<女体化>俺は女じゃない!

俺は男だ。

なのに、ある日、目が覚めたら、
突然女になっていた。

どういうことだ?
いったいこれは??

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俺は鴨野 雪夫(かもの ゆきお)
高校2年生だ。

名前からでも、分かるかと思うが
俺は当然男だ。

特にイケメンではないが、
顔が悪いかと言われればそうではない。

中の中ぐらいの感じだろうか。

だがーーー

「・・・な、なんだこれは・・・」

俺はー目を覚ますと、女になっていた。
髪は伸び、身体はやわらかくなり、
胸が膨らみー
まるで、本当の女のようになっている。

目を覚ましてから3分。
俺は、状況についていけずに、
困惑した。

昨日の夜、寝るまでは確かに男だったのだ。
だが、朝起きたらこうなっていた。

髪も、胸も、
いや、顔も、女そのものだ。

確かに俺の顔なのだが、
女っぽく、アレンジ(?)されていた。
しかも、結構可愛い。

「っつ~か、俺のアレがねぇ~!」
股間を触りながら、俺は叫んだ。

ふと、生徒手帳を見る。

鴨野 雪菜(かもの ゆきな)
誰やねん!

俺は思わず突っ込んだ。
俺は雪夫だぞ?

何で生徒手帳まで女のものになってるんだ。
しかも、笑顔で写ってんじゃねぇぞ俺。

何なんだ?
これは一体?

手の込んだ悪戯か?
弟の卓司の仕業か?

仕方がない。

俺は、そのままリビングへと向かった。

つーか寝間着も
可愛らしいパジャマ姿に
変わってやがる!

なんなんだよこりゃあ!

「--母さん!父さん!
 こ、これどういうことなんだ?」

俺は叫んだ。
口から出るのは可愛らしい声。

父や母に
”女装でも始めたのか?”
と笑われると思った。

けど、
その答えは予想外のものだった。

「--あら、どうしたの?」
母が笑う。

「どうした?急に声を荒げたりなんかして。」
父が笑う。

「---・・・え、、どうしたのって・・・
 この俺の姿、何とも思わないのか?」
俺は叫んだ。

しかしー
両親は笑った。

「雪菜、どうしたの?
 寝ぼけてるんじゃないの?」

母親が言う。

「え・・・っ??
 えっ・・・???
 だ、、だって俺、男だし・・・」

俺が言うと、
両親と、近くにいた弟が笑った。

「姉さん、冗談きついよ」
弟の卓司がそう言いながら
リビングに飾られている写真を指さした。

「ホラ、5年前の家族旅行の写真。
 これが姉さん」

卓司が指をさす。

そこには、可愛らしい少女の姿があった。

「え、、えぇっ…
 いや、はぁ!?」

俺は訳が分からず叫んだ。
口から溢れるのは、当然可愛らしい声。

いったい何がどうなっているのか。
全く理解できない。

家族そろって俺をからかって
遊んでいるのか?

いや、何かが違う気がする。

「--わ、悪い冗談だよ、
 父さんも母さんも卓司も、
 そろいもそろってこんな悪戯をして…
 流石に俺だって驚くよ…」

俺はそう言いながらも、
これは悪戯などではないのではないか?と
そう思い始めていた。

何故ならー
悪戯であれば…
この胸はなんだ?
声はなんだ?

そしてー
何より、男の証でもあるアレはどこに行ったんだ?

分からないことだらけ。
おかしい。
絶対におかしい。

「姉さん?大丈夫?」
卓司が心配そうに言う。

「え…あ、、あ、、あ、、うん、、」
俺は必死にそう返事をした。

正直、大丈夫なのかどうか、
俺にも分からない。

何が起きたのか。
だが、母も父も、弟も
本気で俺のことを女だと思っているみたいだし、
これ以上、ここで騒ぐのは得策ではない、と
そう思った。

だから、それ以上は騒がないことにした。

「--ちょ、、ちょっと変な夢みちゃって…」
適当に誤魔化すと、家族もそれ以上は
何も言わなかった。

俺は、食欲が無いと理由をつけて
早めに食卓から去ると、居間にある引出を開いた。

家族の住民票がしまってある引出だ。

住民票には、俺の名前、
鴨野 雪夫と刻まれているはずなのだ。

しかし、そこにはー

鴨野 雪菜ーーー
そう刻まれていた。

俺は、絶望した。
そして、そのまま、制服を身に着けて
学校に行く準備をした。

「ちょ…本当にこれで行くのかよ」
スカート…
初めてのスカート。

なんだかとっても頼りがない。

見なれた通学路を歩きながらも、
自分の格好がなんだか心細い感じが
して落ち着かなかった。

俺は雪夫だぞ。
どうして、俺がこんな。

そう思わずには居られなかった。

そうこうしているうちに、俺はいつもの
学校についた。

「--おいおい」
俺は呟いた。

本当に、女の格好で学校に来ちまったぞ。
両親や弟の悪戯だったら
取り返しのつかないことになる。

「--おはよ!雪菜!」
背後から声がして、振り返ると、
そこには俺の親友の
喜多次郎(きたじろう)が居た。

「お、おはよ!」
俺がそう返事をすると、
喜多次郎が少し首をかしげた。

「--ん?雪菜、今日なんかいつもと
 雰囲気違くね?」

喜多次郎が言う。

そんな喜多次郎に思い切って、
俺は聞いてみた。

「なぁ…お、、わ、、私って
 女だよね?」

と。

すると、喜多次郎は目を
丸くして、きょとんとした顔をしたあとに笑った。

「あはははは!雪菜!何言ってんだよ!
 可愛い女の子じゃんか!
 どうした?まだ寝ぼけてんのか?」

喜多次郎は笑う。
そして、俺の頭を撫でたあとに言った。

「そういうところも、可愛いんだけどな!」と。

「--ちょ、触んなよ!」
俺は思わず声を荒げてしまうと、
喜多次郎は「あ、ごめんごめん」と笑いながら呟いた後に
「あ、来週の土曜日、よろしくな」と言って、
そのまま立ち去って行った。

「--え?来週の土曜日?え?」
俺はそう言ったが、
喜多次郎は、そのまま去ってしまった。

何なんだいったい。
喜多次郎の反応を見る限り、
俺は、女として認識されているようだ。

これは、一体どういうことなのだ。

一晩にして俺は女になってしまっただけでなく、
周囲の認識、いや、生まれた時から
女であったかのように、歴史そのものが変わって
しまっている。

これは、どう考えてもおかしなことだ。

「--くそっ!」
俺は、教室に入る前にお手洗いに入った。

そして、便器の前に立って思う。

スカート…
やべっ!

俺、女じゃん!

「--!」
そうこうしているうちに、男子生徒が入ってきてしまった。

男子トイレに入っている俺…
つまり、女子生徒を見て、
その男子生徒は顔を赤らめた。

俺も、顔を赤らめた。

そして
「ごめん!間違えた!」と叫んで
俺は男子トイレを後にした。

やべぇやべぇ、
今の俺は男じゃないんだった。

ついついクセでやっちまったぜ。

と、いうか何なんだよこの状態は!
悪いのは俺じゃねぇ!
と、叫びたい気分だ。

1時間目の授業は体育。
このクソ寒い日に体育なんて
やりたくないんだが…。

俺は、いつものように隣の教室に
移動しようとした。
もう高校生だし、男女同じ部屋で着替えをする!
というわけにはいかないのだ。

「--ねぇ、雪菜?」

背後から女子生徒の声がした。

「え?」
俺は不思議そうな顔をして振り返るちお
彼女は言った。

「どこ行くの?」

その言葉に、俺は一瞬意味が分からなかった。
しかし、少ししてようやく彼女の言おうと
していることが、理解できた。

「--あ、そっか、ご、ごめんね…」
俺は適当に女っぽい言葉を口にしながら
教室へと戻る。

魔の俺は女―。
だから、教室を移動するのではなく、
ここで、着替えるんだ。

ってーー?
え???

ここで…

「--えぇぇ!いいの!?」
俺は、思わず可愛い声で叫んでしまった。

周囲では女子生徒たちが
何も気にすることなく着替えている。

綺麗な素肌に、下着ー
男子が決して踏み入れることのできない、
男子にとってに楽園(エデン)がそこにはあった。

「--ごくり」
俺が唾をのみ込み、
変な顔をしていると、横からさっきの子が言った。

「ちょ、ちょっと雪菜?大丈夫?
 顔が赤いよ?」

心配する彼女。

「だ、大丈夫だよ~」
俺はとりあえずそう口にしたが、俺の鼻からは
残念なことに、鼻血が噴き出していた。

「ちょっ?雪菜?えぇっ!?」

これまでの人生で一番ともいえるぐらいの
鼻血を噴きだした俺は、
そのまま保健室に運ばれた。

1時間目の体育は、保健室で安静していることに
なった。

それにしても、俺が女になってしまうなんて…

俺は一体これからどうすれば。

ふと、鏡を見ると、そこには、可愛い女の子が
不安そうな表情を浮かべて写っていた。

これが、今の俺。

確かに、俺の顔ではあるのだけど、
可愛い…。

「----」
つい、自分に惚れてしまうところだった。

いけないいけない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。
俺は、教室の窓の外の夕日を見つめていた。

今日、1日を過ごしてわかった。
これは、家族の悪戯なんかじゃない。
悪戯で、ここまでのことをするのは
絶対に不可能だ。

と、なれば、俺は本当に女になってしまったのだろう。

「大丈夫か?」

背後から声をかけられて、
俺が振り向くと、そこには、
俺の親友の喜多次郎が居た。

「--え、あ、ああ、大丈夫だ…
 、ううん、大丈夫」

今日1日だが、女としての仕草が
少しずつわかってきた気がする。

「--だいじょうぶだよ、雪菜」
喜多次郎が優しく微笑む。

そしてー
俺を抱きしめた。

「え、あ、ひっ?!」
俺は思わず間抜けな声を出してしまう。

男に抱かれる趣味なんてねーぞ!」

「----雪菜のことは、俺が守る」
喜多次郎は微笑んだ。

「--雪菜は、俺の大切な、彼女だから!」

は、、はぁぁあああああ?
俺と喜多次郎がカップル!?!?!?!

ありえねぇ

「--だいじょうぶだよ。安心して」
そう言うと、喜多次郎は俺にキスをした。

ひぃいいいいいいいいっ!
男とファーストキスとか、勘弁してくれ~~~

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

世界は、
いくつもの並行次元が重なり合っているー。

”パラレルワールド”
そう、呼ぶ人間もいる。

似ているけれど、ちょっとずつ違ういくつもの世界が
無数に存在するのだ。

そして、時として、
時空の歪みが、異なる次元の人間を迷い込ませることがある。

雪夫は、異なる次元に、迷い込んでしまったのかもしれない。

そしてー
また、別の次元でも…。

「---う~ん…今日も頑張ろ!」
”彼”は、自分の声の異変に気付いた。

「えっ!?!?!?」
鏡を見て、彼ー、

鴨野雪夫は驚きの表情を浮かべた。

「---わ、わたしが・・・
 男になってるぅ~!?!?!?」

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

本当はもっと書きたかったのですが、
1話分だと、ここまでしか書けませんでした(笑

女体化(?)になってしまいましたが、
今回はこんな感じでした~!
お読み下さり、ありがとうございました!

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