<憑依>リアルデュエリストVol14~幼き妹を愛して~

兄に苛められていた妹は、
ある日、リアルの力を手に入れた。

手に入れた力で、兄を自分の妹に変えてしまう妹。

”姉”となった妹は、妹になった兄を
愛で始める…

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とある普通の家族。

高校生の兄、島 勇吾(しま ゆうご)は妹の、
島 海美(しま うみみ)を苛めていた。

「おい!妹のクセに生意気だぞ!」
力強く、女子中学生である妹の頭を叩き、
妹からお金を取り上げる勇吾。

海美はなすすべもなく、いつも泣きじゃくるばかりだった。

「---そんなに泣くなよ…」
勇吾は、泣いている妹の頭を撫でた。

「--ごめんな」

「うん…」

兄の勇吾は、暴力をふるった後に必ず
優しくなって謝る。

もちろん、お金は返さない。

けれども、
この偽りの優しさのせいで、妹の海美は
兄の勇吾を見捨てられずにいた。

「---お兄ちゃんは、本当は優しいから…」

それが、海美の口癖だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ある日、
中学校からの帰路に、
海美は、呼びとめられた。

振り向くと、そこには
フルフェイスヘルメットを被った人間が居たー。

「---お兄ちゃんに、仕返ししたい?」

女のようだー。

女は言う。

「--あなたに、その力をあげるわ」

女の手が光ると、
その光が海美を包み込んだ。

「---あなたに”リアル”の力を授けた。
 カードを現実化させる力よ。
 そして、これがあなたのデッキ」

フルフェイスヘルメットの女が海美にカードを渡す。

「--こ、これは…
 わ、私、カードゲームなんて…」

海美がうろたえて言うと、
ヘルメットの女は、カードを1枚かざした。

そして…

「だいじょうぶ…そのカードたちは貴方の力になるわ…」

その言葉を聞いて、海美は少し考えてから頷いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--お~い!海美!今日も金貸せよ!」
兄の勇吾が帰ってきた。

勇吾はどうやら今日も金を海美から
取り上げるつもりのようだ。

「-おい、いねぇのか?」
部屋を乱暴に開けると、
そこには海美が立っていた。

「---お兄ちゃん…」
兄に背を向けたまま海美は言う。

「なんだよ?それより金は?」
勇吾が言うと、海美は呟いた。

「お兄ちゃんばっかり、いつもずるいよ。
 わたし、ずっと我慢してきた」
海美が呟く。

勇吾は苛立った様子で叫んだ。
「当然だろ!妹なんだからーー!

 年下の妹は、兄に全部従わなくちゃ
 いけないんだよ!」

そう言うと、海美が振り向いた。

「--わたしだって、お姉ちゃんになりたいよ!」

振り向いた海美がカードをかざすー。
あたりが光に包まれて…

「---な、なんだよ…
 -----!?」

勇吾は声を出して驚いた。
自分の声とは思えないような、高い声が
口から出たのだ。

「--へっ?」
まぬけな、そして可愛らしい声を出す勇吾。

「えへへ…今日からお兄ちゃんが、私の妹よ」
海美が得意げに言う。

”ドリア―ド”というカードを掲げている海美。

リアルデュエリストー。
カードを現実化させる力を持った人物を示す。

海美は、下校時に出会ったヘルメットの女から
リアルの力を手に入れていた。

髪をふさふささせながら、ドリア―ドの姿になった
勇吾がわめく。

「ふ、ふざけるな!俺を元に戻せ!」

「あら、可愛い声」
兄の声に、海美が笑う。

ドリア―ド…、勇吾は顔を真っ赤にして
怒っている。

けれどー、
可愛らしい容姿なので、海美には全く怖くなかった。

「ふざけるな!」
勇吾がとびかかってくる。

けれどー
慣れない女の体になってしまった勇吾は、
思うように動けず、つまずいてしまう。

「ふ…ふざけんなよ…!」

海美は転倒したドリア―ドを見つめて微笑む。

「さ、続けましょ」
海美はそう言うと、
さらにカードをかざした。

”カズーラの蟲惑魔”という少女モンスターを。

勇吾はカズーラの蟲惑魔の姿に変わってしまう。

「あ・・・やめ…ふざけるな!」
さらに幼くなった声で叫ぶ勇吾。

その小さなからだを見つめて海美は微笑む。

「可愛い…♡
 今日から、あなたは私の”妹”」

海美がうっとりとした表情で言う。

ずっと、ずっと、妹が欲しかった。
そう、ずっと、ずーーーーっと。

「いい子ね…」
海美が、カズーラになった勇吾の
可愛らしい髪の毛をなでると、
勇吾は海美を振り払った。

「やめろ!」

可愛い声。
ゾクゾクするー。

海美は興奮しながら叫んだ。

「年下の妹は
 お姉ちゃんの言うことを何でも聞くのよ!」

兄にいつも言われていた言葉ー。
今度は自分が言う番。

「--ふ、ふざけるな!」
カズーラ勇吾が叫んだ。

けれど、その頼りない、小さな体では、
簡単に海美にパンチを避けられてしまう。

「うぅ…」

うなだれる勇吾。

たまらなくかわいい。

「---やめろ・・・俺はお前を…許さないぞ!
 妹のくせに!」

勇吾が目に涙を浮かべて叫んだ。

「---女の子は女の子らしくしなさい!」
海美が言う。

「--はぁ?ふざけんなよ!」
勇吾が叫ぶと、
海美は笑った。

「いけない子ね。わたしの可愛い妹なんだから、
 ちゃんと女の子らしくしなきゃ」

そう言うと、海美は「電撃鞭」という魔法カードを
かざして、鞭を手にした。

「ほらぁ!」
海美が叫ぶと、鞭による攻撃が勇吾を襲う。

「ぎぁああああ!」
小さな、頼りないからだが吹き飛ばされる。

「ーーねぇ、わたしの”可愛い妹”
 あなたは、女の子よねー?」

カズーラ勇吾が恐怖でからだを震わせた。

「な、、なぁ…どうしたんだよ海美!
 どうして、カードが!?」

電撃鞭が再び勇吾を襲う。

「ぎぃああああああああ!」

海美が、勇吾を睨む。

「---ご、、ごめんなさい…
 い、、言うとおりにします…
 わ、、わたし…いい子になる…!」

勇吾が唇をかみしめながら言う。

「--ふふ、いい子ね。」
海美は満足した様子で、微笑む。

今まで兄にいじめられ続けていた怒り。
そして、妹を手に入れた喜び。
愛憎が交じり合い、海美の笑みには狂気が浮かんでいた。

「じゃあ、お洋服着替えよっか?」
海美が、何故持っていたのか分からない
小さい服を取り出すと、
勇吾に見せた。

「ふ、ふざ…!」

海美が勇吾を睨む。

「---い、、いやよ!」

勇吾が叫ぶと、
海美は不愉快そうな表情を浮かべた。

「--お願いします、お姉さま、でしょ?」
海美が言う。

「--え…お、、お、、、お、、」
勇吾が屈辱にはらわたを煮え繰り返させながら言う。

「お姉ちゃん…お、、、お、お願い…します」
勇吾が言うと、
海美がカードをかざした。

”地砕き”

そのカードで壁を砕いて見せると、
笑顔で、勇吾の方を向いてほほ笑む。

「お姉ちゃん…?」

海美は明らかに怒っている。

「-----!?」
勇吾は何を催促されているのか分からず、恐怖に
怯えた。

小さなカズーラがおびえている。

地砕き!

地砕き!!!

地砕き!!!!

海美が壁や机にどんどん穴をあけていく。

そして、次はお前だと言わんばかりに
こちらを向いた。

「--お願いします、お姉さま、でしょ?」

勇吾はすんでのところで、何故怒っているかに
気づくー

”お姉ちゃん”じゃなくて”お姉さま”

「お願いします!!!お姉さまーーー!」

勇吾は叫んだ。
プライドも、何もかも捨てて。

海美は微笑んだ。

「---うん。」

と。

カズーラ勇吾の服を微笑みながら着替えさせる海美。

そして、着替えさせ終わると、海美は微笑んだ。

「ああぁあああああああ・・・
 お姉ちゃん…もう、我慢できないよ…」

「えっ…」

「可愛すぎるよぉ……
 あなたをめっちゃくちゃにしたいよぉ…」

そう言うと、海美は”しびれ薬”という魔法カードを
発動したー。

「うっ…う…あああっ…」
カズーラの体がしびれて動けなくなる。

「うふっ…♡
 妹が出来たら、ずっとやってみたかったの!
 た~っぷり愛でてあげるね♡」

そう言うと、海美が興奮しきった表情で、
勇吾に襲い掛かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”上々”

試験は上々だった。
女は、ヘルメットを取り、
綺麗な黒髪をなびかせた。

海美という子には、
リアルの力を授けた際に、
”憑依するブラッドソウル”というモンスターを
精神に憑依させておいた。

憑依するブラッドソウルの邪悪な意思に
憑依された海美は、己の欲望のままに
兄に仕返しをして、兄を妹として支配し始めた。

「リアルの力を使えば、
 全てを支配できるー」

女は笑みを浮かべた。

この力がどこから来たのかは分からない。
けれど、これは、女にとって大きなチャンスだった。

”夢”をかなえるためのー、大きな…。

おわり

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二人がそのあとどうなったのかは
皆様の空想の中でお楽しみください^^

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