姉の響子は、嫉妬心を爆発させたー。
妹に対して憎悪をむき出しにする姉ー。
しかし、彼女は妹の涙を見て、
我を取り戻すー。
植え付けられた嫉妬と憎悪に、抗うことはできるのかー。
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半年前ー。
晴香の姉、響子は、大学時代からの彼氏だった、
忠の秘密を知ってしまった。
最近、忠は仕事が忙しかった。
ウソをつくような人ではなかったし、
響子も、それを信じていたー。
けれどー
それは、嘘だった。
ある日、たまたま別の用事で、忠の家の近くを通った響子は、
忠の家を訪ねることにした。
その日は、忠は休日だったー。
「---あれ?」
忠の家について、インターホンを押しても、反応が無い。
ドアノブに少し手をかけると、
ドアが開いた。
勝手に入るのはいけないー。
そう思っていたけれど、
忠は合鍵を響子に渡して
”いつでもは行っていいよ”などと言っていたから、
この日もそうしたー。
でもー
「ん・・・♡ あっ♡ ただしぃ♡」
奥から女の声が聞こえた。
響子は、ゾッとして扉を開いたー。
そこにはー
彼氏の忠と、大学時代の同級生、蜜菜の姿があったー。
「--待ってくれ!信じてくれ!
俺は、蜜菜に誘われて…
あまりにもしつこいから、1回だけって…!」
忠は、泣きながら叫んだ。
”見苦しい”
そう思った響子は言った。
「--別れましょう」
とー。
全ては、半年前のことー。
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部屋に飾られた響子の写真を見つめて
涙を浮かべるー。
半年前に浮気をして別れた元彼氏・忠は
自分の部屋で、元彼女である、
響子の写真を、見つめていた。
「響子…」
写真を見つめて、涙するー
「俺には、お前しか、いないんだ…」
忠は、写真を握りしめた-。
彼は、蜜菜と付き合い始めてからも、
響子への未練を断ち切れずにいたー。
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結婚式場ー。
姉の響子は、休憩室で一人、
顔を覆い、座り込んでいた。
「--どうして?」
響子は自問自答する。
妹の晴香の結婚への嫉妬ー。
どうして、自分はあんなことをしてしまったのだろう。
親族にも、相手の親族にも、妹にも
合わせる顔がないー。
「--晴香が幸せなのは嬉しい事なのに」
落ち込んだ表情で、窓際の方に歩いていく
響子ー。
「酷いお姉ちゃんでごめんねー」
一人、呟いて涙をこぼす。
響子は知らないー。
自分が結婚式場の外で、
”よく知る人物”に憑依されて
嫉妬や憎悪を刻み付けられたことをー。
その人物が憑依から抜け出すときに、
響子が違和感を感じないように、
記憶を少し操作したからー、
響子は、駐車場で”その人物”を見かけたことは
覚えていないし、
憑依されたことも、当然、覚えていないー。
「--ーーごめんね」
晴香の顔を浮かべながら
ひたすら謝り続ける響子ー
でも…
晴香にも悪いところはあるー
”わたしを差し置いて結婚するなんてー”
響子の脳裏に再び憎悪が湧きあがるー。
”晴香は、自分の幸せをわたしに自慢している?”
響子は、拳を握りしめた。
晴香の顔が、脳裏に浮かぶー。
「---悪いのは、、、あんたじゃない!」
大声で叫んだ。
怒りを自分で、抑え込むことができない。
響子は、怒りの形相で、窓ガラスを殴り始めた。
「ふざけんなっ!!!ふざけんな!!!
わたしを…わたしを馬鹿にして!!!!」
ヒステリックを起こしたかのように叫びまくる響子。
その時、扉が開いた。
「--お、、お姉ちゃん!」
妹の晴香だった。
「--ね、、ねぇ!もうやめてよお姉ちゃん!」
晴香が響子を抑える。
窓ガラスは割れ、響子の手からは血が流れている。
「---離して!!あんたなんか妹じゃない!」
響子は晴香を突き飛ばす。
「--お、、お姉ちゃん!ごめんなさい!許して・・・!
わたし、お姉ちゃんを悲しませるつもりなんてないの!
お願い!信じて!」
晴香が涙を浮かべて言うー。
しかしー
さらに強まった憎悪は、もう、妹の泣き顔を見ても、
抑えることはできなかった。
「---うざい!!!あんたなんかいなきゃよかった!」
響子が叫ぶ。
そして、晴香の方に近づいて行って、
晴香を容赦なくビンタした。
「--お姉ちゃん!ごめんなさい!!
ごめんなさい!!許して!!」
泣きわめく晴香。
響子は憎悪に満ちた目で言った。
「--わたしより先に結婚するなんて許さない…!
なんてクソ生意気な妹なの!!
今すぐ婚約を解消しなさい…!」
響子が、晴香の髪を引っ張る。
「--や、、やめて…」
晴香は涙を流している。
「--婚約解消しろって言ってるの!
お姉ちゃんの言うこと、聞けないの?」
さらに手に力を込める。
「---そ、それはできないよ…
お姉ちゃん…!お願い!いつものお姉ちゃんに戻って!」
嘆願するような表情ー
けれど、
それが、憎かったー。
「---わたしを馬鹿にしないで!!!」
グーで妹を殴りつける響子。
そして倒れた晴香の上に乗り、
さらに怒りを爆発させた。
「はぁ…はぁ…許さない…!
許さない…滅茶苦茶にしてやる!!」
響子が叫んだ―。
その時だった。
「--もうやめるんだ!」
妹の婚約者・大輔だった。
「----だ、、大輔」
涙を浮かべて晴香が助けを求める。
「--お姉さん、これだけは言わせてもらうー。
あなたのやってることは間違ってる」
大輔は言った。
「--う、、うるさい!!わたしたち姉妹の問題に
関わらないで!」
響子が怒鳴り散らす。
「---申し訳ない。それはできない。
ーー僕たちは夫婦だ。
あなたが、どう思っていようとも」
大輔の言葉に、響子はさらに怒りを爆発させた。
「--私から!!晴香を奪わないで!!!」
怒り狂った様子で泣き叫ぶ響子ー。
「---やめなさい」
休憩室の入り口から、母の声がした。
「--お母さん」
響子が驚いた様子で言う。
「--もういいわ。
出ていきなさい。この恥さらし」
世間体を気にする母は、冷たく言った。
母もー
晴香もーー
大輔もーーー
みんなみんな…
「--わかったわよ!出て行ってやるわよ!
ふざけんな!!」
響子は大声で叫んでそのまま走り去った。
「--お姉ちゃん…」
晴香は悲しそうにつぶやいた。
「----」
大輔も、その様子を神妙な面持ちで見つめていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜―
「はははは!ふざけんじゃねぇよ!
やってられるかっての!」
礼服姿の響子が、街のバーで
酒におぼれていた。
「--ずるい!許せない!許せない!
もう1本、頂戴!!」
響子がマスターに叫ぶ。
普段、酒を飲まない響子。
けれど、飲まずには居られなかった。
妹への怒りは、
さらに強くなっていた。
許せないーーー!!
絶対に、許せないーーー!
響子は怒りに満ちた形相で、壁を見つめた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
「---はぁ…」
響子はため息をついた。
自分がどうしてあんな行動をしてしまったのか、
時折、我に返り、思うー。
晴香の幸せは自分の幸せだったんじゃないかと…。
「---…」
響子は自問自答した。
けれどー
憎悪が、それを打ち消した。
「--違う…悪いのは晴香よ!
あんなクソ家族!わたしから縁を切ってやるわ!!」
響子はグラスを床に叩きつけて叫んだ。
怒りが消えない。
「---あああああぁああああああ~~~!」
髪を狂ったように掻き毟りながら、イライラを爆発させる。
「はぁ…はぁ…」
けど、そろそろ仕事の時間だ。
出社の準備をしなくてはいけない。
「---私だって…わたしだって」
響子は不満を口にしながら、仕事の準備を始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ーーーついに、堕ちたーー
響子は憎悪に支配されたー
自らの心の強さを失って、
憎悪に、支配された―。
今の響子ならー
”この、憑依薬”で、乗っ取ることができるー。
響子の家に向かう人物は、
不気味に笑うー。
いよいよ、響子が自分のものになるー、
いや、自分が響子になるー。
くくく…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出社準備を始める響子。
そんな時、
インターホンが鳴ったー。
「はいー」
響子が応答すると、
相手は”よく知る”人物だった。
「--あれ~急にどうしたの?」
響子は笑いながら応答した。
そして、玄関に向かう。
「--久しぶり―。
急に、どうしたの?」
響子が玄関を開けて微笑むと、
”来訪者”はニヤリと笑ったー
③へ続く
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次回は、憑依されちゃいます!!
憑依~!!
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