SNSを通して人に憑依する男、
夫雄呂 外(ふおろ がい)。
彼は憑依した女性で暴走し、翌日の新聞で、その自分がさせた行為の
記事を読むのを楽しみにしていた。
そんな彼はーー
“別の憑依人”の怒りに触れてしまうー。
フォロワー様のN.D様(@5121gpm3241gpo)がゲスト出演します!
(御厚意により、ご許可を頂きました)
------------------------------–
夫雄呂 外(ふおろ がい)だ。
久しぶり…か?
いやぁ、最近は作品が多くて困るぜ。
ホテルだか村だか、暴走なんちゃら男だとか。
なんだか知らないが、おかげで俺の出番が
全然回ってきやねぇ…
ん?何の話かって?
まぁ気にするな、こちらの話だ。
今日も俺のFF外憑依を一つ、拝ませてやろうと思ってな。
ところで、先週の話なんだが、野良猫が俺を見て
一目散に逃げ出しやがったんだ。
失礼だとは思わないか?
俺は、あの日以来、猫が嫌いになった。
ってことで~
今回は俺も利用したことのあるペットショップの
美人女性店主に憑依して、猫を滅茶苦茶に痛めつけてやるぜ!
…21で独立して、23なのに、あの子、
よく頑張ってるんだよな~
そんな子の人生を壊し、ついでに猫への腹いせも行う。
いつもながらにカンペキだ!俺!
行くぜ!
FF外から失礼します!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夫雄呂 外、通称ガイは、
SNSを開き、目標のペットショップのアカウントを見つめ始めた。
相手もSNSの画面を見ていないと彼の憑依能力は効果を
発揮しない。
そのため、ペットショップ店主の女性が
ツイッターを更新するのを、じーっと待っていたのだ。
そしてーーー
”可愛い猫ちゃん!” と
猫の写真と共にツイートが行われた
「来たぜ!
FF外から失礼しまーーーーす!」
ガイはそう叫ぶと、画面を通してーー
相手の女性のところに、飛んでいったーーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ひっ!?」
猫と戯れながら、スマホでお店のツイッターアカウントの
更新をしていた女性、神埼 秋菜(かんざき あきな)が突然、声をあげて
スマホを落しかけた。
店内には3人の客が居る
「ふふふ…」
秋菜は店内の客を見渡したが、誰も気づいた様子はなかった。
ーーー!!
秋菜は猫を見てハッとする。
憑依するまで、安心した様子で、秋菜に身を任せていた猫が、
敵意を向けるかのようにこちらを見ている。
「---うふふ…どうしたの?ほら、こっちにおいで」
秋菜のふりをして、優しく呟くと、猫は逃げるように
して店内の端に移動する。
「・・・・・。」
その様子に、ペットショップをたまたま訪れていた
利用客の一人が違和感を感じた。
「--ほら、どうしたのよ?何で逃げるの?」
秋菜はなおも猫に迫る。
だが、猫はさらに別の方向へと逃げ出してしまう。
店内では4匹の猫が飼われていたが、
4匹とも、なぜか秋菜から逃げ回っている。
「チッー」
心優しい秋菜には似合わない表情で舌打ちをした。
“人間には感じ取ることのできない何かを感じることができるのかー?”
秋菜はそう思った。
猫や動物を愛する、この秋菜という女の体で、
猫への復讐を果たす。
ついでに猫を喰らってやろう。
自らの店のペットを滅茶苦茶にする若き女店主。
明日の新聞にはどのような記事として
掲載されるのだろうー?
そう、考えただけで、ガイは興奮を止められなかった。
秋菜の体が、ガイの意識にしたがって、快感を覚える。
丁度、店内の客のうち2人は帰り、
残り1人になっていた。
その一人が、秋菜のほうを見ている。
「-----…」
秋菜は愛想笑いを浮かべると、
その客は、会釈してそのまま店を後にした。
秋菜は笑う
「くふふふふふふふ・・・
ついに邪魔者が居なくなった!」
そう言って立ち上がると、乱暴に店の入り口のトビラを閉め、
シャッターを叩きつけるようにして閉めた。
”臨時休業”と汚らしい字で殴り書きした秋菜は
それをシャッターに貼り付け、
猫たちのほうを見た。
「うふふ…お前達に地獄を見せてあげる」
秋菜に憑依しているガイは、
最近、猫たちへの怒りを溜め込んでいた。
野良猫が自分を見て逃げた。
それだけの理由で、だ。
「まずは…♡」
秋菜の体のチェックを始めるガイ。
「うふふ…♡
若くして自分のお店を持って、
しかもこんなに綺麗な体を持ってるなんて…♡」
イヤらしい笑みを浮かべて、
一人息荒く、自分の体を見つめる秋菜。
スカートをめくって、ニヤニヤしたり、
胸を揉んで一人声をあげたりしている。
「あぁ…♡
秋菜の人生、壊れちゃう♡」
体を弄んで、ガイの意思のままに
興奮の感情に支配された秋菜は、そのまま
ガクガクと足を震わせながら、
だらしない格好でひざをついた。
スカートの中に、手を突っ込み、
よだれを垂らしながら、満面の笑みを浮かべる秋菜。
いつも優しい秋菜の姿など、そこにはなかった。
「んふっ♡ ふぅ♡ あぁん♡」
一人声をあげる秋菜を、
猫たちが不安そうに見つめている。
そんな猫たちの様子に気づいた秋菜は、
笑みを浮かべて、立ち上がった。
そしてーー
近くに居た一匹の猫を蹴り飛ばした。
「くふふっ…」
猫が泣き声をあげて吹き飛ばされる。
秋菜はその様子を笑みを浮かべながら見つめた。
「私はいつもの私じゃない。。
覚悟しなさい」
秋菜は、太ももから液体を垂らしながら笑った。
そして、事務所側にあったガスコンロで
お湯を沸騰させ始めた。
5匹の猫たちが、不安そうにその様子を見つめる。
「くふふふふ・・・」
ぐつぐつと煮えたぎるお湯。
完全に沸騰した。
人間が手を触れれば、たちまち火傷してしまうだろう。
グツグツ音を立てるお湯を見つめて、
秋菜は5匹のうちの一匹の猫、黒い猫を見つめた。
「くふふ…このお湯に猫を入れて
そのままゆでたら…どうなっちゃうかなぁ~」
秋菜がベロをペロペロさせながら目を見開いて笑う。
「自分のペットショップのペットを虐待して、
最後には、始末した猫たちを喰らいながら
外で大笑いしてやるー」
ガイは秋菜の口で恐ろしいことを呟いた。
秋菜の人生は台無しになるだろう。
だが、そんなことは関係ない。
全ては、自分の欲望のためにー。
ガイはそういう男だ。
「---ホラ!逃げるんじゃねぇよ!」
秋菜が机を乱暴に蹴り飛ばして、黒猫の足をつかみ、
さかさまにぶら下げるようにして持った。
猫はパニックを起こしてじたばたとしている。
お湯のほうに向かう秋菜。
その表情は狂気に染まっている。
ーーーだが、
ガイは知らなかった。
さっき退出した客の中に、
秋菜の異変を感じ取った人が居たことを。
ガイと同じく、憑依能力を持つが故に、
異変を感じ取った人間がいたことをー。
猫を愛する憑依人、通称”N・D”は、
とある方法で中の様子を伺っていた。
店を退出する際に、一瞬見た秋菜の表情ー
猫に対して”憎悪”のまなざしを向けていた。
“猫に何かする気だ”
N・Dはそう悟ったのだった。
ガラガラガラ…。
閉めたはずのシャッターが開く。
そういえば、鍵をかけ忘れていた。
秋菜が、入り口を見つめると、
そこには女子中学生らしき少女が立っていた。
しかし、少女は虚ろな目をしている。
「----今日はもう閉店なんだけど」
秋菜が不機嫌な様子で、黒猫を放り投げると、
女子中学生のほうに歩いていく、
虚ろな目の少女はー、
憑依人 N・Dの代わりに、
N・Dの憑依能力の一つである、暗示により、
メッセージを伝える”代弁者”として、ここに立っていた。
今の彼女は、N.Dの意思を自ら汲み取り、
その意思を周囲に伝える操り人形と化していた。
「---猫…
猫に手を出したら許さないって…
N.D様が言ってる」
女子中学生は虚ろな目で呟いた。
「---今日は閉店ってるでしょ?
聞こえなかったの?」
秋菜が乱暴に言うと、
女子中学生は続けた。
「---猫へ害を加えるなら、
N.D様の怒りに触れることになる…」
女子中学生の言葉に、
秋菜は笑う。
そして、叫んだ
「あはは!N・Dって何よ?
そんな名前聞いたこともないし、
そんなやつに私は止められない」
そういうと、黒猫を再びわしづかみにして、
沸騰したお湯がグツグツ音を立てている鍋のほうに秋菜は向かった。
黒猫を鍋の沸騰したお湯に放り込もうとしたその時だった。
ーーー!?
秋菜…
いや、その中に憑依しているガイは、
背後から”今まで体験したこのない”殺気を感じて振り向いた。
そこにはーー
さっきまで逃げ惑っていた猫が居た。
猫はまっすぐと秋菜を見ている。
その目からー
ただならぬ殺意を感じた。
「---ひっ!?」
秋菜は思わず、黒猫を放り投げて、小さく悲鳴を上げた。
次の瞬間、猫が秋菜に飛び掛り、
その顔を爪で攻撃した。
「ぎ、、、ぎゃあああああ!」
秋菜が汚らしく悲鳴をあげる。
顔からはーー
血が出ていた。
秋菜は猫を見るー。
その目は怒りに満ちている。
そして、その爪は、怒りを体現するかのように鋭く伸びていた。
ガイは悟るー。
「お…お前が…N.D…!?」
秋菜が恐怖に表情をゆがめて言うー。
憑依人 N.Dは、
ガイによって命を狙われた猫に憑依していたー。
哀れな猫たちを救うため。
再び、秋菜にとびかかる一匹の猫。
秋菜は近くにあったイスを振り回し、
猫を叩こうとする。
しかし、
猫は華麗な動きでその全てをかわした。
「はぁっ…はぁっ…」
秋菜が弱弱しく息を上げる。
「こ、、この女…貧弱なやつだな・・・
オ、、、俺の体なら、、こんな猫・・・」
ガイは、秋菜の体に毒づいた。
秋菜は運動が苦手だった。
そしてーー
周囲を飛び回る、N.Dが憑依した猫を
振り払おうとして、秋菜は足を滑らせて転んでしまう。
「ひっ…」
倒れた秋菜の首筋に、猫が爪を立てる。
憑依しているN.Dの怒りを体現するかのごとく、
その爪は鋭く伸びていた。
「---N.D様はお怒りよ」
N.Dに暗示をかけられた女子中学生が言う。
「---もう2度と猫に手を出すな」
女子中学生が、恐ろしいまでに低い声で言う。
「--く、、くそっ…」
秋菜が、悔しそうに呟く。
沸騰したお湯の音が聞こえるー。
「---憑依した状態で、その体が死ぬと、
どうなると思う…?
これ以上、N.D様を怒らせると…」
女子中学生が秋菜を鋭く睨む。
ーーーーこいつ、本気だ。。
ガイは恐怖を感じた。
そして叫んだ。
「わ、、、分かった!猫には手を出さない!
この女も解放するーーー」
そして、ガイは慌てて秋菜から離脱して、
自分の体の元へと逃げていった。
「----」
猫は、鋭い目つきで、それを見つめた。
そして、その様子を見届けると、
猫の顔つきが、いつもの穏やかな顔つきに戻った。
憑依人のN.Dは”猫を守る”という使命を果たし、
猫の体から抜け出したのだった。
同時に、暗示をかけられた女子中学生も正気を取り戻す。
「---えっ…あれ、、、わたし・・・
って…いやああああ!」
目の前にペットショップの女店主・秋菜が
だらしない格好で倒れているのを見て
中学生は悲鳴をあげたー。
その後、救急車が呼ばれ、
ちょっとした騒動になったようだったが、
秋菜も顔にキズが残った以外は無事だった。
もちろん、5匹の猫たちもー。
別に正義とか、人助けとか、そんなつもりじゃない。
ただ、猫たちが可愛そうに思えたからー。
目の前に困っている猫が居たら、手を差し伸べる。
憑依人N.Dはその様子を見届けて、
猫たちを守れたことに
満足し、その場を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
夫雄呂 外は、
届いた新聞を広げて、
手を振るわせた。
本当だったら、
ペットショップの女主人が、自らの店のペットを虐殺した挙句、
全裸で大笑いしながら外に駆け出した”狂気の事件”が
新聞に載るはずだった。
だが、N.Dとやらに邪魔をされて、
それは夢と消えたー。
「---・・・・ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ」
夫雄呂 外は悔しさを露にした。
そして、
新聞紙をぐしゃぐしゃに丸めると、
その新聞紙を口の中に放り込んだ。
怒りのあまり、彼は新聞紙を粉々に噛み砕き、
そのまま飲み込んでしまった。
N.Dを名乗る憑依人への憎しみをたぎらせながらー。
数時間後。
彼は腹の激痛に襲われ、病院送りになった。
「…何か変なもの、食べましたか?」
医師が尋ねる。
ガイは目を逸らしながら答えた。
「…新聞紙を・・・ちょっと」
…と。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
N.D様と言えば猫!ですね。
猫を守るために憑依するイメージを書いてみました!
ゲスト出演のご許可を頂きありがとうございました!
この場を借りてお礼申し上げます。
そしてお読みくださった皆様もありがとうございました!
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
新聞紙を食って病院送りwwww
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 新聞紙を食って病院送りwwww
ガイさんざまあ状態ですね(笑)