母には、母の意地があった。
理不尽な支配から逃れようとする母。
息子を傷つけるわけにはいかない。
必死の抵抗ー
その先に待つものは…。
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夜。
法子は意識を取り戻した。
「・・・・わたしは…?」
朝ー。
学校に息子の孝敏を見送った後ー
ひげ面の男がやってきて、
キスされて…
「--誘拐されたのかしら…わたし?」
法子は周囲を見渡す。
けれどー
そこは自分の家だ。
しかし…
「!!…な、なにこれ…」
法子は自分の姿を見て漠然とした。
セーラー服。
25にもなって何を着ているのだろう。
「--眠らされて、これを着せられて、
わたしは一体、何をされたの…?」
法子はそう思いながら時計を見る。
深夜2時。
まだあのひげ男がどこかにいるかもしれない。
とにかく、
孝敏の安全を確保して、
夫の学に連絡をしないとー。
法子はそう思い、部屋から出ようとした。
「--ん?どこ行くんだ?」
男の声。
ビクッとして法子は振り返る。
ー金髪の男が隣で寝ている?
「---ちょ、、ちょっとお手洗いに」
法子がそう答えると、
金髪男は寝ぼけていたのか、
「そっか」とだけ言って、再びそのまま眠りについた。
「---」
法子は、息をひそめて部屋から出た。
孝敏はどこに?
いつも同じ部屋で寝ているのに。
体が異様につかれている。
それにーー。
「・・・・・」
法子は悟る。
あの男に乱暴されたのだと。
体の違和感が凄い。
「---あった!」
スマホを見つけて、夫に連絡する。
緊急事態ー。
深夜2時だけれども、電話しなくてはならない。
「--もしもし」
夫の学は、幸い、電話に出てくれた。
「--もしもし、学!わたし!
お願い、助けて!」
法子が早口でそう言うと、
学は鼻で笑った。
「---自業自得だろ?」
と。
「えー?」
法子が信じられないという様子で返事をする。
「他の男と抱き合ってどうだった?
楽しかったか?
お前にはもう孝敏は任せておけない。
早めに帰るようにするから、
そしたらもうお終いだ!」
学が吐き捨てるように言った。
「ど、どういうこと!?ねぇ・・・!?」
法子がパニックを起こす。
「お前が一番よく分かってるだろうが!」
普段温厚な学が悔しそうな声で怒鳴った。
「--な…なんで…」
その時だったー。
突然、自分の意思とは関係なく
”口が開いた”
「えぇ、わたしもせいせいするわ!
あんたみたいな男と別れられてね!
うふふふふ♡」
突然開いた口におどろき、法子は口を塞ぐ。
「--ふん、それがお前の本性か。
お前は悪魔のような女だよ」
そう言うと、学は電源をきってしまった。
「---ど、、どうして…」
法子が信じられないという様子で膝をつく。
(おいおい、寝てる間に体の主導権を
取り戻したってか?油断ならないな)
頭の中に直接声が響いた。
「--だ…誰!?」
法子が叫ぶ。
(ふふふ…これから”お前”になるものだよ)
憑依している男は言った。
「な…何のこと!?」
法子が戸惑いを隠せずに言う。
(--お前さぁ、可愛すぎるんだよ
毎朝、息子を見送るあんたの姿…
実に美しかった!
なのにさぁ、人妻なんてショックだよなぁ)
「--何を言ってるの!?」
法子の問いかけに、男は笑った。
(ちょうど”俺ら”も毎朝、あんたの息子が出かける時間に
ちょうど前の通りを通勤してたんだけどさ、
あんたに惚れちまったんだよ)
「--」
法子は”意味がわからない”と言いたげにその言葉を
聞いていた。
(だから、奪うことにした。
俺があんたをー、
相棒と共になー)
「--…やめて…出て行って!」
法子は叫ぶ。
だがー、
突然、左手が動いて、自分の胸を触り始めた
「んあぅ…♡」
悔しいー
けれど、甘い声が出てしまう。
「あっ…♡ やめ…♡ やめ… やめてぇ♡」
法子はあまりの快感にその場に膝を折って、
感じてしまう。
「はふ…♡ はっ…♡ あっ♡」
脳内が甘い誘惑に満たされて、
何も考えられなくなってしまうー。
「ぁあ…♡ ん…♡ あ…♡」
気づけば、自分の太ももから、イヤらしい液体が
垂れてきていた。
「---はぁ…はぁ…」
左手の自由が戻る。
(どうだ?おまえは立派な女だ。
母親なんかじゃない
勿体ないぜ…!)
「---…で」
法子が何かを呟いた。
「---ふざけないで!!!!!」
法子の気迫に、中の男は少し気圧された。
「あなたたちの好きになんてさせない!
わたしは、わたしよ!」
そう叫ぶと、法子は自分の意思で1Fのリビング
に向かった。
そこにはーー
孝敏が涙ぐんだ目で
ふとんもかけずに寝ていた。
「--孝敏!」
法子が呼ぶと、
孝敏は目を覚ました。
「---!!」
孝敏は怯えた目で見ている。
「--ど、どうしたの?」
法子は戸惑う。
孝敏と一緒に逃げるのだ。
孝敏と一緒に、遠くへ…。
「---お前なんか!ママじゃないよ!」
孝敏は敵意をむき出しにして叫んだ。
「--な、何言ってるの!
わたしよ!安心して!!」
そう言うと、孝敏は指をさした。
「ママはそんな服着ない!」
セーラー服をゆびさす孝敏。
そして
「ママは知らない男の人の前で…
服を脱いだりしない…!!」
孝敏は目から涙をボタボタ落とし始めた。
「--パパじゃない男の人と、チュウしたり…
しない・・・」
その場に泣き崩れてしまう孝敏。
「---…そんな!」
法子は思うー。
自分は”何をさせられていたのか?”と。
「---孝敏」
過ぎたことは、どうにもできない。
今はただ、孝敏を安心させてあげよう。
法子はただ、孝敏を抱きしめた。
「ママ…」
孝敏も母のぬくもりを感じたのだろうか。
少しだけ、落ち着いて、母を受け入れた。
壊さなきゃーーー
ぶっ壊さなきゃーー
突然、法子の思考に”ノイズ”が生じた。
「---孝敏…うふふふ…
悪い子ね…お母さんを困らせてばっかりで」
法子が低い声で言った。
「ま、ママ…?」
孝敏がおびえた声で言う。
「---御仕置しなきゃ!!!!」
法子が力強く孝敏の頬をビンタした。
「うわぁ!」
孝敏が怯えた様子で部屋を逃げはじめる。
「うふふ…
お母さんが女として生まれ変わるのに、
どうして嫌そうな顔をするの?」
法子は自分の意思でそう言った。
何の、疑問も感じなかった。
「--悪い子ね…
壊さなきゃ!
浩二(こうじ)さんのためにも、壊さなきゃ!」
2階で寝ている金髪男のことなど、知らないはずなのに
その名を呟く法子。
「---うわああ!やめて!」
孝敏が恐怖におびえる。
だがー。
「---許さない!お母さんを侮辱するなんて!
許せない!!
わたしを!わたしを馬鹿にするなぁ!」
法子は怒りに身を任せて
孝敏を叩いて、叩いて、叩き続けた。
「うぅ…」
ボロボロになった孝敏が母を見る。
「---孝敏!?」
突然、我に返った。
「--わ、、わたし…今、何を…」
頭が混乱して整理ができない。
「---ご、、ごめん孝敏!
ごめんなさい…お母さん…
ごめん…ごめん…!」
急速に罪悪感に支配された法子は
その場で息子に謝り続けた。
孝敏は声を大きくして必死に叫んだ。
「--お前なんて、ママじゃない!」と。
「---孝敏…」
悲しみにくれてその場に蹲る。
「---あふ…♡」
ふいに右腕が自分の胸を揉み始めた。
「あふ…♡ ふふふ…♡ あぁ…♡」
法子は気持ちよさそうに声をあげはじめる。
気持ちイイ。
夫も、
息子も、
全てを失った。
もう、自分にはー
何も残されていない。
「あぁ…♡ あん…♡ もっと♡ もっと♡」
法子は”自分の意思”で左手を使って、
右手と左手で自分の胸を揉み始めた。
「あぁあああ♡ 最高ぉ♡ このまま♡
このまま壊れちゃいたい♡ あはは♡ うふふふふ♡」
(そうだ法子!
全てをゆだねろ!)
「あぁああ♡ あぁん♡ あぁっ♡ あああああああっ♡」
法子は快感に身をゆだねた。
そしてー
(すべてを俺に預けろ!)
「--あぁん♡ あ、、は、、、はい♡」
法子は快感に支配されたまま、
そう呟いた…
そして、
からだがピクンとなり、
そのまま動きを止めた。
「すぅぅぅぅぅぅ…」
法子が息をはいてニヤリと笑った。
「--”完全”に乗っ取ってやったぜーー
うふ♡」
そう言うと、法子は色っぽい目つきで立ち上がり、
孝敏の方を見て微笑んだ。
「---お母さん、今、女に生まれ変わったよ…
うふふ…
孝敏…あなたに女の体をたっぷり楽しませてあげる」
恐怖に身を震わせる孝敏の方に
近づいていき、
母としてではなく、女として、自分の息子を撫で始めたー。
③へ続く
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次回が最終回です!
果たしてどうなるのかは、明日のお楽しみです!
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