<憑依>暴走憑依男X⑥~蹂躙~

次第に支配されていく少女たちー。

オタク男の復讐心は、とどまるところを知らない。
店は支配され、残されたスタッフたちにも
魔の手が迫るー。

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「お疲れ様でした」
明美が、ウェイトレスのような服から
自分の服に着替えてため息をつく。

「--明美ちゃん…似合ってたわ…
 ふふふ♡」

今やすっかり店長気取りのさくらが言う。

さくらは、オタク男に憑依され、
さらに、身に着けた暗示能力で風香を手中に収めて
好き放題やっていた。

ゲーム屋だったはずが、
まるで風俗店のような、怪しげな接客をするように
なってしまっている。

そしてー、
それで一部のコアな客層の人気を呼び、
店の売上も上がっていた。

「---ねぇ…明美ちゃん…」
さくらが微笑みながら近づいてくる。

だが、明美は自分の荷物を取りにいく”フリ”をして、
さくらとの距離をとった。

SM嬢のような格好をしているさくらは
舌打ちをした。

「---今日は予定があるので、これで失礼します
 市川先輩」

明美が言う。
今日の明美は眼鏡をかけていて、
それがまたよく似合う。

オタク男は明美のからだを支配して
滅茶苦茶にしてやりたいと思ったが、
明美に避けられたので興ざめしてしまった。

「ーーーー」
明美はさくらの方を見て、会釈して、事務所から立ち去った。

明美には分っているー。
さくらは再びオタク男に憑依されている、と。

そしてー
今までの話を総合すれば、
オタク男は、”キス”をすることで憑依相手を移動している。

「…だったら、近づかせなければいいだけのことよ…」

店から出た明美は呟いた。

さくらは華奢なからだつきだ。
もちろん、明美も同じようなものだけれども、
1対1ならなんとかなる。

明美は、自分でできることはなんでも自分でやってきた。
”人を頼る”ことが怖かったからー。
だから、自分の身は自分で守れるように、明美は
カンタンな護身術の心得もある。

さくらの体に入っているオタク男なんて怖くない。

「---見てなさい。
 アンタを地獄に落としてやるからー」

明美は、さくらの事を心から尊敬していた。
表裏の激しい自分とは違う。
心から優しい花のような存在であるさくらを。

だから、そのさくらを弄んだオタク男を許せなかった。

必ず、地獄に突き落としてやるー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日の夕方ー。

木藤がやってくると、
風香が挨拶をした。

ここのところの風香は、なんだかぼーっしている
気がする。

「--白崎さん、大丈夫か?」
木藤が尋ねると

「はい・・・」
とだけ答えて、まるで意思のない人形のように、
中古買取した商品の掃除をしている。

しかも、メイドの格好をしながら。

「---くそっ」
木藤にも分っていた。

さくらが再び憑依されて、
オタク男の好き勝手にされていることを。

けれどー
木藤はそれでも普通にバイトに来ていた。
さくらを救うタイミングを探るために。

先ほど、午前中シフトだった我妻が、さくらに
呼ばれて事務所に入って行った。

話が長いー。
木藤は気になって、事務所を見に行こうとした。

「---木藤さん」
風香が言う。

木藤が振り向くと、風香が首を振った。

「今は、誰も入れるなって、
 市川さんが言ってました」
風香の言葉に、
木藤は苦笑いしながら頭をかいた。

そして、言う。
「ちょっと話をするだけだよ」

木藤が事務所に入ろうとすると、
手をつかまれた。

木藤がビクッとして風香の方を見る。

「---駄目だと、言ってるじゃないですか」
風香が低い声で言う。
その声は怒りに満ちている。

「---な、、なんだよ…白崎さん…」

木藤は驚く。
そして、オタク男が憑依しているのは
風香なのか?と一瞬戸惑う。

「・・・わ、わかったよ」
ともかく、これ以上、今は動けない。

そう考えた木藤は、風香に謝罪の言葉を述べた。

風香はまた生気のない表情に戻って、
ボーっとした様子で掃除を再開した。

事務所の中。

「我妻くんなら、話を分かってくれると思って…
 どう、わたし、我妻君の彼女になってもいいよ」

さくらが色っぽく足を組んで微笑む。

我妻はニヤニヤしていた。

「わたし、実は前から、このお店のこと、大っ嫌いだったの。
 メッチャクチャにしてあげたい気分…
 店長が居なくなった今、絶好のチャンスじゃない?」

さくらが甘い笑みを浮かべて言う。

オタク男には分かっていた。
さくらのからだで誘惑すれば、我妻はすぐに落ちると。

暗示をかけた風香ではできないこともある。
”正気”の協力者が一人、欲しい。

「ーーうふふ♡」
さくらは立ち上がって、我妻の近くに歩んでいく。

そして、我妻にわざと胸をくっつけながら、
囁いた。

「我妻君♡ わたしを手伝って?
 そしたらわたし、我妻君のためになんでもしちゃう…!
 えっちなことでもなんでも… ふふふふふ♡」

さくらがエロさ全開の声で我妻を誘惑した。

「いいっすネ」
我妻が言った。

さくらは邪悪な笑みを浮かべる。

しかしーーー

「でも、いいっす」
我妻の言葉にさくらはぽかんとなる。

「---俺、三次元の彼女なんていらないんで。
 見るのは好きだけど、自分の彼女になると
 邪魔って言うか…。

 ホラ、デート代とかかかるし、
 俺、そんなことより課金しないといけないんで」

我妻の言葉にさくらは失笑した。

そして、自分の腰に手を当てて、
挑発的に太ももを見せつけて言った。

「こんなに可愛い女の子が、
 誘ってるのよ?」

さくらには、我妻を落とせる自信があった。

しかしーーー

「・・・・」
我妻はため息をついてから言った。

「アンタ、例のうわさのオタクだろ?
 バレバレなんだよ。

 面白いから黙っててやったけど
 そうやって誘惑するなら、
 もういいわ」

我妻がイライラした様子で続ける。

「俺、彼女とか要らないんで」
我妻が言うと、さくらが叫んだ。

「-ー彼女なしのままでいいの?あり得ない!!」
ポーズまで決めたのに誘いを拒否された
さくらは頭に来ていた。

「いいっすよ。魔法使い目指すんで」

我妻の言葉にさくらはカッとなった。
誘惑しても、誘われないなんてー。

「--据え膳喰わぬは男の恥よ!
 わたしが誘ってるの!ホラ!来なさいよ!」

さくらが怒鳴ると、我妻は失笑した。

「--据え膳喰ってるヒマがあったら課金しろ。
 …ばーちゃんが、そう言ってた。」

我妻はそう言うと、事務所から足早に立ち去って行った。

さくらは「あはは…」と一人笑う。

そして、髪の毛を滅茶苦茶に掻き毟り始めた。

「あぁあ~~~~~~~~~!
 すっげぇムカつく~~~~~~!」

髪の毛がボサボサになるまで掻き毟り続けるさくら。

イスを蹴り飛ばし、倒すと、
その場で壁を何度も何度も殴り始めた。

可愛らしいさくらが狼のような目付きで、
怒りをにじませている。

「---どいつも、こいつも僕を馬鹿に
 しやがって…

 こうなったらもう容赦しねぇ…!」

さくらは怒りのまなざしで、
痣になった拳をさらに壁に叩きつけた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日 夜。

閉店後、
オタク男は事務所に明美を呼び出した。

この女も滅茶苦茶に壊してやるー。
どうせ、気づいてるんだろう?

そして、自分は憑依されないと
イキリたっていることも、オタク男は御見通しだった。

”お前も復讐対象なんだよ”

「---市川先輩、御用ですか?」
明美が言うと、
さくらは笑った。

「--うふふ・・・そうね…」
さくらは自分の服のボタンを一つ一つ開け始めた。

「どう…わたしのからだ…」
服をはだけさせたさくらは微笑む。

「・・・・・・・」
明美は答えない。

「分ってるんでしょ?こんなことわたしがするはずがない…!
 ククク…コイツは、僕に支配されてるってぇ!」

さくらはそう叫ぶと、
自分の胸を嬉しそうに揉み始めた。

明美は、冷たい目でさくらを見つめる。

「---明美ちゃん…!
 おまえのことも滅茶苦茶にしてやるよ」

明美は、オタク男の言葉を聞きながら後ずさった。
”近寄らせなければいい”

その時だった。

背後から明美は取り押さえられた。

ーーー!?

胸の感触がする。

「---し、白崎さん?」
明美を背後から押さえていたのは
風香だった。

「--ちょ、離して!
 脅されてるんでしょ!?
 だったらわたしと…」

明美の言葉を聞いて
さくらは微笑んだ。

「違うわ…”暗示”をかけたの。
 その女は、今じゃ、わたしの忠実な下僕よ」

さくらが笑う。

「--あんたどこまでも…」
明美がさくらを睨む。

「--さぁ、今度はそのエロいからだを
 遊びつくしてあげる!くくく…」
さくらが笑いながら近づいてくる。

「ふふふふふふ・・・」
背後の風香も生気のない顔で笑っている。

「--やめて!」
明美はもがき、叫びながら言った。

けれどー
明美は、ポケットに隠し持っていたスマホを密かに操作した。

明美は、
さくらが憑依されているだけだと思っていた。
けれど、風香も暗示をかけられて操り人形だったなんて。

油断した。

他の二人にも伝えないと。
明美はそう思って、手探りで文字を入力する。

本当は木藤にメッセージを送ろうとしたけれど
時間が無い。

仕方がないので、五十音順で一番上の
我妻にメッセージを作る。

さくらはもう眼前に迫っていた

「--明美ちゃん、お邪魔しま~す!うふっ♡」

さくらにキスをされる直前、
明美は入力途中の文章を送信した。

そしてーー
最後にこう思った。

”このオタクは、からだを移動するのが好きみたいだから、
 必ずまたチャンスは来る”

とーー。

キスをされた明美は、さくらの唇の感触を味わいながら、
意識が途切れ、その場に倒れた。

さくらもその場に倒れる。

風香は倒れた二人を直立不動で、見つめていた。

「--うっ…」
明美が髪を触りながら起き上がる。

「--ふふふ♡」
甘い笑みを浮かべる明美。

明美も、オタク男に憑依されてしまった。

「---あははははははぁっ♡
 このクソ女!
 僕と渡り合えるつもりだったなんて!
 むっかつくよなぁ!」

明美はそう叫ぶと、
自分の着ていたブラウスを引きちぎるようにして
脱ぎ捨てた。

「くっふふふ・・・♡
 僕に反抗的な女だって、憑依してしまえば、
 全部僕の思いのままだ!」

明美が可愛い声で叫ぶと、
スカートもびりびりに引きちぎるようにして、
床に投げ捨てた。

下着姿になった明美がほほ笑む。

「くくく…どうだ!
 お前も僕のいいなりだ!

 ホラ!ホラ!ホラ!」

明美が下着姿で鏡に向かって
色っぽいポーズを決めていく。

「あははははははははは!
 エロいぜ~~~!
 僕に好き勝手されて悔しいか?
 あ?ふふふふふふ♡
 
 でも、今は、今は
 僕が、いや、わたしが
 山西 明美なんだもんねー♡
 ひひひひ、あはははははははははっ!」

明美が大笑いして、自分の体を抱きしめた。

風香はぼんやりとその様子を見つめている。

「--うっ…」
さくらが意識を取り戻した。

「---あらぁ、市川先輩」
明美がほほ笑みながらさくらの方に向かっていく。

そして、さくらの方を見つめた。

「ひっ…」
さくらはブルブル震えて怯えている。

”暗示”をかけようと思った。
けれどー
さくらはこのまま屈服させるのが面白そうだ。

「見て。市川先輩。
 わたしのからだ…
 先輩に負けないぐらい綺麗でしょう?」

明美が言う。

さくらは明美が憑依されていることを理解した。

「あ、、、明美ちゃん…目、目を覚まして…」
さくらが震えながら言うと、

「や~だ♡ ふふふ♡」
と明美がほほ笑む。

「こいつ、僕と渡り合えるつもりでいたからね…
 思い知らせてやるんだ!身の程を!」

下着をも脱ぎ捨てて、明美は微笑む。

「ほら!わたし、自分が嫌悪していたオタクに
 好き勝手されて、裸になっちゃった!
 わたしったら変態!
 あはははははは♡ は~~~ははははははは♡」

唖然とするさくら。
明美はふと、床に落ちているスマホを見つけた。

そのスマホにはーーー

我妻に明美が最後に送ったメッセージが表示されていた

「白崎さんがアンジーー」

そこで文章は途切れていた。

「---余計なことしやがって」
明美のオレンジ色のスマホを力強く踏みつぶす。

「---ふざけやがって!このクソ女が!」
明美がそう叫びながら自分のスマホをボロボロに
なるまで踏みつける。

最後にスマホの残骸を思いっきり投げつけると、
明美は呟いた

「僕に逆らいやがって…
 この女・・・」

明美は顔を上げて微笑んだ。

「---わたし、”自分を許せない”
 滅茶苦茶にしてあげるー
 くくく・・・♡」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

家でガチャを回していた我妻が
明美からのメッセージに気付いた。

「白崎さんがアンジ―ー」

我妻はそのメッセージを見て
鼻で笑った。

「白崎さんがガンジー?
 なんだそりゃ?」

我妻はすぐにメッセージから
興味を無くし、再びガチャを回し始めた。

⑦へ続く

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明日は1周年記念で別作品を書きます!
続きの⑦は2/26に書きますよ~~

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憑依<暴走憑依男>

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