<憑依>増幅する嫉妬心③~元通り~(完)

やがて、全ては元通りになるー。

終わり良ければ全て良しー。
”彼女”は最後に微笑むことはできるのだろうかー。

その笑みはー果たして”ほんもの”なのだろうか。

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3か月前ー。

浮気をしたことで、響子から愛想を尽かされてしまい、
別れた元彼氏の忠は、
響子と同じ大学の、蜜菜との付き合いを続けていた。

だがー
忠は気づいてしまった。
自分が本当に好きなのはー、
響子であったと。

確かに、一時的に蜜菜に目移りしてしまった。

それは、反省しなければならないー。
蜜菜の積極的な態度に、
忠は目移りしてしまったのだ。

もちろん、許してくれとは思わない。
悪いのは自分自身だ。

けれどー
できることならもう一度。

そしてー
その想いは強まっていきー。

「--蜜菜、別れよう」
忠は、デートの終わりに言った。

「え?どうして!」
おしゃれな蜜菜が、目を潤ませて言うー。

「--やっぱ、違うんだ。
 俺が好きなのは…」
忠が言うと、蜜菜は失笑した。

「もう響子は忠君に振り向いたりしないよ!
 知ってるでしょ?あの子、そういうところに
 対しては真面目だって!」
蜜菜がそう言うと、忠は叫んだ。

「でも!!
 例えそうだとしてもー
 俺は、響子が好きなんだ!
 お前と付き合って気づいたんだ…」

忠が言うと、蜜菜はふてくされた様子で言った。

「--響子、響子…
 つまんないの!!」

拗ねる蜜菜ー。

忠は、そんな蜜菜を見て言った。

「ごめんー
 やっぱり、蜜菜、君とは付き合えない。
 何かが”違う”んだー」

彼はー、
響子だけを見据えていたー。

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玄関を開いた響子は微笑む。

「久しぶり。どうしたの?」
響子は”ひきつった笑顔”を浮かべたー

やってきた来客は、響子にとって
許せるはずの無い人物。

響子にとってー
憎むべき相手ー。

ーー大学時代の同級生で、
彼氏の忠を奪ったーー
蜜菜だった。

「--ごめんね、急にお邪魔して」
蜜菜がそう言いながら図々しく家に入ってくる。

響子は不愉快に思いながら言う。

「--忠とは、上手く行ってるの?」

言わずには居られなかった。
”自分から奪った忠とは上手くやっているのだろうか”

「ーーーうん。それがね」
蜜菜は響子を見て微笑んだ。

「--響子じゃなきゃダメなんだって!!」
怒りをあらわにして、突然、蜜菜が怒鳴った。

「え??」
戸惑う響子。

張りつめた空気が部屋に広がる。

「--わたし、忠君に尽くしたのに、
 アイツ、やっぱり響子じゃなきゃダメなんだって…!

 本当にむかつく…
 あんたさえ、あんたさえいなければ…!」

蜜菜が憎悪に満ちた目で響子を見た。

響子はムカッと来た。
”植え付けられた嫉妬心”とは関係なくー
忠を自分から奪っておいて、この物言いは一体なんなんだ、と。

「---ねぇ、何よその言い方!」
響子が感情をこめて言うと、蜜菜は笑った。

「--だから、わたしがアンタになるー!」

蜜菜は響子を指さした。

その瞬間ー
響子はゾクっとしたーーー

妹の結婚式の会場でも”蜜菜と会った”ことを思い出したー
あのとき、蜜菜は、自分の体にキスを急にしてきてーー
わけがわからなくなってー
気づいたら嫉妬の心がーーー

「---まさか蜜…」

そう言いかけた時はもう遅かった。
蜜菜は響子にキスをしてーー
蜜菜の体は光となってー
響子に吸い込まれた。

「ひっ…げほっ…げほっ…げほっ」
咳き込む響子ー。

けれどー
響子は、すぐに”支配”されてしまったー

前の時のようにー
”心に強さ”が無くなっていたからー。

今の響子は嫉妬に支配されていたからー。

「今日から…
 わたしが…坂松 響子…
 うふふ・・・♡」

響子は甘い笑みを浮かべたー。

今の嫉妬心に支配された響子ならー
もう抵抗されないー
この体はー、自分のものだと、
蜜菜は確信したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

忠が休日のひと時を過ごしていると
インターホンがなった。

「はいー?」
出ていくとー
そこには、半年前に浮気が原因で
愛想を尽かされてしまった響子の姿があった。

髪をおしゃれに束ねて、大胆なミニスカート姿をしている。

響子は、いつの間にか、さらに可愛らしく、
おしゃれになっていたー。

「--うふふ♡ ひさしぶり!」
響子が甘い笑みを浮かべると忠は顔を赤らめた。

「あ、、ひ、久しぶり…」
忠はふと、”やべっ”と思う。

部屋に響子の写真を数枚、飾ったままだった。

「--ふふ」
響子は笑いながら部屋の中に入っていく。

「--あ、ちょ…」
戸惑う忠。

そして、響子は忠が飾ってある
”自分の写真”を見つけた。

「--ふふふ、わたしの写真、
 まだ飾っていてくれたなんて、嬉しい」
響子がほほ笑みながら振り返る。

「--あ、あぁ…」
忠は一瞬違和感を感じた。

響子は、
こんなに”女らしさ”を強調するような
女だっただろうかー と。

まるで、”蜜菜”と話しているかのようなー。

「ねぇ…」
気づけば、響子が上着を脱いで、
忠に体を密着させていた。

「わたしたち…もとに戻りましょ?」
響子が耳元で甘い声で囁く。

「も、元に…?」
忠が尋ね返すと、響子は、言った。

「--また、男と女の関係になっちゃいましょ♡
 うふふ!」

そう言うと、響子はジャマになった髪をかきわけて、
忠を押し倒したー。

そしてー
二人は熱いひと時を過ごすのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「この前は、ごめんね…」

姉の響子は、カフェで妹と会っていた。

あれから半月ー。

「--ううん、お姉ちゃんの気持ちも
 分かるから、無理ないよ」

妹の晴香が言う。

突然、姉から
”結婚式の日のことを謝りたい”と連絡があった。

そして、会いに来てみれば、
”いつものように優しい姉がいた”

「--良かった!晴香に分かってもらえて!
 わたし、嬉しい!」

響子がほほ笑む。

そんな響子の姿を見て、晴香は思うー

”綺麗”

とー。

今日の姉は女らしく、美人と形容するに
ふさわしい装いで、仕草もどこか女らしい。

「あのさー」
晴香が呟く。

「え?」
響子が反応すると、
晴香は笑った。

「なんだか、お姉ちゃん、
 女らしくなったね?」

晴香が言うと、
響子は少し不気味な笑みを浮かべたー

「わたし、忠くんとまた付き合うことになったの!
 うふふ・・・♡」

嬉しそうな姉を見て、
晴香は思ったー

”お姉ちゃんが幸せそうでよかったー”

と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全ては元通りー

彼氏の忠との関係もー

妹の晴香との関係も、
妹の夫、大輔や母親との関係も修復された。

「-ーーすべて、元通りよ」

大人の美女という感じのドレスを来た
響子が、鏡の前で挑発的なポーズをとる。

「悔しい?響子?」

響子は自分の名前を呼んだ。

「--あなたの人生は、わたしのものー
 忠も、妹も、家族も、
 誰も気づかない。

 くくく…」

響子に憑依した蜜菜は勝ち誇った表情を浮かべた。

「--わたしが響子ー。
 記憶も受け継いだ私には、誰も気づかないー。
 ”中身”なんて、みんなどうでもいいのよ…」

響子はそう言い終えると、笑い出した。

一人で、いつまでもいつまでも不気味に笑い続けるのだった。

全ては元踊りー
ただ一つ、違うのは、彼女の”中身”だけー。

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2か月後ー。

”今日は同僚と飲み”
と、忠から写真つきのLINEが送られてきた。

その写真の中にはー同僚女性も写っているー。

「------」
その写真を見た響子はーー
明らかにただの同僚なのにー、
無性に腹が立った。
憎悪が湧き出てきた。

ミシッ…

スマホを握りしめる響子の表情は、
憎悪に満ちていたー

蜜菜は知らないー。
自分が響子に植え付けた嫉妬心が、
次第に、自分にも影響を及ぼし始めていたことをー。

おわり

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コメント

増幅する嫉妬心の最終回でした!
展開は予想通りでしたか?

憑依<増幅する嫉妬心>
憑依空間NEO

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