<憑依>憑依好き③~末路~(完)

憑依されて、変えられていく身近な女性たち。

解放条件は
「土下座して謝ること」

正義感の強い和馬は、
ついにプライドを捨てて、不良・森松に土下座する決意をするー。

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日曜日。

妹の螺菜は変えられてしまった。
部屋から喘ぐ声が、朝からずっと聞こえている。

「私は♡ あっ、、、性欲のかたまりなの~~♡
 うふふ、あははははっ♡ あぎぃぃぃっぃっ♡」

隣の部屋にも聞こえてくるほどの大きな声で。

「ーーごめんよ、、螺菜」
和馬はそう呟いた。

それでも、不良・森松に頭を下げることは、
プライドが許さなかった。

何故なら、悪いのはヤツだからだ。

奴がタバコを持っていたことを、
先生に報告して、奴は停学になった。

兄貴に殴られるだとか何だか言っていたが
そんなことは自業自得だ。

それで文句を言われる筋合いは和馬にはないし、
悪いのはどう考えても森松だ。

スマホの音がなる。

彼女の陽香からのLINE。

「--ふぅ」
過酷な状況の中、陽香とのやりとりは
和馬にとっては、数少ない”癒し”でもあった。

そんな、陽香からのLINEを見て、
和馬は身を震わせた。

”わたし、憑依されちゃった!えへっ”

陽香が悪戯っぽくウインクして、
スカートをめくっている写真が、
送られてきていた。

「---森松~~~~~!」
和馬は怒りを爆発させた。

絶対にゆるさねぇ!

”今、どこにいる?
 森松の家か?”

和馬は陽香にLINEを送った。

”うん、そうだよ!
 わたし、これから変えられちゃうね♪”

と返事が来る。

「--くそがっ!」
和馬は、森松の家に向かって走り出した。

これ以上は、許さない。

家から出ていく和馬を笑みを浮かべながら見つめる
妹の螺菜。

”お前も来いー”

螺菜の脳内に、森松からの命令が轟いた。

「--はい、ご主人様…」
螺菜はうつろな目のまま、
兄の後を追い、外出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

和馬は、森松から教わっていた通りの
場所に来た。

このマンションの一室が、森松の家のようだ。

森松の両親は、朝から晩まで仕事でいないらしいから、
日曜日の今日もおそらくは不在なのだろう。

「森松!」
和馬は、森松の部屋に入ると、叫んだ。

「よ~ぉ!」
森松は4人の女に囲まれていた。

生徒会長の麻美、
担任の山崎先生、
1年の演劇部員、伊奈。
そしてーー
妹の螺菜。

「--ら、螺菜!」
和馬は叫んだ。

4人は嬉しそうに、森松の身体を触ったり、
キスしたりしている。

「--もうやめろ!もうやめろよみんな!」
和馬の言葉に、4人の女が振り返る。

「-森松の好き勝手にされたままでいいのかよ!みんな!!
 みんなにはみんなの人生があるだろ!!
 なぁ、思い出せよ!目を覚ませよ!」

和馬が叫ぶ。

すると、麻美は笑った。

「ぷっふふ…何言ってるの~?
 わたしは、自分の意思で、森松君の彼女になったのよ」

麻美はそう言うと、森松の方を女の顔でみつめて
甘いキスを交わした。

「くく、麻美には俺の彼女になってもらった
 どうだ?俺にお似合いの女だろ?」

麻美は茶髪にし、
爪にマニキュアを塗り、ピアスを耳から下げ、
ミニスカートで大胆に生足を露出している。

真面目な生徒会長の面影はもう、ない。

「--私、とっても幸せよ」
麻美は微笑んだ。

「--くそっ…くそっ!」

「んぎぃぃぃぃぃっっ♡ あぁつ♡ 
 あぁっ♡ もうだめ♡ ご、ご主人さまぁあああ♡
 いく♡ イク♡ いっちゃううぅぅぅぅ♡♡♡」

山崎先生が大声で喘いでいる。

森松がアレを山崎先生に突っ込んでいるのだ。

嬉しそうにそれを受け入れ、絶頂に達した山崎先生は
甘い息を吐きながら、放心状態になっている。

SM嬢が着る様なイヤらしい格好の山崎先生は、
もはや、別人のようだった。

「--こいつは俺の性欲を処理するための女だ。
 なぁ、山崎!」

森松が言うと、
山崎先生は「はい、わたしは、ご主人様の、肉便器です」と
満面の笑みでほほ笑んだ。

「--ふ…ふざけるな…!」

演劇部員の伊奈は、森松と山崎先生が汚した
床を舌でペロペロと舐めている。

「--そいつは世話人だ。
 おい、伊奈!もっと音を立てて舐めろ!」

森松が言うと
伊奈は「はい、ご主人様」と返事をした。

妹の螺菜は、操り人形かのようにボーっと
立っている。

「螺…螺菜!」

和馬が呼びかけても、螺菜は返事をしない。

そして、少ししてから呟いた。

「わたしは、おにんぎょうさんです…」と。

それを聞いて、森松は笑う。

「くはははははっ!くははははははははっ!
 欲しかったんだよ~リアル人形!
 可愛いだろ?」

森松が螺菜の顔に触れながら、
ニヤニヤ笑う。

「こいつはおれの人形だ。これからもずっと、な」

和馬は拳を握りしめた。

「この野郎!」
和馬が森松に殴りかかる。

しかし、その前に、演劇部員の伊奈が立ちはだかった。

「---くっ…」

伊奈は、無言で和馬を睨んでいる。
口元に、舐めていた精液をだらしなくつけながら。

「----くそっ…くそっ」
悔しがる和馬。

そして、
「--メインディッシュのご入場だ」

森松が言うと、
制服姿の陽香が山崎先生に引っ張られるようにして入ってきた。

「--よ、陽香!」

和馬が呼びかけると、陽香は目に涙を浮かべて
「和馬…」
とつぶやいた。

まだ、記憶を染められていないー。

「---ふふふ、あなたの大事な彼女も、
 これからわたしたちの仲間になるの!」

麻美が笑いながら、
陽香の髪を引っ張って言う。

「--や、、やめて…助けて!」
陽香が泣きながら叫ぶ。

「大丈夫よ、怖くないから、
 わたし、今とっても幸せよ!
 毎日毎日森松くんにえっちなこと
 されてぇ~
 この身体も、ど~んどんイヤらしくなってくの!
 ふふふ…ははははははっ♡」

そう言いながらも、興奮しているのか、
太ももあたりにイヤらしい液体が
垂れてきている。

「---か、和馬!助けて!」
陽香が叫ぶ

和馬は決心した。
自分のくだらないプライドのため、みんなを傷つけている。

自分が土下座をして、森松に屈服すれば、
森松は恐らくみんなを解放する。

それでも、生徒会長の麻美や、
山剤先生が受けた心の傷は、もう、取り返しがつかない
かもしれないけれどー。

「すまなかった…」
和馬はその場で土下座をした。

「すまなかった、森松!
 俺が悪かった!許してくれ!
 今度、2度とお前の邪魔をしないから!
 だから頼む森松! 
 みんなを、みんなを解放してくれ!
 約束しただろ!?」

和馬が言うと、
森松は笑った。
「あぁ、約束したな」と。

「でもよー」

森松は続けた。

「約束したのは俺の弟、
 ”順治”だぜ。
 俺じゃあ、ない」

森松は笑った。

「な、何だと…?ふざけるな!」
和馬は森松の顔を見る。
どう見ても、森松順治本人だ。

「--み、みんなを解放しろ!
 約束しただろうが!」

和馬が怒鳴り散らすと、森松が大笑いした。

「---残念だったなぁ!
 約束してねぇことはまもれねぇ!
 俺はな、お前のクラスメイトの森松順治の
 双子の兄、森松啓二(もりまつけいじ)だよ!
 ははは!初めましてってなぁ!」

森松の、双子の兄、森松啓二は笑う。

「--な、何だって…」

和馬は思う。
確かに、クラスメイトの森松は、
兄貴がいるといつも言っていた。

双子、だったのか?

ふと、和馬は目の前にいる森松の顔を見る。

よく見ると、いつも見ている森松にはない
ほくろや、傷があった。

「---お、、、俺のクラスメイトの森松…
 お前の弟はどうした?」
和馬が尋ねると、
目の前にいる森松啓二は言った。

「昨日の夜よぉ、いつものように弟の順治を
 サンドバックにしてやろうと思ったらよ、
 あいつが面白いもの持ってたのよ。

 ”憑依薬”ってやつをな。
 見せろって言っても、あいつ、見せないから、
 ぶん殴って奪ったら、すっげぇ面白そうだからよ、
 俺が貰うことにした」

森松啓二は笑う。

そして、言った。

「--お前のクラスメイト”だった”俺の双子の弟はな、
 もう、人じゃなくなっちまった。

 俺が憑依して、あいつの記憶を塗りつぶしてやったよ。
 自分は動物だと、徹底的にな

 今頃、どこぞの山奥で、四つん這いになって
 吠えてるんじゃねぇか?
 くっははははは!」

森松啓二は大笑いした。

「---くそっ!」
和馬が言うと、
森松は笑う。

「ってことで、俺は約束してねぇ。
 土下座は無効だ」

そう言うと、彼は陽香に憑依した。

「っふふ・・・今から目の前で”変えられちゃう”ね」
陽香が不気味にほほ笑んだ。

「や、やめろ・・・やめろ!やめろ!」
和馬が陽香に突進しようとするも、
生徒会長の麻美が和馬に抱き着いた。

「---邪魔しちゃ、だ・め♡」

麻美の無絵の感覚を感じながら、
和馬はもがく

「あぁ…あ・・・♡ あぁああああ♡
 わたし、、わたし、、、変わっちゃう♡
 あぁああ・・・♡ あぁ♡ あああっあああああ♡」

陽香が苦しそうにもがきながらも、
嬉しそうな笑みを浮かべている。

「やめろ・・・やめてくれよ!」
和馬が涙を流しながら叫ぶ

しかし、陽香は嬉しそうにあおむけになって、
けれども白目を剥いて、苦しそうに
痙攣しながら声を出している。

「か、、和馬ぁ…♡
 忘れちゃう…いやだ…でも、、あぁ、、
 忘れちゃう♡
 忘れちゃうよぉぉぉ♡」

身体をビクンビクンと震わしながら言う陽香。

「うふ♡ あぁ、、、森松くん…♡
 森松くん♡
 森松くぅぅぅぅぅぅぅん♡」

陽香の目からは涙がこぼれている。
書き換えられていくことへの、悲しみ。
それとも、書き換えられたことへの、喜びなのかーーー。

「--あぁああああああっ♡
 いぎああああぁあああああああ♡
 あひ、、あひ、、あひはぁあああああ♡」

「ふざけるなぁぁあああ!」
和馬の怒りは頂点に達した。

麻美を思いっきり殴り飛ばし、
陽香の方に向かう。

しかし、今度は妹の螺菜が目の前に
立ちはだかって、
和馬に抱き着く。

「どけぇえええええ!」
螺菜のことも殴りつけて突進する和馬。

しかし、
山崎先生や演劇部の伊奈に
押し倒されて、4人の女性に押しつぶされてしまう。

そしてーー

「……終わったぜ」
森松の声がした。

それを合図にしたかのように、4人の女性が
和馬から離れる。

そして、

「---よ、陽香?」
陽香に話しかけると、陽香は言った。

「--気安く呼ばないで!」
その表情には嫌悪の色がにじみ出ていた。

「--ーよ、、陽香…おい、冗談だろ!」
和馬が言うと、陽香は言った。

「---はぁ?きもいんだけど?
 寄らないでくれる?」
吐き捨てるようにして言う。

そして、森松の方を見て、嬉しそうに微笑んだ。

「--わたしは、森松くんの女・・・♡」
欲情しきった表情で言う陽香。

そんな陽香を抱き寄せて、森松はキスをした。

「うっ…うわあああああああ!」
和馬はその場で絶叫して蹲った。

「--元彼にお別れを告げてやれ」
森松が言うと、
陽香が「うん」と言って、
和馬に近づいてきた。

「--あんたみたいな男より、
 わたし、森松くんに惹かれたの…
 だから、あんたはもう用済み」

和馬は、顔をあげて陽香の目を見た。

優しい笑みは、もうそこには無い。

「--陽香…」
泣きながら言う和馬。

「キモい…!」
陽香はそう言うと、和馬の顔に唾を吐きかけて、
そのまま森松の方に向かった。

和馬には、その場で泣きじゃくることしか
出来なかった。

「くくく…すげぇよな 憑依って、
 憑依好きになっちまいそうだぜ!」

森松はそう叫ぶと、泣きじゃくったままの和馬を見た。

「--可愛そうに。ま、心配すんな。
 俺は優しいからな。
 お前にも幸せをわけてやる」

森松がそう言った直後、
和馬の意識は途切れた。

和馬は、森松に憑依されてしまったのだ…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

和馬は、陽香と一緒に公園に出かけていた。

「-ー陽香…!」
隣にいる、陽香は微笑んでいる。

「和馬…」
陽香が抱き着いてくる。

幸せだ…
和馬はそう思った。

陽香を抱きしめ、
熱いキスをする。

陽香ー
大好きだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ねぇねぇ、何あれ?」
子供が、公園にいる男を指さす。

「しっ!見ちゃいけません!」
親が子供に”あれは見てはいけないものだ”としかりつける。

公園にはーーー
ドラム缶に抱き着いて、キスをしながら、
嬉しそうに微笑む和馬の姿があった。

彼はーー
変えられてしまった。
そこら中にあるものが”陽香”に見えるようにー。

和馬にとって、それは、夢のような世界なのかもしれないー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

私が憑依空間を始める前から見ていた
サイト様の作風をイメージして作ってみました。
まだまだ、遠く及びませんが、これからも頑張ります!

ちなみに、「森松」が、苗字での表記だったのは、最後の
展開を書くためでした!
(私の小説は基本、普段は下の名前表記なのですが、
 それだと双子ネタが使えないので…)

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憑依<憑依好き>

コメント

  1. 匿名 より:

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    面白かったです!
    思考が染められてく系の憑依、いいですねえ

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 面白かったです!
    > 思考が染められてく系の憑依、いいですねえ

    ありがとうございます!
    お楽しみいただけて何よりです!!