シンジは、アイドルとして生きていくしか無くなってしまった。
そんな中、梓紗はある人物から、脅されて、
命令に従わざるを得なくなってしまう。
梓紗に憑依しているシンジの運命は?
そして、梓沙の運命は…?
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「あん・・・♡ や、やめて…♡ やめて・・・♡」
マネージャーによって、胸を触られて
梓紗は顔を赤らめている。
凛とした様子だった女性マネージャーは
表情をゆがめて、梓沙の頬をその舌で舐めている。
イヤらしい音が楽屋に響き渡る。
「--ふふっ…可愛い声出すのね…」
女性マネージャーは、シンジの友人でもある
アイドルファン、ヨウスケに憑依されていた。
シンジが引退宣言をしたら、
一緒に梓紗の身体を楽しむ算段だったものの、
シンジが、ファンたちを前にして引退宣言をすることができず、
梓紗として生きていくことを決めたため、
ヨウスケは本性を現した。
「んんぅ♡ 梓沙ちゃんのほっぺ、美味しい~」
ペロペロと女性マネージャーが頬を舐める。
「ねぇ…、や、、やめて…ひゃっ♡」
梓紗が言うと、
マネージャーは梓沙を睨みながら、
床を叩いた。
あおむけに倒れる梓沙の上に、
四つん這いになって、梓沙を見下すマネージャー。
「--あんたはわたしの言うことを聞いて
わたしのために梓沙として生きるの」
マネージャーが歪んだ笑みを浮かべる。
「--よ、、ヨウスケさん!分かった!悪かった!
も、、もうやめ…」
バン!
マネージャーは怒りの形相で床を叩いた。
「---梓紗ちゃんはそんな喋り方しない!」
マネージャーの声には怒気が込められている。
「--よ、、ヨウスケさん…
頼むから!」
梓紗はそう言った。
梓紗に憑依しているシンジは、ツイッターで知り合った
ファン仲間、ヨウスケのことを詳しくは知らない。
普段は、物腰の柔らかいオタク、ぐらいにしか
思っていなかったのだがー。
ぱちぃん!
マネージャーが梓沙の頬を叩いた。
「--お前は梓沙なのよ!」
胸倉をつかんで、梓沙を睨みつけるマネージャー。
「ひっ…!」
梓紗は恐怖した。
身体が震えて、反論できない。
「-ほら!言いなさい!「わたしは梓沙です」って!」
マネージャーがそう言いながら、梓沙を再び叩きつける。
「---わ、、わ、、わたしは、、梓沙です」
恐怖のあまり、梓沙はそう言ってしまう。
「--ふふ、いい子ね」
マネージャーはそう言うと、不気味にほほ笑んだ。
その日からー
シンジは、マネージャーのための梓沙として、
操り人形として、アイドル活動を続ける羽目になってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--ねぇ、裏ルートで、
AVの仕事来てるんだけど…」
マネージャーが言った。
「え…え、AV…
だ、だって、わたし、高校生だし…」
梓紗が戸惑っていると、
マネージャーは笑った。
「--あん?お前中身は20代だろうが?」
壁ドンして、マネージャーがもの凄い形相で、
梓紗を睨む
「ひっ…、で、、でも…ばれたら…」
梓紗が涙を貯めながら言うと、
マネージャーは言った。
「ばれないわよ。
わたし、アンタの喘ぐ姿が見たいの。
出演OKするけど、いいわね?」
マネージャーの言葉に
梓紗は震えながら頷く。
ここ最近は、マネージャーに憑依した
ヨウスケはやりたい放題だ。
梓紗にもはや、主導権は無い。
もしも、憑依していることがばらされたら、
シンジもヨウスケも終わりだ。
ヨウスケはそれでもいいのかもしれない。
だが、シンジは、まだ自分の人生をー、
いや、奪った梓沙としての人生を満喫したかった。
「--や、、やります」
梓紗が泣きながら言うと、
マネージャーの女性は言った。
「やらせてください、だろ!?」
怒り狂った様子で壁を蹴り飛ばして、マネージャーは
梓紗を睨む。
梓紗は、泣きながら、弱弱しい声で
「やらせてください…」とつぶやいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--どうしたの?梓沙」
自宅に久々に帰った。
1週間ぶりだ。
毎日のように、ヨウスケに憑依されている
マネージャーから、体を求められて、もはや
帰ることすら許されない。
梓紗には、姉が居た。
姉は女子大生で、シンジが憑依して以降、
姉と会うのは今日が初めてだった。
「--元気ないよ?」
姉の亜須香(あすか)が心配そうに効いてくる。
妹を心底心配している顔だ。
アイドルをやっている梓紗の姉だけあって、
スタイルがとてもよく、亜須香の方がさらに
可愛いかもしれない、と梓沙が感じるほどだった。
「う、うん…だいじょうぶ」
梓紗は元気なく答えた。
大丈夫なんかじゃない。
このお姉ちゃんは、きっと、マネージャーに脅迫されている、と
告げれば、それこそ死にもの狂いで妹を助けようとするだろう。
けれどー、
それはダメだ。
あのマネージャーにはヨウスケが憑依している。
そして、ヨウスケは、追い詰められたら何をしでかすか分からない。
マネージャーの狂言で片づけることができるかもしれない。
けれどー、
もしもーーー。
もう、シンジには戻る身体がない。
つまりは、シンジは梓沙自身。
梓紗が他人の身体のままなら、ぞんざいに扱っても良かった。
でも、今は…。
”自分の身体”だー。
だから、失敗することは許されない。
「--ご、ごめん。ちょっと出かけてくる」
梓紗は、姉の亜須香の心配そうな表情から逃げるようにして、
部屋の外へと出て行った。
「----あ、梓沙!」
亜須香が、妹を心配そうに呼びかけるも、
梓紗はそのまま外へと行ってしまった。
「あれ…?」
ふと、亜須香は気づいた。
梓紗の机の上には、梓沙の可愛らしいスマートフォンが
置かれたままになっていた。
「あれ…置きっぱなしじゃない」
ヤレヤレ、と言う様子で、亜須香はそれを手にした。
亜須香はスマホの画面を何気なく見て、
目を見開いた。
表示されていた画面は、
”マネージャーからのLINE”
”アンタのAVの撮影日、決まったから
連絡しておくわね。
来なきゃどうなるか、わかってるわよね?”
と書かれていた。
「--なにこれ・・・」
亜須香は、唖然とした様子で、その画面を見つめるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イヤらしい格好をさせられた梓沙は、
涙ぐんだ様子で立ち尽くしていた。
確かに、シンジは憑依したら、梓紗の身体で好き放題やるつもりでは居た。
だが、こんな展開は、望んでいない。
「-まさか、今、人気の梓沙ちゃんに出演してもらえるとは
思いませんでしたよ」
不気味な笑みを浮かべる男が言う。
「えぇ、梓沙も喜んでます」
マネージャーが言う。
「--わ、わたし・・・」
梓紗は、AV出演を断ろうとしたが、
マネージャーから凄い視線で睨まれたため、
拒むことができなかった。
「--大丈夫。裏ルートで流通する映像を
撮るだけだから。
事件沙汰になったりなんかしないよ」
男が笑いながら言う。
明らかに違法行為だ、と梓紗は思う。
「--さぁ、私の梓沙を存分に使ってください」
マネージャーがイヤらしい笑みを浮かべた。
その時だったー
突然、事務所の扉が開き、
警察官がなだれ込んできた。
「--なっ!」
監督と思われる男が声をあげる。
「--えっ?」
マネージャーも驚いている。
そして、あっという間に、二人は取り押さえられた。
「ちょ…ちょっと!」
マネージャーが叫ぶ。
警察官が、罪状を伝えて、二人を即座に
そのまま連行していく。
「--きみのお姉さんから通報があった」
警察官の一人が、梓沙にそう伝えた。
「--お姉ちゃんが…」
梓紗は目に涙を溜めて、そう呟いた。
中身は他人なのに、姉はそうとも知らずに
自分を助けてくれたのだ。
梓紗に憑依しているシンジは、
他人と言えども、姉に感謝するしかなかった。
「--アンタ!裏切ったわね!」
マネージャーが連行されながら叫ぶ。
「--許さない!許さないっ!! うっ…!」
そう言うと、マネージャーはガクッと意識を失ってしまった。
「---」
梓紗は思う。
ネット上で出会ったファン仲間、ヨウスケ。
良い奴だと思っていたけれど、
本当は危ない奴だったのかもしれないーと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3日後。
梓紗はアイドルの仕事をしながら、
平穏な日々を送っていた。
梓紗の肉体を乗っ取ってしまって、
もう抜け出す方法も分からないけれど、
梓紗の人生を奪ってしまったせめてもの
償いとしてできることは、
”梓紗”として、ファンを裏切らないことー。
シンジは、そう思っていた。
「あら、帰ってたの?」
姉の亜須香が部屋に入ってきた。
「あ、お姉ちゃん…!」
例のマネージャーが逮捕されたあの日以降、
梓紗は姉の亜須香と会うタイミングがなかった。
梓紗は、助けてくれたお礼の言葉を口にしようとした。
「お姉ちゃん…あの…」
すると、亜須香がほほ笑みながら近づいてきた。
「---!!」
梓紗のアゴを亜須香が掴んで、
亜須香は梓沙を睨みつけた。
「えっ・・・」
梓紗が驚いて声をあげると、亜須香は梓沙を睨みながら言う。
「逃げられると思うんじゃねぇよ」
亜須香の低い声。
「--!」
亜須香の目は明らかに正気を失っていた。
「ま、、まさか…ヨウスケ!」
梓紗が叫ぶと、亜須香は力強く梓沙を引き倒した。
そして、躊躇することなく、亜須香は服を
引きちぎるようにして脱ぎ捨てて、
梓紗を足で踏みつけた。
「ねぇ、梓沙。いいえ、シンジくん。
あなたのせいで、わたしまで人生壊されちゃった!
ふふふ♡
わたしが手に入れた憑依薬はねぇ、あなたのと違って
ヒトの身体を自由に行き来できるタイプなの。
だから、あのマネージャーはもういらない。
今度は、あなたのお姉ちゃんとして、
あなたをペットにしてあげるわ」
見下すような冷たい目で妹を見つめる亜須香。
「お、、お姉ちゃん…!やめて!
目を覚まして!」
梓紗は妹として姉に呼びかけた。
しかしー
「大学もバイトも辞めちゃった!
彼氏もいたけど、振ってやった!
これからは、
24時間365日、ず~~~~っとアンタを
見張ってる。
ふふふ♡
あずさ、お前は私のペットよ」
亜須香は口元を邪悪に歪めて微笑んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後日―
梓紗は引退会見を行った。
姉の亜須香の命じるままに。
亜須香は言った。
「-どんなに逃げても、どんなに隠れても、
お前を逃がさないー」と。
亜須香の中に潜むヨウスケから
逃げ切ることは不可能だった。
さらには、憑依薬出品者の愛染と同じように、
家族にまで手を出すと言いだした。
もう、シンジは逃げられない。
ヨウスケのためのアイドル、梓沙として
これから生き続けることになるのだ…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
もう…逃げられませんネ
この後は地獄のような日々が待っているのかもしれません!
余談ですが、オークション出品者の愛染は、
複数作品に出ていますが、
単に憑依薬を手に入れるルートを物語上で描く際に、
便利なキャラクターとして、何回か登場させています(笑)
彼の過去は「夕暮れ時の涙」で、描いているので、
興味があればどうぞ!
コメント
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いつか愛染主体の物語が来たらおもしろそうですね!
これからも頑張ってください!
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> いつか愛染主体の物語が来たらおもしろそうですね!
> これからも頑張ってください!
ありがとうございます!
頑張ります!
彼主体のエピソードも、アイデアはあるのでいずれ機会が
あれば書いてみます!
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読みました。アイドル生活を満喫するどころか、とんだオチになりましたね。もう逃げられないにかな。堪能させてもらいました!
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> 読みました。アイドル生活を満喫するどころか、とんだオチになりましたね。もう逃げられないにかな。堪能させてもらいました!
ありがとうございます!
そう上手くは行かない…ということですネ!