<憑依>マリオネット・ポゼッション”再会”

彼女の澪を救うため、
澪を”人形”にしていた同級生、羽村の命を奪った彼氏の良平。

羽村が倒れ、澪は正気に戻った。

ーーーかのように、見えた。

しかし…
それは羽村の罠だった。
羽村は、自らが殺されることで、澪の体を奪ったのだった…

マリオネットポゼッション(以前の話はこちら)の続編です

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平凡な高校生活だった。

そう、あの日までは。
小学生時代からの幼馴染でもある、彼女の澪と
楽しい日々を過ごしていた良平。

だがー、
同級生の羽村というおかしな生徒が、
”古文書”に書かれた人間を人形にする方法を用いて
澪に人形の魂を憑依させて、人形化してしまった。

好き勝手弄ばれる澪を前に、
良平は激怒した。

最後には、自殺させられそうになる澪を救うため、
良平は、羽村を殺すことになってしまった。

羽村は死んだー。

澪は正気を取り戻した。

澪と再会を果たし、良平はそのまま警察に逮捕された。

あれから数年。
良平は出所した…。

既に大学生の年齢になっていた良平は、
バイトをしながら生活をしていた。

犯罪者の経歴がついてまわるが、
とある町工場が良平を雇ってくれたのだった。

辛い人生だ。
けれども、澪が幸せになってくれているのなら…
それで構わない。

良平は、それだけを支えに、今日まで生きてきたのだ。

しかしー
良平は知らなかった。

あの日、羽村があっけなく殺されたのはーーー

”人形使いの思念はーーー、
 死後、その人形に宿る―”

その言い伝えを実現するためだということをーーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

良平が町工場での仕事を終えて、
街中を歩いている。

夜の繁華街。

ふと、とあるカップルに目をやる良平。

少し派手な格好の女性が
男に手を振っている。

ちょうど別れ際のようだ。

女性が、笑みを浮かべて、彼氏と思われる人物から
顔を背けて、こちらに向かって歩き出す。

その表情を見た良平は思わず呟いた。

「---み…澪」

最愛の彼女の澪ー。

あれから数年、彼女は今、女子大生だろうか。

派手な黒のミニスカート姿の澪が、
少し驚いた表情を浮かべる。

「ーーー良平?」
澪の儚げな表情ー。

澪と良平は幼稚園のころから一緒だった。

澪はよく、
”将来、わたし、良平のお嫁さんになるね!”
などとも、幼稚園のころは言っていた。

そう、
あの日までは、本当にそうなる感じだった。

けれどー。

「---久しぶり」

少し、大人っぽく、
女性らしさを強調した雰囲気の澪に、
良平はドキッとしながら言った。

「--ふふ、出所できたんだ!
 よかった…。」

澪が微笑む。

そして、近くの喫茶店に澪が「時間、ある?」と誘ってきた。

その誘いに頷いて、喫茶店に入る良平。

適当にコーヒーを頼み、
少し化粧も濃くなった印象の澪を見る。

「ーーー綺麗になったな」
良平が言うと、
澪は微笑んだ。

「--ありがとう。
 女って、やっぱり芸術品だとも思うの。
 だから、おしゃれしなくちゃって!」

澪が微笑む。

「---そっか。」
良平が少し寂しげな表情を浮かべる。

あれから数年ー。
羽村はあの日、殺された。

だが、その魂は”人形”にしていた
澪の体に憑依した。

そう、澪の体、記憶、心…
今や全て自分のもの。

澪に代わって、羽村はこの数年間生きてきた。

”美の結晶”である女性として。

「--さっきのは、澪の彼氏?」
良平が尋ねると、
澪は笑みを浮かべて微笑んだ。

「うんーーー。
 あ、、、ごめんね…
 わたし、良平のこと・・・」

良平は首を振った。

「--いいさ。
 俺は澪が幸せなら、それで…」

その言葉に、澪は、笑いをこらえるような
表情をした。

「・・・・・・」
良平がコーヒーを飲みながら
その表情を見つめる。

「---…でも、元気そうで良かった」

良平が言うと、澪は頷いた。

「--ごめんね…
 わたしのせいで・・・」

澪を守るために、
羽村をその手にかけた良平。

けれどー
本当は分かっていた。

連行されるときに見た澪の顔。

そのとき、良平は…。

そんなはずがない。
そう自分に言い聞かせた。
刑務所から出てこれるまでの間、
ずっと心配だった。

澪は、本当に澪に戻れたのか、と。

けれどー。
分かっていた。

羽村はそう簡単に、しくじるヤツじゃないことぐらい。

ーーー”女は芸術品”

さっきの澪の言葉。
あれは、羽村の口癖だった言葉だ。

ーーー澪を助けたかった。
けれどー、羽村のやつは、それすらも計算して…

「あのさ…」
良平が口を開く。

「---どうしたの?」
澪が笑みを浮かべて、良平を見る。

「----もう、やめないか。
 分かってるんだよ 俺。

 …自分の彼女の”違い”に気づかないとでも思ったか?

 …なぁ、、、羽村ー。」

良平が静かに、けれども怒りの感情をこめて言った。

だが、澪は笑う。

「何言ってるの?良平?
 わたしはわたしよ!
 ほら、こんな芸術的な体の持ち主、
 他に居ないでしょ!?」

澪が、誘うような目で言う。

ドン!!!

良平が机を叩いた。

「貴様…!どこまで澪を弄ぶんだ!」
良平が叫んだ。

すると、澪は深くため息をついた。

「---だったらどうだってんだよ?」
豹変する澪ーー。

澪に憑依している羽村が本性を現した。

「---中尾くん、だったよな?
 あれから数年間だ。
 僕は完全に澪になったんだよ。

 今や僕が澪だ。
 邪魔しないでもらえるかな?」

澪が冷たい目を良平に向ける。

「--くそっ…
 お前、、、何てコトを!

 女の子の人生を奪って楽しいのか!」

良平が歯を食いしばりながら言う。
目の前でいやらしく笑っている澪。

許せないー。
絶対に。

「--あぁ、楽しいよ。
 ふふふ…
 前も言ったよな?
 女の子は芸術、
 胸は宇宙だと。

 そうだよ。僕は芸術そのものになったんだ!
 うふふ…

 これ以上、僕に喋らせるなよ
 中尾くん。

 …わたしは、澪なんだから?ね♡」

澪があざとく、首をかたむけて微笑む。

「--頼むよ!澪を解放してやってくれ!!」
良平はすがる思いで「お願い」した。

羽村は、自分が優位に立つことで愉悦を感じる男だ。
強気に出ても、羽村を逆撫でするだけ。

「ねぇ、知ってる?
 わたしの体のこと?」

澪が微笑みながら語りだす。

高校時代より、体つきがイヤらしくなっている。
化粧も少し濃いように見える。

それは、澪の意思ではないー。

けれど、良平には、何もしてやることができない。

「わたし、太もものところに、ほくろがあるの!
 うふふ♡
 良平も知らないでしょ?
 わたしだけのひ・み・つ♡」

スカートを少しめくりながら、太もものあたりを指さす。

「……やめてくれ…澪を弄ばないでくれ」

良平は怒りをかみ締めながら、
そう呟く。

だが、澪は続けた。

「知ってる?わたしの喘ぐ声ってとっても
 エロいの!
 聞いてるだけでわたし、興奮が抑えられなくて…
 うふふふふ♡

 わたしね、自分の喘ぎ声、録音して、
 目覚まし時計代わりに使ってるの!

 毎日 澪の、ううん、わたしの喘ぎ声でわたしは
 目を覚ますの!」

笑いながら言う澪。

良平は、澪の喘ぐ声なんて聞いたことがない。
良平と澪は、あくまでもピュアな付き合いをしていた。

まだ、高校生だったし、
そういう関係になるには早いと思ったのだ。

「--ほら、聞いて?」
澪がスマホを良平の耳に押し付ける。

「んふっ♡ はぁ♡ あぁん♡ あっ♡」
澪の聞いたことのないような甘い声が
スマホから響いてくる。

「--くそっ!やめろやめろやめろ!」
良平が叫ぶと、澪は笑った。

「なんて芸術的な音色なんだろう!
 そう思わない!?良平くん!

 女の子の喘ぎ声は芸術だよ!
 うふふははははははは♡」

澪の表情を見て、良平は悲しそうに呟く。

「澪…」

「--と、いうことだから、
 もうアンタとはお別れね!
 ばいばい、良平!」

澪がそう言って、喫茶店の代金も払わずに
立ち上がる。

「--今の彼氏何人目だか知ってる?」
澪が笑いながら聞く。

「今の彼氏ね…28人目なんだ!うふふ!
 この数年間で、みお、い~っぱいからだ売っちゃった!えへへっ」

「---貴様…そうやって澪を弄んで
 楽しいのか!」

良平が澪…いや、澪に憑依している羽村を睨んだ。

「--うん。楽しいよ♡」
澪が満面の笑みで答える。

「心の中で、澪は泣いているぞ!
 酷いと思わないのか!」

良平は声を荒げる。

周囲の客が、二人を何事かと見つめる。

「くふふ…
 いいかい?
 僕は、、いや、わたしが今は澪なの!

 もう昔の澪は死んだ。
 今はわたしが澪。
 み・お!うふふ!!!」

澪が挑発のまなざしで良平を見つめる。

「--澪を人形にした挙句、体を奪うなんて、
 お前は鬼畜だ!

 …見てろ羽村!
 俺は必ず澪を取り戻してみせる」

良平が澪を睨む。

澪は呆れた様子で首を振った。

「---あんた、自分の立場分かってる?」
そういうと、澪が近づいてきて、
良平の手をつかみ、自分の胸に押し付けた。

「はっ・・・?何を…?」
良平がクビをかしげる。

その時だった。

「きゃああああああああっ!」
澪が大声で叫んだ。

周囲の客が二人を見る。

「---た、、、たすけて!こわい!
 あの人が、わたしのからだを!!」
澪が叫ぶ。

「---お、、おい!俺は!」
良平が慌てて反論する。

だがーー。

「えっち!!!!近寄らないで!」
澪が泣き叫ぶ。

もちろん、羽村の演技だ。

が、周囲の客がそんな様子を見て、
”通報”してしまった。

間もなく警察がやってくる。

「---くそっ!羽村ぁ!」
良平が警察に連行されながら叫ぶ。

澪は良平に耳打ちした。

「このからだは私のものー。
 
 ----くくく、
 このからだ、もっと開発して
 美の結晶にしてやるぜ」

良平は、拳を握り締めた。

”このマリオネット野郎!” と。

そして良平はそのまま連行された。

それを不気味に笑いながら
見届けた澪は喫茶店から外に出た。

「男に金を貢がせれば働くより収入が
 あるなんてな。
 女の子って人生イージーモードじゃん!」

澪が偏見に満ちた言葉を口にする。

そしてーー
スマホを手に、
”彼氏”のひとりに電話をかけた。

「みお…会いたくなっちゃった♡」

誘うようにー

甘い声で、

澪は囁いた。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

いつか書こうと思ってた続きをようやく書けました。
憑依している男、羽村は、合理的に体を使っているようです。

いつか澪を取り戻せる日は来るの…でしょうか?

憑依<マリオネットポゼッション>
憑依空間NEO

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