この町は、次第に支配されていくー。
一人の、女子小学生によって。
これは、
一人の少女によって支配される町の物語ー。
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「行ってきまーす!」
小学4年生の元気な女の子、
橋田 千華(はしだ ちか)が、元気良く玄関先で声を出す。
「いってらっしゃい!」
母親の橋田 理沙子(はしだ りさこ)が返事を返す。
帰郷も千華は、元気に学校へと向かう。
持ち前の明るさと、誰にでも優しく接することのできる
柔軟さ、
そして、美少女と呼ぶにふさわしい容姿。
千華は、それら全てを兼ね備えた子供だった。
「--おはよう千華!」
「あ、おはよう」
千華の友人、浪子(なみこ)が挨拶をすると、
千華も微笑みながら挨拶を返す。
もうじき、遠足がある。
千華と浪子は今回も、一緒のグループで
遠足に行くことにしていた。
そんな、いつも通りの日常を送っていたー。
この田舎町は、比較的小さな町で、
子供たちの数もそれほど多くはない。
それゆえに、地域の結束力は固く、
今日も平和が保たれているのだった。
だがーーー
それは”この日で終わる”
「----」
歩いていく、二人の女子小学生を見つめる姿があった。
彼はーーー
”この町に、恨みがあったー”
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後
「じゃあ、明日ね!」
「うん、ばいばい!」
浪子と、千華が手を振りながら別れる。
いつものような夕方。
今日も、家に帰れば母親が晩御飯の
支度をしている時間帯だ。
そんな、いつもの日常を一人の男の声が
打ち壊した。
「--きみ」
男は下校中の千華を呼んだ。
「--え?」
千華は振り返る。
そこには、見知らぬ男。
当然、千華は警戒する。
「---」
有無を言わさず近づいてくる男をv見て、
千華の中の危険信号がともる。
千華は、そのまま後ずさった。
しかし、男は予期せぬ行動に出た。
千華に、そのままキスをしたのだ。
「----!?」
千華が驚いて目を見開く。
しかも、驚いたことに千華にキスをした男は、
そのまま消えてしまったのだ。
跡形もなく。
「---ごほっ!ごほっ、ごほっ」
千華が苦しそうに、咳き込んでその場に
蹲る。
「ごほっ…は… はぁ…はぁ…」
千華はようやく落ち着いてきた咳を
抑えながら立ち上がる。
「--大丈夫?」
近所のおばあさんが千華に声をかけた。
「あ、…はい」
千華は自分のからだに何も起きていないことを確認した。
「よかった」
おばあちゃんが優しく微笑むと、
そのまま立ち去っていく。
千華は思うー。
「今のは、何だったの…?」と。
おばけ?
いや、でも…。
千華は不安になりながらも家へと帰宅するのだった。
「ただいま~」
「おかえり~」
いつものように声を掛け合う親子。
「お母さん、今日の晩御飯なに~?」
千華が尋ねると、
「今日は、シチューよ!」と言う返事が
帰ってきた。
「やった!楽しみ!」
そう言うと、千華は2階への階段を
かけ上がって行った。
2階に到着した千華は、
ランドセルから教科書を取り出し、
明日の授業の時間割を見ながら
明日の授業に使う教科書たちを
ランドセルに入れていく。
これも、いつもの行動。
何ら、変わりはない、いつも通りの行動。
どくん…
「--!?」
心臓の鼓動が突然、大きく聞こえた。
どくん…
どくん…
「-な、、なに…?」
千華がおびえたような表情を見せる。
さっきの男の顔が頭に浮かぶ。
「ひっ…!」
男の顔が、目をつぶっても、浮かび上がることに気付く千華。
「---わ、わたし、どうしちゃったの…」
恐怖に表情を引きつらせる千華。
「--き、きっと…疲れてるんだ…わたし!」
千華はそう言うと、部屋の隅のベットに寝転んだ。
「--はぁ」
そうため息をついた千華は、眠りについた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「千華ー!
晩御飯よ!」
母親の呼ぶ声で千華は目を覚ました。
「--あ、寝ちゃった!
いけない いけない!
宿題もやってないや」
悲しそうにそう呟くと、
千華は、1階へと向かおうとした。
しかしーー
「---!?」
体が…
勝手に動いている…?
「---くくく」
千華は笑った。
ーー!?
ど、どういうこと!?
千華はそう喋ろうとした。
けれどもー
その言葉が口から出ることは、なかった。
「---はいお待たせ千華!シチューの完成よ!」
父親は遅い。
母親と二人での夕食。
しかしー。
「---くくく…お前がこの子の母親か」
千華が突然、低い声で笑った。
「--どれどれ?」
机にひじをつき、挑発的な態度でシチューを
食べ始める千華。
「--ち、千華…?どうしたの?」
母親の理紗子は、困り果てた様子で
千華の方を見る。
そしてー
千華は鼻で笑って、
シチューの皿を机の下に叩きつけた。
「はい!不合格!
まっず!
こんなモン娘に食べさせて恥ずかしくないの?」
千華が大声で怒鳴り始めた
「え…ち、、千華…
どうしちゃったのよ」
母親が困り果てた様子で言うと、
千華は机の上の食器を、両手で全て机の下に
叩き落とした。
「--ちょ、ちょっと何してるの!」
温厚な母親が怒るー。
「---くくく…これからね、わたし、
この町を支配するの…!」
「な、何言ってるの?」
娘の意味の分からない言葉に困惑する母。
街を支配する?
一体何を言っているのか?
「-ーち、千華!拾いなさい!」
母親の言葉を腕を組んだまま無視する千華。
「---拾いなさい!」
母親が声を荒げて、千華の肩を掴もうとした。
その時だった。
千華が母親のアゴをつかんで、
恐ろしい力で壁に叩きつけた。
「--お母さん、わたしがこの町の支配者。
いい?
女王様になるの。」
千華の目は正気ではないー。
「--ち、千華…な、何を言って?」
母親は、千華のあまりの力に驚く。
千華が、こんな馬鹿力を出せるわけがー。
「--女王の命令は聞くものでしょ?
返事は?」
小学生とは思えないような冷たい声で言う千華。
「--ち、千華…!?」
母親はうろたえる。
「返事しろってんのよ!」
大声で叫ぶ千華。
恫喝だった。
「ひっ…」
目に涙を浮かべる母親。
「--どうするの?私に従うの?
それとも…」
その時だったー。
「----あっ…う…やめて…」
千華が突然、頭を押さえながら蹲った。
「ーーち、、千華!?ど、どうしたの?」
さらに混乱する母親。
もう、何が何だかさっぱり分からない。
「--、私の中に知らないおじさんが…
お、、お母さん逃げて…!」
千華は叫んだ。
「--逃げて!」
と。
「--…・!千華!しっかりして!」
けれど、母親に最愛の娘を置いて
逃げることなどできなかった。
当たり前だー。
「---くそ餓鬼がぁ!」
千華は大声で叫んだ。
そして、続ける。
「聞いたかババア!
この女の子は俺のものだ!
どうする?俺に従うか?
従わなければ今すぐ、服を全部脱いで
表を走ってやってもいいんだぜ!
けけけ…
ぎゃはははははははは!」
本性を現した千華が、汚しく大笑いする。
「--や、やめてください!千華を…」
そう言いかけた母親を千華は睨んだ。
「--最後のチャンスだ」
千華がスカートに手をかける。
「や…やめ…やめて!」
母親が泣きながら土下座した。
「--やめてください、だろうが!」
千華が大声で怒鳴りつけた。
「--や、やめてください!お願いします!お願いします!」
母親の言葉を聞き、千華は笑みを浮かべた。
「-- なら、今日からお前は俺の家政婦だ。
いいな」
そう言うと、頭をポンポンと叩いて、
千華は笑いながら、2階へと上がって行った。
2階についた千華は、
机に足を乗せて笑った。
「くくく…この町への復讐だ!
一人の女の子に支配される町…!
くくく、あははははははは!」
千華は愉快そうに笑い続けたー。
夜ー
父親が帰宅して、母から事態を聞かされた父は、
2階へと登ってきた。
「--千華」
父の南夫(なみお)が呼びかける。
千華はーー
自分の体を楽しんでいる最中だった。
「貴様ぁ!」
父は千華を抑えようとした。
しかしーー
千華は、千華本人が知らないはずの武術を駆使して、
父親を逆に抑えた。
「--お前も従え。
娘の私に」
千華が邪悪な笑みを浮かべる。
「---くっ」
父親はじたばたとした。
だがー、それは無意味だった。
「娘を壊すぞ?いいのか?」
その言葉に、父の心は折れたー
刃向うことなどできないーーー
千華は父親の手を踏みにじると、
笑った。
「明日はーー学校のやつらだー」
千華は、間もなくこの町の支配者となるー
それを止められるものは、
居るのだろうか…。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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さて、この先はどうなってしまうのでしょうか。
続きは明日です!
目の調子?いつも通りデス!
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