FF外から、憑依する男、夫雄呂外。
彼は、くりぼっちだった。
クリスマス当日、彼は大学生たちの
クリスマスパーティを滅茶苦茶にしてやろうと、
画策する…!
リア充なんて、爆発してしまえ!
夫雄呂 外はそう叫んだー。
過去の「FF外から失礼します」はこちらからどうぞ!
-----------------------------------—
よぉ夫雄呂 外(ふおろ がい)だ。
…変な名前?もちろん偽名だ。
俺のことはガイと呼んでくれていい。
ん?前にも会った気がするが…、
俺は人の顔を覚えないんでな。悪く思うな。
さて、今日はクリスマスだ。
めりーくりすます!
ふざけんじゃねぇ!!!!!
な~にがメリークリスマスだ!
どいつも、こいつもケーキ屋の陰謀に乗せられやがって!
だらしのないやつらだ!
クリスマスケーキぃ~
クリスマスチキンん~~~?
いいよな儲かる奴らは!
だが俺はだまされねぇ!!!
イルミネーション~~~~?
電気代の無駄してんじゃねーよ!!!
…と、取り乱したな。
さて、今回の俺は
リア充を邪魔するつもりだ。
大学生のクリスマスパーティに目をつけてある。
女子大生に憑依して
クリスマスをめっちゃくちゃにしてやるぜ!!
メリークルシメマス!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガイは、いつものようにツイッターを開いた。
そして、昨日
「明日は光男くんと、友達カップルと
クリスマスパーティ♪」と嬉しそうにツイートしていた
女子大生のツイッターを開く。
昨日から目をつけていたツイッターだ。
”パーティスタート!
慶子の家、相変わらず綺麗だなぁ”
とツイートが入る。
「今だ!」
ガイはいつも通り、幽体を離脱させ、
モニターを通して、相手の元へ向かうー。
彼は、PCやスマホのモニターを通して
対象に憑依するーーー。
”FF外から失礼しまーーーーす!”
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大学生4人が、とある家でパーティをしていた。
森友 光男 (もりとも みつお)と、
その彼女 千葉 彩愛(ちば あやめ)。
友達の、籠池 慶子(かごいけ けいこ)と、
その彼氏の斑目 一(まだらめ はじめ)。
一人暮らしの慶子の家に集まった4人は、
楽しいパーティを始める―…
はずだった…
「ひっ…!?」
スマホの画面から飛び出した「何か」が
体に入っていく。
突然、変な声をあげた彩愛の方を見る
3人。
彼氏の光男が心配して声をかける
「大丈夫か?彩愛ー?」
森友 光男。
彩愛の彼氏で、クリスマスを楽しめないやつは、
人生10回分損している、という持論を持つ男だ。
「--彩愛ちゃんったら、どうしたの?
急に変な声を出して。」
微笑んでいるのは籠池 慶子。
この家に一人暮らしをしている女子大生で、
しっかりものだ。
「ははっ…」
その様子を微笑ましく見ているのは、
慶子の彼氏、斑目 一。
無類の明太子好きで、鞄の中にいつも明太子を
忍ばせている。
「うん、私は大丈夫」
彩愛に憑依したガイは、そう呟いてほほ笑んだ。
「良かった~心配させないでよね!」
慶子が笑う。
「ごめんごめん」
彩愛は、自分の体を確認する。
タイツを穿いたミニスカート姿にセーター。
寒いのだろう。
「--くく」
小さく笑みを浮かべると、彩愛はこれから
始まる地獄を思い浮かべた。
そしてー
立ち上がった。
「--どうした?」
彼氏の光男が言う。
クリスマスパーティが始まったばかりなのに、突然立ち上がった
彩愛に違和感を感じたのだろう。
「--みんなこそ、頭だいじょうぶ?」
彩愛は微笑みながら、そう呟いた。
「---え?」
慶子が不思議そうな顔をして尋ねる。
「--な、なに言ってるんだよ急に?」
光男が笑いながら言う。
「・・・・・・」
慶子の彼氏の斑目が明太子を貪りながら、彩愛を見つめている。
「---クリスマスってさ、
要するにケーキ屋の陰謀だよね。
みんな、それに踊らされてる。
バッカみたい」
彩愛が吐き捨てるようにして呟く。
「おーー、おい、何言ってんだよ?
クリスマス楽しめないヤツは人生10回損してー」
「---黙れ!リア充!」
彩愛が恐ろしい形相でどなりつけた。
「~~~~~~!」
光男は驚いて言葉を止める。
彩愛はその様子を見て微笑むと、
椅子を蹴り飛ばして、歩きながら語り始めた。
まるで、演説をする著名人かのように。
「クリスマスってさ、
イエス・キリストの生誕を祝う祭なのよ。
それが何、アンタら、
カップルで集まってイチャイチャイチャイチャ…
ばっかじゃないの!
冒涜よ!」
彩愛がそう言うと、
友人の慶子が机をたたいて立ち上がった。
「彩愛!ふざけないで!
せっかくの楽しいクリスマスを台無しにする気?」
怒る慶子。
それを見て笑う彩愛。
「---私はお前らリア充を許さない」
殺意のこもった目で、
他の3人を見つめる彩愛。
「--ど、、どうしたの…彩愛!」
怒っていた慶子が彩愛の異常な雰囲気に
違和感を感じて、怯えた様子で言う。
「くふふ・・・お前たちがどんな風にニュースに乗るか楽しみ」
彩愛がそう言いながら、テーブルに近づき、
料理用のナイフを手にして、その舌で舐めた。
「---な、、何してるんだよ!彩愛!」
彼氏の光男が気味の悪いモノを見る目で彩愛を見つめる。
慶子の彼氏の斑目は、慶子が用意した明太子を
パックごとひたすら生で口に運んでいる。
あまり、騒動に興味が無さそうだ。
「---こうするのよ!」
彩愛がナイフを突き立てた。
ーー斑目の首にーーーー
「ぐえええええっ!」
斑目が口に含んでいた明太子を吐き出す。
「ひひひひひひ!リア充なんか!消えちゃえ!」
彩愛が首筋に立てたナイフをグリグリと奥に突き刺す。
「きゃあああああああ!」
慶子が悲鳴を上げる。
「お、、おい!!!!」
彼氏の光男が叫ぶ。
「----」
斑目はそのままテーブルに突っ伏し、動かなくなった。
ナイフを引っこ抜いた彩愛は、笑いながらそのナイフを
舐めた。
「くふふ・・・♡リア充の血の味は美味しいね…!」
狂気的な笑みを浮かべる彩愛。
「そ…そか…
わかったぞ!」
彼氏の光男がひらめいたかのように言う。
彩愛はその様子を見ながら
「くくくくく…」と小さな声で笑っている。
”完全にイカれている”
光男はそう思いながらも、
目の前で斑目が刺された現実を受け入れられずに言った。
「ド・・・ドッキリだろ?
彩愛と斑目で、俺たちを驚かそうとしてる」
光男が言う。
彩愛は、そんな光男を無視して、
机に突っ伏した斑目の頭をお尻で踏みつぶして、
その上に座った。
「---くふふふっ♡
びっくり???あんたバカじゃないの?」
バカにしたように笑って、
彩愛は素手で斑目が食べていた明太子をつかみ、
口の中に入れた。
「ふふふふふふ♡
わたしのこと、おかしいと思ってるでしょ?
狂ってるとおもってるでしょ???」
彩愛が言うと、
光男がおびえた様子で言う。
「---お、、、おい、、、彩愛…
何してんだよ…」
ようやく現実を受け入れたのか、光男が叫んだ。
「お前、自分が何したか分かってんのか!」
慌てて警察を呼ぼうとする慶子。
だが、彩愛が叫んだ。
「--呼ぶんじゃねぇよ!」
恐ろしいまでの怒鳴り声ーー
とても、彩愛の声とは思えないーー。
「ひっ…」
慶子が涙ぐんでその場に固まる。
「そういやさ、アンタ、
クリスマスを楽しめない奴は
10回人生損してるよな! なんて言ってたよね」
彩愛が光男を睨みながら言う。
「---あ、、、あぁ…
でも、、俺と彩愛はクリスマスをたのし…」
彩愛の手が首筋に触れる。
「---そういうの…」
彩愛が突然、その両手で首を絞めた。
「---すっげー、むかつく!」
彩愛がそう叫ぶと、
手に渾身の力を込めた。
「あ、、、あが、、、がっ、、、
やめ、、、あ、、やめ!」
光男がもがく。
彩愛は狂ったように笑いながら
叫んでいる
「オラ!もう一回言ってみろよ!
クリスマス楽しめないやつは何だって???
オラ!オラ!言えよ!言ってみろよ!」
苦しむ光男。
彩愛は、自らの手で最愛の彼氏を手にかけようとしている。
「---もうやめてよ!彩愛!」
慶子が叫ぶ。
だがーーー。
光男はそのまま動かなくなった。
「--”わたし”は光男くんのこと大好きなのに、、、
この手で消しちゃった!えへっ♡」
そう言うと、彩愛は光男にキスをした。
「--な、、、何やってんのよ!!!!!
彩愛!!!!!」
慶子が泣き叫ぶ。
彩愛は笑いながら、斑目の方を指さして笑った。
「慶子~
今ならコイツとヤリタイ放題よ?
キスだってできる。
エッチだってできる。
ホラ、やりなよ!」
彩愛が挑発的に言うと、
慶子が怒り狂った形相で彩愛に近づき、
彩愛にビンタを喰らわせた。
そして、そのまま慶子は泣き崩れてしまう。
彩愛は、
”リア充”の幸せをぶち壊してやった満足感に興奮したー。
斑目と光男に唾を吐き捨てると、
彩愛は、突然服を脱ぎ捨てた。
セーターを引きちぎるようにして脱ぎ捨て、
スカートは、部屋の窓から外の放り投げた。
タイツは面倒臭いから引きちぎった。
そして、ショーツは明太子を喰ってた
斑目の頭にかぶせておいた。
冥土の土産だ。
「---な、、、何してるのぉ…」
慶子が震えながら言うと、
彩愛は笑った。
「最後は、私の人生も壊しちゃわなきゃ…ね!」
そして石油ストーブから石油を取り出し、部屋中に
ばらまいた。
チャッカマンを手に持つと、
彩愛は笑いながら言う。
「慶子!最後に教えてあげる!
今の私ね~
男の人に体を乗っ取られちゃってるの!
本当はこんなことしたくないの!」
その言葉に慶子は「うそ…」と呟き、唖然としている。
「でも、しちゃうんだぁぁぁ!!!
あっははははは♡
俺はよぉ!ずっとクリスマスぼっちだからよ!
お前らみたいの見てると腹が立つんだぜ!」
そして、部屋に火を放った。
彩愛は全裸で玄関の方に走りながら叫んだ。
「冥土の土産に教えてやるぜ!
俺の名前は夫雄呂外だ!
よく覚えておきな!
あっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」
彩愛は奇声を発しながらそのまま外を走った。
大笑いしながら服を着ていない女子大生が走っている。
当然ーー
すぐに彼女は逮捕されたーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
夫雄呂外は昨日のことを思い出しながら
「どんな記事になってるだろうか」と新聞受けに
新聞を取りに行く。
ガイの楽しみは、
自分が憑依して起こさせた事件が、
どのように新聞記事になっているか見ることだ。
「ククク…さて今回は~?」
ガイは楽しそうに、それぞれの新聞を見つめる。
”クリスマスの悲劇”
「--なかなか味のある見出しじゃないか」
そう思いながら、ガイは新聞の記事に目を通す。
そこにはー。
犯人の女子大生が逮捕されたことー。
パーティに参加した大学生2人が死亡したこと などが
書かれていた。
「ん…?」
ガイは思う。
”2人?”
自分が憑依した彩愛以外に3人居たはずだ。
そう思い、慌てて記事を確認する。
するとーー
”火災となった現場から
救助された女子大生は、病院で治療中
回復を待ち警察が事情を聞く予定”
と書かれていた。
「---なっ!」
ガイは新聞をその場に落した。
ガイはてっきり、3人ともくたばったものと思っていた。
しかもーー
ガイは、昨日、パーティ会場であった慶子の家に
火をつけた際に
「冥土の土産に教えてやるぜ!
俺の名前は夫雄呂外だ!
よく覚えておきな!
あっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」
自ら名乗ってしまっている。
「・・・・・」
ガイは冷や汗をかいた。
まさか、自分が捕まるとは思えない。
だがーーー。
ガイは無言で、玄関先に出る。
そして、自分の偽名「夫雄呂 外」名義の表札を
こっそりと外して、自分の本名に変えておいた。
「---しばらく、、
FF外から失礼するのはやめるか…」
本来、小心者のガイは、そう呟き、
怯えた様子で、家の中に戻っていった。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
12月。。
せっかくなので、クリスマスに関係ある作品を
いくつか書いていきたいと思います!
今日はFF外~のクリスマス編を書いてみました!
あ、ちなみに私自身は
リア充の皆様に恨みは全くありません!
何故かは…
誰も興味ないと思いますから、語らないでおきますネ!
ありがとうございました!
コメント