直後、
江頭は女性たちにメッタ刺しにされて
何が起きたのかも理解できないまま
絶命した。

「--佐伯警視長!」
対策本部に居た佐伯に、部下の警官が声をかける。

「--なんだ?」
佐伯がうんざりした様子で答えると、
スクリーンに、対策本部入口の様子が映し出された。

「---これは?」
佐伯はその光景を見て目を疑った。
数百人の女性がガードマンや警察官を次々と手にかけて、
うつろな目で、歩き続けている。

「--全ては室井様のために、、とか言いながら
 女性たちがここに向かっています」
部下の警官が叫ぶ。

「なんだと…!」
佐伯はうろたえた。

その時、スクリーンに、
黒板の前に立つ美人女性が映し出された。

学校の教師だろうか。

「--あらこんにちは」
美人教師は微笑んだ。

「--貴様…室井か」
佐伯が言うと、
美人教師はニヤリと笑みを浮かべる。

「--わたしを逮捕しようだなんて、
 調子に乗り過ぎじゃないの?」

色っぽい声を出しながら
微笑む美人教師。

真面目そうな顔立ちだが、
室井によって、歪められてしまっている。

「---あなたに身の程を教えてあげる。
 わたしの特別授業よ。
 存分に味あわせてあ・げ・る♡」

美人教師は、カメラに向かってキスをした。

そしてー

「ーー私はね、人を洗脳する装置も手に入れたの。
 今、そちらに向かっている女どもは、
 私が洗脳した女たち…
 くくく…!さぁ、俺の特別授業を楽しめ!」

そう言うと、映像が途切れた。

下の階から悲鳴が聞こえてくる。

「くそっ!」
佐伯警視長はそう言うと、
突然歩き出した。

そして部下に指示をする。

「--今すぐ、油をまいて火を放て」

「は?」
部下があまりに支離滅裂な指示に首をかしげる。

「--室井の操り人形を
 この建物ごと焼き払ってやる」

そう言うと、佐伯警視長は、
そのまま屋上に向かって歩き出した。

「すべては室井様のために」
「すべては室井様のために」

佐伯のいる部屋に、
うつろな目の女性たちが辿り着いた。

しかしー
そこは既に火の海になっていた。

そしてー
ほどなくして、対策本部は全焼したー。
警察官と、洗脳された女性もろとも。

佐伯警視長は、全焼する直前に、
屋上のヘリコプターで脱出していたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ご無事ですか、佐伯警視長!」
ヘリコプターのモニターに30代の警官・春崎(はるさき)が言う。

「--東地区の学校を爆撃しろ」
佐伯が言った。

「は?」
春崎が言うと、佐伯は続けた。

「そこに室井に憑依された女教師が居る。
 今すぐ攻撃しろ」

「は、、、はい!」

ほどなくして、攻撃準備が整えられた。

「--室井め!私をコケにしやがって!
 ファイア!!!」

爆撃合図を送り、学校は爆撃された。

しかしー
既に室井は、別の身体に移動していた。

佐伯警視長は
世論のバッシングと、室井の攻撃から
逃れるために、
秘密裏に地下に建設されていた
臨時本部に移動した。

「--お疲れ様です」
春崎に出迎えられて、
佐伯はうなずいた。

大型のスクリーンに、各地の映像が映し出される。

「--この私、佐伯から逃れられると思うなよ、室井」
そう撃呟くと、佐伯は笑みを浮かべた。

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「みんな~今日はね、ゆりっちからお願いがあるの!」
人気アイドル・ゆりっちが、
動画サイトでファンたちに呼びかけた。

「--最近、物騒な事件が続いているでしょ?
 それはね、全部この人のせいなの!」
ゆりっちが、一枚の写真を持って笑う。

佐伯警視長の写真。

「--この人を見つけたら、
 ぶっ殺して!
 ゆりっちからのお願い!うふっ♡」

可愛らしくゆりっちがウインクすると、
映像は途切れた。

配信を終えたゆりっちは
その場で、足を広げたまま座り、
微笑んだ。

「--くふふふふ・・・
 全部、全部俺の思いのままだ!
 全部、俺のおもちゃだ!
 あははははっ!あはははははっ!」

笑いながらゆりっちは、手に持っていた
包丁で、自らを突き刺して、その場に倒れたーー

③へ続く

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コメント

とんでもない状況になっていますが、
この先どうなるのかは、明日のお楽しみです!

凶悪犯がTSFできるようになってしまったら
世の終わりですね…

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