<憑依>教室の花①~逆転~

とある女子生徒は、
容姿的に”ふつう”だったー。

陰険な性格を持つ彼女は、とある男子に告白するも
振られてしまう。
怒った彼女は、憑依薬を手に、クラス一の美少女に憑依しようとするも、
予期せぬ事態が起こり…??

※リクエスト作品です!

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「あの…わたし、、ずっと西田君のことが…」

朝ーー
登校時間よりも早く、
クラスのイケメン生徒、西田 孝太(にしだ こうた)を
呼び出した女子生徒、中山 一美(なかやま かずみ)が
告白していた。

一美は可愛いと言えば、可愛い部類にはいるものの、
”普通”に分類される少女。
必死に自分をよく見せようと、愛嬌を振る舞ったり、
おしゃれをしたりしてみたものの、
無理しすぎているのが周囲に伝わっているのか空回りばかり。

その上、性格がとても陰険なため、一部のクラスメイトを
イジメるなど、素行にも問題のある生徒だ。

「--ごめん、他に好きな人がいるんだ」

孝太が告白を断った。

「---え…そ、、そっか」
一美がショックを隠し切れずに、悔しそうな表情を浮かべる。

誰が好きなのかは分かっているー。

孝太はいつも、クラスのスタイルが良くて、可愛くて、
性格も良くて、優等生な女子生徒、北川 魅音(きたがわ みおん)と
話すときだけとても楽しそうなのだ。

「---どうせ、北川さんが好きなんでしょ」
ボソッと言う一美。

くやしさのあまり、口から言葉を吐き出してしまった。

「えーー?あ、いや…」
孝太が戸惑う。

「---」
一美はそのまま、くやしさいっぱいになって、
空き教室から飛び出した。

「--どうして!!わたしだって一生懸命頑張っているのに!」

一美は思う。

オークションで購入した”憑依薬”という切り札を使うしかない。
憑依薬で、魅音に憑依してやるー   と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昼休み。

一美は、クラスで小太りの”不細工”な女子生徒、
田島 瑠璃子(たじま るりこ)を呼び出していた。

「あ~~うざい!」
一美が、声を荒げて、瑠璃子の髪を引っ張っている。

瑠璃子は負けじと一美を見つめる。

一美は、この瑠璃子という女子を苛めていた。
事あるごとに。

”自分よりもブス”な、瑠璃子を苛めることで
優越感に浸っていた。

そんなことしても、何にもならないのに。

「----何よその目」

瑠璃子の目が気に入らない一美は、噛みつくようにして
声を荒げる。

「---別に」
瑠璃子は、成績は優秀だった。
けれど、その容姿から、イジメの対象になり、
特に一美を中心とする女子グループからは
執拗にイジメを受けている。

「--あんたなんか、わたしの可愛さには
 一生敵わないんだから!」

一美がイライラした様子で言う。

ーーー魅音には、ゼッタイに敵わないー

悔しいけど、魅音はクラスの人気者。
明るいけれど、少しか弱いところもあって、
そこがまた男子たちの心を引き付ける。

女子の友達も多く、
魅音を敵に回せば、魅音が何もせずとも、
一美はたちまち孤立してしまうだろう。

だからこそ、腹が立った。

そして、その怒りを瑠璃子にぶつける。

「ーーどうして、私がこんな目に遭わなきゃいけないの?」
瑠璃子が一美に言い放った。

一美はいらついた様子でポニーテールを振り乱して、
瑠璃子の方に近づいた。

「ブスはブスらしくしてなさいよ!」

瑠璃子の髪を再び引っ張って、
ビンタを喰らわせる瑠璃子。

「ひ、、酷い…」
瑠璃子が一美を睨むようにしてみる。

「--うふふ、先生に言う?友達に言う?
 でもさ、あんたに友達なんかいるのかなぁ?
 あんたとわたし、どっちに味方した方がいいか
 み~んな知ってる!
 男子もわたしの味方!

 あんたのことなんて、誰も助けない!
 あははははははっ!」

一美が、優越感に浸って笑う。
こうでもしなければやってられなかった。

ーー昼休みが終わる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

教室に戻った一美は、
魅音の方を見る。

楽しそうにクラスメイトと談笑している。

ロングヘアーでメガネをかけた
典型的な美少女。

「---あれ?中山さん?どうしたの?」
魅音がほほ笑む。

「えーー?え、いや、ううん、なんでもない」
一美が睨んでいるのに、気づかれてしまったようだ。

慌てて一美はその場を取り繕い、
自分の座席へと戻った。

そして、ほほ笑んだー

”あなたのからだ、明日、貰うからー”  と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

自宅で一美は”憑依薬”を手に微笑む。

「---明日から、わたしが魅音になるの…
 ふふふ…西田君は、わたしのもの…
 魅音のからだもわたしのもの…。」

オークションで、愛染と名乗る男が出品していた
憑依薬を購入した一美。

その男の評価を見る限り、憑依薬は恐らく本物だ。

ならばー

「ふふ・・・明日が楽しみね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

「おはよう、中山さん!」
魅音がほほ笑む。

「うん、おはよう」
一美も微笑み返す。

”今日から、その笑顔はわたしのものー” と。

「---……あのさ」
魅音を呼び止める。

「え?」
振り返る魅音。

一美は魅音に”放課後、話があるの”と
言って、空き教室に魅音を誘った。

そう、そこで魅音に憑依するのだー。

「---何笑ってるの?」
教室の座席につくと、近くに居た、いじめられっ子の
瑠璃子がっ声をかけてきた。

「--あんたには関係ない!」
一美がそっけない様子で言う。

瑠璃子はー
一美が大事そうに持っている液体の容器を見つめる。

「・・・・・・・・・・」

だが、瑠璃子はそれ以上、何も言わなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

6時間目の音楽室での授業を終えて戻ってきた一美。

既に教室にはいじめられっ子の瑠璃子が戻ってきていた。

「---」
気のせいだろうか。
瑠璃子がニヤついていた気がした。

「・・・・」

そして、放課後。

一美が机の中にしまっていた憑依薬を取り出そうとすると…

「---え・・・」
一美が慌てて机の中を見る。

「--な、、ない…嘘っ…?
 え?マジで…??いや!勘弁してよ!」
一人でヒステリーを起こす一美。

そしてーー
ふと思い出す。

放課後。
いつもは教室に残っていることが多い瑠璃子が、
真っ先に出て行ったことを。

そして、
朝の会話・・・
一美が魅音を誘ったときの会話を聞かれていたことを。

「--まさかあのブス女!」
一美がそう吐き捨てて、魅音を誘った空き教室に向かう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---からだ、貰うね…」
瑠璃子が、笑いながら魅音に近づいている。

「--や、、やめて…!」
魅音が恐怖に震えている。

魅音は、瑠璃子のことを
苛めたことはない。

瑠璃子も、そんな魅音のことは嫌いではなかった。
けれど…

「--わたしの人生、このままじゃ不幸なまま!
 やっぱずるいよ!
 北川さんのからだを貰って、アイツらに復讐するの!」

瑠璃子が言う。

瑠璃子の小太りな体が魅音に近づき・・・
瑠璃子はそのまま魅音にキスをした…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----!!!」
空き教室に一美が駆け込むと、
そこには魅音と、倒れている瑠璃子が居た。

「--な、、何よコレ」
一美が言うと、
魅音がほほ笑む。

「--分からない…
 急に瑠璃子ちゃんが倒れたの」

そう言いながらも、表情は嬉しそうだ。

「---嘘よ」
一美が言う。

「あんた、瑠璃子よね!
 わたしの憑依薬、盗んだでしょ!
 早く北川さんの体から出て行きなさい!」

一美が叫ぶ。

けれど、魅音は色っぽく足を交差させて、ほほ笑んだ。

「-ーー何のことかしら?」 と、
甘い声で。

「----」
一美が魅音を睨む。

「--すぐに保険の先生を呼ばないと!」
そう言って、魅音は足早に空き教室から立ち去った。

すぐに先生たちが駆け込んできてーー
瑠璃子は急性の心不全で死亡が確認された。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

魅音は自分の部屋でほほ笑んでいた。
部屋には買ってきたばかりのアクセサリーや
可愛らしい服が転がっている。

「---かわいい♡」
欲情しきった表情でつぶやく魅音。

「きれいな髪ーー」
魅音は自分の髪をサラサラと触りながら微笑む。

「可愛い顔ーー」
自分の顔を両手でぺたぺたと触りながら笑う。

「うふぅっ♡ すっごい…胸もすごい♡」
軽く喘ぎながら言う魅音。

「きれいなからだーー
 きれいな足ーーー
 うふふふふふ♡」

たまらない、と言った表情で笑い出す魅音。

「うふふふふふふふふ♡
 わたしが、、わたしが魅音なんだ!!!
 あははははっ♡」

喜びながら目から涙をこぼし、
自分の体を抱きしめるー

「今までずっとブス、ブス、言われて辛かったー
 いじめられて辛かったーー

 でも、それももうお終い!!!」

そう叫ぶと魅音は立ち上がったー。

「今日から、わたしがクラスの花なんだから♡」

魅音は、瑠璃子に憑依されていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

一美が浮かない表情で廊下を歩いていると、
背後から呼び止められた。

「中山さんー」

一美が振り返ると、そこには魅音の姿あった。

「---おはよう、中山さん」
色っぽくささやく魅音ーー。

長い綺麗な髪には少しウェーブがかけられていて、
メガネはコンタクトに変えたようだった。
少し、化粧もしているようだ。

「---あ、、あんた…」
一美が声を振り絞る。

魅音がこんな格好をするわけがない。

やはり魅音は瑠璃子にーー。

「あんた…どういうつもりなの?」
一美が言うと、魅音は歪んだ表情で呟いた。

「ずっと、わたしのこといじめて
 イイ気になってたのよね…」

見たこともないような憎しみに満ちた目で
魅音が一美を睨む。

「ーー復讐」
魅音が冷たい声で呟いた。

「----!」
一美は思わず身を震わせる。

「----何よその目」
魅音が一美に言った。

「な、、、何って…」
一美が魅音の迫力に気圧されている。
中身が瑠璃子だって分ってるのに。

あのブス女だって、分ってるのに。

「ブスは、ブスらしくしてなさいよ…」
魅音が一美に言った。

一美が、瑠璃子をいじめた際に言ったセリフだ。

「--わ、、私はブスなんかじゃ…」
一美が言いかけると、壁に追い詰めるようにして
魅音が一美との距離をつめた。

「---わたしから見たら、あんたも
 可愛くなんてないわ」

ウェーブをかけた髪をうっとりした表情で触りながら魅音が言う。

そして、続ける。

「--あんたなんか、わたしの可愛さには
 一生敵わないんだから…」

と。

一美は、自分が瑠璃子に言ったセリフを、
魅音に憑依した瑠璃子に言われていたー。

「-----…」
足をブルブル震わせる一美。

くやしさで目から涙が溢れそうになる。

「--言ってたよね?
 みんな、どっちに味方するか…って。

 優等生で、真面目で、愛嬌のあるわたしと、
 陰険で、対して可愛くもないあんた。

 みんなはどっちの味方かな?
 うふふ・・・」

冷たい声で笑う魅音。

一美は背筋が凍る思いでその言葉を聞く。

「---わたしがあんたをいじめても、
 わたしが涙を見せたり、知らぬ存ぜぬすればーー
 疑われるのは、どっちかなぁ?」

魅音が意地悪な笑いを浮かべる。

「---ご、、ごめん瑠璃子!
 あ、謝るから!お願い!許して!」

一美が声を震わせながら言う。

「---いやよ」
魅音が冷たく言い放つ。

「--今日からわたしは魅音として
 あんたのことを徹底的にいじめてやる。

 わたしがあんたにそうされたように、
 今度はわたしがあんたをいじめてやる!」

魅音が言った。

「--や、、やめてよ!ねぇ!お願い!」
一美が必死に嘆願するが、魅音は笑いながら言った。

「うふふ・・・♡
 あんたの全部、壊してやるから…!」

そう言うと、魅音は笑いながら、教室の方へと向かっていく。

「---……」
一美は恐怖で身を震わせながら、その場に
立ち尽くすしかなかったー。

②へ続く

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見下していたはずのいじめっ子が、憑依によって
逆の立場に…。
このあとはどうなるのでしょうか?
続きは明日です!

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