憑依されて、変えられていく身近な女性たち。
解放条件は
「土下座して謝ること」
正義感の強い和馬は、
ついにプライドを捨てて、不良・森松に土下座する決意をするー。
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日曜日。
妹の螺菜は変えられてしまった。
部屋から喘ぐ声が、朝からずっと聞こえている。
「私は♡ あっ、、、性欲のかたまりなの~~♡
うふふ、あははははっ♡ あぎぃぃぃっぃっ♡」
隣の部屋にも聞こえてくるほどの大きな声で。
「ーーごめんよ、、螺菜」
和馬はそう呟いた。
それでも、不良・森松に頭を下げることは、
プライドが許さなかった。
何故なら、悪いのはヤツだからだ。
奴がタバコを持っていたことを、
先生に報告して、奴は停学になった。
兄貴に殴られるだとか何だか言っていたが
そんなことは自業自得だ。
それで文句を言われる筋合いは和馬にはないし、
悪いのはどう考えても森松だ。
スマホの音がなる。
彼女の陽香からのLINE。
「--ふぅ」
過酷な状況の中、陽香とのやりとりは
和馬にとっては、数少ない”癒し”でもあった。
そんな、陽香からのLINEを見て、
和馬は身を震わせた。
”わたし、憑依されちゃった!えへっ”
陽香が悪戯っぽくウインクして、
スカートをめくっている写真が、
送られてきていた。
「---森松~~~~~!」
和馬は怒りを爆発させた。
絶対にゆるさねぇ!
”今、どこにいる?
森松の家か?”
和馬は陽香にLINEを送った。
”うん、そうだよ!
わたし、これから変えられちゃうね♪”
と返事が来る。
「--くそがっ!」
和馬は、森松の家に向かって走り出した。
これ以上は、許さない。
家から出ていく和馬を笑みを浮かべながら見つめる
妹の螺菜。
”お前も来いー”
螺菜の脳内に、森松からの命令が轟いた。
「--はい、ご主人様…」
螺菜はうつろな目のまま、
兄の後を追い、外出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
和馬は、森松から教わっていた通りの
場所に来た。
このマンションの一室が、森松の家のようだ。
森松の両親は、朝から晩まで仕事でいないらしいから、
日曜日の今日もおそらくは不在なのだろう。
「森松!」
和馬は、森松の部屋に入ると、叫んだ。
「よ~ぉ!」
森松は4人の女に囲まれていた。
生徒会長の麻美、
担任の山崎先生、
1年の演劇部員、伊奈。
そしてーー
妹の螺菜。
「--ら、螺菜!」
和馬は叫んだ。
4人は嬉しそうに、森松の身体を触ったり、
キスしたりしている。
「--もうやめろ!もうやめろよみんな!」
和馬の言葉に、4人の女が振り返る。
「-森松の好き勝手にされたままでいいのかよ!みんな!!
みんなにはみんなの人生があるだろ!!
なぁ、思い出せよ!目を覚ませよ!」
和馬が叫ぶ。
すると、麻美は笑った。
「ぷっふふ…何言ってるの~?
わたしは、自分の意思で、森松君の彼女になったのよ」
麻美はそう言うと、森松の方を女の顔でみつめて
甘いキスを交わした。
「くく、麻美には俺の彼女になってもらった
どうだ?俺にお似合いの女だろ?」
麻美は茶髪にし、
爪にマニキュアを塗り、ピアスを耳から下げ、
ミニスカートで大胆に生足を露出している。
真面目な生徒会長の面影はもう、ない。
「--私、とっても幸せよ」
麻美は微笑んだ。
「--くそっ…くそっ!」
「んぎぃぃぃぃぃっっ♡ あぁつ♡
あぁっ♡ もうだめ♡ ご、ご主人さまぁあああ♡
いく♡ イク♡ いっちゃううぅぅぅぅ♡♡♡」
山崎先生が大声で喘いでいる。
森松がアレを山崎先生に突っ込んでいるのだ。
嬉しそうにそれを受け入れ、絶頂に達した山崎先生は
甘い息を吐きながら、放心状態になっている。
SM嬢が着る様なイヤらしい格好の山崎先生は、
もはや、別人のようだった。
「--こいつは俺の性欲を処理するための女だ。
なぁ、山崎!」
森松が言うと、
山崎先生は「はい、わたしは、ご主人様の、肉便器です」と
満面の笑みでほほ笑んだ。
「--ふ…ふざけるな…!」
演劇部員の伊奈は、森松と山崎先生が汚した
床を舌でペロペロと舐めている。
「--そいつは世話人だ。
おい、伊奈!もっと音を立てて舐めろ!」
森松が言うと
伊奈は「はい、ご主人様」と返事をした。
妹の螺菜は、操り人形かのようにボーっと
立っている。
「螺…螺菜!」
和馬が呼びかけても、螺菜は返事をしない。
そして、少ししてから呟いた。
「わたしは、おにんぎょうさんです…」と。
それを聞いて、森松は笑う。
「くはははははっ!くははははははははっ!
欲しかったんだよ~リアル人形!
可愛いだろ?」
森松が螺菜の顔に触れながら、
ニヤニヤ笑う。
「こいつはおれの人形だ。これからもずっと、な」
和馬は拳を握りしめた。
「この野郎!」
和馬が森松に殴りかかる。
しかし、その前に、演劇部員の伊奈が立ちはだかった。
「---くっ…」
伊奈は、無言で和馬を睨んでいる。
口元に、舐めていた精液をだらしなくつけながら。
「----くそっ…くそっ」
悔しがる和馬。
そして、
「--メインディッシュのご入場だ」
森松が言うと、
制服姿の陽香が山崎先生に引っ張られるようにして入ってきた。
「--よ、陽香!」
和馬が呼びかけると、陽香は目に涙を浮かべて
「和馬…」
とつぶやいた。
まだ、記憶を染められていないー。
「---ふふふ、あなたの大事な彼女も、
これからわたしたちの仲間になるの!」
麻美が笑いながら、
陽香の髪を引っ張って言う。
「--や、、やめて…助けて!」
陽香が泣きながら叫ぶ。
「大丈夫よ、怖くないから、
わたし、今とっても幸せよ!
毎日毎日森松くんにえっちなこと
されてぇ~
この身体も、ど~んどんイヤらしくなってくの!
ふふふ…ははははははっ♡」
そう言いながらも、興奮しているのか、
太ももあたりにイヤらしい液体が
垂れてきている。
「---か、和馬!助けて!」
陽香が叫ぶ
和馬は決心した。
自分のくだらないプライドのため、みんなを傷つけている。
自分が土下座をして、森松に屈服すれば、
森松は恐らくみんなを解放する。
それでも、生徒会長の麻美や、
山剤先生が受けた心の傷は、もう、取り返しがつかない
かもしれないけれどー。
「すまなかった…」
和馬はその場で土下座をした。
「すまなかった、森松!
俺が悪かった!許してくれ!
今度、2度とお前の邪魔をしないから!
だから頼む森松!
みんなを、みんなを解放してくれ!
約束しただろ!?」
和馬が言うと、
森松は笑った。
「あぁ、約束したな」と。
「でもよー」
森松は続けた。
「約束したのは俺の弟、
”順治”だぜ。
俺じゃあ、ない」
森松は笑った。
「な、何だと…?ふざけるな!」
和馬は森松の顔を見る。
どう見ても、森松順治本人だ。
「--み、みんなを解放しろ!
約束しただろうが!」
和馬が怒鳴り散らすと、森松が大笑いした。
「---残念だったなぁ!
約束してねぇことはまもれねぇ!
俺はな、お前のクラスメイトの森松順治の
双子の兄、森松啓二(もりまつけいじ)だよ!
ははは!初めましてってなぁ!」
森松の、双子の兄、森松啓二は笑う。
「--な、何だって…」
和馬は思う。
確かに、クラスメイトの森松は、
兄貴がいるといつも言っていた。
双子、だったのか?
ふと、和馬は目の前にいる森松の顔を見る。
よく見ると、いつも見ている森松にはない
ほくろや、傷があった。
「---お、、、俺のクラスメイトの森松…
お前の弟はどうした?」
和馬が尋ねると、
目の前にいる森松啓二は言った。
「昨日の夜よぉ、いつものように弟の順治を
サンドバックにしてやろうと思ったらよ、
あいつが面白いもの持ってたのよ。
”憑依薬”ってやつをな。
見せろって言っても、あいつ、見せないから、
ぶん殴って奪ったら、すっげぇ面白そうだからよ、
俺が貰うことにした」
森松啓二は笑う。
そして、言った。
「--お前のクラスメイト”だった”俺の双子の弟はな、
もう、人じゃなくなっちまった。
俺が憑依して、あいつの記憶を塗りつぶしてやったよ。
自分は動物だと、徹底的にな
今頃、どこぞの山奥で、四つん這いになって
吠えてるんじゃねぇか?
くっははははは!」
森松啓二は大笑いした。
「---くそっ!」
和馬が言うと、
森松は笑う。
「ってことで、俺は約束してねぇ。
土下座は無効だ」
そう言うと、彼は陽香に憑依した。
「っふふ・・・今から目の前で”変えられちゃう”ね」
陽香が不気味にほほ笑んだ。
「や、やめろ・・・やめろ!やめろ!」
和馬が陽香に突進しようとするも、
生徒会長の麻美が和馬に抱き着いた。
「---邪魔しちゃ、だ・め♡」
麻美の無絵の感覚を感じながら、
和馬はもがく
「あぁ…あ・・・♡ あぁああああ♡
わたし、、わたし、、、変わっちゃう♡
あぁああ・・・♡ あぁ♡ あああっあああああ♡」
陽香が苦しそうにもがきながらも、
嬉しそうな笑みを浮かべている。
「やめろ・・・やめてくれよ!」
和馬が涙を流しながら叫ぶ
しかし、陽香は嬉しそうにあおむけになって、
けれども白目を剥いて、苦しそうに
痙攣しながら声を出している。
「か、、和馬ぁ…♡
忘れちゃう…いやだ…でも、、あぁ、、
忘れちゃう♡
忘れちゃうよぉぉぉ♡」
身体をビクンビクンと震わしながら言う陽香。
「うふ♡ あぁ、、、森松くん…♡
森松くん♡
森松くぅぅぅぅぅぅぅん♡」
陽香の目からは涙がこぼれている。
書き換えられていくことへの、悲しみ。
それとも、書き換えられたことへの、喜びなのかーーー。
「--あぁああああああっ♡
いぎああああぁあああああああ♡
あひ、、あひ、、あひはぁあああああ♡」
「ふざけるなぁぁあああ!」
和馬の怒りは頂点に達した。
麻美を思いっきり殴り飛ばし、
陽香の方に向かう。
しかし、今度は妹の螺菜が目の前に
立ちはだかって、
和馬に抱き着く。
「どけぇえええええ!」
螺菜のことも殴りつけて突進する和馬。
しかし、
山崎先生や演劇部の伊奈に
押し倒されて、4人の女性に押しつぶされてしまう。
そしてーー
「……終わったぜ」
森松の声がした。
それを合図にしたかのように、4人の女性が
和馬から離れる。
そして、
「---よ、陽香?」
陽香に話しかけると、陽香は言った。
「--気安く呼ばないで!」
その表情には嫌悪の色がにじみ出ていた。
「--ーよ、、陽香…おい、冗談だろ!」
和馬が言うと、陽香は言った。
「---はぁ?きもいんだけど?
寄らないでくれる?」
吐き捨てるようにして言う。
そして、森松の方を見て、嬉しそうに微笑んだ。
「--わたしは、森松くんの女・・・♡」
欲情しきった表情で言う陽香。
そんな陽香を抱き寄せて、森松はキスをした。
「うっ…うわあああああああ!」
和馬はその場で絶叫して蹲った。
「--元彼にお別れを告げてやれ」
森松が言うと、
陽香が「うん」と言って、
和馬に近づいてきた。
「--あんたみたいな男より、
わたし、森松くんに惹かれたの…
だから、あんたはもう用済み」
和馬は、顔をあげて陽香の目を見た。
優しい笑みは、もうそこには無い。
「--陽香…」
泣きながら言う和馬。
「キモい…!」
陽香はそう言うと、和馬の顔に唾を吐きかけて、
そのまま森松の方に向かった。
和馬には、その場で泣きじゃくることしか
出来なかった。
「くくく…すげぇよな 憑依って、
憑依好きになっちまいそうだぜ!」
森松はそう叫ぶと、泣きじゃくったままの和馬を見た。
「--可愛そうに。ま、心配すんな。
俺は優しいからな。
お前にも幸せをわけてやる」
森松がそう言った直後、
和馬の意識は途切れた。
和馬は、森松に憑依されてしまったのだ…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
和馬は、陽香と一緒に公園に出かけていた。
「-ー陽香…!」
隣にいる、陽香は微笑んでいる。
「和馬…」
陽香が抱き着いてくる。
幸せだ…
和馬はそう思った。
陽香を抱きしめ、
熱いキスをする。
陽香ー
大好きだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇねぇ、何あれ?」
子供が、公園にいる男を指さす。
「しっ!見ちゃいけません!」
親が子供に”あれは見てはいけないものだ”としかりつける。
公園にはーーー
ドラム缶に抱き着いて、キスをしながら、
嬉しそうに微笑む和馬の姿があった。
彼はーー
変えられてしまった。
そこら中にあるものが”陽香”に見えるようにー。
和馬にとって、それは、夢のような世界なのかもしれないー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
私が憑依空間を始める前から見ていた
サイト様の作風をイメージして作ってみました。
まだまだ、遠く及びませんが、これからも頑張ります!
ちなみに、「森松」が、苗字での表記だったのは、最後の
展開を書くためでした!
(私の小説は基本、普段は下の名前表記なのですが、
それだと双子ネタが使えないので…)
コメント
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面白かったです!
思考が染められてく系の憑依、いいですねえ
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> 面白かったです!
> 思考が染められてく系の憑依、いいですねえ
ありがとうございます!
お楽しみいただけて何よりです!!