<憑依>マリオネットポゼッション~糸が引き裂く絆~

彼女を操り人形にされた挙句、
憑依されて奪われてしまった良平ー。

はめられて逮捕された良平…
誤解が解け、再び解放された良平は、
彼女の澪を取り戻す決意をするー。

※リクエスト頂きましたマリオネットポゼッション(過去作はこちら)の続編です!

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ーー良平は、怒りに震えていた。

彼女の澪は、同級生の羽村という生徒によって、
”操り人形”にされてしまった。

彼は、不気味な古文書で、澪を操り、
最終的には伝承を利用して、
澪に憑依し、澪の身体を奪ってしまったのだ。

しかもー
ヤツは、今も澪の身体で好き勝手暮らしている。

許すことはできないー。

大学に通う澪。
どこの大学かは分かっている。

今度こそー。
羽村の手から、澪を取り戻さなくてはならない。

良平はーー
大学の前で澪は待ち伏せした。

傍から見れば、変態だ。
けれど、仮にそう思われたとしても
良平には、守らなければいけないものがあるー。

高校時代、
奪われた澪をー。

何年かかったとしても、澪を、助けなくてはならない。

良平は、今でも、澪を、愛しているから。

「---澪…」
良平は、大学から出てきた澪を見つけた。

長い黒髪に、派手なミニスカート…
そして、高校時代よりも、イヤらしくなった体つき。

「---あら…良平」
澪が不気味に微笑んだ。

「---澪…いや…羽村ぁ!」
良平が叫ぶと、
周囲の大学生たちが2人を少しだけ見つめた。

澪はため息をついた。

「---君もしつこいな・・・
 いいよ…
 ”私”の家でお話しましょ?」

澪はそう言うと、
色っぽくウインクした。

「---」
良平は、拳を握り締めながら
その誘いに応じた。

ここで騒げばーー
結果的に、澪が傷つくことになる。

たとえ、澪を取り戻せたとしても、
それではダメだー。

良平は、澪と一緒に、澪の家へと移動した。

「---良平くん?どうぞ?」
澪が、家の中へと手招きする。

高校時代は当然親元に居た澪だが、
今は一人暮らしのようだ;

謎の芸術品のようなものや、
澪のいやらしい写真、
それに、大人のおもちゃや、色々なアダルトな洋服が
飾られていた。

「---ふふ…ようこそ、わたしの家へ」
澪が手を広げて笑う。

「---羽村…俺は絶対に諦めないぞ」
良平は叫んだ。

「---澪は、お前の操り人形なんかじゃないー!
 俺は必ずお前から、澪を取り戻す!」

「---中尾くん…だったよな?」
澪が態度を豹変させて笑う。

「--この女は僕の操り人形なんだよ!
 僕の芸術品!所有物だ!
 わかるかい?」

澪が、身振り手振りを交えて笑う。

「---女は芸術品だ!
 この女も!
 
 でもな、中尾くん、芸術品は、その価値に
 気付かれなければ、ただのゴミだ。

 有名な画家の書いた絵も、
 持ち主がその価値に気付かなければただの落書きなんだよ!」

澪が興奮しきった様子で言う。

羽村の喋り方で、澪が喋らされていること自体、
良平には腹立たしくて仕方がなかった。

「--この女もそうだよ!
 こいつは、自分が芸術品だと気付いていなかった!

 でも、僕ならその価値が分かる。
 だから、僕が手に入れたんだよ!
 こいつは、僕にとって、芸術品なんだよ!」

澪が自分を指さしながら大笑いする。

「あははははははっ!ははははははははっ♡
 そんな芸術品と、僕は、いや、わたしは一つに
 なった!
 わかる、良平くん?
 これは、人間と芸術の融合だよ!
 美術との融合だ!」

何を興奮しているのか、澪の太ももには
愛液が流れてきている。

「--ふざけやがって!」
良平が拳を握り締めた。

「--澪は、芸術品なんかじゃない!
 ものなんかじゃない!
 人間なんだ!
 今すぐ澪を解放しろ!」

「---罪だな」
澪が呟いた。

「--君は、芸術というものを理解しようとしていない。
 ベートーベンやダヴィンチの作品を心から見てみたことがあるか?」

澪の言葉に、良平は黙り込む。

「そうだろう?ないだろう?
 しょせん、君はその程度の人間だ。
 芸術というものを理解していない!

 僕はな、小さい頃から色々な芸術に触れてきた。

 君は、絵を見て射精したことはあるか?
 音楽の持つ深さに触れてイッたことはあるか?
 ないだろう??」

澪の言葉に、良平は叫んだ。

「この変態野朗が!!
 芸術なんてどうでもい!澪を返しやがれ!」

「嫌だね…
 この胸…
 無限の宇宙…
 まるでビックバンだ・・・!

 宇宙を手に入れて返すバカがどこに居る?
 いないよねぇ?
 うふふふふふっ…あははははははは♡」

狂ったように胸を触り続ける澪。

「--貴様ぁ…!」
良平が憎しみに満ちた目で澪を見る。

「---ま、いいか。
 良平くん…
 あなたに”芸術”を見せてあげる…」

そういうと、突然、澪がガクッとからだを震わせて、
力なく、その場に立ち尽くした。

「みお…?」
まるで、人形のように、前のめりになっている澪を見て、
良平が不安そうに声をかける。

「・・・くふふふふふふ」
澪が人形のように不気味に首を震わせながら笑う。

「--み、澪…」

そう言いかけて、良平ははっとした。
澪の上に、憑依している男ー羽村の、幻のような姿が見えた。
蜃気楼のように、その姿は歪んでいる。
だが、確かに見える。

その羽村が、糸を垂らし、澪を操っている。

「どう、、だ、、中尾くん、、
 澪ちゃんは、、もう、、僕の人形なんだよ…」

澪が糸に操られてぎこちない口調でしゃべる。

表情は無表情でカクカクと震えている。

「み…澪!おい羽村!もうやめろ!」
良平が叫ぶ。

しかし、羽村は澪の身体を糸で操り、笑う。

「ーーど、、う、、だ、、この胸・・・!
 君、、に、この芸術を理解…できるの…か?」

感情のない声で言う澪。

糸で操られているからか、
首が不自然な方向に曲がっている。

「--芸術品は、、価値が知らない人が持っていても、、、
 意味が、、、ない、、、
 だから、僕は、、澪という芸術作品を、、
 さいだいげんに・・・いかしているんだよ・・・
 けけけけけけけ!」

糸を操作して、澪の身体に喋らせている羽村。

「--ーー女の子は宇宙だ。
 神秘に・・・満ちている…
 げは、、げははははははは」

澪の身体が笑いながら痙攣している。

「--お、おい!」
震える澪を支える良平。

「--なかおくん、、、も、、もう、諦めなよ、、
この身体は、、完全に、、僕のものなんだ」

澪が虚ろな目で、うつろに笑っている。

「--こ、、んな、ダンスをさせることも・・・
 できる・・・
 ひは、、ひは、、ひはははは!」

澪が狂ったように、身体を動かして、
狂人のごときダンスを披露している。

「はぁ… はぁ…はぁ…」
澪の身体が激しい動きについていけずに
自然に息を上げている。

「も、、もうやめろ!このマリオネット野郎!」

良平が叫ぶと、澪が突然パタリと倒れて
痙攣を始める。

「お、おい、、澪!!!」

澪の名前を呼ぶと、
澪は、むくりと起き上がって笑った。

「---くくく、必死だね…良平♡
 これで分かった?
 わたしは芸術品なの。

 芸術品としてこの身体は、
 ず~っと、ずっと、操られるの!
 うふふふふ…」

澪が不気味に笑う。

「---くっ…くそっ…」

澪に憑依している羽村を分離させる方法は
ないのだろうか。
良平が悲痛な表情で、澪を見る。

「---そうだ。良平。
 あなたにも見せてあげる。
 ”わたし”という名の芸術を♡」

そういうと、澪が、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。

「---お、、おい!澪!やめろ!」
良平は叫ぶ。

澪は笑う。

「うふふ…
 芸術品には、誰もが平等に触れる資格がある。
 美術館に展示されている芸術品…
 芸術は分かち合うものだ!

 中尾くん…
 君にも見せてあげるよ!
 ”みお”という名の作品を!」

澪が嬉しそうに服を投げ捨てた。

すべての服を投げ捨てた澪が、
自信に満ち溢れた表情で、良平を見つめている。

「---これが、芸術よ」
澪が、ドヤ顔で言う。

「----ふざけやがって…!」
良平は拳を握り締めた。

「さぁ、中尾くん、わたしを抱く?
 ほら、目の前に美の結晶があるのよ!?

 しつこい君には特別だ!
 わたしを抱く権利をあげるわ!」

澪がポーズを決めて、良平を誘惑した。

しかし…

良平は無言で振り返った。
玄関のほうに向かって…。

「---おや、中尾くん…
 せっかく、彼女を抱かせてあげようとしているのに、
 僕の芸術を抱かせてあげようとしているのに!
 いいのかな?ふふふふ…」

背後から澪の声がした。

良平は振り返りもせずに答えた。

「お前は、人の芸術作品を盗んで自分のものにしてるだけだ」

良平は、そう呟くとさらに続けた。

「--ーーー美術家きどりの変態野朗が!
 かならず俺が澪からお前を引き剥がして 八つ裂きに
 してやる!
 何年かかってでも、必ずだ!
 覚悟しておけ!」

良平はそう呟くと、
そのまま玄関の扉に手をかけた。

「----くくく…無駄よ!
 わたしはもう”人形”なの!
 羽村くんの人形なの!!
 うふふふふふ、死ぬまでわたしのからだは
 お人形さんよ!!
 あははは、あははははははははははっ!」

笑う澪。

良平はそれを無視して叫んだ。

「---黙れクソ野郎が!」

そして、そのまま良平は外に出た。

”必ずお前を八つ裂きにする方法を見つけ出してみせる”
良平は、拳を震わせながら、
澪の家から去っていった。

「----」

澪は笑うー。

「夢は見ないほうがいいよー」  と。

澪に憑依している羽村は、昔から、
TSFモノの小説などを読んでいた。

作品ではー、
憑依した人物が何らかの事情で消されて、
憑依されていた子が正気を取り戻す類のものもいくつかあった。

だが、どうだろう。

現実はそんなに甘くはないー。

「僕は芸術を手放さない。
 美術家が手に入れた芸術品をそう簡単に手放すか?
 いいや、手放さない。

 僕は芸術と一体化したんだ。
 澪という芸術作品とな…

 ふふふ…あははははははは!」

澪は一人、狂ったようにその部屋で笑い続けたーー。

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良平は思う。

澪は助け出す方法はーー
一つしかないー。

それはーーー

良平は、
闇世界で噂される憑依薬を手に入れて、
澪の身体に憑依して、
中に潜む羽村を消し去ろうー

そう、考えた。

良平は今、闇の世界に足を踏み入れようとしていた…!

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

おわり…?
そのうち続きもあるかもしれませんよ(曖昧なコメント^^)

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