大企業の息子に夜道で襲われた里美。
被害者である彼女は、
誰もが味方してくれるはずの裁判で、次々と味方を失っていく。
そして、彼女に、本当の悲劇が襲いかかろうとしていた。
憑依弁護士、最終回!
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被害者の里美の親友だった優子は、
あれからも大学内で、男の体を求めて
欲望におぼれ続けた。
服装はどんどん男を誘うような格好になり、
胸元を強調し、太ももを大胆に露出するような服装が
多くなっていった。
「--優子…最近 変だよ… お願い…何があったのか教えて?」
里美は、そう尋ねた。
しかし、優子は笑いながら里美に抱き着いて、
キスをし、里美の胸を力強く揉み始めた。
里美は、あまりの悲しさに、優子の頬をとっさにビンタしてしまった。
もうー二人は元の関係には戻れない。
里美を担当していた緒方弁護士は、
突然、男との結婚を熱望し始め、
弁護の仕事そっちのけで、男をナンパする日々を送り始めた。
「あなたの子供が欲しいの!」と叫びながら
夜の街を破壊する彼女にー
凛とした弁護士の面影はもうなかった。
そして、ほどなくして彼女は弁護士の資格をはく奪された。
裁判員として訪れたいた24歳の主婦、愛海は、
露出狂女と、脳に刻み込まれてしまい、
服を脱ぎ捨て、外を走り狂い、逮捕された。
その後、釈放されるも、露出を繰り返し再逮捕。
離婚を要求され、幸せだった家庭は壊れた。
ーーーー残るは、ただ一人。
弁護士、甘利 卓は
”この茶番”を終わらせようと、
法廷に入った。
今日、全ては終わる。
最後の仕上げ―。
被害者の里美の方を見る。
控えめな服装で、
ロングスカート姿の里美。
守ってあげたくなるようなはかなげな表情。
弁護士を失い、
親友を失いー
彼女は落ち込んでいた。
「---安心しなさい」
甘利は一人呟いた。
「君もー。
すぐに幸せになれるからー」
甘利弁護士は不気味微笑んだ。
裁判長が入廷する。
里美の弁護士に、新しい弁護士がついたようだ。
草薙 慎三(くさなぎ しんぞう)弁護士。
冴えない40代のおじさん弁護士だ。
「--草薙か」
甘利は呟いた。
甘利からすれば大した実績も無く、
無難な弁護しかしていないチキン野郎だ。
こんな奴に、甘利が負けるはずが無かった。
そして、”最後の”公判が始まった
「私は…怖かったです…
本当に…怖かった…」
里美が最後の発言をしている。
涙ながらに語る里美…。
甘利弁護士はニヤニヤしながらその様子を見ている。
そんな甘利弁護士の様子を、相手方の草薙弁護士が不愉快そうに
睨んでいる。
被害者の証言中に笑うとは何事か、
そう言いたげだった。
「……。」
草薙弁護士は思う。
友人の優子も、担当していたあの緒方弁護士も豹変したと言う。
そして、甘利弁護士のあの表情。
「---何か…仕組んでいるのか・・甘利?」
草薙弁護士はそう呟いた。
「……そろそろやるか」
甘利弁護士がそう呟いて、指を鳴らすと、
里美が突然「うっ…」とよろめいた。
甘利弁護士があらかじめ憑依させておいた自らの魂の分身の
スイッチを入れて、里美を乗っ取ったのだ。
「--大丈夫ですか?」
裁判長が優しく尋ねると、
里美は「はい…」と微笑んだ。
そして、里美が再び証言を続ける。
「私は……」
言葉を止める里美。
「ふふ・・・」
今まで涙ぐんでいた里美が突然含み笑いを浮かべる。
「ふふふ…ふふふふふふふ……
楽しかった…」
里美の意味不明な笑いに、
加害者の内海哲伸も、父親の内海社長も、
そして弁護士の草薙も不審な表情を浮かべた
「あはっ、、あはははははははは!
み~んなバカばっかり!
お人よしすぎじゃない!?」
今まで見せていた大人しい雰囲気から
一変した里美が、馬鹿にした表情で周囲を見渡す
「うふふふふ!
み~んな、わたしの可愛い外見に惑わされちゃってるのね!
まっ、仕方ないか。
わたし、可愛いし」
自信に満ち溢れた表情で、
里美は証言台から離れ、
色っぽく歩きながら、哲伸の方に向かう。
「くふふ・・・
あの日、わたしから誘惑したの。
ちょうど、わたしもえっちしたかったし、
近くにいたこの人を私から誘惑したの」
哲伸の手に触れながら言う
里美。
傍聴席がどよめいている。
「こんな風に…ね?」
里美が甘い声で、哲伸の頬に顔を近づけて、
キスをした。
「---何をしているんだ!!」
草薙弁護士が思わず立ち上がった。
甘利弁護士は余裕の表情だ。
「わたし、本当はエッチな女なんです。
今だって、ここで哲伸くんとヤッちゃいたいの。
あ、ホラ…もう、私、アソコ濡れちゃってますよ~
ふふふふふ♡」
里美がロングスカートの中に手を突っ込みながら笑う。
「私みたいな真面目そうで可愛い子が、
痴漢にあった!って、悲しそうに言うだけで
み~んな引っかかっちゃうんですね!」
里美が笑いながら法廷の証言台の上に飛び乗り、証言台に座って
足を組んで笑う。
「ーーー今すぐそこから降りなさい」
裁判長が言うが、里美は挑発的な笑みを崩さない。
「どいつもこいつもバカばっかり!
あはははははははは!
わたしにみ~んな騙されちゃった!あは♡」
勿論、里美は本当に暴行された。
誘ってなどいない。
だが、今の里美は甘利弁護士に憑依され、
甘利弁護士によって好き勝手動かされているのだ。
証言台の上に立ち上がり、
スカートを降ろす里美。
「ほーら、私、こんなところで、スカート脱いじゃうような
女なんですよぉ~
あはは、私ッたら変態っ♡」
嬉しそうに自分の太ももを見つめて、
ベタベタ触り出す里美。
周囲はあっけにとられている。
「----くふふ」
里美の体の方の感覚があまりにも気持ちよくて
甘利弁護士自身も笑ってしまった。
あそこが成長してしまっている。
「---甘利!」
草薙弁護士が叫んだ。
「貴様だな!貴様が何かしているのだろう?
裁判長!この裁判はおかしいです!」
草薙弁護士が立ち上がり、
法廷の真ん中に立って言う。
「この子の友人の優子さん、
そして裁判員の女性、
緒方弁護士。
奇行に走る人が多すぎます。
裁判長、私に、甘利弁護士の身辺を調査させてください」
草薙弁護士が裁判長に向かって頭を下げる。
「---うるせーんだよ!」
里美が、ブラウスにショーツだけの不気味な姿で草薙弁護士を
蹴り飛ばした。
「うぎっ!」
床に飛ばされ、驚いた表情を浮かべる草薙弁護士。
ショーツが濡れているのが遠目でも分かる
「あっはははは…
だらしねぇ顔だなおい!」
里美が乱暴な口調で草薙弁護士を見下す。
「あたしが誘惑したっつってんだろ!?
被害者のあたしが言ってんだよ?
分かる?あ?なぁ?何とか言ってみろよ!」
元の人格などお構いなしに里美の姿で
啖呵をきる里美。
草薙弁護士が叫ぶ。
「--彼女は正気を失っている!
裁判長!甘利弁護士を調べる必要があります!
許可を!」
草薙弁護士が叫んだ。
「---出て行きなさい」
裁判長が静かに言い放った。
草薙弁護士は言う。
「しかし裁判長、このまま彼女を退廷させても…」
里美を退廷させれば確かに法廷は静寂を
取り戻す。
だが、草薙弁護士には、とても里美自身の意思とは思えなかったのだ。
「----草薙慎三、出て行きなさい!」
裁判長が怒鳴り声を上げた。
「---は?な、、、何故です!」
草薙弁護士が驚いて言う。
「出てけってんだよ!おっさん!」
里美がその綺麗な足を草薙弁護士に力強くたたきつける。
「ひっ…」
信じられないという様子で
草薙弁護士が裁判長を見る。
甘利弁護士はー
魂の分身を裁判長にも憑依させていた。
騒然とする法廷。
(さすがに、3人同時操作はきついな)
甘利弁護士は苦笑いしながら思う。
「こ…こんなのおかしい!私は認めない!」
涙ぐみながら草薙弁護士は法廷から走り去って行った。
「あはははははははっ!
あははははははは!」
愉快そうに笑う里美。
あまりの興奮に愛液が流れ出ている。
「くふふふふふふふ!
ふふふふふふふふ!」
裁判長も笑う
「くひひひひひひ…ひーははははははははは!」
甘利弁護士も愉快そうに笑いだすのだった…。
公判は終了した。
哲伸は…無罪となったのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「先生、ありがとうございました」
加害者の父・内海社長が頭を下げる。
「ふふ・・・いえ、私も楽しめましたからねぇ」
甘利弁護士が缶コーヒーを飲みながら笑う
「しかし…あの相手の緒方弁護士と言い、
里美とか言う子と言い、
最近はおかしな子がおおいですな」
内海社長が言うと、
甘利弁護士は笑いながら、答えた
「まったくですな…はははははは!」
そしてー、
内海社長に憑依させていた自分の魂を起動し、
内海社長の脳を瞬時に塗りつぶした。
”自分の財産は甘利弁護士にささげる―”と。
そして憑依を解く。
この間、10秒。
「---で、報酬の件ですが」
甘利弁護士が言うと、内海社長は当然のことのように呟いた。
「はは、息子を助けてもらったんです。
私の全財産を譲渡しますよ」
その言葉に、甘利弁護士はニヤリとして頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
加害者の哲三が、裁判所から出ると、
里美が手を振りながら近づいてきた。
さっきまでとは打って変わり、
ミニスカート姿の派手な感じの服装をしている。
「---ど、、どうも」
哲伸は控えめに挨拶をする。
無罪とはいえ、彼女を襲ったのは事実だ。
里美が笑う。
「ね?哲伸くん。これから
わたしと毎日えっちしようね!
私の体、哲伸くんの好きにしていいよ♡」
里美が顔を赤らめながら言った。
「は…?…ま、、まじで?」
哲伸が信じられないと言う様子で言うと、
「うん♡」
と里美は幸せそうに、哲伸に身を任せた。
彼女はー
もう、甘利弁護士に思考を塗り替えられていた
”内海 哲伸が大好きー
彼の為に全てをささげるー”
と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
事務所に戻った甘利弁護士は笑う。
「久々に…スリリングな裁判だったな」 と。
そして、冷蔵庫にしまってあった缶コーヒーを手に取ると
彼は微笑んだ。
「真実などーー
人間が作り出した”一つの作品”に過ぎない」
そして、甘利弁護士はコーヒーの缶を見つめながら笑う。
「真実は、捻じ曲げるためにあるー」
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
こういう人が憑依する力を手に入れてしまうと大変ですね^^
多くの関係者の人生が狂いました…
あ、、でも本人たちは喜んでますからね!
それはそれで幸せなのかも…?
ちなみに裁判長は「世の中みな無罪」と思考を塗りつぶされ、
後日裁判長を解任されたようです。
作中では、実際の裁判とは異なる流れをしている部分なども
多いですが、フィクションとして楽しめるように
都合上、色々と変えさせていただきました。
ご了承ください。
それでは皆様、お読み頂いてありがとうございました!
コメント
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哲伸へのアフターサービスもするいい弁護士じゃないですか
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> 哲伸へのアフターサービスもするいい弁護士じゃないですか
弁護する本人へのサービス精神は忘れない弁護士さんです!