寄生<狂虫>

その虫はー
増殖していた。
人間を媒介にー。

人間に寄生し、意思をも乗っ取り、繁殖していく寄生虫ー。

悪夢は、広がり始めていた。

-------------------------–

高架下。

電車の走る音が騒がしく響く。

穏やかな夕暮れ時。
女子高生の月森 清音(つきもり きよね)は
いつものように下校していた。

この高架下を何度通っただろうか。

電車の騒がしい音を聞きながら、
誰が書いたのだか分からない短いトンネル内の落書きに
苦笑しつつ、今日も高架下を通り過ぎる…

はずだった。

「ネエちゃん…」

トンネルのわきに座り込んでいた小汚い男が言う。

「---はい?」
清音は男の方を見る。
ホームレスだろうか。

この高架下に続く道は、あまり人が通らないので、
不気味がって近寄らないようにしている人も居た。

けれども、ここを通った方が近道のため、
清音はいつもここを通っていたのだ。

髪をなびかせながら清音が
男の方を見つめる。

「----よっこらせっと」
男が立ちあがった。

「---…」
清音は身構える。

無言で近寄ってくる男から逃げようとも思った。

「---ちょっとさ…」
男が笑う。

「--な、何ですか」
清音が不気味なものを見る目で男を見つめると、
男が顔を近づけて、口を開いた。

そこにはーーー
牙をちらつかせた、ミミズのようなものが居た。

「---ひっ!?」
男の口の中にミミズ?

やっぱりこの男はホームレス…?

そう思って清音が逃げようとすると、
男が手で清音の口を掴み、
無理やりこじ開けた。

「あが…が…!」
普段動揺することのない、クールな女子高生の
清音が目に恐怖を浮かべた。

男の口から、ミミズのような虫が飛び出し、
清音の口の中に飛び込む。

「むぐ…ぐぐ…ひっ…」
清音がその場に倒れ込み、
激しく咳き込みながら喉のあたりを気にする。

「ごほっ…ごほっ ごほっ…
 な、、、、何を…」

清音が目に涙を浮かべながら言う。

「--ーけ・・・警察を、、呼ばなきゃ…!」
清音がスマホを取り出して、
警察を呼ぼうとする。

しかしーー
手に違和感を感じた。

「---!?」
自分の手が勝手に動いている。

手は警察に連絡するどころか、
アダルトサイトにアクセスしている。

「---な、、何なの… ひぐっ!?」

清音は頭をわし掴みにされたような感覚を覚えて、
ふらついて、そのまま倒れてしまう。

スマホが手からこぼれ落ち、音を立てて地面に落ちる。

「----ひっ…あっ、、、あ・・・」
頭が痛い…

体中が痙攣している。

「--た、、、助けて…!」
清音が叫ぼうとするも、ろれつが回らない。
声が上手く出ない。

全身がガクガク震えて悪寒がするー

「----ぎ…ぎぃああああああああっ!」
清音は、からだをかきむしるようにしながら、
その場に反り返るようにして、もがき始めた。

「--が、、ががぁああああっ!ああああああっ」
結んでいた髪の毛はほどき、
狂人のように、もがきまくる清音。

白目を剥き、泡を吹いて、激しく痙攣している。

「-----」
男はそれをじっと見つめていた。
笑みを浮かべながら。

少しすると、清音の痙攣は収まり、
清音は立ち上がった。

「シャアア…」
清音が不気味な声をあげて口を開く。

口からは、先ほどのミミズのような虫が現れた。

男も口を開き、口からその虫がもう一匹姿を現した。

ーーー寄生虫。

この虫は、人間の脳で、成長し、繁殖する。
その際に、その人間のからだや精神、神経を全て支配し、
その人間を乗っ取ってしまう。

からだを乗っ取った寄生虫は、
脳を養分として1週間かけて”分裂”

分裂して、2匹になるのだ。

こうして、この寄生虫は繁殖していく。

ただし、同じ人間の脳では、続けて繁殖できないという
性質を持つ。
1か月に1回ー。
これがこの寄生虫の特性だ。

そのため、2匹のうち1匹は、さらなる繁殖を目指して、
別の宿主を探し、寄生するー。

ーー人々が、気づかぬ間に、
この世界は、寄生虫に支配され始めていた。

ゆっくりと…
けれども、確実に…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ただいまぁ!」

1週間後。
清音が家へと帰ってくる。

自分の部屋へと入った清音は、
今まで自分が好きだったアイドルグループの
ポスターを冷ややかな目で見つめて笑う。

「---シャアア…」
清音が不気味な声を出すと、
右耳からミミズのような寄生虫が、顔の部分とからだの一部分を
外に出した。

清音の目がうつろな様子になり、ぼーっと突き立っている。

寄生虫の一部が脳から一部分を出すことで、
一時的に清音への支配が弱まっているのだ。

だらん・・・とした様子の清音。

耳から飛び出した寄生虫は周囲をうかがう。

そして、清音が、
棒読みのような、感情のない声で呟いた。

「---人間の女子高生の部屋・・・
 ムダなものが多いな・・・」

と。

まるで、宇宙人のようにカタコトだった。

これも、寄生虫が一部分飛び出しているため
支配が弱まっていることに起因している。

「---」
寄生虫が耳の中に戻っていく。

「---ふふっ♡」
感情を取り戻した清音が笑う。

今日は分裂の日。
清音の脳から、たくさんの養分を接種した。

最後に、”仕上げ”をすることで、
清音に寄生している寄生虫は分裂する。

そうしたらーー

今、部活でまだ帰ってきていない
清音の妹、
中学3年生の楚乃香(そのか)に、寄生するつもりだ。

「----ぐふっ♡」
清音が自分の胸を揉み始めた。

「うふふ♡ ふぅっ♡ ようぶん♡ 養分♡」
清音が真っ赤な顔で、笑いながら
自分のからだでエッチな行為を始める。

邪魔そうに制服を脱ぎ捨て、
ベットのほうに放り投げると、
裸になった清音は近くにあった棒を手にとり、
躊躇なくアソコに突っ込む。

「んぎぃぃぃぃぃっ♡」
清音はあまりの快感に声にならない声をあげて、
爆発しそうな笑みを、こらえた。

「んふふふふふふふっ♡ ふふふふふふっ♡」
低い笑い声をあげながら、
ポタポタと液体を垂らす清音。

「んふぅぅぅぅぅぅぅっ♡」
清音の鼻から寄生虫の顔が飛び出し、
寄生虫も興奮しているのか、激しく体を左右に振っている。

鼻から引っ込み、次は耳から、
耳から引っ込み、次は口から。

もぐらたたきのように寄生虫が顔を出す。

寄生虫は、激しく左右にからだを振り、
清音のからだを通じて、興奮を味わっているようだった。

「んああああああああっ♡」
清音が顔を真っ赤にして声を出す。

「あふっ♡ ひひっ♡ ひぃっ♡ ふふふふっ♡
 あは♡ ははっ♡ ははははははぁっ♡」

床に置いてあったアイドルグループのポスターを
躊躇なく踏みつぶしながら、清音はからだをその場で
エビのように反り返らせて、声を出す。

「ふぁっ♡ はぁっ♡ はぁぁっ♡♡♡」

清音は甘い声を出しながら、
からだを震わせた。

そしてーーー

「んっ♡ うぎぃぃぃあああああああっ♡」
大声をあげると、
部屋に大量の液体をばらまいた。

「あん・・・♡ はぁっ♡ はぁっ♡」

放心状態の清音は
しばらくすると、立ち上がって、
制服を再び着ると、
床にこぼれている自分の液体を舐めはじめた。

四つん這いで、まるで虫のように液体を舐めている清音。

寄生虫の分裂に必要な最後の栄養。
それを接種しているのだ。

「---んふぅ…」

ガチャ…!

清音の部屋の扉が開いた。

「お姉ちゃん!ちょっとお願いが…って…」
妹の楚乃香が帰ってきていた。

楚乃香は目を疑った。

イヤらしい液体が飛散している部屋で、
姉の清音が四つん這いになって床を舐めている。

清音はーー
寄生されてから1週間。
けれども、寄生虫は脳に寄生しているため、
記憶を読むこともできる。

そのため、家族全員 清音の異変には気付けなかった。

「---くふっ♡」
清音が振り返る。
口に、液体を付着させたままー。

そして、開いた口の中心には、愛液を牙につけた
ミミズのような生き物が居たー。

「きゃああああああああああっ!」
楚乃香が悲鳴をあげた。

けれどもー
寄生虫は既に”分裂”していた。

すかさず清音が走りだし、
楚乃香を抑えて、強烈なキスをお見舞いした。

目を見開く楚乃香。

清音の口から、楚乃香の口へ、
分裂したばかりの寄生虫が入り込む。

力を失う楚乃香。

だが、清音は楚乃香のからだを支えて、
そのままキスを続けた。

クチュクチュと音を立てながらー

姉の清音と妹の楚乃香が
体を密着させて熱いキスを続けている。

「んんっ♡」
清音が嬉しそうに声を出す。

そしてーー
楚乃香のからだが動き出した。

楚乃香も清音を抱きしめ、
そのままからだを色っぽく振りながらキスを続けた。

舌をからめ合わせる姉妹。

クチュクチュとイヤらしい音と、
「んん…♡」というイヤらしい声が部屋に響き渡る。

ーー二人の姉妹の耳からは、ミミズのような寄生虫が
顔をだし、嬉しそうに体を左右にスイングさせていた…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間後

液体を四つん這いになって舐めている少女が居たー
彼女の名は月森 楚乃香。

1週間前に、姉から、
とっても嬉しいプレゼントをもらった少女だーー。

「ーーーくふ♡」
楚乃香は笑うー。

分裂に成功した。

「---おめでとう 楚乃香」
姉の清音が可愛らしく首を傾けて微笑む。

そしてーーうつろな目になると、鼻から寄生虫が飛び出す。

清音はそのまま、鼻声で喋り続けた。

「---さ、早く寄生してきなさい!
 お母さんも、仲間にしてあげなくちゃ…
 んふふふふふ♡」

楚乃香はその言葉を聞いてほほ笑んだ。

「---うん。行ってくるね、お姉ちゃん」

そう言うと、楚乃香は1階で
晩御飯を作っている母親のもとに向かって歩き出したー。

伝染は止まらないー。
次第に、拡散していくー。

もう、この虫は、誰にも止められない…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

初の寄生虫モノを書いてみました!
どうでしたでしょうか?

憑依以外のものを書くのも
たまには息抜きになります!

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小説

コメント

  1. 匿名 より:

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    姉妹寄生最高です!ありがとうございます!

  2. 匿名 より:

    SECRET: 0
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    怖いですね。

  3. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 姉妹寄生最高です!ありがとうございます!

    こちらこそありがとうございます!
    初寄生モノでした^^

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 怖いですね。

    寄生虫怖いです!
    もしかしたら身近にも??