クラスの陰険女子、一美にいじめられていた
ブスな女子生徒、瑠璃子は一美が持ってきていた憑依薬を
奪い、クラス一の美少女、魅音に憑依した。
今や容姿も立場も、完全に逆転した。
しかし、一美もまだ、諦めたわけではなかった。
-------------------------------
自宅で、魅音はウェーブをかけた髪を
なびかせながら、
アイドルのような衣装を着て微笑んでいた。
「うふふ・・・♡ 似合う…!」
魅音は何度も何度も、鏡を見つめて微笑む。
瑠璃子も、おしゃれをしたかった。
けれど、おしゃれをすれば笑われるだけ。
ブスだの、きもいだの、
そんな言葉はもう聞き飽きた。
「--ふふふ♡ 可愛い!!」
自分のことを”かわいい”と口走って
満面の笑みを浮かべる魅音。
本人なら、こんなことはしなかったはずだ。
「----!」
魅音が突然表情をひきつらせた。
記憶ーーー。
憑依してから、少しずつ、魅音の記憶を読み取っている。
そして、今、ちょうど読み取った記憶の中に
”許しがたいもの”を見つけてしまった。
それはーー
”田島さん、ちょっと気味悪いな…”というものだった。
つまり、瑠璃子のことを気味悪いと思っていたのだ。
魅音は一美とは違う。
優等生で、明るく、誰にでも優しい
だからこそ、そんな風に思われているとは夢にも
思わなかった。
「---あ~~そう、
そんな風に思ってたんだ」
魅音が怒りに満ちた表情で吐き捨てるように言う。
「---どいつもこいつも!」
鏡をグーで殴り始める魅音。
「ふざけんな!!わたしが何したっていうのよ!
わたしだって、ブスに生まれたくて生まれたんじゃないのに!」
何度も何度も鏡に拳を叩きつける。
鏡に映った魅音を殴って、殴って、殴り続ける。
「ふざけんな!ふざけんな!!ふざけんな!!!」
鏡の一部が粉々に砕け散り、その破片が魅音の手に突き刺さる。
「はぁ~~~っ はぁ~~~~っ」
怒りが収まらない様子でその場に蹲る魅音。
魅音は体を震わせていた。
「---もう、わたしは誰にもバカにされないーー。
どうせ、見た目なんでしょ??
ふふふ、いいわよ!なら私は、あんたたちを誘惑して
滅茶苦茶にしてあげる!」
血が床に零れ落ちる。
けれども、魅音はたまらなく愉快だった。
これから、自分をバカにしたヤツらをー
徹底的に見下してやれるんだからーーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
一美が登校すると、
一美のロッカーが壊されていた。
「---…」
一美は悔しそうにそのロッカーを見つめる。
握りこぶしを作る。
犯人は決まっている。
「--あのブス女!」
吐き捨てるようにして言うと、
背後から声がした。
「---誰が、ブスだって?」
一美がハッとして振り返ると、
そこには腕を組んで、見下すように一美を
見つめる魅音の姿があった。
何故か右手には包帯が巻かれている。
「---あんた…こ、、こんなことして!」
一美が声をあげると、魅音は笑った。
「--あんたのこと、滅茶苦茶にしてあげるから。
知ってるよね?わたし、あんたより成績いいって」
魅音が言う。
魅音のおしとやかな感じの口調ではなく、
憎しみがこもった口調で話しているため、
一美には、魅音が別人のように思えた。
「---」
一美がいじめていた瑠璃子は成績だけは優秀だった。
けれども、一美にはそれも面白くなかった。
前に、瑠璃子のテストを取り上げてびりびりに破いたことがあった。
「頭だけ良くても、見た目がそれじゃあねぇ」、と
当時、一美は瑠璃子のことをあざ笑った。
「--どんなに良い花でも、見た目が悪い花は、需要がないでしょ?
あんたもそれと同じよ!」
一美は徹底的に、瑠璃子を馬鹿にしていた。
テストが、自分より成績が良いのが許せなかった。
「---今のわたしは、、
見た目も可愛いし、頭もいいし…」
魅音が近づいてくる。
「---ねぇ、、どう思う?」
魅音が笑いながら訪ねる。
「ど…どうって…」
一美は言葉が見つからず狼狽える。
「--あんたより、可愛くて頭が良いわたしのことを
どう思うって聞いてんのよ!」
声を荒げて、
一美の背後のロッカーを思いっきり叩く魅音。
「---ひっ…!」
一美は思わず軽く悲鳴をあげてしまう。
「---わたし、アンタのこと、ゼッタイ許さないから」
魅音はそう言うと、一美を睨んで教室に入って行った。
「---」
一美はしばらく震えていたが、
すぐに心を落ち着かせた。
そしてーー。
「--あんたが、憑依してるってこと、
ばらしてあげる!」
と、呟いて、不気味にほほ笑んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼休み。
「--ねぇねぇ、みんな聞いて!」
一美が、いつも一緒に瑠璃子を苛めていた
友達の女子生徒二人に声をかけた。
「--?」
二人が顔を見合わせて、一美の方を見る。
「ーー魅音がさ…あのブス女の瑠璃子に
憑依されちゃってるの。
ホラ、この憑依薬って薬…。
これを瑠璃子が使って魅音に憑依してるのよ!」
一美が二人に言うが、
二人はその言葉を聞き終える前に笑い出した。
「ふふふ…憑依?
一美、どうしたの?勉強で疲れちゃった??」
あざ笑うようにして一人が言う。
「---ち、違うわよ!本当に魅音は…!」
一美が必死に信じてもらおうとする。
憑依ーー
そうだーー
そんなこと誰も信じるはずが…
「---ねぇ、そんなつまらない話聞きたくないんだけど」
もう一人の生徒も言う。
一美は悔しそうに身を震わせて座席へと戻って行った。
「-----」
放課後。
一美のところに集まっていた女子生徒たちまで
魅音のところに集まって話をしている。
一美は、次第に孤立し始めていたーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜。
「ねぇ、奈央(なお)お願い!
広報部部長にとって、とっておきのネタでしょ?」
一美が、隣のクラスの友人で、
広報部部長の比良坂 奈央に電話していた。
「---憑依なんて、本当なの?」
奈央が、電話先で言う。
「--うん、本当よ!
魅音はあのブス女に憑依されている!
ずっと尾行すれば、必ずボロを出すはずだから
証拠をつかんで、広報部のネタにしてよ!」
一美が言うと、
電話相手の奈央はしぶしぶ納得した。
スクープ好き、うわさ好きの奈央なら飛びついてくると
思った。
電話を切った一美は笑う。
「見てなさい…ブス女!
化けの皮、はいでやるんだから!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
魅音が廊下を歩いている。
ウェーブがかった髪が、今日も綺麗に
なびいている。
最近は、スカート丈も少し短くなり、
おしゃれを存分に楽しんでいるようだ。
とは言え、学校生活は真面目そのもので、
変わらず先生からの信望も厚い。
「--はぁ…憑依なんて、くだらない」
一美の友人、奈央が、魅音の尾行を続ける。
魅音が誰も居ない空き教室に入っていく。
「---何であんな教室に…?」
首をかしげながら奈央が後に続くと、
突然、教室の中に引きこまれた。
「---な、何するの!」
乱暴に引っ張られた奈央はたまらず声をあげた。
魅音は言う。
「--朝からわたしのこと、つけまわして、、、
何のつもり?」
魅音の怒った口調に焦る奈央。
魅音が怒ることなど…
密かにスマホを使って、録音している奈央は、
内心でほくそ笑んだ。
「え、、い、、ホラ、わたし、広報部の部長だから…」
そう言うと、魅音が冷たい声で言った。
「出してー」
奈央は何のことか分からず、首をかしげる。
「---出しなさい!!!!」
魅音に怒鳴られて、スマホのことだと分かった
奈央は慌ててスマホを出した。
「一美に頼まれたのね」
そう言うと魅音は怒りに満ちた表情でスマホを壁に叩きつけた。
「ちょ、ちょっと!何するのよ!」
奈央が叫ぶと、
魅音は、奈央に近づいて低い声で言った。
「一美が最近、孤立してるの知ってるでしょ?
あんたもそうなりたいの???
…わたしはね…わたしを馬鹿にしたやつらを
滅茶苦茶にしてやるの!!
邪魔するなら、アンタも同じ目に遭わせるよ?」
魅音が狂気に染まった表情で奈央を見る。
奈央は”ほんとうに憑依されている”と確信したーー
「あ・・・あんた・・・」
奈央はそれだけ言うのがやっとだった。
「---ねぇ、ひとつ、頼みがあるんだけど…」
魅音は、奈央にそう言って、不気味にほほ笑んだ…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
美貌を手に入れて、地位を手に入れ、
高飛車になり始めていた魅音。
けれど、クラスの誰も魅音に逆らうことはできず、
さらに一美は孤立した。
今や、魅音がクラスの中心だ。
男子は、魅音の甘い誘惑に誘われて
完全に魅音のしもべのような状態だ。
噂によれば、2、3人とヤッたとのうわさまである。
「---許さない、、許さない…!」
陰険女子の一美は唇をかみしめる。
広報部部長の友人、奈央からも連絡はない。
”使えないヤツ”と心の中で呟くも、
他に打つ手もなかった。
クラスメイト達がこそこそ笑っている。
広報部が発行した手紙を見ているようだ。
そこにはーー
”テスト勉強疲れで”妄想”する生徒がいる”と
一美のことが書かれていた。
「---ちょ、何これ!」
一美が思わず声を荒げると、他の生徒たちが
白い目で一美を見る。
「---妄想女・・・こわ~~~~い!」
魅音があざとい仕草を交えながら一美を挑発する。
「---あんた…!」
一美が魅音を睨むと、
周囲から”そんな目で魅音ちゃんを睨んだら可哀想だよ”だとか
”魅音ちゃんとは月とすっぽんだな!”みたいな声まで聞こえた。
「--なに?文句でもあるの??」
可愛さをアピールするかのように、わざと髪を手で触りながら言う。
「---ねぇ!みんな!おかしいと思わないの!
魅音がこんな、喧嘩をうるようなマネするわけないでしょ!
魅音の態度を見て、おかしいと思わないの!?」
一美がたまらず周囲に叫ぶ。
しかしー
周囲の男子は「でも可愛いから、どうでもいっか!」だとか
「魅音ちゃんは魅音ちゃんだよ!」としか言わなかった。
魅音はバカにしたような目で一美を見る。
「---どう?孤立した気分は?」
小声でつぶやく魅音
「----……」
一美は無言で、不機嫌そうに机に戻っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後、
一美は、男子生徒の西田 孝太に声をかけられた。
こうなる前に、告白して、振られた男子だ。
「--なぁ、、教えてくれ。さっき言ってた憑依って
本当なのか?」
孝太が言う。
一美は、静かにうなずいた。
「---そっか…
最近、変だと思ってたんだ…魅音のやつ…」
孝太の話しぶりから
魅音と孝太は既に付き合っていたのだと一美は悟る。
けれど、今はそんな場合じゃない。
「---お願い…!魅音を救ってあげて!」
一美が嘆願するように言う。
別に、魅音を助けたいとは思っていないー。
けれど、瑠璃子のやつを始末したかった。
「---わかった」
孝太はそう言うと、静かにうなずいた。
一美と別れた孝太は、
背後から声をかけられた。
「今、誰とお話ししてたの?」
・・・魅音だった。
「---魅音……お前さ…」
そこまで言うと、魅音は孝太に抱き着いた。
「---み、魅音!?」
孝太が驚く。
教室には、幸い、誰も居ない。
「---わたし、、、孝太くんのこと、本当に大好きなの…
お願い…一美となんか一緒に居ないで…。
わたし、、嫉妬で頭がおかしくなっちゃいそう…」
甘い声で言う魅音。
「---魅音」
孝太が、涙で目を濡らしている魅音を見つめて
複雑な気持ちになる。
魅音は、わざと胸やスカートが当たるような位置で
孝太に抱き着いていた。
「---わたし、、孝太のためなら、何でもするから…
だから、あんな女の言葉に耳をかさないで…」
孝太は思う。
これは、魅音じゃないーー。
「---なぁ!」
孝太は魅音を引きはがす。
「ーーお前、魅音じゃないだろ!?
聞いたぞ…一美から!
お前・・・魅音に憑依した・・・」
突然、魅音が服を脱ぎ始めた。
「---!?」
制服がフサッと音を立てて、床に落ちる。
さっきまでの弱弱しそうな表情は消え、
自身に満ち溢れた表情で、魅音は孝太を見ている。
髪を後ろにやり、
そのまま飢えた表情で孝太を押し倒す。
「--うふふふ♡ こうた♡
だいすきだよ♡」
甘い声でそう呟くと、倒れた孝太に向かって
魅音はそのまま熱いキスをした。
孝太の舌に自らの舌を絡めさせ、
クチュクチュと音を立てて、
二人は甘い時間を過ごす
「んふっ♡ こうたくん♡
おねがい♡ わたしのために♡ 余計なことはしないで♡」
甘い声で、キスを繰り返しながら囁く魅音。
「--み、、みおん、、、お、、おまっ!」
言葉を続けられないように魅音が
繰り返しディープキスをしていく。
孝太は、興奮を抑えきれず、
そのまま魅音を床側にころがし、自分が上になった。
「魅音!俺も好きだ!魅音!!!魅音!!!!」
男の本能を刺激された孝太はそのまま魅音の
からだを堪能した。
「あぁ♡ うふふ♡ これが、男の子とのエッチ♡
あぁは♡ はははっ♡ うぁぁああああははは♡ あぁはんぁ♡」
魅音は体のなかに流れてくる快感を受け入れ
大きな声で喘ぎ始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
「---何よコレ…」
一美の机はボロボロに落書きされていた。
クラスメイト全員が、その様子を見ていて、
ニヤニヤしている人もいる。
孝太も、見て見ぬふりだった。
「---ーー……クソブス女がぁ!」
一美はイライラが頂点に達し、怒声をあげて
机をなぎ倒した。
「---」
魅音が見下すような目で一美を見る。
「----あんた満足!?
わたしがこんな目にあって、いい気味だと思ってるんでしょ!?」
一美が怒り心頭な様子で魅音に詰め寄る。
魅音は微笑みながら一美に近寄って、
すれ違いざまに耳打ちした。
「こんな最高の人生を得られる機会をありがとね…」 と。
そのまま優雅に自分の座席に戻っていく魅音。
一美は目に涙を溜めながら
拳を握りしめた。
「-------ブスのくせに・・・」
怒りに支配された一美は、
常軌を逸脱した行動に出ようとしていた…
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
最後の魅音のセリフはリクエスト内にあったものです!
ですが、私は明日の話で、その先にある深い闇に
進もうと思います(え?)
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
深い闇…続き楽しみです
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 深い闇…続き楽しみです
ありがとうございます!
深い闇…恐ろしいことになりそうです^^