兄に苛められていた妹は、
ある日、リアルの力を手に入れた。
手に入れた力で、兄を自分の妹に変えてしまう妹。
”姉”となった妹は、妹になった兄を
愛で始める…
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とある普通の家族。
高校生の兄、島 勇吾(しま ゆうご)は妹の、
島 海美(しま うみみ)を苛めていた。
「おい!妹のクセに生意気だぞ!」
力強く、女子中学生である妹の頭を叩き、
妹からお金を取り上げる勇吾。
海美はなすすべもなく、いつも泣きじゃくるばかりだった。
「---そんなに泣くなよ…」
勇吾は、泣いている妹の頭を撫でた。
「--ごめんな」
「うん…」
兄の勇吾は、暴力をふるった後に必ず
優しくなって謝る。
もちろん、お金は返さない。
けれども、
この偽りの優しさのせいで、妹の海美は
兄の勇吾を見捨てられずにいた。
「---お兄ちゃんは、本当は優しいから…」
それが、海美の口癖だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある日、
中学校からの帰路に、
海美は、呼びとめられた。
振り向くと、そこには
フルフェイスヘルメットを被った人間が居たー。
「---お兄ちゃんに、仕返ししたい?」
女のようだー。
女は言う。
「--あなたに、その力をあげるわ」
女の手が光ると、
その光が海美を包み込んだ。
「---あなたに”リアル”の力を授けた。
カードを現実化させる力よ。
そして、これがあなたのデッキ」
フルフェイスヘルメットの女が海美にカードを渡す。
「--こ、これは…
わ、私、カードゲームなんて…」
海美がうろたえて言うと、
ヘルメットの女は、カードを1枚かざした。
そして…
「だいじょうぶ…そのカードたちは貴方の力になるわ…」
その言葉を聞いて、海美は少し考えてから頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--お~い!海美!今日も金貸せよ!」
兄の勇吾が帰ってきた。
勇吾はどうやら今日も金を海美から
取り上げるつもりのようだ。
「-おい、いねぇのか?」
部屋を乱暴に開けると、
そこには海美が立っていた。
「---お兄ちゃん…」
兄に背を向けたまま海美は言う。
「なんだよ?それより金は?」
勇吾が言うと、海美は呟いた。
「お兄ちゃんばっかり、いつもずるいよ。
わたし、ずっと我慢してきた」
海美が呟く。
勇吾は苛立った様子で叫んだ。
「当然だろ!妹なんだからーー!
年下の妹は、兄に全部従わなくちゃ
いけないんだよ!」
そう言うと、海美が振り向いた。
「--わたしだって、お姉ちゃんになりたいよ!」
振り向いた海美がカードをかざすー。
あたりが光に包まれて…
「---な、なんだよ…
-----!?」
勇吾は声を出して驚いた。
自分の声とは思えないような、高い声が
口から出たのだ。
「--へっ?」
まぬけな、そして可愛らしい声を出す勇吾。
「えへへ…今日からお兄ちゃんが、私の妹よ」
海美が得意げに言う。
”ドリア―ド”というカードを掲げている海美。
リアルデュエリストー。
カードを現実化させる力を持った人物を示す。
海美は、下校時に出会ったヘルメットの女から
リアルの力を手に入れていた。
髪をふさふささせながら、ドリア―ドの姿になった
勇吾がわめく。
「ふ、ふざけるな!俺を元に戻せ!」
「あら、可愛い声」
兄の声に、海美が笑う。
ドリア―ド…、勇吾は顔を真っ赤にして
怒っている。
けれどー、
可愛らしい容姿なので、海美には全く怖くなかった。
「ふざけるな!」
勇吾がとびかかってくる。
けれどー
慣れない女の体になってしまった勇吾は、
思うように動けず、つまずいてしまう。
「ふ…ふざけんなよ…!」
海美は転倒したドリア―ドを見つめて微笑む。
「さ、続けましょ」
海美はそう言うと、
さらにカードをかざした。
”カズーラの蟲惑魔”という少女モンスターを。
勇吾はカズーラの蟲惑魔の姿に変わってしまう。
「あ・・・やめ…ふざけるな!」
さらに幼くなった声で叫ぶ勇吾。
その小さなからだを見つめて海美は微笑む。
「可愛い…♡
今日から、あなたは私の”妹”」
海美がうっとりとした表情で言う。
ずっと、ずっと、妹が欲しかった。
そう、ずっと、ずーーーーっと。
「いい子ね…」
海美が、カズーラになった勇吾の
可愛らしい髪の毛をなでると、
勇吾は海美を振り払った。
「やめろ!」
可愛い声。
ゾクゾクするー。
海美は興奮しながら叫んだ。
「年下の妹は
お姉ちゃんの言うことを何でも聞くのよ!」
兄にいつも言われていた言葉ー。
今度は自分が言う番。
「--ふ、ふざけるな!」
カズーラ勇吾が叫んだ。
けれど、その頼りない、小さな体では、
簡単に海美にパンチを避けられてしまう。
「うぅ…」
うなだれる勇吾。
たまらなくかわいい。
「---やめろ・・・俺はお前を…許さないぞ!
妹のくせに!」
勇吾が目に涙を浮かべて叫んだ。
「---女の子は女の子らしくしなさい!」
海美が言う。
「--はぁ?ふざけんなよ!」
勇吾が叫ぶと、
海美は笑った。
「いけない子ね。わたしの可愛い妹なんだから、
ちゃんと女の子らしくしなきゃ」
そう言うと、海美は「電撃鞭」という魔法カードを
かざして、鞭を手にした。
「ほらぁ!」
海美が叫ぶと、鞭による攻撃が勇吾を襲う。
「ぎぁああああ!」
小さな、頼りないからだが吹き飛ばされる。
「ーーねぇ、わたしの”可愛い妹”
あなたは、女の子よねー?」
カズーラ勇吾が恐怖でからだを震わせた。
「な、、なぁ…どうしたんだよ海美!
どうして、カードが!?」
電撃鞭が再び勇吾を襲う。
「ぎぃああああああああ!」
海美が、勇吾を睨む。
「---ご、、ごめんなさい…
い、、言うとおりにします…
わ、、わたし…いい子になる…!」
勇吾が唇をかみしめながら言う。
「--ふふ、いい子ね。」
海美は満足した様子で、微笑む。
今まで兄にいじめられ続けていた怒り。
そして、妹を手に入れた喜び。
愛憎が交じり合い、海美の笑みには狂気が浮かんでいた。
「じゃあ、お洋服着替えよっか?」
海美が、何故持っていたのか分からない
小さい服を取り出すと、
勇吾に見せた。
「ふ、ふざ…!」
海美が勇吾を睨む。
「---い、、いやよ!」
勇吾が叫ぶと、
海美は不愉快そうな表情を浮かべた。
「--お願いします、お姉さま、でしょ?」
海美が言う。
「--え…お、、お、、、お、、」
勇吾が屈辱にはらわたを煮え繰り返させながら言う。
「お姉ちゃん…お、、、お、お願い…します」
勇吾が言うと、
海美がカードをかざした。
”地砕き”
そのカードで壁を砕いて見せると、
笑顔で、勇吾の方を向いてほほ笑む。
「お姉ちゃん…?」
海美は明らかに怒っている。
「-----!?」
勇吾は何を催促されているのか分からず、恐怖に
怯えた。
小さなカズーラがおびえている。
地砕き!
地砕き!!!
地砕き!!!!
海美が壁や机にどんどん穴をあけていく。
そして、次はお前だと言わんばかりに
こちらを向いた。
「--お願いします、お姉さま、でしょ?」
勇吾はすんでのところで、何故怒っているかに
気づくー
”お姉ちゃん”じゃなくて”お姉さま”
「お願いします!!!お姉さまーーー!」
勇吾は叫んだ。
プライドも、何もかも捨てて。
海美は微笑んだ。
「---うん。」
と。
カズーラ勇吾の服を微笑みながら着替えさせる海美。
そして、着替えさせ終わると、海美は微笑んだ。
「ああぁあああああああ・・・
お姉ちゃん…もう、我慢できないよ…」
「えっ…」
「可愛すぎるよぉ……
あなたをめっちゃくちゃにしたいよぉ…」
そう言うと、海美は”しびれ薬”という魔法カードを
発動したー。
「うっ…う…あああっ…」
カズーラの体がしびれて動けなくなる。
「うふっ…♡
妹が出来たら、ずっとやってみたかったの!
た~っぷり愛でてあげるね♡」
そう言うと、海美が興奮しきった表情で、
勇吾に襲い掛かった。
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”上々”
試験は上々だった。
女は、ヘルメットを取り、
綺麗な黒髪をなびかせた。
海美という子には、
リアルの力を授けた際に、
”憑依するブラッドソウル”というモンスターを
精神に憑依させておいた。
憑依するブラッドソウルの邪悪な意思に
憑依された海美は、己の欲望のままに
兄に仕返しをして、兄を妹として支配し始めた。
「リアルの力を使えば、
全てを支配できるー」
女は笑みを浮かべた。
この力がどこから来たのかは分からない。
けれど、これは、女にとって大きなチャンスだった。
”夢”をかなえるためのー、大きな…。
おわり
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二人がそのあとどうなったのかは
皆様の空想の中でお楽しみください^^
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