人が見るのは外見か、中身か。
優等生と、不良生徒が入れ替わってしまい…?
※リクエスト作品です!
成績もスタイルも良く、その上心優しい女子と不良男子が
入れ替わる話が読みたいです! というリクエストをもとに書きました!
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人間が、その人をその人だと決める要素は
何だろうか。
外見か、それとも中身か。あるいは、両方か。
外見が同じでも、中身が違えば、
それは、違う人と言えるのだろうか。
外見は違っても、中身が同じなら、
それは、その人間と言えるのだろうか。
もしも、
人間同士の身体が入れ替わってしまったら-
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とある高校。
「--いつも本当に、一生懸命だよね、純奈(すみな)は。」
一人の女子が、図書室で本を整理していた女子に
語りかけた。
「--え~そんなことないよ…」
彼女の名は、北原 純奈(きたはら すみな)。
心優しい性格の持ち主で、真面目で、スポーツもできる。
それでいて、性格の明るく、誰からも愛される
そんな女子生徒だった。
容姿もとても可愛らしく、密かにファンも多いのだとか。
しかし、純奈自身は、それを自慢するようなタイプではなく、
あくまでも控えなことから、
人望も併せ持っていた。
「--そういえば、また問題起こしたみたいよ?」
女子生徒が言う。
純奈は図書委員会の仕事をしながら、
友達の話に耳を傾けた。
「--ほら、B組の辻林(つじばやし)」
友達の言葉に、純奈は、
「あ~辻林くんがどうしたの?」と尋ねる。
辻林 輝明(つじばやし てるあき)。
B組の生徒で、
純奈たちのD組とは別のクラスの生徒だ。
しかしながら、
その輝明の悪名は、D組、いや、
同学年なら知らない生徒はいないだろう。
何故なら彼は、半年前に、
数学の教師だった、厚盛先生に注意されたことに
腹を立てて、その厚盛先生を半殺し状態に
したことがあるのだ。
「--辻林くん、今度は何をしたの?」
純奈が尋ねると、友達の女子生徒は答えた。
「今回は、女子の着替えを覗いたみたいね。
それで生徒指導室につれて行かれたみたい」
友達の言葉に、純奈はため息をついた。
そして、呟いた。
「辻林くんも、心を入れ替えてくれればいいのになぁ…」
相手が問題児であっても、決して悪口を言わない。
純奈はそんな性格だった。
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放課後。
廊下を歩いていてると、
大声で叫ぶ女子の声が聞こえてきた。
「ちょっと!何なのよ!」
純奈が振り返る。
そこには、生徒会副会長で、B組の生徒、
花美(はなみ)と、問題児である輝明の姿があった。
「---お前、むかつくんだよ!
いつも俺のことに対してイチイチ何か言いやがって!」
輝明が叫びながら花美の髪を引っ張っている。
辻林輝明は、女子供、老人にも容赦しない。
筋金入りのワルなのだ。
「きゃあっ!」
花美を殴りつける輝明。
花美は、いつも輝明に対して厳しい態度をとっており、
輝明の悪い部分を先生に報告するなどもしていた。
そのため、輝明の怒りを買ってしまったのだ。
「--ちょっとやめなよ!」
純奈は、放っておけず、二人の間に割って入った。
「ーーなんだぁ?邪魔すんじゃねぇよ!
外野は引っ込んでな!」
輝明が叫ぶ。
「---だ、だめよ!暴力なんて!」
純奈が言う。
本当は怖い。
こんなことをすれば、自分だって、
この輝明に殴られてしまう可能性は高い。
でもーーー
「花美ちゃんは、もう行っていいよ!」
純奈が言うと、
花美は「せ、先生を呼んでくる」と叫んで
廊下を走って行った。
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花美は、職員室に駆け込み、
先生を呼んだ。
このままじゃ、純奈が自分の代わりに殴られてしまうかもしれない。
そんなことは、ゼッタイに、させない。
先生と共に、
騒動のあった廊下へ戻った
花美は、信じられない光景を見た。
それはー
不良の輝明が倒れていて、
純奈が、怯えている様子だった。
周囲の生徒たちもざわついている。
「純奈…?」
花美が恐る恐る尋ねると、
純奈は身体を震わせながら、花美の方を見た。
「--き、急に…辻林くんが倒れて」
花美と一緒にやってきていた先生も
困惑した様子で、純奈の方を見る。
周囲の生徒たちも
「突然辻林のやつが倒れて」と
状況を説明する。
「--と、とにかく、辻林くんを保健室に」
先生は指示をした。
「-だいじょうぶ?けがはない?」
花美がそう言うと、
純奈は目に涙を浮かべながら頷いた。
目の前で不良生徒が突然倒れたのだ。
無理もない。
「--ごめんね。迷惑をかけて」
花美が、自分をかばってくれたことに対しての
お詫びをすると、
純奈は「うん、大丈夫よ」と少しだけ微笑んだ。
不良の輝明が保健室に運ばれていく。
花美と純奈は他愛のない話をしたあとに、
別れた。
別れた純奈はーー
身体をまだ、震わせていた。
「---くふふふ…
ふふふふ、
俺の演技…完璧じゃねぇか」
純奈は口元をゆがめた。
「--ひひひひひ、はははははは!
あははははははははは!」
純奈が震えていたのは、恐怖からではない。
これは”歓喜”の震えー。
純奈は生徒手帳に書かれていた住所を頼りに
”自分の家”に帰宅した。
足早に部屋へと戻った純奈。
純奈は乱暴に鞄を投げつけると、
部屋にあった鏡を自分の目の前に持ってきた。
「--ふふふ、本当に純奈になってやがる」
純奈は、歪んだ笑みを浮かべる。
輝明は、
不良仲間から手に入れた
「入れ替わり薬」という薬を服用していた。
本当は、花美と入れ替わって
花美の人生を壊してやろうと考えていたのだが、
誤算があった。
心優しい純奈が乱入してきたという誤算が。
服用後、身体に5秒間触れ続けることで、
対象と入れ替わることができる薬。
輝明は、純奈が乱入してきたことで計画を
変更した。
何でもできて、容姿も最高で、
誰からも慕われる純奈。
その身体を手に入れて、花美を地獄に
落としてやるーと。
顔をベタベタ触りながら笑う。
「--私は、純奈…わたしは純奈…
くふふふ、今日から私は、
生まれ変わるのよ…くくく…」
純奈に自分が
言葉を”言わせている”
この事実に輝明はたまらなく興奮した。
「--アイツ、マジでうぜぇ!
人生ぶっ壊してやる!」
純奈の可愛らしい声で、とんでもない
言葉を口にさせる。
鏡に映る純奈は、輝明の意のままに
怒りに満ちた表情を浮かべている。
「くくく…こんな表情もできるのか」
純奈は、今までの人生で
したこともないであろう、
邪悪な表情で呟いた。
「--あのクソ女・・・
人生、滅茶苦茶にしてやるぜ」
そう言うと、純奈は笑みを
浮かべて、
「その前に、わたしの身体をチェックしなくちゃね!」
とほほ笑んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
保健室で、輝明が目を覚ます。
「---大丈夫?」
保健室の先生が、輝明の方を
心配そうに見た。
いくら不良生徒とは言え、
心配なモノは心配なのだ。
「--え…わたし…
----!?」
輝明は、違和感を感じる。
自分の声が、変だと。
倒れたことによる影響?
そもそも自分は何故倒れたのか?
「---だいじょうぶ?」
保健の先生が、様子のおかしい輝明に
不思議そうに尋ねる。
輝明は、ふと保健室にある鏡を見た。
そこにあったのは
”自分”の姿などではなく、
不良生徒の、輝明の姿だった。
「いっ・・・いやああああああああ!」
保健室に、輝明の悲鳴が響き渡った。
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「ーーあふふ…♡
気持ちいい…♡
すげぇよ…♡」
一方、純奈は自宅で
自分の身体を堪能していた。
顔を真っ赤に赤らめながら、
甘い声を出して、
快感に身をゆだねている。
乱暴に脱ぎ捨てられた制服が
部屋の中に散乱し、
下着姿の純奈は、
机の角に、自分の身体を押し付けて
快感を感じていた。
「ふぁ…♡ あふっ♡ ひゃん♡」
純奈が喘ぐ声をはじめて聞いて、
身体を支配している輝明は、さらに興奮する。
その興奮が、純奈の身体を支配して、
さらい純奈は甘い喘ぎ声をあげる。
「あふっ…♡ ふふふふふふっ♡
あはははは♡ あぁあぁああああっ♡」
純奈の喘ぎ声が、部屋中に響き渡った。
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翌日。
純奈が登校すると、
輝明が、姿を現した。
「ね…ねぇ…!辻林くんなんでしょ…?」
輝明が女言葉で言う。
「--何のことかしら?」
純奈は挑発的に返事をする。
「わ、、、わたしの身体を返して!」
輝明が、純奈にしがみつく。
純奈は鬱陶しいなぁ、と思いながら
笑みを浮かべた。
「きゃあああああああああっ!」
大きな悲鳴。
周囲の生徒たちが、
振り返る。
「---!」
輝明がまずい!という表情を浮かべて手を離す。
純奈は笑みを浮かべて、小声で囁いた。
「俺に触れるなよ。
今じゃ、俺が純奈だ。
この意味、分かるよな」
それだけ言うと、
純奈は鼻で笑って言った。
「--お前の身体、最高だったぜ」
と。
不気味な笑みを浮かべながら立ち去っていく純奈。
輝明は目に涙を浮かべた。
昨日、目を覚まして、
自分が輝明になってしまったことを知った純奈。
保健室の先生に、必死になって信じてもらおうとしたが、
当然のことながら、”中身は純奈だ”なんて、
とんでもないこと、誰も信じるわけがなかった。
それどころか、頭のおかしなヤツだと、
周囲から白い目で見られた。
当然、自分の家にも行った。
「わたしが純奈!」と何度も母親に訴えた。
自分しか知らないことをインターホン越しに
伝えた。
けれど
”純奈しか知りえないことまで調べ上げた
ストーカー”と思われたのだろう。
純奈の母親は
「警察呼びますよ!」と叫んだ。
輝明になってしまった純奈は、
仕方が無く、生徒手帳を頼りに
輝明の家に行き、失意の一晩を過ごしたのだった。
「おはよう」
廊下を歩いていた純奈は、花美に挨拶をした。
輝明の邪魔をいつもする花美。
「あ、純奈!おはよう!
昨日は大丈夫だった?」
屈託のない笑顔で話す花美。
純奈は「大丈夫よ」とほほ笑んだ。
たまらないー。
これから純奈として、お前の人生を壊してやる。
この身体なら、お前なんて、
どうにでもできるー。
「--地獄を見せてやる」
純奈は小声でつぶやいた。
「えー?」
花美が不思議そうに、聞き返す。
「--ううん、何でもない」
純奈は、そう答えると、笑みを浮かべて立ち去って行った。
花美には彼氏が居る。
まずは、誘惑して彼氏を奪う。
そして、次に、花美にある濡れ衣を着せて、
孤立させる。
最後にー
この学校から追放ーーーいや、この世からーーー。
放課後。
純奈は花美の彼氏へと接触しようとした。
しかしーー
「--ねぇ!身体を返してよ!
わたしの身体で変なことしないで!」
輝明が背後から叫んだ。
「---またかよ」
純奈はイライラした様子で綺麗な髪の毛を
掻き毟った。
「---邪魔くせぇやつだな!」
純奈はそう叫ぶと、
突然、輝明に抱き着いてキスをした。
「---えっ!?」
輝明が唖然とする。
純奈は笑いながら、キスをして、
さらに自分の服をわざとグシャグシャにしてはだけさせた。
そしてーー
「いやああああああ!助けて!助けてぇ~!」
純奈は叫ぶ。
輝明を引っ張り、
廊下に倒れて、
輝明が純奈にのしかかっている体勢を作り上げる。
純奈の悲鳴を聞いて、
すぐに生徒たちが駆け付けた。
純奈はわざと泣いて見せる。
「--ちょ、ちょっと!」
輝明は叫ぶ。
しかしー
その状況は、誰がどう見ても、
不良の輝明が、純奈を襲っているようにしか、
見えなかった。
すぐに先生が駆け付けて、
輝明はー”退学”になった。
「---邪魔ものは排除した・・・」
純奈が笑う。
「さぁ、、花美ちゃん…
地獄の始まりよ」
純奈は、悪い笑みを浮かべながら、
唇をペロリと舐めた…。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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入れ替わりモノのリクエストにお応えして書いています!
王道的な内容ですが、
最後までぜひお楽しみ下さい!
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