怪しげな団体が、
彼女の亜実に、神(?)を憑依させてしまった。
神に憑依された亜実を前に、
清二はどうする…?
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「………」
亜実が、手でカロリーメイトをむさぼるようにして食べている。
清二は、その間も生きた心地がしなかった。
亜実は、何と言い出すだろうか。
やっぱり自分もー。
亜実に消された怪しげな団体のメンバーを思い浮かべる。
これは一体何なんだ?
亜実に、人を消すような力があるなんて、有り得ない。
けれど、宗教団体と亜実がグルでドッキリを仕掛けている、
なんてことはもっと有り得ない。
ならー。
やっぱり…
「---ふむ。悪くない」
亜実がそう言うと、清二の方を見た。
「---だが、足りぬ」
亜実がそう呟くと、清二の方を見つめた。
「……」
清二は、神に憑依された亜実を見て、
緊張のあまり、黙りこんでしまう。
「---どうした?案内いたせ」
亜実が感情のない声で言う。
「---へ?」
清二が間抜けな返事をすると、亜実は言った。
「この”かろりーめいと”を
我はもっと食したい。案内いたせ」
亜実の言葉に、清二は、どうしていいか分からず
「は、、はっ!仰せのままにー!」
と叫んだ。
とりあえず、死にたくない。
清二は慌てて近くのスーパーに亜実を案内した。
亜実は、腕を組みながら偉そうに歩いている。
これじゃあまるで、彼女に尻に敷かれている情けない彼氏みたいだ。
「---ほう、これか」
カロリーメイト売り場で亜実は立ち止まった。
そして、箱を開封しようとする。
「わーーー!わーーー!違う!違うよ!」
清二は慌てて亜実を止めた。
「--これは、お店の売り物!
お金で買わないと食べちゃいけないんだよ!」
清二がそういうと、亜実は不思議そうな表情で答えた。
「---うりもの?おかね?」
意味が分からない、という様子で不思議そうな顔をする亜実。
「--あ~、えっと…」
清二がづ説明しようか困っていると、
亜実が突然叫んだ。
「ーーって、触れるな無礼者!」
全力でビンタされて、清二は悲鳴をあげた…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんとかカロリーメイトを購入した清二は
近くの公園へと移動した。
公園のベンチで、亜実がカロリーメイトを
食べ続けている。
「ふむ…いけるな…いけるぞ」
何箱も何箱もカロリーメイトを食べる亜実。
(あぁ…中条さんは、ダイエット中なのに…)
清二は心の中で思う。
そもそも標準体型だけど、年頃の女の子らしく、
亜実はダイエットを最近、していた。
「・・・ちょ、ちょっと、そろそろ食べ過ぎじゃないかな・・・」
清二が遠慮がちに聞くと、
亜実は無言で清二を睨んだ。
亜実がこんな顔できるなんて・・・と
恐怖を感じ、清二は「あ、いえ・・・」と変な声で
慌ててその場を取り繕った。
亜実は、清二から目を逸らし、
カロリーメイトを食べ続けている。
イスの座り方が、女の子らしからぬ座り方で
清二は目のやり場にも困っていた。
「あ~~~!亜実と清二じゃん!」
背後から声がした。
清二が振り返ると、
そこには高校のクラスメイト、
寺杣 紀香(てらそま そりか)が居た。
「おやおや、デート中ですか~?」
誰にでも気さくな紀香が笑いながら言う。
「---って…亜実、あんた、
ダイエット中じゃなかったっけ?」
公園のベンチで、カロリーメイトを貪っている
亜実を見て、紀香が笑う。
「---」
亜実は、カロリーメイトをボロボロと食べながら
紀香を見つめる。
「わー、わー!寺杣さん、
今はちょっと!」
清二が慌てて公園から紀香を追い出そうとする。
「へ?な、何よ!わたしはお邪魔?」
紀香が不機嫌そうに言うと、
亜実が言った。
「何だ?その無礼者は」
感情のない声。
「--はぁ?」
紀香が不満そうに声を出した。
「ぶ…無礼者ってあんたねぇ!
それに何よその食べ方!
スカートの中、見えてるじゃない!
あんた、彼氏の前では、
そんな下品な振る舞いなの?」
紀香の言葉に、
亜実はカロリーメイトをベンチに叩きつけた。
「----」
亜実は無言で立ち上がる。
その目には、怒りがにじみ出ていた。
「あ~~~~!」
清二は、なりふり構わず、亜実をつかんで、
そのまま無理やり走り去った。
宗教団体のメンバーのように、
クラスメイトの紀香が消されでもしたら
大惨事だ。
しばらく走ると、
亜実が乱暴に清二を振り払った。
「--無礼者っ!」
吹き飛ばされる清二。
「---お前・・・我を誰だと思っている?」
怒りに満ちた目で亜実は清二を見た。
「--か、、神様だか何だか知らないけど…
こ、、この世界にはこの世界のルールがあるんだよ!」
清二は叫んだ。
謝るだけでは逆効果だと清二は思った。
消されるかもしれない。
恐怖で、身を震わせながら清二は叫んだ。
「・・・・・」
目をつぶって震えている清二。
やがて、亜実が口を開いた。
「そうか…無礼なのは我のほうであった。
すまぬ」
頭を下げる亜実。
「---あ、、い、、いや、、いいよ…」
そう言いながら清二はちらっと時計を見た。
18時ー。
もう帰らないと。
でもーー
この亜実をどうすれば?
「な…中条さん…あのさ…」
「--”なかじょう”?我はそんな名前ではない」
亜実が不機嫌そうに腕を組んで言う。
「--え…い、、いや…
じゃ、じゃあ、何て呼べば…」
清二が言うと、亜実は首を振った。
「知らぬ!記憶がない!」
イライラした様子で言う亜実。
清二は困り果てた様子で言う。
「こ、この世界では、家に帰らないといけないんだ。
なかじ…、、じ、、じゃなくて神様もそれは同じ。
でも、その身体は、中条さんのものだから、
みんなはさっきの寺杣さんみたいに、神様のことを
中条さんだと思ってる」
清二は頭の中が混乱しながらも言葉を続けた。
「だ…だから、家に帰っても、大人しくしていて。いい?
家族に何か言われても、
頷くだけとか、できるだけ家族との接触を…」
そこまで言うと、亜実が言った。
「”かぞく” ”いえ” ”なかじょう”
…意味が、分からぬ」
その言葉に、清二は説明を諦めたー。
「どうしよう…警察かな…」
清二が警察に保護をお願いしようと思いながらも
自分の家に辿り着く。
「--ちょ、ちょっと待ってて」
玄関先で待っているように亜実に告げる。
そして中に入っていく清二。
「ただいま~」
「おかえり~」
母が出迎える。
そして
「あら?清二、彼女さん連れてきたの~?」
母が笑う。
清二が驚いて背後を振り返ると、
そこには亜実が居た。
「って、うわぁ!何で入ってきたんだよ!」
清二が慌てる。
「---あらぁ、可愛らしいわね」
母が笑う。
「--ちょ、と、とりあえず部屋に!」
亜実を押しながら、清二は部屋へと慌てて向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
部屋についた清二はため息をつく。
「あのさ…
ここは僕の家で…なかじょ…、、えっと神様の家じゃないんだ」
そう清二が言うと、亜実は突然、
制服を脱ぎはじめた。
「えっ…うわっ!何してるんだよ!」
清二は叫んだ。
手をつなぐだけでも真っ赤になってしまう清二は、
慌てて、驚き、パニックになった。
「--なにって?我こそ聞きたい。
この邪魔なものはなんだ?」
脱いだ制服をごみのように持ちながら言う亜実。
亜実は肌を露出させて下着姿になっている。
「--ぶふっ!」
清二は鼻血を噴きだした。
「----?」
亜実は意味が分からない、という様子で
そんな清二のことを見つめている。
「あ・・・あの…それは、着ていないといけないの!
この世界のルールだよ!」
清二が目を逸らしながら叫ぶ。
しかしー
亜実はスカートも脱ぎ捨てていた。
「ぎゃあああああああ!」
清二が鼻血をさらに吹き出しながら、
その場で悶絶した。
「---おい!これ、片づけておけ」
亜実が、スカートを清二に渡そうとする。
「ええええぇぇ!駄目だって!
僕がスカートなんか持ったら…」
亜実は「口ごたえするな」とだけ言って
スカートを投げつけた。
「ぐふっ!」
清二は頭に亜実のスカートを被るような状態に
なってその場に倒れる。
「理解できぬ、理解できぬ」
亜実は下着をも脱ぎ捨てて、その場で
腕を組んで言った。
「--お前も、脱げ」
亜実の言葉に、スカートを被ったまま、
放心状態の清二が口を開こうとした。
その時だった。
「清二~お菓子持ってきたわよ」
母親が部屋の扉を開いた。
「----へ」
母親の目が点になる。
彼女の亜実が服を脱ぎ捨てて、
部屋にそれが散乱しているー
そして、清二が、
亜実のスカートを被って、
鼻血を吹き出している。
「あぁ…そういうことね…
清二……
お母さん、悲しい」
そう言うと、母は扉を閉めた。
「ちがーーーう!」
清二はスカートを投げ飛ばして叫んだ。
母親の後を慌てて追いかけようとする。
しかしーー
「おい!これを持て!」
亜実が下着を投げつけてきた。
「ぶふっ!」
清二は、悩殺された・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
騒がしい家の外…
白いローブを着た男が、清二の家を見つめていた。
「神よ…
今、お救いしますぞ」
謎の宗教団体の、現場から逃亡した一人が、
神をーー、
亜実を追って、家の前までやってきていたーー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
清二君は、色々な意味で被害を受けていますね…
結末はどうなってしまうのでしょうか。
コメント
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ドSの私もこの神様と清二を見ていたら
なんだか二人を応援(?)したくなりました
頑張って人間界に馴染めてくださいよ神様w
元の亜美さん?んなもん知ったこっちゃねぇよ!(外道
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> ドSの私もこの神様と清二を見ていたら
> なんだか二人を応援(?)したくなりました
> 頑張って人間界に馴染めてくださいよ神様w
>
> 元の亜美さん?んなもん知ったこっちゃねぇよ!(外道
馴染むのはかなり難しそうです…笑
元の彼女…私も知りませんネ・・・!