やがて、全ては元通りになるー。
終わり良ければ全て良しー。
”彼女”は最後に微笑むことはできるのだろうかー。
その笑みはー果たして”ほんもの”なのだろうか。
--------------------—
3か月前ー。
浮気をしたことで、響子から愛想を尽かされてしまい、
別れた元彼氏の忠は、
響子と同じ大学の、蜜菜との付き合いを続けていた。
だがー
忠は気づいてしまった。
自分が本当に好きなのはー、
響子であったと。
確かに、一時的に蜜菜に目移りしてしまった。
それは、反省しなければならないー。
蜜菜の積極的な態度に、
忠は目移りしてしまったのだ。
もちろん、許してくれとは思わない。
悪いのは自分自身だ。
けれどー
できることならもう一度。
そしてー
その想いは強まっていきー。
「--蜜菜、別れよう」
忠は、デートの終わりに言った。
「え?どうして!」
おしゃれな蜜菜が、目を潤ませて言うー。
「--やっぱ、違うんだ。
俺が好きなのは…」
忠が言うと、蜜菜は失笑した。
「もう響子は忠君に振り向いたりしないよ!
知ってるでしょ?あの子、そういうところに
対しては真面目だって!」
蜜菜がそう言うと、忠は叫んだ。
「でも!!
例えそうだとしてもー
俺は、響子が好きなんだ!
お前と付き合って気づいたんだ…」
忠が言うと、蜜菜はふてくされた様子で言った。
「--響子、響子…
つまんないの!!」
拗ねる蜜菜ー。
忠は、そんな蜜菜を見て言った。
「ごめんー
やっぱり、蜜菜、君とは付き合えない。
何かが”違う”んだー」
彼はー、
響子だけを見据えていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
玄関を開いた響子は微笑む。
「久しぶり。どうしたの?」
響子は”ひきつった笑顔”を浮かべたー
やってきた来客は、響子にとって
許せるはずの無い人物。
響子にとってー
憎むべき相手ー。
ーー大学時代の同級生で、
彼氏の忠を奪ったーー
蜜菜だった。
「--ごめんね、急にお邪魔して」
蜜菜がそう言いながら図々しく家に入ってくる。
響子は不愉快に思いながら言う。
「--忠とは、上手く行ってるの?」
言わずには居られなかった。
”自分から奪った忠とは上手くやっているのだろうか”
「ーーーうん。それがね」
蜜菜は響子を見て微笑んだ。
「--響子じゃなきゃダメなんだって!!」
怒りをあらわにして、突然、蜜菜が怒鳴った。
「え??」
戸惑う響子。
張りつめた空気が部屋に広がる。
「--わたし、忠君に尽くしたのに、
アイツ、やっぱり響子じゃなきゃダメなんだって…!
本当にむかつく…
あんたさえ、あんたさえいなければ…!」
蜜菜が憎悪に満ちた目で響子を見た。
響子はムカッと来た。
”植え付けられた嫉妬心”とは関係なくー
忠を自分から奪っておいて、この物言いは一体なんなんだ、と。
「---ねぇ、何よその言い方!」
響子が感情をこめて言うと、蜜菜は笑った。
「--だから、わたしがアンタになるー!」
蜜菜は響子を指さした。
その瞬間ー
響子はゾクっとしたーーー
妹の結婚式の会場でも”蜜菜と会った”ことを思い出したー
あのとき、蜜菜は、自分の体にキスを急にしてきてーー
わけがわからなくなってー
気づいたら嫉妬の心がーーー
「---まさか蜜…」
そう言いかけた時はもう遅かった。
蜜菜は響子にキスをしてーー
蜜菜の体は光となってー
響子に吸い込まれた。
「ひっ…げほっ…げほっ…げほっ」
咳き込む響子ー。
けれどー
響子は、すぐに”支配”されてしまったー
前の時のようにー
”心に強さ”が無くなっていたからー。
今の響子は嫉妬に支配されていたからー。
「今日から…
わたしが…坂松 響子…
うふふ・・・♡」
響子は甘い笑みを浮かべたー。
今の嫉妬心に支配された響子ならー
もう抵抗されないー
この体はー、自分のものだと、
蜜菜は確信したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
忠が休日のひと時を過ごしていると
インターホンがなった。
「はいー?」
出ていくとー
そこには、半年前に浮気が原因で
愛想を尽かされてしまった響子の姿があった。
髪をおしゃれに束ねて、大胆なミニスカート姿をしている。
響子は、いつの間にか、さらに可愛らしく、
おしゃれになっていたー。
「--うふふ♡ ひさしぶり!」
響子が甘い笑みを浮かべると忠は顔を赤らめた。
「あ、、ひ、久しぶり…」
忠はふと、”やべっ”と思う。
部屋に響子の写真を数枚、飾ったままだった。
「--ふふ」
響子は笑いながら部屋の中に入っていく。
「--あ、ちょ…」
戸惑う忠。
そして、響子は忠が飾ってある
”自分の写真”を見つけた。
「--ふふふ、わたしの写真、
まだ飾っていてくれたなんて、嬉しい」
響子がほほ笑みながら振り返る。
「--あ、あぁ…」
忠は一瞬違和感を感じた。
響子は、
こんなに”女らしさ”を強調するような
女だっただろうかー と。
まるで、”蜜菜”と話しているかのようなー。
「ねぇ…」
気づけば、響子が上着を脱いで、
忠に体を密着させていた。
「わたしたち…もとに戻りましょ?」
響子が耳元で甘い声で囁く。
「も、元に…?」
忠が尋ね返すと、響子は、言った。
「--また、男と女の関係になっちゃいましょ♡
うふふ!」
そう言うと、響子はジャマになった髪をかきわけて、
忠を押し倒したー。
そしてー
二人は熱いひと時を過ごすのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「この前は、ごめんね…」
姉の響子は、カフェで妹と会っていた。
あれから半月ー。
「--ううん、お姉ちゃんの気持ちも
分かるから、無理ないよ」
妹の晴香が言う。
突然、姉から
”結婚式の日のことを謝りたい”と連絡があった。
そして、会いに来てみれば、
”いつものように優しい姉がいた”
「--良かった!晴香に分かってもらえて!
わたし、嬉しい!」
響子がほほ笑む。
そんな響子の姿を見て、晴香は思うー
”綺麗”
とー。
今日の姉は女らしく、美人と形容するに
ふさわしい装いで、仕草もどこか女らしい。
「あのさー」
晴香が呟く。
「え?」
響子が反応すると、
晴香は笑った。
「なんだか、お姉ちゃん、
女らしくなったね?」
晴香が言うと、
響子は少し不気味な笑みを浮かべたー
「わたし、忠くんとまた付き合うことになったの!
うふふ・・・♡」
嬉しそうな姉を見て、
晴香は思ったー
”お姉ちゃんが幸せそうでよかったー”
と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全ては元通りー
彼氏の忠との関係もー
妹の晴香との関係も、
妹の夫、大輔や母親との関係も修復された。
「-ーーすべて、元通りよ」
大人の美女という感じのドレスを来た
響子が、鏡の前で挑発的なポーズをとる。
「悔しい?響子?」
響子は自分の名前を呼んだ。
「--あなたの人生は、わたしのものー
忠も、妹も、家族も、
誰も気づかない。
くくく…」
響子に憑依した蜜菜は勝ち誇った表情を浮かべた。
「--わたしが響子ー。
記憶も受け継いだ私には、誰も気づかないー。
”中身”なんて、みんなどうでもいいのよ…」
響子はそう言い終えると、笑い出した。
一人で、いつまでもいつまでも不気味に笑い続けるのだった。
全ては元踊りー
ただ一つ、違うのは、彼女の”中身”だけー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2か月後ー。
”今日は同僚と飲み”
と、忠から写真つきのLINEが送られてきた。
その写真の中にはー同僚女性も写っているー。
「------」
その写真を見た響子はーー
明らかにただの同僚なのにー、
無性に腹が立った。
憎悪が湧き出てきた。
ミシッ…
スマホを握りしめる響子の表情は、
憎悪に満ちていたー
蜜菜は知らないー。
自分が響子に植え付けた嫉妬心が、
次第に、自分にも影響を及ぼし始めていたことをー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
増幅する嫉妬心の最終回でした!
展開は予想通りでしたか?

コメント