彼は、純粋だった。
ただ、ひたすらに、片思いの女子大生に恋をしていたー。
しかし、ある日、彼は振られてしまう。
振られた彼は、常軌を逸脱した行動に出るのだった…。
狂気の皮作品…!
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池上 栗夫(いけがみ くりお)は同じ大学に通う
小松 咲里(こまつ さり)を愛していたー。
ただしー。
栗夫は咲里の彼氏ではない。
そう、片思いだった。
この日―とある行事で一緒に行動していた
咲里に、栗夫は告白しようとしていた。
大学内のイベントで、一緒に行動することが多くなり
いい感じだと思っていた。
だがー。
「ごめんなさい…」
大人しそうなイメージの咲里に、
振られてしまった。
告白すれば、彼女になってもらえると思ったのに。
「--…わ、、悪かったよ」
栗夫がそれだけ必死に口から絞り出すと、
咲里は「ご、ごめんなさい…」とだけ言って
走り去ってしまった。
プ チ ン ・・・
栗夫の理性は、この時壊れたー。
受け入れてくれると思ったのに。
どうして…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そう、落ち込むことないって!」
幼馴染で、同じ大学の穂坂 和奈(ほさか かずな)が言う。
「--うるせぇ…放っておいてくれ!」
栗夫の言葉に、和奈は言う。
「何だったら、わたしが付き合ってあげてもいいよ?」
和奈は、栗夫の事が好きだった。
けれど”幼馴染ムード”が全開すぎて、
告白など、できる雰囲気ではなかった。
だから、どさくさに紛れて、告白したー。
けれど…
「・・・」
栗夫は反応しなかった。
「--ずっと、そうしてればいいじゃん!」
和奈は、吐き捨てるようにして言うと、
自分の想いに気付いてもらえないショックを
振り払うかのように、走り去った。
「----」
栗夫ははっとした様子で和奈の後姿を見た。
今のは、告白ー?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
栗夫は自宅に帰ると、
”封印していたあるもの”を引出から取り出した。
それはー
人を皮にしてしまう薬。
飲み物に混ぜて飲ませることで、
人を皮にし、その皮を着ることができるのだ。
大学に入学して、上京してきた日の夜ー、
怪しげな老婆にこれを手渡された。
老婆の真意は分からないし、何か怪しいから
ずっと放置していた。
けれどー。
「---俺の人生は振られたことで終わったんだ。
何がおきても、失うものなんかない!」
栗夫は、狂気を瞳に浮かべて、ほほ笑んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
「話って…?」
咲里が、大学の人気のない場所にやってきた。
「昨日はごめん」
栗夫はまず、謝罪の言葉を口にした。
告白したことに対してのお詫び。
「ううん、わたしの方こそごめんね。
でも、わたし、決めてるのー。
男の人と付き合うのは、大学卒業してからだって」
咲里がそう言うと、
栗夫は微笑んだ。
「そっか。
あ、お詫びにジュースでもどう?」
栗夫がペットボトルのジュースを2本手に持ち、
咲里が選んだ方を差し出した。
「ありがとう。いただきます!」
咲里が嬉しそうにペットボトルを開ける。
「---あれ?」
咲里が疑問に思う。
「飲みかけ?」
咲里の言葉に、栗夫は苦笑いした。
「いやぁ、飲もうとしたんだけど
飲んでないから大丈夫。
九条先輩に声かけられちゃってさ」
栗夫の言葉を聞いて、
ペットボトルの中身を見る。
まぁ、万一飲みかけでも別に何かが起こるわけじゃないし、
特に気にする必要なんてないか、と思いながら
咲里は、ジュースを飲みはじめた。
「-----俺もさ、決めてるんだ」
栗夫がニヤリと笑った。
「--絶対に、咲里と付き合うって」
「---!?」
咲里は、ふと手に力が入らないことに気付いた。
「---えっ…?」
ペットボトルを落とす咲里。
足にも、手にも、力が入らない。
その場にーーー
皮のようになって崩れ落ちる。
「い…いや…な、、、なにこれ・・・!」
かすれた弱弱しい声を出す咲里。
地面に、平べったくなって栗夫に向かって
悲痛な叫びをあげた。
「---皮になってもらったんだよ」
栗夫の目には狂気が宿っている。
「俺は君を愛していた。
何よりも。
なのに、きみは俺を受け入れなかった。
俺の純愛を、受け入れてくれなかった。」
怒りに満ちた目で栗夫は咲里を睨む。
「---そ、、、そんなの
池上くんの都合でしょ!!!
わたしは…!!」
咲里が弱弱しく抗議を口にした。
「うるせぇよ…!」
栗夫がそう言うと、
咲里は、後頭部のあたりで、ファスナーのおりる音を
耳にした。
「---お前は、俺のものだ」
”やめて…”と
叫ぼうとしたが、既に咲里は声を出すこともできなくなっていた…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー。
栗夫は、幼馴染の和奈を自宅に招いた。
昔から、よく遊んでいるから
たとえ男の家であっても和奈は、相手が栗夫なら
気にしなかった。
「話って何よ?」
和奈が言うと、
栗夫は笑った。
「昨日はごめん」
と。
穏やかな微笑みがトレードマークの
栗夫は相手を油断させるのが得意だ。
本当は、嫉妬深い、どす黒い男なのにも
関わらず、だ。
「---和奈、俺で良ければ…
付き合おう」
突然の言葉ー。
小学生の時から、ずっと好きだった、
栗夫からの突然のー。
これは…?
和奈は思う。
ついに長年の夢が叶ったのだと。
「--え、、い、、いいの…!?」
思わず和奈は、本心を口にする。
「あぁ…」
栗夫は口元をゆがめた。
「ただしー。」
栗夫は叫んだ。
「これを着てもらうぜ!!!」
栗夫は押入れにしまってあった、
皮のようなものを和奈の前に放り投げた。
「---何これ?」
悪趣味なデザインの洋服かと思った和奈は笑う。
「これが、あんたの趣味?
どれどれ?」
和奈が、皮を拾って…
悲鳴をあげた。
「きゃああああああっ!」
皮から手を離す和奈。
それはーー
”皮になった咲里”だった。
「こ…これ何よ… 何これ・・・」
咲里が恐怖に満ちた表情を浮かべたまま
ペラペラになっている。
「--俺さ、咲里ちゃんを愛してたんだ」
栗夫が語り始める。
「愛して、愛して、愛して、愛して、愛して、
愛しぬいた!!!」
引き出しから、次々と写真を投げて
ばらまく栗夫。
「…!!」
その写真はー
栗夫がこっそり撮影した咲里の写真だった。
その数、258枚。
「---なのに…なのに…
咲里は俺を振った!」
栗夫が目に涙を浮かべて叫ぶ。
和奈は身の危険すら感じた。
「---あ、、諦めるしかないでしょ!」
和奈が叫ぶと、栗夫は叫んだ。
「俺は諦めない!」
と。
「諦めたらそこで試合終了だ!!!」
と。
そして、皮となった咲里をつかむ。
その顔をペロペロと舌でなめながら微笑む栗夫。
「だからさぁ…和奈にこれを着てもらいたいんだ」
栗夫が咲里の皮を差し出す。
「--ふ、ふざけないで!咲里ちゃんの着ぐるみなんてー」
和奈は目の前にあるものが”咲里のカタチをした着ぐるみ”
だと思っている。
しかしー
「--着ぐるみ?違うね。
これは咲里だよ。
俺が、咲里を皮にしたんだ」
ーーー!?
上記を逸脱した発言。
和奈は恐怖を目に浮かべた。
ーーーファスナーを少しだけ上げて、
咲里の意識を少しだけ呼び戻した。
「---けて… たす・・・けて・・・!」
今にも消えてしまいそうな弱弱しい声が聞こえた。
確かに、咲里の声。
「--ちょ、、ちょっとあんた…!」
和奈が驚いて叫ぶ。
しかしー。
「ふふふふふ、和奈ぁ!
これを着て、咲里になってくれぇ!
かずなぁ~~~♡」
イカレた目で、和奈を見つける栗夫。
栗夫は最初、自分で咲里になろうと思っていた。
でも、違うー。
自分は自分。
そして、咲里は、自分の腕の中に居なくてはならない。
そう、俺が抱かなくてはならないのだ。
「--やめて!離して」
和奈がもがく。
ファスナーの開いた部分から、和奈に無理やり
皮になった咲里を着せていく。
「---やめて!」
和奈が栗夫をビンタした。
「--この、クソ女がぁ!」
栗夫は理性を失って和奈の頭を無理やり押さえつけて、
皮の中にねじ込むようにして突っ込んだ・・。
そして、ファスナーを無理やりしめて、
”固定”した。
このファスナーはどういうことか、本人は降ろすことができない。
「---あ、、、あんた最低!」
咲里が生気を取り戻して叫ぶー。
和奈が、咲里の皮を身に着けたことにより、
咲里になったのだ。
「--今すぐわたしと咲里ちゃんを元に戻して!」
咲里になった和奈が叫ぶ。
「くはははは…咲里…待ってたよ…
俺と、、、俺と付き合ってくれ」
栗夫が、用意していた指輪を差し出す。
数十万の指輪だ。
明らかに狂っている。
「--ふざけないで!わたしは和奈よ!」
咲里が叫ぶ。
するとーー
栗夫が豹変した。
ドン!
栗夫が壁を思いきり蹴り飛ばした。
「---小松 咲里だろうが!」
そして、栗夫は咲里の頭をつかんで、
床にたたきつけた。
「きゃあああ!」
咲里が叫ぶ。
「---お前はだれだ?」
栗夫が冷たい声で言う。
「---か、和奈よ!
アンタがそんなやつだったなんて…」
ガン!
栗夫は思い切り地面に咲里の頭を叩きつけた。
「---お前は誰だ?」
もう一度、同じ問いを繰り返す。
「--こ、こんなことして…!」
ガン!
容赦なく、咲里になった和奈の頭を床に
叩きつける。
「---わたしは小松 咲里。
そう言え」
冷たい表情で言う栗夫。
「--ね、、ねぇ、もうやめてよ!」
ガン!
そしてー
栗夫の拷問は続いたー。
咲里の顔面は痣だらけになっていた。
「お前は誰だ?」
18回目の問い。
恐怖に、和奈の心が、折れたー
「--わ、、、わたしは…
わたしは・・・小松 咲里です…」
まるで操られたかのように呟く咲里。
栗夫はニヤリと笑みを浮かべた。
そしてーー
生まれ変わった咲里の唇を奪ったー。
②へ続く
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コメント
皮モノとしては珍しく、2話の続き物です!
結末は明日のお楽しみですー!
コメント
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うーむ、どうなるんでしょう。
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> うーむ、どうなるんでしょう。
コメントありがとうございます!
ここから先は…
恐ろしいことになるかもデス…。