復讐は最終段階に入ったー。
オタク男は、女子大生と女子高生を
弄びながら、最後の復讐を実行に移すのだった…。
地獄の幕が、今、上がるー。
-------------------------—
アニメキャラのコスプレ衣装を着て、
鏡に向かってポーズを決める風香。
風香は、オタク男の友人、榊山に憑依されて、
思うがままにされていた。
風香は元々可愛らしい容姿なので、
どんなキャラクターのコスプレも似合った。
「くふふふふふふふ♡」
風香がイヤらしい笑みを浮かべると、
自分の姿を自撮りして、満足げにほほ笑んだ。
衣装を汚らしく投げ捨てると、
また別の衣装に袖を通す。
「---ふふ・・・可愛い♡」
うっとりとした様子で呟くと、
風香の可愛らしいスマホに着信が入った。
風香が電話に出ると、
オタク男の声が聞こえてきた。
”僕は、明日決行する。
お前は、今日、我妻のヤツを葬ってくれ”
オタク男との取引ー。
憑依薬を提供する変わりに、
自分を馬鹿にした店のスタッフたちへの復讐を手伝って欲しいというもの…。
榊山は、風香の体で、バイトスタッフの一人、我妻に
復讐することになっていた。
”午後にでも、我妻のやつの家にでも言って、
乱暴された!と喚いてやれば、あいつも終わりだ”
オタク男が言う。
我妻は一人暮らし。
女子高生である風香が、我妻の家から飛び出して
泣き叫べば、我妻が何もしなかったとしても我妻はーー。
そういう状況において、男の立場は弱いー。
風香のからだで我妻を誘惑して、
我妻を罠にはめ、人生をズタズタにする。
”それが、終わったらお前は自由だ。
風香としてでも、他の女としてでも、
好きに生きるといいさ”
風香は、電話相手の女の声がこの前と
違う気がした。
オタク男は最後に会ったとき、明美という女に
憑依していたが、おそらく移動したのだろう。
電話を切った風香は、
オタク男から送られてきた我妻の住所を見つめて
微笑んだ…。
一方、電話を切ったオタク男ー、
今はさくらの体に憑依しているオタク男は、
足を組んだまま、ほほ笑んだ。
「ーーさて…木藤くんを地獄に落としちゃおっかな♡
ふふ、わたしが大好きな木藤くんをわたしが
地獄に落とす…♡
くふふふふ・・・考えただけで興奮しちゃう…♡」
さくらはそう呟くと、店を、暗示をかけて操り人形にした
明美に任せ、そのままどこかへと出かけて行った。
「・・・・・・」
さくらが出て行ったのを見て、明美はただちに行動を開始した。
「ーーー私はあんたなんかに負けない!」
明美は事務所に戻ると、オタク男が持っていると
思われる”憑依薬”を探し始めた。
明美は、自分が憑依されている間に
何をされたか、可能な限り確認したー。
大学は退学させられていたー。
友人たちへのLINEに裸の写真を送りつけてブロックされていたー。
家族にも…
全てを失った。
でもー。
まだチャンスはある。
憑依薬をオタク男から奪うことができれば、
明美は新しい人生を送ることができるー。
明美は店の入り口の方を見て呟く。
「--バカな男…」 と。
オタク男は明美が暗示にかかって、言いなりに
なっていると思い込んでいた。
だが、明美は暗示にかからなかった。
それはーーー
「---ありがと」
明美は目からコンタクトレンズを外した…。
明美はメガネをかけている日と、
コンタクトレンズの日があるー。
目から放つ光で、相手に暗示をかけるオタク男のやり方は、
コンタクトレンズ越しには通用しなかったー。
オタク男も憑依の力を手に入れてそれほど時間が経っていない。
肉眼に対して暗示をかけなければ、意味が無い、ということを
まだ知らないのだろう。
「ーー私は、人生を取り戻す」
明美はそう呟くと、事務所を急いで漁り始めた。
元々、猫をかぶるのは得意だー。
オタク男だって、欺ける自信はある・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
木藤孝雄の妹、奈菜は、明日、実家に帰るつもりだった。
「あ~あ、こんなものかな!」
兄、孝雄の家を掃除してため息をつく奈菜。
兄の孝雄は、今日は大学の行事で
帰りが夜遅くになる。
ピンポーーーン…。
インターホンが鳴った。
「誰だろ?お兄ちゃんかな?」
奈菜が「はい」と答えると、
そこには優しく微笑む女性の姿があった。
”市川さくらー”
以前、兄のバイト先に何度か遊びに行った際に、
よくしてくれた女性スタッフだ。
「--あれ?お兄さんはご不在ですか?」
インターホン越しにさくらがほほ笑む。
「--あ~はい、今日の夜遅くになっちゃいます…
何か御用ですか?」
奈菜が聞くと、さくらは「お兄さんから借りていたものが
あるので、お返しに来たのですけど…」と丁寧に説明した。
奈菜は警戒することなく
「ちょっと待ってくださいネ~!」と玄関の扉を開けた。
するとー、さくらが勢いよく扉を開けて
中に入ってきた。
小悪魔のような、黒いミニスカートと、
胸元を強調した服を着ている。
「---あ…あの…」
さくらの勢いに少し違和感を感じる奈菜。
「--バッカだよねぇ~~~
み~んな外見しか見てない!
ふふふ、笑っちゃう!」
さくらが髪の毛をいじりながら、
バカにした様子で笑う。
「--ど、、どういうことですか!?」
奈菜がおびえた様子で言うと、
さくらは笑った。
「あんたにも、復讐を手伝ってもらうの!」
さくらが憎しみに満ちた目で言う。
「僕を笑ったやつらへの復讐をーー。
くくくくく…」
さくらの狂気に染まった目を見て、
怯えきって、その場に座り込んでしまう奈菜。
体をガクガクと震わせている。
「--怖がることないよ…
わたしだって、最初はそうだった!
でもホラ、みて!
さくら、こ~んなにエロい女になって、
こ~んなに嬉しそうに、復讐のお手伝いしてる!」
さくらが妖艶にほほ笑むながら近づいてくる。
「--うふふ!わたしはご主人様の復讐のための
道具なの♡
あなたも、道具になりなさい」
「いやぁ!」
奈菜が慌ててスマホの方に走る。
けれど、さくらが強引に奈菜の肩を掴み、
そして強烈なキスをお見舞いした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ピンポーン…
「あんだよ…」
ガチャを連続で回していたもののハズレばかりで
苛立っていた我妻が、突然の来訪者に腹を立てる。
インターホンで確認すると、
それは、バイト先の白崎風香だった。
「---白崎さん?」
我妻は「相談があるんです」とインターホン越しに言う
風香を見て思う。
「---ち…面倒くせぇな」
風香が、自分の家に来るはずがない。
何かといい加減な我妻だが、周囲を見渡す目は失っていない。
風香は、おそらく木藤たちが騒いでいたオタク男に
憑依されているのだろう。
「---ま…あえて乗ってやるか」
我妻はそう呟くと、玄関の扉を開けた。
今にも見えてしまいそうに短い、
ミニスカートとタイツ姿の風香が中に入ってくる。
「相談って…?」
我妻が飲み物を用意しながら聞く。
風香が、わざと色っぽく微笑む。
「--ふふ・・・我妻さんのこと、
わたし…実は、、、」
風香が恥ずかしそうに言う。
”そんな風に急に人に家に来て
告白する女なんかいねぇよ”
我妻は内心でそう思った。
そして、演技が下手なのは、女慣れしていないのだろうな、
と解釈した。
「---我妻さんのこと…大好きなんです!
…よ、夜も、いつも我妻さんのことばっかり考えて、
体が火照っちゃうの…♡
もう、、もう我慢できなくて…
我妻さん…わたしを…わたしを抱いてください!」
風香が叫ぶ。
顔を赤らめながら。
風香は、、太ももの部分にスマホを巻きつけていた。
いつでも”録音”できるように。
「---ねぇ、、わたしと…エッチしませんか…?」
風香が恥ずかしそうに言う。
男ならば乗ってこないはずがない。
風香に憑依している榊山はそう思った。
ほぅら…魅力的な女子高生に飛びついてこい! と。
その瞬間、お前は犯罪者だ!
…と。
「---断る」
我妻はそっけなく断った。
「へ?」
風香が間抜けな声を出す。
「--俺、女の体より、
ガチャ回したいんだよね。
だから帰ってくれるかな」
我妻は風香の絶望する表情を見ながら笑い、
そのままスマホでガチャを回し始めた。
「----くそっ…」
風香が小声でつぶやく。
そして…
”ならば、こっちから襲ってやる”
そう思い、風香は我妻の方に近づいていく。
「---やめとけよ、オタク」
我妻が振り向きもせず呟いた。
「----」
風香が表情を険しくする。
憑依していることを見破られているのは、厄介だ、と。
「--俺さ、神経質でさ、部屋に監視カメラ2個
ついてるんだよね」
我妻が部屋の隅にある監視カメラを指さして振り向く。
「--大方、俺とエッチして、
俺を暴漢にでも仕立て上げようって腹だと思うけどさ、
そういうのやめてくんないかな?
それに、お前から誘っても、ちゃんとカメラに証拠残るから
無駄だよ」
それだけ言うと、我妻はため息をついて、
再びスマホをいじりはじめた。
「---…調子に乗るなよ!」
風香が叫んだ。
「俺は、アイツと約束したんだ!
お前を地獄に落とせば、俺はこの憑依の力を
自由に使わしてもらえる!
だから、お前には消えてもらわないと…」
風香の言葉を我妻が遮った。
「--お前、バカだろ?
アイツってのが誰だか知らねぇけど、
俺のこと、地獄に落としたって、嘘の報告して
そのままトンズラすりゃいいじゃないか。
トンズラしたあと、その子の体から別の子の体に
移動すりゃ、もうお前は誰にも見つからないさ」
我妻の言葉を聞くと、
風香は、少し考えた後に頷いた。
「そ、、それもそうだな」
すっかり男言葉で話す風香に、
我妻は幻滅した。
「俺は人生を壊されたくない。
でも、お前も憑依能力を手にしたい。
なら、ここはお互い何もせずにお前が去るべきだ。
だろ?」
そう言うと、風香はうなずいた。
「そうだな…。
俺もアイツの言いなりになるのは面白くなかったんだ。
俺はこのままこの子のからだを貰ってトンズラするぜ!」
そう言うと、風香はさっさと我妻の家から出て行ってしまった。
「---ふぅ…」
我妻はため息をついた。
「---もう、かかわりたくねぇ」
以降、我妻は、木藤らに何も伝えることなく、
別の場所へと足早に引っ越しし、その後、会うことはなかった…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー。
木藤が自宅へと戻ると、
ブルーレイが置かれていた。
「---奈菜?奈菜???」
妹の奈菜が居ないことに、違和感を感じて
慌ててブルーレイを再生する木藤。
するとそこにはーーー
大胆に太ももを露出したショートパンツ姿の
奈菜がほほ笑んで立っていた。
「お兄ちゃ~~~~ん!
わたし、お兄ちゃんがバカにしたオタク男に
乗っ取られちゃった~~!
ふふふ~見てみて!
この綺麗な脚!」
奈菜がパンパンと自分の太ももを叩いている。
木藤は驚きで目を見開いた。
「貴様~~~~~~~~~~~~~~!」
映像に向かって叫ぶ木藤。
「--うふふ♡ お兄ちゃん、オコなの??
うふふふふふふっ!
見てみて、私の胸~♡
こ~んなに揺れちゃう~~~!」
意図的に胸を揺らして
獣のような笑みを浮かべる奈菜。
「---ふざけやがって!」
木藤はテレビに向かって叫ぶ。
そしてー
奈菜は冷たい声で言った。
「明日の朝、10時。
お店に来なさい。
私とー」
カメラの視点がずれて、
ぽかんと口を開いて、意思無き人形となった
さくらと明美が、立っている姿が映る。
「---この二人を助けたければ…ね?」
奈菜の挑発的な笑みを見て
木藤は拳を握りしめた。
「---いいさ、やってやるよ。
地獄に落ちるのは、お前だ!」
木藤はそう叫ぶと、怒りの拳をテレビに叩きつけたー。
⑨へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
あと2話で完結です!
残りの2話も今回で書ききりますよ!
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
待ってました!!!!
リメイクということもあってまた違う展開ですごい楽しみです!
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 待ってました!!!!
> リメイクということもあってまた違う展開ですごい楽しみです!
ありがとうございます!
過去の内容そのままなぞるだけではリメイクの意味がないので、
ベースは同じにしつつ、内容は変えてみました!
楽しんで頂けて嬉しいです!