<憑依>リアルデュエリストVol11 拷問彼女

カードを現実化(リアル化)させる力を持った
”リアル・デュエリスト”。

今日も、そのリアルの力を持つ一人の人間が、
悲劇を巻き起こそうとしていた。

カードで”元カノ”を傷めつけていく元カレ。

その狂気の行く末はー。

リアルデュエリストの新作です。

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「なぁ…俺と別れてから2ヶ月でもう新しい彼氏作ったのかよ?」

高校生の鬼塚 京介(おにづか きょうすけ)が、
目の前に居る女子高生を睨んでいる。

「---あ、、あなたとは、ちゃんと別れたでしょ!」

魔法カード、しびれ薬の効果で、
身動きのとれない女子高生、八雲 静香(やぐも しずか)。

リアルの力を持つー、
リアルデュエリストの元カレに下校時に
「憑依するブラッドソウル」のカードによって、憑依され、
元カレである鬼塚の家に無理矢理連れ込まれたのだ。

「ちゃんと別れたぁ…?
 フン…俺は認めてねーぞ!」

粘着質な鬼塚は、
別れたあとも静香に執拗に付きまといをしていた。

そして、彼は先日、
偶然「リアルの力」を手に入れてしまったのだ。

力を手に入れた彼がすることは一つー。

元彼女である静香への復讐。
そして、静香の新しい彼氏、勝鬨 瀬戸(かちどき せと)への
復讐だった。

「---は、、離して!こんなことして
 ただで済むと思ってるの!?」

静香が気丈にも叫ぶ。

だが、鬼塚は静香の胸を触りながら笑う。

「-お前は、俺のものだ」
鬼塚の目に狂気が走る。

「---俺の彼女にもう一度なれ!」

「---イヤよ!」

静香が否定の言葉を口にする。

「---俺だってよ、無理矢理彼女にするなんて
 ことはしたくねぇんだ。

 さっきみたいに、俺が憑依するブラッドソウルという
 モンスターの姿になって、お前に憑依することもできる。

 洗脳ブレインコントロールというカードを使って
 洗脳することもできる」

静香が、恐怖で身を震わせる。

「--でもよ、
 お前だって、洗脳なんかされたかねぇだろ?

 だったらよ…」

パチン!

しびれ薬の効果から抜け出した静香が
鬼塚の頬にビンタした。

「--アンタ最低!」
静香の言葉に、鬼塚はショックの表情を浮かべる。

「ふふふ…
 俺をどこまでも拒絶するか!」

鬼塚は狂気の表情で叫んだ。

「--揺るさねぇ!地獄を見せてやる!」

そう言うと、鬼塚はカードをかざした。

”アリの増殖”

そのカードにより、
アリが大量に、這い出てくる。

静香は虫が大の苦手だった。

「いやあああああっ!」
恐怖に悲鳴を上げる静香。

「--俺を裏切った罰だ!
 新しい彼氏なんかつくりやがって!」

「あ、、アンタが暴力を振るうからでしょ!」
静香が反論すると、
京介は笑った。

「テメェ、減らず口叩きやがって!」
魔法カード”電撃鞭”をかざす京介。

そして、鞭を手に持ち、叫んだ。

「黙って、俺の彼女になりやがれ!」

電撃鞭を思いっきり振って、
静香に叩きつける。

「きゃあああああああああっ!」

電撃が体に走り、静香が悲鳴をあげる。

「--くへへっ!
 いい声で泣くじゃねぇか」

京介は笑う。

「--ー静香、お前を痛めつける気はないんだよ。
 ただ、俺の彼女に戻ってくれれば…」
京介がそこまで言うと、静香が、唇をかみ締めて痛みに
耐えながら呟いた。

「---わたしは…、
 アンタと一緒になんてならない!」

決意のまなざしー。

「-----」
京介の中で「ブチッ」と音がした気がしたー。

”理性”がはじけ飛んだ音ー。

「--ひひひひひひ、じゃあしかたねぇな!
 力づくでも、彼女になってもらうぜ!」

ーーそう言うと、京介は、
「心変わり」魔法カードを手にして笑った。

「---お前のその心…変えてやるよ」

そのカードを見て、静香は目を見開く。

「い…いやっ!それだけはやめて…!ねぇ、、お願い!」
静香が叫ぶ。

そして逃げ出そうとする。

「---にがさねぇよ!」
京介が叫んだ。

「万力魔人バイサー・デス!」
拷問機械のようなモンスターを彼は”召還”した。
自分がモンスターの姿に変わるのではなく、
その場に、モンスターが出現した。

そして…

バイサーデスが静香の頭に装着される。

「きゃあああああああああっ!」

頭を締めつけるような痛み。
静香は悲鳴をあげて叫んだ。

「--これでもう、お前は逃げられない」
京介が言う。

そして、
京介はカードをかざす。

”心変わり”のカードを…!

「----お願い やめ…」
静香の頭に、衝撃が走る。

言葉では言い表せないような衝撃。

京介は、バイサーデスのカードを外し、
静香の拘束を解いた。

「あっ…あっ・・・」
静香が目から大粒の涙を流している。

けれどーーー。

「---くくく、お前の彼氏は誰だ?」
京介が意地悪そうに尋ねる。

「うーーー…あっ…  あっ…」
全てが塗り替わっていくような不気味な感覚。

大切なモノが”塗り替えられていく感覚”

けれども…
それが”何か”を思い出すことができない。

「あっ…あっ…ああああ…」
静香は、ただ、”喪失感”に襲われて涙を流し続けた。

その、心が塗りつぶされていく。
”新しい心”にー。

「---ふん、俺を怒らせると
 どうなるか分かったか!」

京介が叫ぶ。

そしてーー、
カードを手に…

「---鬼塚!」
背後から、静香の彼氏、勝鬨の声がした。

「---ようやくお出ましかぁ!」
京介が嬉しそうに振り返る。

鬼塚 京介はクラスでもトップクラスの
”粘着質”な性格で、”面倒くさい”生徒だ。

同じクラスの勝鬨も当然それを知っていた。

「--お前…静香に何をした!」
勝鬨が叫ぶ。。

放心状態でその場にうずくまっている静香。

「--くく…
 ”心変わり”をさせてやったんだよ!」
京介が憎しみをこめて言う。

そう、これは罰ー。
彼氏である俺を捨てて、新しく”勝鬨”という彼氏を
作った静香に対する、罰だ。

「--静香!おい、しっかりしろ!」
静香を抱える勝鬨。

だが…

「汚い!触らないで!」
勝鬨の手を振り払って、侮蔑のまなざしを向ける静香。

「---鬼塚ァ!俺の彼女に何をした!」
勝鬨が叫ぶ。

京介は笑った。

「--俺さ、カードを現実化させる力を持ってるんだよ。
 その力でさ…
 ”心変わり”って魔法カードをそいつにつかったんだよ!」

京介のそばに静香が甘い笑みを浮かべながら近づいていく。

「---なんだって……」

”カードをリアル化(現実化)させる力を持った人間、
 「リアルデュエリスト」その言葉は聞いたことがある。

と、いうことは目の前に居る静香は
”心変わりによって…?”

「静香!俺だよ!俺が分かるか!」
勝鬨が叫ぶ。

だが、
「気安く呼ばないでくれる?」と、
静香は嫌悪感をあらわにした。

「--静香…
 目を覚ませ!お前は”心変わり”のカードで!」

勝鬨が叫ぶ。

しかし、静香は、京介の腕の中に抱かれて
嬉しそうな表情をしている。

「---京介ぇ・・・
 わたし、あなたのことがやっぱり…だいすき!」

うっとりとした表情で言う静香。

「ーーねぇ!わたしを抱いて!もっと力強く!
 抱いて!」

飢えた表情で静香が言う。

「---やめろ!!目を覚ませ!」

静香と京介の間に割って入った
勝鬨は叫ぶ。

「--何よ!邪魔しないで!
 私は京介のことがだいすきなの!」

静香がわめく。

ーーーリアルデュエリストの力がここまで強大だなんて。

「---許さない」
勝鬨が京介を睨む。

「--ふはっ!怖いねぇ!
 そんな怖い顔で睨まれると参っちゃうな…!」

そういうと、京介はカードをかざした。

ティオの蟲惑魔ーーー。

「---おまっ!ふざけんな!」

小さな少女の姿になった勝鬨が叫ぶ。
ーーしかし、その声は”可愛らしく”、
迫力がない。

「おー、おー!
 可愛いねぇ!ふははははは!
 そのからだじゃ、怒っても迫力ないぜ!」

京介はそう言うと、静香を抱きしめた。

「--静香、お前は俺の女だ」

「---うん♪」

静香が嬉しそうに言う。

「--お前はの体は、俺のものだ」
京介が言う。

普通なら驚くべき言葉ー。
けれど”心変わり”していた静香はそれを受け入れた。

「---うん♪」

許可を貰った京介は”憑依するブラッドソウル”の
カードを使い、自分がブラッドソウルの姿となり、
静香の体に飛び込んだ。

彼の目的はーーー
静香を自分ものにすることー

「くふふふふふふっ…
 ははははははは!ついに、ついに
 俺がー、いや、わたしが静香になったのよ!」

そう叫んで、勝鬨の方を・・・

突然ーー
静香の手に火花が散った。

「あちっ!」
静香が叫ぶ。

「---なっ」

静香は驚いて目を見開いた。

ーー勝鬨が「火の粉」のカードをかざしている。

静香の中に居る京介はニヤリと笑う。

「---そうかぁ…お前も”リアル・デュエリスト”なのか」
静香が男言葉で言うと、
勝鬨は静香を睨んだ。

「--静香は俺の彼女だ!
 返してもらう!」

勝鬨が叫ぶ。

「--俺もさ…3ヶ月前にこの力を手に入れたんだけど
 危険な力だから絶対に使わない、って心に決めてた…。

 けど・・・」

デッキを手に、京介のほうを見る。

「--静香を弄ぶお前をーー
 俺は許さない」

その言葉を、静香の体を支配した
京介が笑う。

「--はっ…俺と…
 いや、わたしとリアルデュエルをするというの?
 バカにしないで頂戴!」

静香の真似をしながら言う京介。

睨む合うふたり。

そしてーーー

「現実決闘!(リアル・デュエル!)」

二人がデュエルの開始を告げた。

「---俺のターン!火の粉発動!」

火の粉が静香の周囲に現れ、
静香は手を火傷する。

「チッ…私のターン!」
静香がカードを引いてかざした。

「---うふふふふ…
 勝鬨くぅん…地獄を見せてあげる!」

「千本ナイフ!」
魔法カード、千本ナイフを発動する静香。

その表情は悪魔のように歪んでいた。

「くくく…
 彼女のわたしに、殺されなさい!」

静香が叫ぶ。

「ーーーーくそっ!静香を返せ!」
勝鬨が叫ぶ。

「---ふふふっ!嫌よ!
 
 これは、俺を裏切った罰だ!
 2度と裏切れないように、俺が静香になるんだよ!

 あはははははっ♡」

大笑いする静香。
そして、笑い終えると勝鬨の方を見た。

「…にしても、可愛い姿ね♡」
ティオの蟲惑魔の姿になった勝鬨を笑う静香。

そして…。

「---千本ナイフ!死になさい!」

千本のナイフが勝鬨のほうに向かって飛ぶ。

「あははははははははは♡
 あはははっ♡

 わたし♡ 彼氏を殺しちゃった♡
 あはははははっ!あっははははははは~♡」

胸を狂ったように揉みながら、
大笑いして、足をじたばたさせる静香。

「リアルデュエルはわたしの勝ちっ♡」
可愛らしくポーズを決める静香。

しかし…
可愛らしい声が響いた

「--それはどうかな?」

とーー。

勝鬨だった。
勝鬨がーー
魔法カード、防御輪を発動してナイフをガードしていた。

本来のデュエルでは、相手ターンに魔法カードは
一部を除いて使えない。

だが、これはリアル・デュエル。
そもそもターンの概念など、ないのだ。

「---くそっ!大人しく沈めよ!
 俺に気持ちよく、静香を楽しませろよ!」

静香に憑依している京介が叫ぶ。

ーー可愛らしい姿のまま、京介を睨む勝鬨。

そして勝鬨は叫んだ

「よくも俺の彼女を!!
 懺悔の用意はできているか!?鬼塚!」

京介に向かって、そう叫ぶと、
勝鬨は、「融合解除」というカードを発動した。

融合解除ならば、もしかしたら…
静香と京介を分離させられるかもしれない。

「ごふっ!」

ーー静香の体から、京介がはじき出された。

「---貴様ァ…」
うずくまる京介。

意識を取り戻した静香が京介のほうに駆け寄って
心配そうに京介を見つめる。

そう、まだ”心変わり”の効果が残っている。

「----くくく、勝鬨!
 残念だったな、静香の心は俺が・・・… はっ!」

勝鬨が”狂戦士の魂(バーサーカーソウル)”というカードを発動していた。

モンスターカードをドローするたびに、攻撃できるカード。

「---静香に手を出しやがって!許さねぇ!」
勝鬨はそう叫ぶと、デッキからカードをドローした。

ドロー!モンスターカード!

と。

ドローされたモンスターが京介を襲う。
京介は吹き飛ばされて、壁に体を打ち付ける。

「うぐぁっ・・・」

ドロー!モンスターカード!

勝鬨が再びモンスターをドローした。

そのモンスターの剣に切られ、血を流して吹き飛ばされる勝鬨。
静香が目に涙を浮かべてその様子を見る。

「---きょ、、京介!!!」

ーーー勝鬨は知っていた。
”心変わり”のカードの効力を消す方法は
リアルデュエリスト界では無い。

ーー魔法除去の類でも元に戻らないし、
心変わりをもう一度使っても、何故だか元に戻らない。

なぜかは分からないが、
それがリアルデュエリストにおける心変わりというカードだ。

だから、もうー。
静香の心は…!

ドロー!モンスターカード!

静香の心を奪われてしまった憎しみから、
勝鬨は12枚目のモンスターカードをドローした。

京介はとっくに倒れて、既に動いていない。

「--ドロー!」
勝鬨がカードをドローしたそのとき、
その腕がつかまれた。

「もうやめて勝鬨くん!
 京介のライフはとっくに0よ…!」

静香が泣きながら勝鬨の手を押さえた。

勝鬨は我に返って
京介を見つめる。

可愛らしい少女の姿のままで。

「----はぁ…はぁ…」

静香を狂わせた男、
鬼塚 京介は
”本当の意味での”ライフが0になっていた。
つまりー。
彼は、もう。

「----…京介!京介ぇぇぇ!」
心変わり させられてしまった静香が
京介の死に泣き喚く。

「----・・・!!」

京介の手元にカードが握られている。

「----」
勝鬨はそのカードを見て、目を見開いた。

それはーーー
京介が死の直前、ギリギリで発動したカード。

ーーーー”自爆スイッチ”

直後、その京介の家からは
激しい爆発音が響き渡ったーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-ー人とは愚かなものだ」

”リアル”の力を分け与えている謎の男が呟く。

彼はモニターで、リアルの力を手に入れた人間のことを
観察している。

だがー、
力を手に入れたものの大半は力に溺れる。

勝鬨も、京介もそうだった。

「---人にーー未来などない…か」

彼はそう呟くと、
人への絶望の言葉を口にした…。

おわり

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コメント

実際のルールは知っているのですが
リアルデュエリスト用に、ルールは都合よく改変しています(笑)

お読み頂きありがとうございました!

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    名作だ、、、、。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 名作だ、、、、。

    ありがとうございます!
    これからも頑張ります^^