<皮>肉体強盗

幸せなごく普通の姉妹。

けれどー、
一人の少女の来訪によって、その平穏は壊れた。

日常は終わり、
地獄の光景が広がるー。

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どこにでもある ごく普通の家族、

ごく普通の幸せな家庭、
麻生家。

しかしー、
その麻生家に恐怖が迫りつつあった。

「ただいま~!」
高校2年生の麻生 楓(あそう かえで)が
元気よく帰ってくる。

ポニーテールが可愛い印象の
まだ幼さの残る少女だ。

「--おかえり~」
姉の麻生 千早希(あそう ちさき)が
いつものように返事をする。

楓は部活が忙しいので、いつも5時ぐらいに帰宅する。

あまり活動日のない美術部所属の姉・千早希の方が
先に帰ってきていることが多く、
麻生家ではそれがいつもの光景になっていた。

制服姿の楓が手を洗いながら、
リビングの方を見つめる。

今日は両親は仕事で遅くなる。

そのため、二人で適当に何か食べに行く
約束をしていた。

ピンポーン!

インターホンが鳴る。

「---あれ?誰だろ~?」
インターホンの近くにいた楓が、
出ると、クラスメイトの氷川 伊織(ひかわ いおり)の姿があった。

ショートヘアーの可愛らしい女の子で、
楓の親友だった。

「あれ?どうしたの?」
インターホン越しに言う楓。

伊織は笑いながら
「楓ちゃんにすっごいプレゼントがあるんだ!」と元気よく言った。

ーー伊織とは、ここ半年で急激に仲良くなった。
1年生の時は暗い印象だったのだけれども…。

「-ーープレゼント~何かな~?
 ちょっと待っててね!」
楓は笑いながら玄関の方に向かう。

「--誰?」
姉の千早希が尋ねると
楓は「ともだち~!」と笑いながら玄関を開いた。

「--こんばんは」
礼儀正しく頭を下げる伊織。

「ーーーさ、入って入って!」
楓が言うと、伊織はにっこりしながら「おじゃまします」と言いながら
家の中に入る。

「--で、プレゼントってなぁに?」
リビングに到着した楓が言うと、
伊織が笑い出した。

「---うふふふふふふっ!ごめん、うそ!
 わたしね~~
 ”プレゼント”しに来たんじゃないの」

伊織の言葉に楓が「じゃあ何?わざわざ私の家にまで来て?」と
微笑みながら言うー

すると、伊織は突然口元を三日月に歪めた。

「---”もらい”に来たのーーー」

そう言うと、伊織の後頭部から
チャックが開く音が聞こえた。

「----え?」
楓が不思議そうにしていると、
ぱっくりと伊織の頭が割れ、
からだが真っ二つに開いていく。

「---ーーきゃあああああああああああ!」
楓が大声で悲鳴を上げた。

隣の部屋に居た姉の千早希がリビングに
駆け込んでくる。

「ど…どうしたの!?」

千早希は信じられないものを目にした。

「---ふふう…驚かないでぇ~楓!
 わたしね~~半年前から
 ”皮”にされちゃったの~~~~」

伊織が、半分に切れた顔に
笑顔を浮かべながら、力の無い声で言う。

やがてーー
パックリ割れた伊織の中から、
やせ形のがりがりな男が出てきた。

「ふぅぅ~半年ぶりの娑婆だぜ…」

男は不気味に笑う。

若者ではないー
けれど、体重は20、30キロぐらいしか無さそうなほどに
がりがりだった。

「--ど、どうなってるの楓!?」
姉の千早希が真っ青な表情で叫ぶ。

「わ…わ・・・わかんないよ!」
楓は足をガクガクと震わせる。

制服姿の伊織が、本当に”皮”のように
ふにゃふにゃになって地面に横たわっている。

顔は笑顔のままー
動きはなくーー
まるで”着ぐるみ”のようだ。

「---俺ね…強盗しに来たんだよ」
男が言う。

がりがりの体が、楓に近づいてくる。
楓は怯えきっている。
姉の千早希は声を失っている。

「そんなに怯えるなよ。
 俺は、紳士だから、何も奪わないさ。
 金も、命も…」

「--ひっ…こ、、、来ないで…
 どうなってるの……
 ね、、ねぇ…い、、伊織は!?」

楓が恐怖に負けず、必死に声をあげる。

「---ふふふ、伊織ちゃんか。
 半年前に登校中の伊織ちゃんを見て
 一目ぼれしてさぁ…

 俺の”皮”になってもらったんだよ…」

「--そ、そんな!」

”皮”になった?
意味が分からない…

楓はそう思った。

「でさ…学校で伊織ちゃんとして君と話している間に
 今度は君に一目ぼれした・・・」

男が言う。

楓はその言葉の意味するところを理解した。

”今度は、自分が伊織のようにされる”

「---ま、、、待って…い、、伊織は!!
 伊織は無事なの?」

薄ら笑みを浮かべたまま、ペラペラな状態で
床に横たわっている伊織。

とても、生きているようには思えない。

「----あぁ、無事だよ。
 お湯をぶっかけりゃ、元に戻るさ」

男が笑う。

「--俺はさぁ…32のとき、人を皮にして
 自分が着る力を身に着けた。

 でも…俺は80キロあったし、可愛い子を皮にして
 着ようとしても、”皮”がちぎれちゃうんだよ…

 サイズの合わない服を着たら、破れるだろ?
 あれと同じさ。
 破れて”ダメになった子”何人居たかなぁ~くくく…」

 でもさ…今は違う。
 可愛い子の小柄な体格でも着れるように俺は努力したよ…
 おかげで30キロまで痩せることができた」

「----こ、、、来ないで!」
楓が男を睨みながら、姉の千早希にお湯をくんできて!と叫ぶ。

千早希が慌ててくんできたお湯を
横たわる伊織に慌ててかける。

すぐに伊織は、人間としてのからだを取り戻してきていたー。

「ひひひっ!フリーズドライの食品が
 もとに戻る様子と似ていて興奮するよなぁ!

 女が皮から戻る瞬間ハァ!」

男が叫ぶ。

「---う…」
伊織が声をあげた。

”皮”ではなくなり、普通の人間としてのからだを取り戻した。

「あぁ……♡」
伊織が甘い声を出した。

「--い…伊織?」
楓が戸惑う。

伊織は立ち上がろうとしても、
立ち上がることができず、その場に倒れた。

「あぁ・・♡ もどりたい…♡ もどりたい…!
 もう一度、、、、あぁ…っ あぁ…♡」

朦朧とした雰囲気で意味不明なことを
言う伊織。

「--ちょっと!ねぇ!伊織!どうしちゃったの!
 ねぇ、、、伊織!!!!」

楓が必死に叫ぶ。

だが、伊織は「えへへへへへへ…♡」と笑うだけだった。
まるで、夢を見て喜んでいる赤ん坊のように。

伊織の手は自分の胸や、太ももを繰り返し
なぞるようにして触っていた。

「---あんた、、伊織に何したの!」
震えながら、楓は男に向かって叫ぶ。

「---”皮”に変えるときにさ、
 爆発的なアドレナリンによって、最高の快楽を
 感じることができるんだよ。

 その後遺症さ。
 もうその女は、一生欲情したままさ…。
 今までの記憶もあいまいな…哀れな着ぐるみ…」

男が、興奮した様子で、寝転んだままの伊織を見て笑う。

そしてーー。

「-----あんたな… ---!!!」
楓が”あんた、何考えてるの?と言おうとしたときに
後頭部に嫌な感覚が走った。

「あ・・・え…?」
楓はからだの自由を奪われ、硬直する。

ポニーテールの部分に、チャックの感触がして、
髪がふさっと音を立てて、ほどける。

「---楓!」

姉の声が”ノイズ”混じりに聞こえた。

(--わ、、わたし…どうなっちゃうの…?
 いや…やめて…助けて!)

楓が叫ぶ。
けれどーー声には出ない。

「---いいからだだ」
男が笑いながら背後から楓の胸をわしづかみにした。

(いやぁぁああ!やめて!離して!気持ち悪い!
 やめてよ!ねぇ… あぁ…)

胸を触られる感触は伝わってくるー
けれどーー
”音”が聞こえなくなっているーーー

自分の声は出ているのだろうかー
出ていないのだろうかー。

それすら分からない。

視界がぼやけてくる。

「---か   え    で」

姉の声が雑音のように聞こえる。

チャックの感触が背中までやってくる。

からだの感触が消えたー。

(わたし…かわ・・・に・・・
 伊織みたく・・・なっちゃうの・・・?)

恐怖を覚える楓。

だがーー

チャックの感触が、次第に
”気持ちよい”ものに思えてきた。

(あっ・・・な、、なんか、気持ちいい…)

楓は恐怖心を忘れ、穏やかな表情を浮かべる。

「---楓!」
姉の千早希は必死に叫んでいた。

楓の後頭部から背中にかけて、
チャックが現れ、それを開いた男が、楓を
”着ようとしている”

楓は、ペラペラな皮になり、
複雑な表情を浮かべている。

「---楓!!!楓!!!」
姉の千早希が必死に叫ぶ。

しかしーーー

「えへぇ♡」
皮になりかけている楓の顔が、
笑みを浮かべた。

「えへへ♡ えへへへへへへっ…♡」

唖然とする千早希。

(あぁ…えへへ…きもちいい…
 ぜ、、ぜんぜんこわくないや…

 あぁん♡ うふっ♡ 
 ど、、どうしてこんなに気持ちいいの♡)

恐怖心は消えていたー。

楓の体は快感に支配されていたーー。

皮にされる過程で、脳が異常を察知して、
異様な作用を起こしていた。

(あぁ…誰かがわたしの中にはいってくる♡
 ぁあ♡ きもちいい♡ ゾクゾクする♡

 こ、、こんなに興奮したの、、わたし、はじめて♡

 あぁあん♡♡♡
 き、、きもちいいよぉ♡
 もっと♡ もっと♡ もっとぉおおおお♡♡♡)

楓は、自分に流れてくるあまりの気持ちよい感覚に
興奮を隠しきれず、心の中で盛大に叫んだ。

皮になりかけている楓のからだのスカートの中から
異様な量の愛液が垂れ流れてきた。

「くくく…こいつ、興奮してやがるぜ!
 まぁ、そうだよなぁ、皮にされる瞬間、
 きもちいいもんなぁ!?」

半分以上、皮を身に着けた状態で、楓に語りかける男。

楓の顔は真っ赤になり、興奮しきっていた。

ボタボタと流れ出る愛液。

千早希は恐怖で、逃げ出したい気持ちになった。
けれどー。

(----わたし ♡
 きもちいい ♡

 うれ しい ♡ たの   しい♡

 えへ♡

 も    う

 な にもいらない

 え     へ ♡)

ーーー楓の意識はそこで途切れた。

「------」
チャックを上げて、完全にいつも通りの楓の姿がそこにはあった。

「かえ…で?」
千早希は、今のは夢だと思うことにした。

「----」
返事が無い。

「----か、、楓…?」

床で寝転んで笑っている楓の友人・伊織は
ただひたすら笑いながら、からだからあらゆる液体を
垂れ流していた。

もう、人としては生きられない状態になってしまっていた。

「---なぁに、お姉ちゃん?」
楓は振り向いた。

「---か……かえ…」
千早希は恐怖で言葉を失っていた。

目の前の楓はーーー
たぶん、楓じゃない…

でもーー。

楓は自分の愛液まみれの太ももを手で触り、
その手で髪を結ぶ。

「---お姉ちゃん…」
楓が優しく、けれども不気味にほほ笑んだ。

楓が絶対にしない表情ーーー

優しいけれど―、
今にも襲いかかってきそうな邪悪な笑みを浮かべて囁く。

「----”これから”よろしくねーーーー」  

と。

おわり

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コメント

両親が帰ってきたらどうなってしまうのか。
きっと、両親の前でも楓として振る舞うのかもしれませんね!

あ、「伊織」って名前は昔は男の人の名前だったみたいですネ!
でも、最近は女性名でも使われるとのことだったので
使っちゃいました^^

小説
憑依空間NEO

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
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    皮モノ好きなのでどんと来いです!

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 皮モノ好きなのでどんと来いです!

    ありがとうございます^^
    第4弾はダークです!

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