単身赴任を終えて帰ってきた
一家の父親・勲。
しかし、娘は反抗的に、妻は妖艶に、息子は男の娘に豹変していた。
そんな中、父は
娘・紅葉の日記帳を見つけたのだった…
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「紅葉の日記…
これを見れば何か分かるかもしれない」
勲は、娘の部屋で、
娘・紅葉の日記帳を見つけて、
それを手に取った。
「---紅葉…お前に…
いや、お前たちに何があったんだ…」
カーテンの隙間から、夜の街灯が
部屋に射し込んでいるー。
家族との幸せな日々を思い出す勲。
どうして、家族は変わってしまったのか。
妻の芳子は、夜の仕事のため不在だ。
そして娘の紅葉は律夫とかいう彼氏のところに
会いに行ってしまった。
エッチなことをするつもりなのだとかー。
今、家に居るのは息子の正之のみ。
その正之もすっかり女の子みたいになってしまってはいるが、
彼だけは、勲に対して反抗的ではなく、
協力的な印象を受ける。
ーー勲は、深呼吸をしてから、娘・紅葉の日記帳を開いた。
12月の寒さが身に染みる。
勲は、その日記の適当なページを開いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10月30日
今日は美術部の作品を、先生に褒めてもらった。
嬉しくて思わず、今もニヤニヤしちゃってるぐらい…
コンテストに優勝できるといいな…
そう甘くはないと思うけれど、これからも頑張ろっと♪
10月31日
12月におとうさんが単身赴任から帰ってくるって
連絡がお母さんにあったみたい。
私もお父さんに会うのが楽しみ。
結構、友達だと父親と仲が悪い子も多いみたいだけど、
わたしはお父さんのこと、嫌いにはなれないなぁ…。
11月1日
学校で、クラスメイトの律夫君に告白された。
けど…律夫君は悪くないんだけど…
わたし、男の人あんまり得意じゃないし…
律夫君は優しいけど、断っちゃった…。
律夫君、悲しそうな顔してた。。
でも、、わたし、どうしても男女関係のことが苦手なの…。
お父さんが帰ってきたら相談してみようかな…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そこまで日記を読み進めて、勲は思う。
「振ったはずの律夫とやらと、
何故、今の紅葉は付き合ってるんだー?
1か月の間に何があった?」
勲はそう思いながら日記を読み進めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11月2日
何やら突然、弟の正之が、女装グッズを買ってきた。
あいつ…あんな趣味あったの?
正之には悪いけど、ちょっと嫌だな…。
11月3日
今日から連休。今日は友達の花楓ちゃんとショッピング♪
花楓ちゃん、ファッションにはうるさいから、
今日もいっぱい買っちゃうんだろうなぁ~
11月4日
昨日はちょっと失敗しちゃった…。
なんだか自分に似合わない服ばかり欲しくなっちゃって…。
ミニスカートとか、ショートパンツとか…
わたしはちょっと着れないかな…
恥ずかしいし…。
何で買っちゃったんだろう?
11月5日
ふと、試しにショートパンツを穿いてみた。
なんだかわたし、すっごく綺麗!
太もものあたりなんか特にエロい感じ!
思わず見とれちゃった♪
で、、でも、、外には行けないなぁ。。
やっぱり恥ずかしいし…。
11月6日
お母さんが突然、夜の仕事を始めると言い出した。
最近、お母さん、どんどん綺麗になっていく。
私も負けないようにしなくちゃ!
11月7日
なんだか今日は1日中イライラが止まらない。
どうしたんだろうわたし…。
勉強なんかやめてしまえ!と心が叫んでる。
もっと、もっと、”女”になれって、体が叫んでる。
今日は先生を見ているだけでイライラしたし、
わたし、疲れてるのかも…。
美術部もさぼっちゃった。。
11月8日
かわいい・・・。
私、こんなに可愛かったなんて…
ミニスカートを穿いて、ちょっと派手なセーターを
着て鏡の前に立ってたら、興奮しちゃった♪
学校、さぼっちゃったけど関係ないよね?
11月9日
男とヤリたい。私のこの綺麗な体で、
男を虜にしてみたい。
みんな、わたしの太ももに釘づけ。私の胸に釘づけ。
誰か、わたしとヤッてくれないかな。
11月10日
律夫君を呼び出して、
突然抱きついてやった。
律夫君、気持ちよさそうに喜んでた。
わたし、、生まれて初めて男の人とセックスした。。
すっごく気持ちよかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…何なんだこれは…」
勲がページを戻す。
11月2日の時点で
息子の正之には異変が生じている。
”女装グッズ”を買ってきたと書かれているから、
その時点で正之に何か起きていたのだろう。
紅葉は、11月3日の友達とのショッピングで、
普段自分が着ないような服を購入している。
そしてー妻の芳子は11月6日に、
夜の仕事を始めると言い出している。
「---何があったんだ…。
誰かに、何かされたのか…?」
勲は日記を見返す。
11月3日ー
”花楓ちゃんとショッピング”
勲はこの「花楓」なる友人を疑う。
だがー
2日の時点で長男の正之は女装を始めている。
花楓という子は関係ないだろう。
ーーー勲はさらにページを戻す。
11月1日
”律夫くんに告白されたけど振った”
11月10日
”律夫くんを呼び出してヤッた”
「----」
勲は思う。
この”律夫”という男が何か知っているのではないかと。
そう思いながら日記の残りのページを見つめる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11月11日
日記とか書くの馬鹿らしくなってきた。
そんな時間があるなら、わたしは一人喘いでいたい。
…そういえば、おとうさん帰ってくるんだったっけ。
・・・・邪魔だなぁ…
11月12日
ああ…♡ 気持ちイイ…
一人でエッチ…やめられないよぉ♡
わ、、わたし、、おかしくなっちゃった♪
学校も…やめちゃった♡
でも・・・いいの・・・これでいいの!
11月13日
うふふふふ♡ さいこうっ♡
きもちいいよぉ♡
11月14日
もっと 喘いで 喘いで 狂いたい♡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そこで日記は終わっていた。
勲は背筋が凍るような思いをした。
短期間でのこの変異は一体ー?
勲はもやもやしながら自分の部屋に入る。
「----」
なんだか、家族が不気味に思えた。
勲は用心のため自分の部屋の鍵を閉め、
その日は眠りについた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さん…寂しくなるね」
紅葉が言う。
「---頑張って。家の事は私がちゃんと守るから」
妻の芳子が優しく微笑む。
「--父さん…向こうで浮気すんなよ!」
息子の正之が冗談を言って笑う。
朝日の眩しい玄関先で、
あの日、勲は家族たちに見送られながらー
”単身赴任”へと向かったのだったーー
それなのにーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小鳥のさえずりが聞こえて目を覚ます。
勲も、今日は休みだった。
「---はぁ」
昨日の”現実”を思い出して勲は呟く。
「夢なら良かったのになー」
勲はベットから立ち上がり思う。
”今日は、律夫とかいう同級生に話を聞いてみよう”と。
リビングに行くと、紅葉が今にもみえてしまいそうな
ほど短いミニスカート姿で、スマホを手に
微笑んでいた。
芳子は男を誘うような格好で色っぽく煙草を
咥えている。
息子の正之は「おはよ!おとうさん」と優しく微笑んだ。
ーーここは、どこだ?
勲はそう思った。
ここが、自分の帰るべき家庭か?
いつから自分は、夢の世界に迷い込んだー?と。
「---紅葉」
勲は紅葉の方に歩いていく。
紅葉が不機嫌そうに顔をあげる。
「--お前の部屋にあったこれは、何だ?」
勲が紅葉の部屋に転がっていた
”大人のおもちゃ”を手に、紅葉に詰め寄った。
「---クスッ…
何って…?わたしが楽しむためのものでしょ?
そんなことも知らないの?」
ソファーに座っていた紅葉は色っぽく
足を組んで、馬鹿にしたように父を見た。
「--そういうことを聞いてるんじゃない!
どういうつもりなんだと聞いてるんだ!」
勲が声を荒げる。
紅葉は言う
「--あんたこそどういうつもりなの?
私の部屋勝手に覗いて!」
紅葉が立ち上がって、父を睨む。
その目つきに、父はうろたえた。
「---紅葉…」
悲しそうにつぶやく勲に、紅葉は笑みを
浮かべて言った。
「そうだ、私がそのおもちゃで遊ぶとこ、
見せてあげよっか?」
勲は「ふざけるな!」と叫んで、食卓につく。
「お父さん。カッカッしちゃダメだよ。。
冷静、冷静に!」
女の子になった正之が言う。
側から見れば完全に女子だ。
「そうよ~
紅葉だって女なんだから…
大目に見てあげないと」
妻の芳子が言う。
「お…お前たち…
いったい何があったんだ!?
誰かに、何かされたのか!?」
勲が3人に向かって言う。
しかしー
3人は不気味に笑みを浮かべるだけだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夕方。
勲は高校の前で「律夫」を待ち伏せしていた。
昨日、娘の部屋で「律夫」らしき写真を見つけたため、
容姿は分かる。
一見、真面目そうに見えたが…。
そしてーー
”律夫”が出てきた。
勲はすかさず声をかける。
「中丸 律夫(なかまる りつお)くんかな?」
そう言うと、律夫は「はい、そうですけど…」と
不審な目で勲を見た。
勲はすかさず、紅葉の父だと名乗り、
校門脇で、律夫と話を始めた。
「---はい…
紅葉ちゃんは…、、その…
なんか急に積極的になったというか…」
律夫が言う。
聞けば、紅葉に最初告白した時に振られたものの、
後日突然呼び出されて、有無を言わさず、行為を迫られたのだとか。
それ以降、呼び出しに応じないと、家庭を滅茶苦茶にすると
脅されていると律夫は語った。
「--馬鹿な…君が何かしたんじゃないのか!」
焦る勲は、
なおも律夫を問い詰めた。
だが、律夫は「知らない、僕も困惑している!」の一点張りだった。
「-----悪かった」
勲はようやく諦め、律夫から離れた。
「---僕も……何か分かったら連絡しますから」
律夫の言葉に勲は「すまない」と頭を下げ、
その場を立ち去った。
律夫はその後ろ姿を見つめる。
”一つ思い当たることがあるー”
律夫は思い当たる節を当たってみようー、
そう思いながら、空を見つめた。
その時、律夫の背後から、一人の少女が姿を現した。
娘・紅葉の親友、花楓だった。
「今のはー?」
花楓が律夫に尋ねる。
律夫は
「うん…紅葉ちゃんの親だよ」
と呟く。
「ふぅん…」
花楓は不快そうにそう呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”今日は遅くなる”
勲はLINEで妻にそう送った。
ーーー嘘だ。
自分が居ない間、家族たちはどのような行動をしているか。
どんな話をしているか探る為。
3人の会話を盗み聞きすれば、何か分かるかもしれない。
どうして、
紅葉が、
どうして、芳子が、 どうして正之が変わってしまったのか…。
空から冷たい雨が落ちてきていた。
”あの時の、家族の笑顔は、もう取り戻せないのかー”
勲は、ばれないように、家の鍵を開けて、
家の中に入った。
扉越しにリビングを覗く。
誰も居ないようだー。
ドン ドン ドン!
2階から音がするー。
異様な音だー。
ドン ドン ドン!
何の音だー?
音のする部屋にこっそり向かう勲。
不気味な事に、家族の気配がしない。
誰も居ないのか―?
ドン ドン ドン!
その音がする部屋はー
娘の紅葉の部屋だったーーー。
「------」
勲が部屋の扉をこっそりと開けるとーーー
そこにはーーー
血がーーーー
「-------!!!」
勲は驚いて目を見開いた。
少女が、鉄パイプを持って不気味に笑っているー。
そして、その下には、
さっきまで会っていた男子生徒――
”律夫”がボロ雑巾のようになって倒れていた。
謎の音は、、
律夫と少女が争う音だったのかー。
「---あれぇ…早いですねぇ~
まだ帰らないって言ってたのにぃ…」
少女は振り向いたー
ーーー勲は顔をしかめる。
「--君は…」
娘の親友・花楓。
「----なぜ…俺の家に…君が…?」
勲は恐怖に目を見開いた。
何故、娘の親友の花楓が俺の家に居るのか。
なんで、娘の彼氏の律夫を、その花楓が殺したのかー。
そしてーー家族の身に何が起こったのかーーー
「うふふふふふふふふふ、ひーひひひひひひひひひひ」
倒れた律夫を見ながらひとり笑い出す花楓。
「---な、、何やってるんだ!人の家で!
君か?君が俺の家族に何かしたのか!」
勲が叫んだ。
だが、花楓は言葉に反応することなく笑い続けている。
「・・・・・・・」
勲が不気味なものを見る目でその様子を見つめるー
「---遅くなるって…言ったよね?」
背後から声がしたー。
勲は驚いて振り返るー。
そこに居たのはー
勲も良く知る人物--
そしてーー
”家族 豹変の元凶”
③へ続く
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コメント
恐るべき家族豹変の真実は明日明かされます!
ハッピーエンドになるのでしょうか!?
(父親系のハッピーエンド率は比較的高いですけど…今回はどうでしょう?)
コメント
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律夫君犯人かと思ったら違うのね
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> 律夫君犯人かと思ったら違うのね
違ったみたいです!(他人事)
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一体何が……
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> 一体何が……
次の話で全てわかります!